地球温暖化に伴う シデコブシの分布域の変化

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Transcript 地球温暖化に伴う シデコブシの分布域の変化

地球温暖化に伴う
シデコブシの分布域の変化
―インフラによる分断化の影響―
名古屋工業大学 社会工学専攻
丸田泰司
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
名古屋工業大学 社会工学専攻 丸田泰司
目次 ~発表の流れ~
研究内容
実験方法
結果
考察
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
名古屋工業大学 社会工学専攻 丸田泰司
研究内容
実験方法
結果
考察
目的 分断化の影響を考える
エコロード
分断化
植物
植物
1.4℃/100year
温暖化
5.8℃/100year
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
名古屋工業大学 社会工学専攻 丸田泰司
研究内容
実験方法
結果
考察
従来のシミュレーションとのちがい
従来の研究
本研究
対象スケール
対象生物
地球・国
地域・地方
移動速度が速いもの
移動速度が遅いもの
長所⇔短所
広い範囲での予測のみ
分断化の影響を考慮できる
河川
メッシュ
道路
1km
1km
100m
100m
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
名古屋工業大学 社会工学専攻 丸田泰司
研究内容
実験方法
エコロードの問題点
結果
考察
本研究で
効果がわかりづらい
建設コストが高い
定量化
優先度の決定
維持管理コストが高い
本研究の有用性
事業費の削減
種の大絶滅の阻止
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
名古屋工業大学 社会工学専攻 丸田泰司
研究内容
実験方法
結果
考察
実験材料
絶滅危惧Ⅱ類の2種類を材料に
シデコブシ(Magnolia tomemtosa Thunb.)
1) 分布域が東海地方の岐阜、愛知、三重の3県のみで生態学的に貴重
2) 分布と個体数が調査されている。
3) 木本類で種子の散布範囲が狭く、成熟するまでの期間が長い。
ミカワバイケイソウ
(Veratrum stamineum Maxim. Var micranthum Satake)
1) 東海地方固有の植物で、生育地がほとんど同じである。
2) 草本類で、成熟までの期間が短い。
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
名古屋工業大学 社会工学専攻 丸田泰司
研究内容
初
期
条
件
結果
実験方法
考察
シデコブシのシミュレーションの流れ
Step1. 地形図の作成
標高 緯度 河川 道路
Step2. 気温分布の再現と温暖化の予測
シ
ミ
ュ
レ
ー
シ
ョ
ン
部
分
1.4℃/100yearと5.8℃/100year
温暖化の影響評価
温度で成木分布を制限
Step3. 成木個体群分布の作成
インフラ施設による分断化評価
インフラ施設で種子移動を制限
Step4. 種子分布の作成
Setp5. 幼木個体群分布の作成
300回
繰り返し
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
名古屋工業大学 社会工学専攻 丸田泰司
研究内容
初
期
条
件
実験方法
考察
ミカワバイケイソウのシミュレーションの流れ
Step1. 地形図の作成
Step2. 気温分布の再現と温暖化の予測
シ
ミ
ュ
レ
ー
シ
ョ
ン
部
分
結果
温暖化の影響評価
温度で分布を制限
Step3. 個体群分布の作成
インフラ施設による分断化評価
インフラ施設で種子移動を制限
インフラ設備
温度上昇ペース
の通過率 1.4℃/100year 5.8℃/100year
0%
Ⅰ-0
Ⅱ-0
10%
Ⅰ-10
50%
Ⅰ-50
100%
Ⅰ-100
Ⅱ-100
→ 条件Ⅰ-10
Step4. 種子分布の作成
300回繰り返し
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
名古屋工業大学 社会工学専攻 丸田泰司
研究内容
実験方法
考察
結果
地球温暖化
■ 生育不可(高温)
■ 生育可能温度
□ 生育不可(低温)
温度上昇ペース1.4℃/100year
0
20
40
60
80
100
120
140
温度上昇ペース5.8℃/100year
160
180
200
220
240
260
280
Time
(year)
300
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
名古屋工業大学 社会工学専攻 丸田泰司
研究内容
実験方法
分布予測(シデコブシ)
条件Ⅰ-0
考察
結果
100年後
250年後
200年後
150年後
50年後
0年後
300年後
条件Ⅰ-10
条件Ⅰ-10,条件Ⅰ-50,条件Ⅰ-100では顕著な差はなし
条件Ⅰ-50
条件Ⅰ-100
