当日講演資料:7MB

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Transcript 当日講演資料:7MB

1
これからの電子政府電子自治体を考える
シンポジウム
2010年5月19日
総務省地域力創造グループ
地域情報政策室長
高地圭輔
2
主な職歴
• 平成21年
自治行政局地域情報政策室長 (初の自治部局)
• 平成19年
総合通信基盤局事業政策課市場評価企画官
• 平成18年
情報通信政策研究所主任研究官
• 平成13年
コンテンツ流通促進室課長補佐
• 平成10年
外務省出向(在サンフランシスコ総領事館)
• 平成3年
旧郵政省入省 以降テレコム畑を中心に
学歴
• 平成22年
博士(経済学)
「ブロードバンドにおけるコンテンツの役割と新たな政策的対応の必要性について」
• 平成12年
Master of Public Administration(University of San Francisco,
College of Professional Studies)
• 平成3年
東京大学法学部卒
3
4
平成2 1 年度
業務の電子化は一定の進展を 見て いる が問題も 残っ て いる ! !
・オンライン利用率が低迷しており、住民の参加促進が必要⇒ 利便性の向上
・ベンダーへの丸投げや縦割り整備の非効率が残存
⇒ コスト※の圧縮
・事故前提社会という認識に基づく対策が必要
⇒ 情報セキュリティの確保
都道府県
市町村
庁内L A N の構築率
100%
9 9 .6 %
一人一台パソ コ ン 整備
100%
9 1 .3 %
県民税・ 市区町村税(個人)
9 1 .5 %
9 8 .6 %
―
9 1 .9 %
住民基本台帳業務
※ 平成20年度地方自治体における行政情報化推進経費4,042億円(総務省21年4月調べ)
I.利便性の向上
II.コストの圧縮
III.情報セキュリティの確保
1 . オンラ イン利用促進
3 . 標準化・共同化の推進
4 . 情報セキュリティ
・電子自治体オンライン利用促進指針に
基づき取り組みを推進
(1)縦割り整備の非効率解消
・標準仕様に基づくシステムの導入や複数
の団体によるシステムの共同利用を促進
・「自治体クラ ウド」の推進により、システム
の集約と共同利用を通じ、地方公共団体
におけるシステム関連負担の軽減を実現
・個人情報漏えい防止対策の一層の充実
や、情報セキュリティポリシーに基づ
3 情報セキュ リ テ ィ
く対策の実効性を確保するための各種
・地方公共団体の個人
対策、ICT部門の業務継続性を推進
情報保護対策の一層の
【具体的方策】充実や、情報セキュリティ
ポリシーに基づく対策の
・外部委託時の留意事項の策定と普及促進
実効性を確保するため、
・情報資産リスク分析手引書の策定と普及
各種情報セキュリティ
促進
対策を推進
・高齢者や中小事業者などネットに不慣れ
な地域住民等を対象とした講習事業である
「オンライン申請サポート事業」を推進
2 . 認証基盤の整備
・住民基本台帳ネットワークシステムの
普及拡大
・公的個人認証サービスの普及拡大
(2)民間サービスの利用拡大
・システムを自ら保有する必要が無いASP・
SaaS※の活用により効率的に電子自治体
を構築
・BCP※ガイドラインの策定と普及促進
・地方公共団体向けにASP・SaaS活用の
ためのガイドラインを策定し、参入を促進
期待さ れる効果
0
※ ASP: Application Service Provider
SaaS: Software as a Service
BCP: Business Continuity Plan
(業務継続計画)
地域を元気にする便利な行政サービスの提供、無駄のない電子自治体の実現
5
・地方公共団体の行政手続のうち、「オンライン利用促進対象手続」として主に住民向けの10手続と
主に事業者向けの11手続の合計21手続が定められている。
・政府は「2010年度までに利用促進対象手続のオンライン利用率を50%以上とする」ことを目標として
いるが、2008年度実績は27.6%である。
分類
手続
分類
手続
主に住民向けの
手続
図書館の図書貸出予約等
主に事業者向
けの手続
地方税申告手続(eLTAX)
文化・スポーツ施設等の利用予約
粗大ごみ収集の申込
道路占用許可申請等
水道使用開始届等
入札
研修・講習・各種イベント等の申込
産業廃棄物の処理、運搬の実績報告
浄化槽使用開始報告等
感染症調査報告
自動車税住所変更届
港湾関係手続
職員採用試験申込
食品営業関係の届出
犬の登録申請、死亡届
特定化学物質取扱量届出
公文書開示請求
後援名義の申請
オンライン利用率の推移(利用促進対象手続)
2005年度
(平成17年度)
11.3%
入札参加資格審査申請等
2006年度
(平成18年度)
17.5%
2007年度
(平成19年度)
23.8%
暴力団員による不当な行為の防止等に関する責任者
の選任届
2008年度
(平成20年度)
27.6%
6
1111
第第第第
第第
第第第第第第第第
第第第第第第第第
自治体のオンライン化率:低
オンライン利用率:高
第第第第
第第
第第第第第第第
第第第第第第第第第第第
第第第第第
1000第 第 第 第
12
この2つだけで
全体の80%以上
1
14
第第第第第第第第
第第第第第第第
第第第第第
100第 第 第 第
1000第 第 第 第
第第第第第
10第 第 第 第
100第 第 第 第
第第第第第
10第 第 第 第
第第第第第第第第第
第第第第第第第
1
手続
第第第第
11
第第第第
17
第第
第第第第第第第
第第第第
11
自治体のオンライン化率:低
オンライン利用率:低
主に住民向け手続
1111
11
自治体のオンライン化率:高
オンライン利用率:低
5
3
11
6
10
11
16
1
1
15
11
18
9
11
主に事業者向け手続
8
1. 図書館図書貸出予約等
2. 文化・スポーツ施設等の利用予約
3. 粗大ゴミ収集の申込
4. 水道使用開始届等
5. 研修・講習・各種イベント等の申込
6. 浄化槽使用開始報告等
7. 自動車税住所変更届
8. 職員採用試験申込
9. 犬の登録申請、死亡届
10.公文書開示請求
11.地方税申告手続(eLTAX)
12.入札参加資格審査申請等
13.道路占用許可申請等
14.入札
15.産業廃棄物の処理、運搬の実績報告
16.感染症調査報告
17.港湾関係手続
18.食品営業関係の届出
19.特定化学物質取扱量届出
20.後援名義の申請
21.暴力団員による不当な行為の
防止等に関する責任者の選任届
7

