講義:エコビジネス論

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Transcript 講義:エコビジネス論

講義:エコビジネス論
第11回(12月11日)
豊澄智己
http://environ.shudo-u.ac.jp/~toyozumi/
エコビジネスの定義
• エコ+ビジネス=エコビジネス
• エコビジネスとは地球環境との共生、自然環
境を重視して、技術、製品、サービスを提供し
てお金をもうけること
• エコビジネスという用語は『環境白書平成6年
版(1994年)』で使われるようになり、「環境関
連産業」「環境産業」「環境ビジネス」「環境保
護産業」とほぼ同じ意味で使われる。
エコビジネスの種類
(1)環境負荷を低減させる装置
公害防止装置、省エネ装置等
(2)環境への負荷の少ない製品
⇒環境配慮型製品
低公害車、家庭用省エネ機器等
(3)環境保全に資するサービスの提供
環境アセスメント、廃棄物処理等
(4)社会基盤の整備等
省エネ・省資源型システム、緑化・植林等
環境庁「エコビジネスの定量的分析に関する調査」94年3月
3、環境配慮型製品
①使用段階の環境負荷を低減させる製品
②廃棄段階の環境負荷を低減させる製品
③原材料調達段階における環境負荷を低減さ
せる製品
環境配慮型製品に着目する主な理由
その1
• 日々報じられる環境悪化のニュースを背景に
消費者の環境意識は確実に高まっている。
• 一方でLOHAS(Lifestyles of Health and
Sustainability の頭文字をとった略語)のよう
に健康とともに、地球環境のことを考慮したラ
イフスタイルも取り上げられるものの、一部の
富裕層以外では浸透度は低いのが現状であ
る。
消費者の環境意識は高いが、「豊かな生活」
を経験した我々が、生活の質を落とし「縮小
型社会」を選択しない
消費者の環境意識と環境行動には少なから
ず「ギャップ」が見られ、環境問題の危険性を
頭では理解するものの、自らの生活のなかに
環境行動を取り入れる段階まで達していない。
したがって、
従来のゆたかな生活を続けながら環境負荷
を低減する製品を開発しなければならない。
例えば、排気ガスを撒き散らし、人々の健康
を害する臭くて汚い空気を吐き続ける車では
なくクリーンな車であれば、地球に存在しても
良い車の量(環境許容量)は今よりも増える。
したがって発展途上国の人々も車の恩恵を
受けることが可能になる。
環境配慮型製品に着目する主な理由
その2
• 環境問題の解決には持続的な企業の取り組
みが必要
• これまでは企業が環境経営に取り組む誘因
があまり重視されていなかった。
• 企業の環境問題への取り組みが何らかの成
果につながらなければ、ステークホルダーに
対する責任や貢献の延長線上に過ぎない
したがって、
• 環境への取り組みは持続的ではない。
• 一方、環境に配慮した製品を開発・販売する
ことで経済的な業績を得ることができるなら
ば、その重要性は増す。
• なぜなら、環境問題へのマーケティング・アプ
ローチ(エコビジネス)の前提条件は環境問
題に企業が取り組むことで売上高を獲得する
ことであり、企業が環境問題に取り組む誘因
とも合致する。
環境配慮型製品に着目する主な理由
その3
• 使用、廃棄、原材料調達段階において環境
負荷を減らす性質を持つので、地球環境問
題の解決に十分な役割を果たす
• エコビジネスに最も積極的なのは製造業
• 環境配慮型製品に関心を示す企業約7割
• 環境配慮型製品の開発は企業戦略の中核
生分解性プラスチック
プラは工業製品に欠かせない素材
従来プラの問題
•
枯渇製資源の利用・・・石油
•
廃棄処分が困難・・・・・リサイクル費用
生プラの特徴
従来のプラスチックや発泡スチロールとほぼ同等の機
能を持ちながら、環境汚染物質を排出せず、自然還
元性という新しい機能を持っている。
自然環境中で水と二酸化炭素に分解される。
天然物系の生プラは特に、廃棄物削減、製品
のグリーン化、循環型資源利用などの観点
から期待が寄せられている。
しかし、価格が高いことや技術的な課題があり
用途が限定的
事例(1)
