3)地震リスク - 東京都市大学

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次世代の耐震設計法
地震リスクとリスクマネジメント
武蔵工業大学 都市基盤工学科 吉川弘道
地震工学における基本概念



ハザード/Hazard:
ある地点/ある期間における、各地震規模における、地震ま
たはその影響の発生する確率
脆弱性/Vulnerability:
ある規模の地震が発生することによる、その構造要素の損
傷程度。被害の受け易さ
地震リスク/Earthquake Risk:
ある要素の一定期間における損失期待値。損失の尺度は、
経済的損失、人命の損失、構造体の物理的損失、または、
全損失(再調達価格)に対する復旧費の比率(0~100%)
などがある
地震リスクマネジメント
ハザード
Step 1 ・・・ リスクの洗出し/確認 (リスクのシナリオを想定)
Step 2 ・・・
リスクの算定
リスクの把握
(1)損失関数
(リスクの規模を把握)
(2)地震リスクカーブ
(リスク減少のための
Step 3 ・・・ リスク対策の実行
最適案の実行)
‘リスク’の考え方と定義

日常におけるリスク(広義のリスク):大辞林(三省堂)
①予測できない危険(リスクが大きい)
②保険で損害を受ける可能性

リスクの考え方(工学的定義):
リスク(Risk)=
地震の発生確率(Hazard)×そのときの損害(Vulnerability)
地震リスクの数学的定義
k
地震リスク:
R  ( p j  Dj )
j 1
k
p j : 事象jの発生確率
p
j
Dj : 事象jのときの損害/損失
k : 事象jの個数
j
1
地震リスクの算定方法:
損傷期待値
①算定に必要な情報
・建設地点の地震ハザード曲線:P(α)
・対象構造物の地震ロス関数:D(α)
②数学的定義
損傷期待値密度:ed()  D() p() ただし: p( )   dP( )
d

損傷期待値: ED   D( )  p( )d
0
密度関数
年超過確率
p( )  

P.G.A.
(a) 地震ハザード曲線
1
Damage Index
D()

P.G.A.
(b) Damage Index Curve
ed()
損傷度期待値密度
ED
P.G.A.
(c) 損傷度期待値密度曲線

d
P( )
d
‘地震リスク’vs.‘宝くじの賞金’
橋脚の地震リスク
年末ジャンボ宝くじリスク
宝くじの賞金:期待値の算定
100
当選確率p (密度関数)
1/100
Σpj=1.0
10-2
10-4
2x10-7
10-6

2億円
1億
当選賞金G (円)
100万
1万
100
3000円

0
40
期待賞金額 p x G (円)
30
40円
30円
Σpj・Gj=145(円)
20
10
0
は 6 5 4 20 1 3 2 前 1
ず 等 等 等 世 等 等 等 後 等
れ
賞
紀 組
違
賞
い

リスク解析における基本情報
① イベントツリー解析
② フラジリティー曲線
③ 地震損失曲線
④ 地震リスク曲線
⑤ 損失期待値(NEL),予想最大損失(PML)
損失関数とは
損失額
1000万円
損失関数
200万円
300Gal
800Gal 基盤最大加速度
「地震動強度」に対する,「予想損失額」を表現
地震リスクカーブ
超過確率
地震リスクカーブ
1.5%
0.1%
100万円
1000万円
損失額
着目地点における
対象構造物の 「固有のリスク」 を表現
「地震リスク評価」
地震リスクカーブの見方
大
超
過
確
率
小
小
そん害の大き
さ
大
武蔵工業大学 性能設計班
最後に、結論の代わりに。。。
耐震工学→多くの固有技術にて構成される
耐震工学:多くの異なる技術を必要とする
地震学:震源断層の調査、伝播/距離減衰
表層地盤における増幅,地盤と構造物の相互作用
構造物の応答解析:手法、解析ツール、入力条件
ハードウェアー:耐震補強、免震/制震,
各種理論:信頼性理論,性能照査法,
土木/建築の乖離
リスクアナリシス、地震保険
課題:耐震工学のドリームチームの結成
小泉首相率いる自民党政権:
・多くの政治課題が山積するが、、、、
・‘郵政民営化’のみを旗印で闘った。
⇒ 総選挙に歴史的勝利を収めた!
小泉首相率いる自民党政権:
・多くの政治課題が山積するが、、、、
・‘郵政民営化’のみを旗印に闘った。
⇒ 総選挙に歴史的勝利を収めた!
土木・建築の構造設計/耐震設計:
・ 多くの固有技術で構成されるが、、、、
・‘性能評価’を合言葉に、構造と設計を改革。
⇒ 設計手法/構造解析に大きな進歩があった!
講演者の著書/主宰Web
★ 講演者著書:

吉川弘道:鉄筋コンクリートの設計-限界状態設計法と許容応力度設計法-、
212pp, 丸善出版、1997年

吉川弘道:鉄筋コンクリートの解析と設計(第2版)-限界状態設計法と性能
設計法-、283pp 丸善出版、2004年

吉川・井上・久田・栗原:土木練習帳-コンクリート工学-、213pp、共立出版、
2003年
★ 主宰Web:

Project:Seeing Is Believing エンジニアリング系動画/静止画サイト
http://www.evo.co.jp/musashi/

『もっと知りたいコンクリート講座』:コンクリート工学に関する教育/研究の情報発信サイト
http://c-pc8.civil.musashi-tech.ac.jp/RC/index.htm

Webセミナー『鉄筋コンクリート構造物の耐震設計講座』:耐震設計に関する連載講座
http://www.civil-eye.com/report/kouza/yoshikawa/index.htm