開催期間、開催対象

実施規模

総括
◦ 平成22年2月1日~3月15日まで、e-Tax, e-Govを対象として開催
◦ 全国809教室で開催し、参加を得た延べ約28000名のうち、8割程度が電子証明書を新
規取得
◦ 参加者からはおおむね好評であった
◦ 年齢とICTリテラシーは反比例する傾向が明確
質問8 受講して良かったですか。
質問9 パソコン実習をしてみて操作はどうでしたか。
0.0%
0%
0.0%
N=83
2.4%
合計(N=15,015)
①とても良かった
②良かった
34.9%
62.7%
③やや不満
④とても不満
無回答
20%
6.7
40%
36.8
②30歳~39歳(n=1,793)
11.5
③40歳~49歳(n=2,193)
7.8
5.2
⑥70歳~79歳(n=1,994)
4.9
5.4
34.7
38.6
7.0
45.3
27.9
②簡単だった
4.4
29.2
50.4
⑦80歳~(n=245) 2.4 13.9
①かなり簡単だった
27.1
53.8
18.4
100%
12.7
54.4
④50歳~59歳(n=2,894) 4.1
⑤60歳~69歳(n=4,752)
80%
43.6
14.1
①~29歳(n=1,136)
60%
50.6
55.5
56.7
③難しかった
12.0
16.3
21.2
26.9
④かなり難しかった
0.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
無回答
8


目標
◦
2020 年までに国民が、自宅やオフィス等の行政窓口以外の場所において、国民生活に密接に関係する主要な申請手続や証明書入手を、必要に応じ、
週7日24時間、ワンストップで行えるようにする。この一環として、2013年までに、コンビニエンスストア、行政機関、郵便局等に設置された行政キオスク端
末を通して、国民の50%以上が、サービスを利用することを可能とする。
◦
2013 年までに政府において、また、2020年までに50%以上の地方自治体において、国民が行政を監視し、自己に関する情報をコントロールできる公平
で利便性が高い電子行政を、無駄を省き効率的に実現することにより、国民が、行政の見える化や行政刷新を実感できるようにする。
◦
2013年までに、個人情報の保護に配慮した上で、2次利用可能な形で行政情報を公開し、原則としてすべてインターネットで容易に入手することを可能に
し、国民がオープンガバメントを実感できるようにする。
重点施策
1.情報通信技術を活用した行政刷新と見える化
◦
行政サービスの中で、利用頻度が高く、週7日24時間入手できることによる国民の便益が高いサービス(例:住民票、印鑑証明、戸籍謄抄本等の各種証
明書の入手等)を特定し、それらをオンライン又は民間との連携も含めてオフライン(例:行政キオスク端末)で利用できるようにする。
◦
社会保障の安心を高め、税と一体的に運用すべく、電子行政の共通基盤として、官民サービスに汎用可能ないわゆる国民ID制度の整備を行うとともに、
自己に関する情報の活用については、政府及び自治体において、本人が監視・コントロールできる制度及びシステムを整備する。
◦
電子行政推進の実質的な権能を有する司令塔として政府CIOを設置し、行政刷新と連携して行政の効率化を推進する。その前提として、これまでの政府
による情報通信技術投資の費用対効果を総括し、教訓を整理する。その教訓にもとづき、上記施策を含め、電子行政の推進に際しては、費用対効果が
高い領域について集中的に業務の見直し(行政刷新)を行った上で、共通の情報通信技術基盤の整備を行う。クラウドコンピューティング等の活用や企業
コードの連携等についても、その一環として行う。
2.オープンガバメント等の確立
◦
行政が保有する情報を2次利用可能な形で公開して、原則としてすべてインターネットで容易に入手できるようにするなど、行政が保有する情報の公開を
積極的に推進する。
◦
行政が保有する統計・調査などの情報について、回答者の個人情報を保護する観点から、個人が特定できない形に情報の集約化・匿名化を行い、それ
らを原則としてすべて2次利用可能な形でインターネットで容易に入手し、活用できるようにすることにより、新事業の創出を促進する。
9
10