• ファイン㈱(http://www.fine-evolution.co.jp/)
ファイン株式会社
•
•
•
•
•
•
所在地本社:〒140-0013
東京都品川区南大井3-8-17
会社設立昭和48年10月25日
資本金2,000万円
払込株式数40,000株
代表者代表取締役:清水 和恵
創 業昭和23年
事業所・工場
三重工場:三重県名張市西原町2590-13
伊賀工場:三重県伊賀市蔵縄手377-1
事業内容
●歯ブラシ製造販売(キャラクター、オリジナル等)
●エコロジー商品各種(生分解性樹脂製歯ブラシ等)
●介護用品(機能回復自助具)
●キシリトール入りグミキャンディ
●粘着式ねずみとり
●医科・理化学器具類用洗剤
●OEM商品製造
• 生分解性樹脂の利用
• 生分解性樹脂とは・・・
生分解性樹脂とは、穀物や植物等の澱粉に
乳酸菌を加え、発酵させて固形化したものを
いいます。土中に埋めると微生物の働きによ
り、水と炭酸ガスに分解され自然を汚しませ
ん。
生分解性の様子
生分解性歯ブラシの
分解写真です。
2002年7月24日現在
(植えたのは2001年4月頃です)
当社の本社前の植込に歯ブラシを埋めておきました。
特別肥沃な土ではありません。
1年間での分解
ブランド名;エパック:21
ファインの環境配慮型製品開発
現業からの延長線上での商品開発
製品のグリーン化
天然毛とナイロン製の2タイプ
分解性は天然毛のほうが優れるが、ナイロン
製に慣れている。
天然毛のほうが、約2倍コスト高
∴両者とも価格280円(企業努力)
自然と環境を思いやる方にお届けする21世
紀の新しいカタチできました。
天然素材のみを使用したキュートなスケルト
ンタイプ歯ブラシをはじめ、自然を思いやる方
にお届けするNEWシリーズ登場!
• 関連商品
携帯用ハミガキセット
無添加ハミガキなど
WWFマークの取得
アマゾンの保護鳥「オニオオハシ」のデザイン
従来
ミニ歯ブラシ・・・ホテル用に提案・開発
しかし、当時はグリーン購入を心がけるホテ
ルはまれで、需要少なかった
一方、金融機関等のノベルティーなどに利用
改良及び努力
1999「中小企業の創造的事業促進法」認定
2000「グットデザイン賞」受賞
ポリ乳酸系生プラだけでは、植毛部に亀裂が
生じる可能性
→脂肪族系性プラをブレンドすることで強度
確保
「曲がる」という強み
• 60度以上のお湯につけて柄の部分を柔らか
くして曲げることができる。
「ユニバーサルデザイン」
「バリアフリー」
10万本の出荷
• 現在
ナチュラルグループ
ナチュナルハウス
マザーズなどの自然食品店
イトーヨーカドー
イオン
ソニープラザ
東急ハンズ
チェーンドラックなど
全体の数%に限定
多額の設備投資
新たな植毛機などで5000万
パイオニアとしての苦労
ただし、性プラを利用していることでのマスコミ
からの取材等の経済的効果は計り知れない
「使命感」を強く感じる・・・。
事例2
• 東レフィッシング㈱
(http://fnet.torayfishing.co.jp/products/fieldmate/in
dex.html)
東レグループの環境戦略
• 東レグループは総合科学企業集団として、社会的な責任を
自覚し経営理念の行動指針の第一番目に「安全・防災・環境
保全を最優先課題とし・・・・環境保護に努める」と経営理念
を定め環境活動の充実に努めている。その具体的な施策と
して2000年1月に「環境3カ年計画」を策定し、中期的な課題
を明確して環境保全に取り組んでいる。
• さらに、東レグループは世界19カ国で事業展開しているが、
各国・地域の法規制を遵守することは当然のこと、グループ
全体で統一した環境管理基準を設けて一元的な管理に努め
ている。東レグループの東レFも例外ではなく、この環境理念
に沿って環境経営を実施している。
東レフィッシングの環境戦略
• 東レFの環境経営の芽生えは1990年以前で
あり、業界でもかなり早い時期から環境経営
を意識している。その牽引は最近いくつかの
誤解を生んでいるブラックバスのルアーフィッ
シング
参考:ブラックバス
• ブラックバスとはサンフィッシュ科の魚で、大
きさは成魚で40~70センチに達する。現在ま