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
名古屋工業大学 社会工学専攻 丸田泰司
研究内容
実験方法
結果
分布予測(ミカワバイケイソウ)
条件Ⅰ-0
考察
300年後
250年後
200年後
150年後
100年後
50年後
0年後
条件Ⅰ-10
条件Ⅰ-0とそれ以外の条件には分布の差が生じた。
条件Ⅰ-50
条件Ⅰ-100
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
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研究内容
実験方法
移動速度
結果
考察
シデコブシの平均移動速度 6m/year
ミカワバイケイソウの移動速度 14m/year
図 インフラ設備の通過率と通過数が及ぼす移動速度変化
シデコブシⅠ-10の平均速度の低下が目立つ
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研究内容
実験方法
復元率
=
考察
結果
それぞれの通過率での通過量
×100
影響がない場合の通過量
復元率(%)
100
80
60
40
シデコブシⅠ-10
シデコブシⅠ-50
ミカワバイケイソウⅠ-10
ミカワバイケイソウⅠ-50
20
0
0
50
100
150
200
250
図 シデコブシとミカワバイケイソウの各条件での復元率
300
年数(
年)
復元の早さ、収束値に違いが生じた
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
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研究内容
実験方法
結果
考察
まとめ
分布域
植物で生き残るものは標高の高い位置に移動できたものだけで
あった。
インフラ設備の通過率10%,50%,100%において分布域に大きな差
は見られなかった。
移動速度
シデコブシでインフラ設備の通過率10%での速度低下が顕著であっ
た。
復元率
復元率においては10%と50%に収束する復元率、復元の早さにおい
て顕著な違いが生じた。
分布域では見えない差(個体群の齢構成,個体群サイ
ズ)が生じている可能性.
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
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研究内容
提案
実験方法
結果
考察
種の絶滅回避のために
1) 温暖化を遅らせる
2) 植物が標高の高いところへ移動できる環境の創造
1) 温暖化を遅らせる
建設副産物の有効利用
グリーン調達の推進
建設関係車両の改善
2) 植物が標高の高いところへ
移動できる環境の創造
コンクリ
石炭灰の有効利用
人工ゼオライト
増田研 岸本真吾氏
土壌
郷土種子を用いた法面緑化技術
に関する研究
増田研 三輪治氏
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実験方法
研究内容
結果
考察
生態系における植物の役割
消費者
植物
CO2
生育・生息
空間
生産者
1) 有機物の提供
2) 生物の生育・
生息空間の提供
水分
土壌
3) エネルギーの固定
植物は生態系において重要な役割を果たしている
最も絶滅の恐れのあるもの(植物)に着目すべき
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
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研究内容
実験方法
考察
結果
メッシュ数の差
条件Ⅰ-10
条件Ⅰ-50
条件Ⅰ-100
6000
5000
メッシュ数の差
= 各条件 - I-0
4000
3000
2000
1000
シデコブシ
0
0
40
条件Ⅰ-10
80
条件Ⅰ-50
120
160
条件Ⅰ-100
20000
15000
10000
5000
ミカワバイケイソウ
0
0
40
80
120
160
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名古屋工業大学 社会工学専攻 丸田泰司
研究内容
実験方法
地球温暖化
考察
結果
分布率(%)
100
80
温度上昇ペース
1.4℃/100year
45%
85%
60
40
60%
20
160年
0
0
50
100
150
200
生育不可(
低温)
生育適地
生育不可(
高温)
250
分布率(%)
300
Tim e(年後)
100
80
温度上昇ペース
5.8℃/100year
80%
60
40
60%
20
生育不可(
低温)
生育適地
生育不可(
高温)
40年
0
0
50
100
150
200
温度上昇ペースが速いと生育地の消失も早い
250
300
Tim e(年後)
地球温暖化に伴うシデコブシの分布域の変化 ―インフラによる分断化の影響―
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