生産性向上
◦ IDを相互利用することで、国や民間等が把握しているデータとの連係に投入し
ている手作業を省略し、本来業務へ資源を投入できる
自治体内部には二重付番等の問題はなく、システム間のデータ連係方式の標準化も
進展している(地域情報プラットフォーム)
外部の多様なID体系との連携が課題

利便性向上
◦ 国民IDを使う住民は、窓口を何カ所も回る必要がなくなる
庁舎内でのデータマネジメントの在り方を整理することが必要(個人情報の収集・利用
とそのオーソライズのプロセスについての整理)

サービス創出
◦ 国民IDを介して防災・健康などの分野で新たな住民サービスが提供されること
が期待される
IDの利活用と個人情報保護を両立する仕組み(第三者機関の創設)についての整理
が必要となる
新潟県柏崎市の被災者支援システムの事例
柏崎市は、2007年7月の中越地震の際、住民基本台帳の情報をもとに被災者状況をいち早く把握、整理。
被災証明を速やかに発行することで被災者の支援活動、補助、支援金等の支給に迅速に対応。
被災者台帳を作成することによって、支援制度の申請/受給に関する「抜け・漏れ・落ち」を防止。
被災者の個人情報を包括的に把握しておくことにより、長期的な視野にたった生活再建支援を実現。
<被災者支援システム>
※台帳間で個人情報の相互リンクを確保 ⇒総合的な被災者支援を実現
<被災者台帳:被災者に関する各種台帳を作成>
り災証明発行台帳
仮設住宅管理台帳
基本
情報
生活再建相談台帳
更新
情報
基本
情報
更新
情報
・住宅応急修理台帳
・住まいの再建にかかわる調査台帳
・生活再建支援台帳 など
……
←←← り災番号(世帯単位で割振り) →→→
<平常時台帳:被災者台帳を作成するための基本的な情報を提供>
住民基本台帳
課税台帳
○住民基本台帳: 被災者の居住に関する情報を提供
○固定資産税課税台帳: 家屋の所有に関する情報を提供
○市・県民税課税台帳: 世帯の所得状況に関する情報を提供
……
←←← 個人番号(個人単位で割振り)→→
(出典)2008.7.26 山崎他 「被災者台帳システム構築に関する政策法務上の課題」をもとに作成
-11-
12


IDはデータ連係を円滑に行うことを容易にするのではないか
自治体の規模・実情を踏まえたサービス提供体制を形成することが必要
ではないか
◦ 卸売・小売のような関係に立ち、自治体が得意領域に特化しつつ利便性の高いサー
ビスを連携して提供することも一案

このような形でのサービス提供にメリットはあるか
◦ 新サービス提供による増収、住民の満足度向上、連携先からの収益、共同化等によ
る経費節減 等
システム共同化に
よって費用軽減が
可能な範囲
民間
連携
自治体(又は事務組合)
自治体
オンラインサービス提供
必要に応じて実サービス等を組み合わせ
13
14

自治体業務は共通性が高いが・・・電子自治体の観点からは、マーケッ
トは概ね2レイヤーに分かれている
◦ こうした自治体側の多様性に関しては、あまりICT関係者の理解が無い