でに6種5亜種が確認されており、これらを総
称してブラックバスと呼ぶ。日本で確認されて
いるのはラージマウスバス(ノーザン・ラージ
マウスバスとフロリダ・ラージマウスバス)とス
モールマウスバスである。
• ラージマウスバスは環境適応能力が非常に高く、本
来は淡水魚であるが河口などの汽水域でも生息が
可能である。例えば、長良川河口、日高川河口など
は汽水域での有名釣り場の1つとなっている。
• 一方、スモールマウスバスは冷水域を好むために、
西日本での生息域は一般的ではなくラージマウス
バスに比べて比較的釣り場か限られている。しかし、
渓流などにも生息することが可能なために、無差別
なゲリラ放流(密放流)などで、山女や岩魚などに与
える被害も考慮しなければならない。
• ブラックバスの輸入は1925年に実業家赤星鉄馬が
米国カリフォルニアからブラックバス(90匹)を持ち
帰り、芦ノ湖(神奈川県)へ放流したのが始まりであ
る。
• その目的は、水産・スポーツ振興などの公益目的で
あった。食用、釣り対象魚として養殖の容易な魚で
あることから政府の許可の下に行われた試み 。
• 害魚論はあったものの(石川千代松、田中茂穂ら)、
当時は水産振興のために様々な魚が、外国から持
ち込まれた“実験期”であり、生態系システムの破壊
などの問題よりも「在来有用魚への影響」という認識
しかなかった。
• ブラックバスが全ての魚を食いつくし生態系
を完全に破壊するというのは間違い(?)。
• 例えば、芦ノ湖(神奈川県)には80年以上ブ
ラックバスが生息しているが、芦ノ湖にはブ
ラックバスの他にも多くの種類の魚たちが悠
然と泳ぎゆたかな生態系が維持されている。
社団法人霞ヶ浦市民協会「第2回タナゴシン
ポジウム」(茨城県土浦市)2000年3月開催
資料などを参照。
• 魚食性が強いため、生態系への影響およびこれに
よる漁業被害が問題視されるようになり、1970年代
に無許可での放流が禁止されるようになったが、そ
の後も様々な原因により生息域を拡大。90年代初
頭には沖縄県を除く全ての都道府県で無許可での
放流が禁止されたが、オオクチバスは、北海道を除
くすべての都府県で生息が確認されている。
• 日本で合法的に放流されている自然湖は、オオクチ
バスの漁業権が認められている神奈川県の芦ノ湖、
山梨県の河口湖、山中湖、西湖の4湖のみ。また新
潟県や琵琶湖など再放流を禁止した県、湖、川など
もある。
• 環境省は、こういった事態を重く見て2005年
6月より施行された「外来生物法(特定外来生
物による生態系等に係る被害の防止に関す
る法律)」で、ブラックバスの一種である「オオ
クチバス」および「コクチバス」の輸入、飼養、
運搬、移殖を、原則として禁止することになっ
た。
• 採択のさいに環境省オオクチバス小グループ会合
において釣り関係者、魚類学者、環境省がさらにこ
の問題をオオクチバス合同調査委員会を立ち上げ
て、指定に際して生ずる諸問題について話し合いを
半年かけて進める予定であったが、小池百合子環
境大臣の「鶴の一声」によって、ブラックバスの選定
が決定的となったために、バス釣り関係者の強い反
発を招いた。これに関しては、形式上は専門家会合
の話 し合いの結論であり、また6ヶ月延長される予
定だった指定が前倒しされただけのものであるので、
誤解を解く必要がある、との指摘がある。
経済魚としてのバス
• バス料理愛好家などからは、揚げ物(フラ
イ)・焼き物(ソテー)・煮物・ムニエル等が推
奨されている。また琵琶湖近辺には、特産の
鮒寿司と同様ななれずしを作り、ビワスズキ
という名称で試験的に販売しているところもあ
る。ただ淡水魚の常として寄生虫の問題が在
るため、生(刺身など)で食べることには向か
ない。
• 河口湖や山中湖などブラックバスを漁業指定
対象魚とし、入漁料徴収の対象としている湖
もある。これらの湖をはじめ、全国にはブラッ
クバスフィッシングの愛 好家を対象とするビ
ジネスを展開する多数の事業者(貸しボート
業、売店、飲食施設、宿泊施設等)があり、地
域経済の中心にこの魚を置いているところも
少な くない。
• また、ブラックバス愛好家は日本釣振興会に
よれば300万人に上るといわれており、少なく
