放射線障害防止法の改正に伴う広島大学西条キャンパスでの取り組み

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Transcript 放射線障害防止法の改正に伴う広島大学西条キャンパスでの取り組み

広島大学西条キャンパスにおける
下限数量以下の放射性同位元素の
使用について
自然科学研究支援開発センター
放射性同位元素研究支援分野
における基本ルール(案)
放射線障害防止法における安全規制
放射線とは?
α線・重陽子線・陽子線その他重荷電粒子線
及びβ線
中性子線
γ線及び特性X線
1MeV以上のエネルギーを有する電子線及
びX線
放射性同位元素(RI)とは?
放射線障害防止法施行令第1条1項
放射線を放出する同位元素の濃度及び数量
のいずれもが告示第1条に規程する数量及
び濃度を超えるもの
濃度
– 74Bq/gを超えるもの
– 自然界に存在する鉱物等で固体状のものの場合は
370Bq/gを超えるもの
数量
– 密封されたもの
1個当たり3.7MBqを超えるもの
– 密封されていないもの
第1群
第2群
第3群
第4群
3.7kBq
37kBq
370kBq
3.7MBq
放射性同位元素を取り扱うためには
施設の技術的要件
法令で定められた数量・濃度を越えるRIを使
用する場合には管理区域の設定が必要
貯蔵室・廃棄物保管庫・排気及び排水設備
等技術的基準の設置
日常監視(モニタリング)
法令で定められた期間ごとに汚染検査
RI使用者の管理
使用者は健康診断を1年を超えない期間ごと
に1回に受診しなくてはならない(電離放射線
障害防止規則では半年に1回)
使用者は教育訓練を1年を超えない期間ごと
に1回受講しなくてはならない
使用者の被ばく管理を行う必要がある
改正放射線障害防止法では
放射性同位元素(RI)とは?
密封・非密封の差はなく,核種に応じた数量
(下限数量という)及び濃度を超えるもの
– 密封されたもの
→全体的に厳しく
– 密封されていないもの →全体的に規制を緩和
3H(トリチウム)について
– 改正前
3.7MBq
– 改正後
1GBq
約300倍の使用が可能に
他にも14Cや35Sなど,ライフサイエンス分野
の実験で使用する主な核種については規制
緩和の方向に
改正前後の数量比較(非密封)
核種
改正前
改正後
3H
3.7MBq
1GBq
当分野での1日最大
使用数量
500MBq
14C
3.7MBq
10MBq
25MBq
32P
370kBq
100kBq
150MBq
35S
370kBq
100MBq
150MBq
改正前後の数量比較(密封)
核種
改正前
改正後
57Co
3.7MBq
1MBq
137Cs
3.7MBq
10kBq
226Ra
3.7MBq
10kBq
改正法令での主な変更点
放射線取扱主任者の定期講習の受講
定期検査の際,ソフト面の確認のための定期
確認の新設
下限数量以下のRIを管理区域外で使用する
ことが可能に(届け出た事業所内に限る)
技術的基準を満たした放射線機器について
認証機器として規制を緩和
RI廃棄物の埋設処理に関する基準(クリアラ
ンスレベル)の整備
改正放射線障害防止法における管理区域外での
下限数量以下のRI使用に必要な技術基準
文科省へ申請した実験室での使用に限る
管理区域外で使用するRIの量が下限数量以下
であることを管理担当者等が確認する必要があ
る
使用者は放射線業務従事者である必要はない
(健康診断・教育訓練・被ばく管理は不要)
排気・排水に関する技術基準は不要
固体廃棄物は管理区域に持ち込み,処分する
実験室の汚染検査は不要
下限数量以下のRIを
管理区域外で使用するには
許可事業所の範囲内である場合
– 文科省へ実験を行う施設の申請を行う
– 管理区域からRIを持ち出し,申請した実験室で
使用する
許可事業所の範囲外の場合
– 販売の業を取得した許可事業所から下限数量
以下のRIを取得する
– 事業所での総量管理を行う必要がある
下限数量以下の放射性同位元素を
管理区域外で使用する際の問題点
放射線業務従事者でない者が使用する恐
れがある
使用実験室での非放射線業務従事者への
配慮が必要
↓
全学的な基本的使用ルールの制定
使用者及び使用する実験室・使用核種等
の把握が必要
RIの流れを管理できる管理体制の構築
西条キャンパスは東広島市との協定により,
RI排水の濃度を法定濃度限度の10分の1
とする必要がある
↓
実験室からの実験排水の取り扱いが問題と
なる
↓
排水中のRI濃度を西条地区での水の使用
総量から計算し,法定濃度限度の10分の1
以下であることを証明する必要がある
自然科学研究支援開発センター
放射性同位元素研究支援分野に
おける管理区域外でのRI使用に
際しての基本ルール(案)
下限数量以下のRIを使用する者について
放射線業務従事者として登録したものでなけ
れば取り扱わせない
実験計画書を提出のうえ,主任者の承認を
得た実験のみセンター長が許可をする
↓
使用者・実験内容を事前に当分野で把握が
可能
実験の際の問題点を当分野で事前に把握が
可能
RIの購入について
各放射線施設を通じて日本アイソトープ協会
より購入する
RIの譲渡・譲受を行う際にも各RI施設を通じ
て行う
↓
管理区域外での使用の際に,当分野で確認・
管理することによりRIの散逸・紛失を防止
身元不明な線源の発生を防止
廃棄物の処理について
固体廃棄物(可燃・難燃・不燃)・無機液体は
管理区域内に持ち込み,廃棄する
有機廃液は管理区域内に持ち込み,処理す
る (管理者により焼却処分する)
洗浄水(有機・無機は問わず)は2次洗浄水ま
で回収し,管理区域内で同様に処理を行う
↓
使用するRIの流れの把握
RI廃棄物の管理が可能
使用する実験室について
実験室には下限数量以下の放射性同位元素
を使用する室であることを明示する(学内統
一の標識等を作成する必要がある)
管理区域外で下限数量以下の放射性同位元
素を取り扱う実験室には汚染検査を義務付
ける(頻度は3ヶ月に1回程度)
↓
使用実験室内の非使用者及び周囲の人間
への安全性を確保
実験内容について
東広島市との協定を考慮して,当面は実験排
水の出ないものとする
同じ実験室を他の利用者(非放射線業務従事
者)が使用することを考慮し,汚染の恐れが
少ないものとする
↓
周辺住民や大学内の人間の安全性の確保
今後の放射線施設管理について
管理区域の内外を問わず,使用者に対し遵
守事項を周知徹底することが必要
安全なRI使用が出来るように,学内のルール
及びシステムの構築が必要
非使用者に対しても放射線に関する基礎的
な事項を啓発することが必要
この発表にご協力いただきました
医歯薬学共同研究科 井出利憲先生
工学研究科 靜間清先生
自然科学研究支援開発センター 中島覚先生,
稲田晋宣先生,松嶋亮人先生
技術センター 辻村智隆技術長,北川和英技
術主任,菅慎治技術主任,寺元浩昭技術員,
笹谷晋吾技術員
及び各RI施設の主任者及び管理担当者
に深く感謝いたします。
ご静聴ありがとうございました。