概ねの傾向として、大規模層は財政力があり、独自&高度化路線であ
る一方、小規模層は財政力、人材等の面で、単独での対応が苦しい

国及び都道府県は、市場競争において、小規模層の団体を積極的に支
援する役割を分担すべき
大規模層(政令市や概ね30万以上の規模の都市)
小規模層(大半の市町村)
国・都道府県
人口規模
合計市町村数
対 総人口比(%)
~3万
~5万
~10万
987
1,248
1,527
9.7%
18%
34%
* 21年3月31日現在
15
ホストコンピュータ
の稼働状況
業務システムの稼働状況
●●●●
導入時期
▲▲▲▲
導入時期
★★★★
導入時期
A市
X社
X社
1985年
X社
1985年
X社
1989年
B市
X社
X社
NA
X社
1986年
Y社
2001年
C市
X社
X社
NA
X社
1986年
X社
1989年
D市
Y社
Y社
1988年
Y社
1988年
Y社
1993年
E市
X社
X社
1986年
X社
1986年
その他
2001年
F市
Z社
Z社
1991年
Z社
1991年
Z社
1991年
G市
Y社
Y社
1990年
Y社
1990年
Y社
NA
H市
X社
X社
1993年
その他
1993年
その他
1993年
J市
Y社
Y社
1999年
Y社
1999年
Y社
1999年
k市
Z社
Z社
1992年
Z社
1992年
Z社
1992年
L市
X社
X社
1996年
その他
1996年
その他
1996年
M市
Z社
Z社
1987年
Z社
1987年
その他
1995年
N市
Y社
Y社
1990年
Y社
1990年
Y社
1994年
a町
Z社
Z社
2006年
Z社
2006年
Z社
2006年
b町
Y社
Y社
1991年
Y社
1992年
Y社
1995年
c町
Y社
Y社
2006年
Y社
2006年
Y社
1993年
d村
X社
X社
NA
X社
1990年
X社
1996年
e村
Z社
Z社
1995年
Z社
1995年
Z社
1995年
(出典:某都道府県の実例を基に作成)
16

SCP(Structure⇒Conduct⇒Performance)
◦ 好循環例:競争的な市場構造⇒イノベーションを促進⇒より良い電子自治体
の実現

市場構造
◦ 情報の非対称性、寡占
 背景にベンダの専門性VS職員の異動サイクル

企業行動
◦ 囲い込み(ベンダーロックイン)
 「従来と同じベンダーでシステム刷新すれば2,500万円、他のベンダーに乗り換える
ならデータ移行料に1億円かかると言われた」(※)

市場成果
◦ 非効率な取引、行政内部の効率化の余地も大きい
 住民利便向上にまで目を向ける余裕がある自治体はごく一部の大規模な自治体
のみ
※出典:日経BP ガバメントテクノロジー2009年秋号から、戸籍システムの事例
17

調達形態や技術を自由に選ぶことができる利用者本位の市場
◦ 利用者は賢くならなければならない

優れたサービスを誠実に提供する事業者が活躍する市場
◦ 企業行動は、現在の市場構造の結果であり、原因ではない
自己開発
クラウド
ASP/SaaS
買い取り
リース
18
自治体の支援方策(例)

ASP/SaaS、クラウド導入の成功例のノウハウ共有
◦ セキュリティの確保・・・分散保存の安全性を認識しつつ必要な措置を講じる
◦ 円滑なデータ移行の確保・・・調達条件の見直し、データの標準化、外字の統一等
◦ 費用負担の原則確立 等

業務の標準化(Business Process Reengineering)
◦ パッケージソフトウェアの利用が可能となる

自治体クラウド、ASP/SaaS活用推進、LGWAN-ASP、光BB活用検討、
地域情報PF、各省施策・・・等を通じて推進
市場競争による効率化と持続的なイノベーション
を目指すコンセンサスを作る
19