とも最も愛好家の多い釣りであると見て間違
いないだろ う。これは、ブラックバスが釣魚と
しては優秀であるからだ。
釣りブームの変遷
1970年代「第一次ルアーフィッシングブーム」
余暇、趣味の普及、「古臭い釣り」から「フィッシング」へ
1980年代「第二次ルアーフィッシングブーム」
賞金獲得型バスプロトーナメント(山梨県河口湖)開始、1985
年
1990年代「第三次ルアーフィッシングブーム」
芸能界や放送・出版などのスコミ、ゲーム業界がこぞってバス
釣りを取り上げた。河口湖で開催された「バスの祭典」には1
日あたり2万人以上のファンが押しかけ話題になった。また、
日本最大のバス釣り場であった琵琶湖(滋賀県)には多くの
人が連日連夜お祭り騒ぎ
釣りの環境問題
自然生態系の破壊ではなくて、生物多様性の損失
バサーの中に、将来そこを釣り場とすることを目的
として、条例を無視し故意にバスを放流するいわゆ
る「ゲリラ放流」を行う犯罪者がいる(いた)とされ、こ
のことがブラックバス(オオクチバス、オオクチバス
の亜種フロリダバス、コクチバス)の全国的拡散の
原因の1つであるといわれる。
生態系への影響を考慮しない行動であり、明らかな
違法行為であり、またキャッチアンドリリースの精神
に反する反倫理的なものであるとの主張がある
釣り場及びその周辺環境への影響
釣り場周辺におけるゴミの残留
ブラックバス特有の問題としては、ブラックバスが比
較的小規模な農業用 の溜池(いわゆる「野池」)に
放流されているころから生じる問題がある。野池を
釣り場とするバサーが農業用道路に車を駐車する
ため通行の妨げとなり、また エンジン音による騒音
が周囲の静穏を害することがあるのである。このた
め、野池を釣り禁止とし、また騒音対策のために漁
業権を設定する例などが現れており、釣り場は減少
傾向にある。
NPO法人日本釣り環境保全連盟
• JEF(Japan Ecology Fishing Federation)
美しい日本の自然、この素晴らしい自然環境を守り
育てていくことが大切です。
しかし、ここ数年釣りに伴う釣り糸・ルアー・ワーム
及びビンカン等のゴミにより、環境を著しく損なって
おり、早急により適切な対応が求められております。
そこで、釣り場(湖沼・河川・海岸)の環境を保全す
るための事業を行い、社会への貢献につながる活
動を実施するために、『NPO法人 日本釣り環境保
全連盟』は、平成13年に設立されました。
• 美しい日本の自然、この
素晴らしい自然環境を守
り育てていくことが大切
です。
しかし、ここ数年釣りに伴
う釣り糸・ルアー・ワーム
及びビンカン等のゴミに
より、環境を著しく損なっ
ており、早急により適切
な対応が求められており
ます。
• 陸上から見るとゴミもなくきれいな湖面
も、ダイバーによって釣り場の湖底調
査をすると、あまりのワーム・釣り糸の
多さに驚きます。
ワームは水中で水分を吸ったため、使
用していた時よりもかなり大きくなって
います。
エコタックルの必要性について
近年環境問題等が世間でも大いに取り上げら
れるようになってまいりました。釣りの世界も
趣味の世界とはいえ環境破壊などの問題も
大いに関係があり、自然への負荷の少ない
タックルつまり環境にやさしい釣具を普及して
いくことで、環境への配慮をしていくことになり
ます。
環境にやさしい釣具とは
ルアーでは、燃焼時のダイオキシン類の発生
や、可塑剤に含まれる環境ホルモン問題、シ
ンカーやルアーに使用されることが多い鉛の
害などの様々な問題をクリアーして、今まで
以上に環境を配慮して作り出された商品です。
例えば、生分解性プラスティックを使用したル
アーやタングステンを使用したシンカーなど
が該当します。
エコタックル認定商品とは
メーカーおよびマスコミが環境にやさしい釣具
の普及および開発を行うことを目的とした「エ
コタックル普及協議会」の参加企業から発売
されたFecoシールの貼られている商品をエコ
タックル認定商品とします。
同じ会社から発売されている商品でも、Feco
シールが貼られていない商品はエコタックル
認定商品とはみなしません。
エコタックル認定について
• 商品サンプルを公的検査機関に分析依頼し、
結果を元に専門家による環境にやさしい商品
としての可否を認定をします。
プラスチックの流れ
企業等
リサイクル
産業廃棄物
樹脂メーカー
総廃棄物
一般廃棄物
家庭等
埋め立て
リサイクル不経済
焼却
有毒ガス発生抑制
環境内拡散
回収困難
釣具
東レフィッシングの概要
•
•
•
•
•
•
東レ(72%)、東レ・モノフィラメント(10%)が出資
1990年12月設立
代表取締役:深井慎也(2002年6月より)
東レグループ各社に製造依頼
釣り糸及びアパレルなどの釣り具関連商品の販売
事業概況:得意先との結び付き強固で営業基盤は
しっかりしているが、一頃のブームは去り市場は成
熟化している(東京商工リサーチ企業情報)
生分解性プラスチックの特徴
http://www.bpsweb.net/
1.自然界の微生物によって、最終的には水と二酸化
炭素に分解される。
2.生ごみから有機肥料(たい肥)を造る装置(コンポス
ト化装置)の中に投入した場合は、早く分解します。
なお、有機肥料(たい肥)の質には影響を与えない。
3.焼却した場合にも、熱量が低いため焼却炉を傷つけ
ることがなく、クリーンで大気を汚さない。
生分解性プラスチックの種類
http://www.bpsweb.net/
■ 微生物系
バイオポリエステル(PHB/Vなど)
バクテリアセルロース
■ 化学合成系
脂肪族ポリエステル(ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、
ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸など)
ポリビニルアルコール
■ 天然物系
キトサン/セルロース
澱粉、酢酸セルロースなど
■ 複合物
澱粉/脂肪族ポリエステル、澱粉/ポリビニルアルコール
上記のブレンドやラミネートなど
生分解性プラスチックを利用した製品
• 生分解性釣り糸「フィールドメイト」
1996年3月発売開始
• 生分解性樹脂「トレビオマー」
2001年10月開発成功
• 生分解性擬似餌「Green Stage」
2002年4月販売開始
• これら製品の最大の特徴は生分解性プラス
チックを使用しているために、自然界に存在
する微生物の働きによって最終的には二酸
化炭素と水に分解される点にある。
生分解性プラを利用した釣り糸
• 生分解性プラスチックが持つ特徴と釣り糸に要求される性質
は相反するものであり研究開発は困難を極めた。しかし、10
年の時を経て東レグループ各社が持つさまざまな製糸技術
を駆使して強度、耐久性などの諸性能を釣り糸としての水準
にまで高めることに成功し、1996年3月に生分解性釣り糸
「フィールドメイト」の販売を開始した[i]。
•
[i] 「フィールドメイト」の開発に際して、東レFは関連分野のも
のを含めて3件の特許を取得している。「フィールドメイト」は
ポリブチレンサクシネート系ポリマー「ビオレーノ」(昭和高分
子)を原料とする生分解性の釣り糸で生分解速度と耐久性
の両立を図っている。詳細は特許庁「特許流通支援チャート
一覧/化学5/生分解性ポリエステル」161-164頁参照。
• こうした背景のもとで希望小売価格1,500円
(通常の価格よりも3割ほど高い)の「フィール
ドメイト」は初年度10万個、小売ベースで1億
5千万円の販売計画が立てられた。
生分解性釣り糸「フィールドメイト」
• 生分解性プラスチックと釣り糸に要求される性質は
相反した。しかし、東レグループの持つ製糸技術を
駆使10年の歳月をかけて開発に成功
• 最終的には二酸化炭素と水に分解される
• アウトドア志向の高まりを受けて、釣り人口は2,000
万人に達した
• 魚を捕獲することから「自然を楽しむ」へ変化
生分解性釣り糸の性能
• 10年の開発期間を経て、強度、耐久性などの諸性能を釣り
糸としての水準まで高めることに成功した(東レ)
• ナイロン比強度70%、伸度は大きい
• 飛距離が出ない、太い、感度が悪い、クセがつきやすい(ア
ンケート結果)
• 風合い、強度、質感などは既存の疑似餌に比べ遜色無し
• 強烈な臭い・味があるために、魚が違和感を感じにくい
• 抜群に釣れる!
フィールドメイト
希望小売価格1,500円(3割程度高い)
初年度10万個
1億5千万円(小売ベース)の販売計画
環境意識は
低い(東レ)
生分解性プラスチック
の認知度が低い(東レ)
• 約9割が返品(東レの経済状態を圧迫?)
• フィールドメイト大会」で使用
• JB&NBC 2003 エコタックルトーナメント
• しかし、釣り人や釣り業界の環境意識、言い
換えれば生分解性プラスチックの認知度は依
然低いものであり、大半が返品となった。
• 小売店で見ることは少ないが、同製品の販売
を開始した1996年から毎年8月に東レFが
「自然に優しく」というコンセプトのもとで開催
している「フィールドメイト大会」で手にするこ
とができる。
• 2002年8月にも第7回目の大会を開き、生分
解性釣り糸のすばらしさを訴えた。また、第7
回大会からは生分解性プラスチックを利用し
た擬似餌の使用も競技基準のなかに取り入
れた。
• 東レFは上述した「フィールドメイト大会」を中心とし
た生分解性釣り糸の普及活動と並行して、生分解
性擬似餌の研究開発を続けてきた。
• フィールドスタッフによる実釣テスト、河口湖漁業協
同組合の協力による分解テストなど、度重なる現場
テストを繰り返した。
• 6年に及ぶ様々な試行錯誤、挫折を経て、また
「フィールドメイト」の研究開発の経験を活かし、
2001年10月に擬似餌専用生分解性樹脂「トレビオ
マー」を完成させた。
生分解性樹脂「トレビオマー」
生分解性擬似餌「Green Stage」
• フィールドスタッフによる実釣テスト、河口湖
漁協協同組合の協力による分解テスト
• 6年に及び様々な試行錯誤、挫折を経て、東
レグループに蓄積された技術を集約
• 最終的には二酸化炭素と水に分解される
トレビオマー
Green Stage
• 希望小売価格800円(3割程度高い)
• 初回製造4,000セット
• 3ヶ月で万セット(小売ベースで2,400万円
の実績)
• 同業他社への樹脂提供
樹脂及び擬似餌の性能
• 風合い、強度、質感などは既存の疑似餌
に比べ遜色無し
• 強烈な臭い・味があるために、魚が違和感
を感じにくい
• 抜群に釣れる!
• 大手疑似餌メーカーが来日するほど
生分解性プラを利用した疑似餌用樹
脂と疑似餌
• 汎用プラスチック素材は湖底に半永久的に残
り環境を悪化させてしまうため、釣り場では釣
り糸と同様、根掛かりによって蓄積されたプラ
スチックを利用した擬似餌が問題になる。
• この擬似餌は製造方法、成型機、成型法に
至るまで従来のものとはまったく異なる。その
ため試作レベルのコストは比較にならないほ
ど高いものになった。しかし、風合い、強度、
ソフトさなどの質感は従来の擬似餌に比べ遜
色ないレベルに仕上がっている[i]。
• [i] 著者も実際に手に取ってみたが、従来の
擬似餌とまったく判別できないと感じた。
• 従来の疑似餌にはない強烈な匂い・味がす
るので、魚が違和感を覚えて擬似餌を吐き出
すまでの時間が非常に長く、魚がよく釣れる
という。これは生分解性樹脂の疑似餌だけが
持つ特徴である。この性質に興味を持ち大手
擬似餌メーカーの研究員が調査のためわざ
わざ来日してくるほどであるという。
• 「トレビオマー」は擬似餌用の樹脂であり、東
レFで独占するのではなく製品として広くさま
ざまな釣り具製造企業に供給している[ii]。
• [ii] 釣り具販売のティムコは「トレビオマー」を
使った擬似餌を、2002年6月下旬に販売を開
始した。
• これは環境の保全と樹脂価格のコストダウン
を狙ったものである。この樹脂を使った擬似
餌の普及に伴い規模の経済が働き、前述し
たように価格の低下がもたらされる
• この樹脂の製造に成功した後、東レFは地球
にやさしい生分解擬似餌「Green Stage」の
販売を2002年4月末に開始した。希望小売価
格1セット(5匹入り)800円(通常の価格よりも
3割ほど高い)の「Green Stage」は初回製造
を4,000セットとした。
• 消費者の反応も非常に良かったため急遽製
造量を増やした。
生分解性釣り糸「フィールドメイト」
フィールドメイトの特長
• ナイロンにくらべ、伸びがありますのでご使用
の際は、用途に合わせてご利用ください。
• ライン強度は、ナイロンの約75%程度ですか
ら強度表示をご確認のうえご使用ください。
• 弾力性のあるラインですから、根がかり時な
どのハネかえりにご注意ください。
• バクテリアの付着により分解が促進しますの
で、ご使用後の水洗いをおすすめします。
• この製品は実釣に耐えられるように分解速度
の緩やかな本質分解性プラスティックを採用
しています。水中に放置された場合、やがて
ボロボロの状態に変化しますが、しばらくは
一定の形態と強度を保持していますので、く
れぐれもフィールドに残さないようにご注意く
ださい。
新時代の釣り糸フィールドメイトとは?
• 東 レは、昭和17年に日本で初めてナイロン製釣り
糸の販売を開始して以来、丈夫で使いやすい釣り
糸を豊富なラインナップで提供し、業界をサポートし
てきまし た。環境問題が深刻化していく中で、釣り
人の問題意識も高まりを見せています。しかし、故
意に破棄することはなくても、釣り糸は、糸切れや
様々な要因により流失してしまうことがあり、水鳥が
釣り糸にからまってしまうという被害も発生していま
す。そこで、東レは用具の面から環境にやさしいも
のをと考え、流失 しても自然に還元される釣り糸の
開発を手掛け、今3月から発売を開始しました。そ
れが生分解性釣り糸、"フィールドメイト"です。
自然界で分解するプラスチック(生分
解性ポリマー)を 釣り糸に応用
• "フィールドメイト"は、自然界で分解し、無害なプロセ
スをたどりながら自然に還っていくメカニズムをもつ
生分解性ポリマーを使用しています。
ポリマーとは、高分子化合物のことで、現代では高
分子の特性を利用して様々な形をなし、繊維、プラ
スチック、ゴムなどが作られています。"フィールドメ
イ ト"の場合は、ポリマーを引き伸ばして糸状にして
釣り糸に仕上げています。
では、どのように"フィールドメイト"は分解されるので
しょうか。
一次分解
フィールドメイト"に用いられている生分解性ポ
リマーは、脂肪族ポリエステルの高分子化合
物からなっています。この化合物は、水中や
地中などの自然界に 存在する微生物が持つ
加水分解酵素によって、ポリマーの高分子を
結合していた鎖(エステル結合)が切られ、低
分子量化された分解生成物となり、微生物に
取 り込まれます。
二次分解
• 取り込まれた分解生成物は、微生物内でさら
に分解され、一部(10-15%)は微生物の栄養
源などの生体物となり、大部分(85-90%)は
水と炭酸ガスとなって排出されます(図1参
照)。
• 酵 素は、動植物(あるいは細菌の菌体)の中で作り
出される触媒作用のある高分子物質です。いちば
ん身近な例は私たちの消化液の中に溶けていて消
化作用をして いる酵素でしょう。また、お酒は酵母
の中にある、チマーゼと呼ばれる酵素が糖をアル
コールと炭酸ガスとに分解する一連の酵素反応に
よって作られます。これ らは、酵素反応のほんの一
例で、生体にみられる様々な化学変化のほとんど
が酵素反応、あるいはその組み合わせによって行
われていると言われています。
高分子化合物
(性プラ釣具)
分解性成物
生体物質
加水分解性酵素
炭酸ガス
水
釣り糸としての強度を実現
• 一般的に、生分解性・生分解速度と、釣り糸
としての性能は相反する面があり、いかに両
立させるかが開発のポイントでした。
製糸工程では、糸としての強度を得るために
延伸し、形状を整えるために熱セットを行いま
す。この過程で高分子を結合する鎖はまっす
ぐに引き伸ばされ、結晶 化が進み、生分解
性のポリマーを使用しても、生分解の速度は
非常に遅くなるケースがあります。
• 東レでは、独自の製糸技術によって、適度な
生分解速度を持ち、かつ強度・耐久度などの
諸性能を、釣り糸としての水準までに高める
ことに成功しました。この技術に関しては現在
4件の特許を出願中です。
また、通常の乾燥した場所に置かれていれば、
開封前の性能低下はなく、使用後も、水洗い
し乾燥した場所に保管すれば分解の促進を
防げます。
ギネス・ブックに認定された 自然にや
さしい生分解プラスチックライン
自然を愛するすべての釣り人に
• 釣り場の水質悪化や自然破壊、地球規模の温暖化現象など
地球環境は徐々に悪化しています。東レでは、こうしたフィー
ルドの危機を救うため釣り人の一人一人 が環境保護とマ
ナーの向上を考え、それを実行していこうと言う趣旨のもとに、
生分解プラスティックライン「“フィールドメイト”」を使用した釣
り大会を7 年間開催して参りました。
• 「"フィールドメイト"」は生分解ポリマーを使用することで、自
然界に存在する微生物の体内に取り込まれ、大部分が水と
炭酸ガスとなって自然界に還元される画期的で環境にやさし
いラインです。この地球にやさしいラインがあの”ギネス”に
認められ、世界で最初の生分解ラインとして 認定されました。
今、世界がこの「"フィールドメイト"」に注目しています。
• アウトドアブームとともに、釣りも大きなブームを迎えていま
す。しかし、その一方で、釣り場の水質悪化、自然破壊、釣り
糸による水鳥の被害などが深刻な社 会問題となっているこ
とも事実です。
• 東レでは、これらの問題に対し、“釣り人のマナーで自然を守
ろう”というスローガンのもと、釣り人のマナー向上を訴 え、
当社では、1996年より「"フィールドメイト"バスフィッシング大
会」を開催してまいりました。参加者全員に「"フィールドメイト
"」を提供して生 分解ラインだけを使用しての世界初の大会
となりました。そうして、つみ重ねられた成果が、「"フィールド
メイト"」の釣り糸としての性能をより確実に向上 させてきまし
た。
• 釣り人口も確実に増加してきました。95年の延べ釣
り人口は約2000万人(余暇開発センター『レジャー
白書』)、15才未満も加えると3000万人にものぼる
と思われています。
しかし、釣り場の水質悪化、自然破壊、釣り糸によ
る水鳥の被害などが深刻な社会問題となっているこ
とも事実です。
東レでは、これらの問題に対し、「釣り人のマナーで
自然を守ろう」という スローガンのもと、釣り人のマ
ナー向上を訴え、当社が主催、協賛する釣り大会で
はゴミを拾うなどの様々な運動を推進してきました。
販売促進活動
• 1996年から毎年8月に東レFが「自然に優し
く」というコンセプトのもとで開催している
「フィールドメイト大会」で手にすることができ
る。2002年8月にも第7回目の大会を開き、
生分解性釣り糸のすばらしさを訴えた。
• また、第7回大会からは生分解性プラスチッ
クを利用した擬似餌の使用も競技基準のな
かに取り入れた。
団体等の要請
消費者ニーズ
商品価値(基本性能・環境性能)の向上
環境ブランド(社会的信用、顧客ロイヤリティー)
新製品、差別化
新技術開発
キャンペーン
釣り大会
エコタックルトーナメント