大体以下のようなイメージ
ASP/SaaS
リソースのNW
経由での利用
共同化
集約化
リソースの共同
利用
自治体
クラウド
リソースのNW経由
での共同利用
ASP・SaaSの活用事例
20
■ASP・SaaSは従来型のシステム構築と比べてコストメリットがあるが、レディメイド型のASP・SaaSを複数の市区町
村で共同利用することにより、さらに大きな「割勘効果」を享受することが可能となる。
導
入
前
導
入
後
A県における活用事例
(電子申請)
B県における活用事例
(電子入札)
システムの態様
電子申請業務の処理のためのASPをA県
専用のオーダーメイドで調達し、県庁および
39市町村で共同利用。
電子入札、入札参加資格申請、業務進行
管理等を処理する電子調達システムを県庁
と29市町村共同の2系列で運用。
保守料金など
2億円/年
(県庁が30%を負担)
県
1.8億円/年
市町村 1億円/年
(※開発費を含む)
ASP・SaaSの概要
X社の汎用のASPをそのまま共同利用。
県及び39市町村の共同利用を前提とした
SaaSを導入。
利用料金など
4,500万円/年
(県庁が3分の1を負担)
サービス利用料として、
県
7,800万円/年
市町村計 9,500万円/年
21
 山形県置賜(おきたま)地域
山形県の南部に位置し、出羽丘陵をはさんで東は東南置賜(米沢市、南陽市、高畠町、川西町)、西
は西置賜(長井市、小国町、白鷹町、飯豊町)の3市5町からなっている。
昭和46年に置賜広域行政事務組合が設立され、同組合で全団体向けに電算業務の共同処理を開始
(民間委託)。その後、独自処理への移行が進み、共同処理は一部の市町のみ。同組合では、「共同アウト
ソーシング」がクローズアップされていることを受け、システム経費の削減を図りたい市町とともに今後の新たな
共同での電算処理のあり方を模索していた。
人口(人)
米沢市
90,990
長井市
29,959
南陽市
34,405
高畠町
25,553
川西町
17,844
小国町
9,240
白鷹町
15,670
飯豊町
8,216
合計
231,877
(H20.10.1現在)
(出典)平成21年10月21日「山形県置賜地域(7市町)における共同アウトソーシング」(山形県情報企画課作成)をもとに作成
22

運用経費は参加団体全体で年間約40%削減(△2億円/年)
(単位:百万円)
A市
B市
C市
D町
E町
F町
G町
合計
発注後年間経費
8.2
60.5
67.0
51.9
41.5
45.2
31.2
305.5
18年度経費
7.5
129.7
約110
約86
約55
約75
約41
504.2
削減率(%)
-
△53.3
△39.1
△39.7
△24.5
△39.7
△23.9
△39.4
※ 経費の内訳はシステム移行、構築、研修、保守費用に係るすべての経費を利用年数で
割り返したもの。
※ A市の発注後年間経費には、今後導入予定のシステムが含まれている。
(出典)平成21年10月21日「山形県置賜地域(7市町)における共同アウトソーシング」(山形県情報企画課作成)をもとに作成
23
1.地方公共団体の情報システムの現状
・大手ベンダへの過度の依存などにより、情報システム関連費用の高止まりが継続。
・業務毎にシステムを構築してきたことによる情報システムの非効率が存在。
・財政状況が逼迫する地方公共団体における行政サービスの維持が課題。
2.自治体クラウド開発実証事業
・ASP/SaaS、クラウドコンピューティング、仮想化技術など、近年の技術開発の成果を
電子自治体の基盤構築に活用(平成21年度補正予算により取組みを開始)。
・全国3か所にデータセンターを整備し、6道府県66市町村が開発実証を実施。
(北海道、京都府、佐賀県がデータセンターを整備、大分、宮崎、徳島の各県は佐賀県のデータセンターを共同利用)
・データセンターに業務システムを集約し、システムの共同利用を通じて住民データの連携などを実証。
・データセンター間で相互のバックアップを実証し、災害発生時等の業務継続に寄与。
3.期待される効果と今後の展開
・システムの集約と共同利用による「割勘効果」による負担軽減(※30~40%程度を見込んでいるところ)。
・自治体クラウドの全国的な展開に向けた標準仕様の策定、更新を実施。
・技術的な仕様に加え、情報システムの共同利用のための業務プロセスの標準化(BPR)に配意。
24
データセンター整備
県域データ センタ ー
・北海道、京都府、佐賀県
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
データ
ベース
自治体クラ ウド基盤
LGWAN
A市
業
務
シ
ス
テ
ム
B市
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
D市
業
務
シ
ス
テ
ム
C町
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
E町
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
LGWAN
F村
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
業
務
シ
ス
テ
ム
開発実証のポイント!!
・LGWAN上にデータセンター
を配置(全国3か所)し、
業務システムを集約。
・市町村はデータセンタの
業務システムを共同利用。
(全国で6道府県66市町村)
データセンター共同利用
・大分県、宮崎県、徳島県
(佐賀県のデータセンターを共同利用)
25
自治体クラウドにおける情報システムの共同利用
・自治体クラウドの開発実証においては、従来市町村ごとに構築・運用してきた情報システムを集約し、
共同利用を行うため、業務の処理方法も共通化することが必要となる。
・各参加団体とも、業務の処理方法の共通化のための調整を行う協議会等の場を設け、情報システムの
共同利用に向けた業務改革を推進。
・今回の開発実証で計画されている主な業務改革は以下のとおり。
参加団体
※( )内は参加市町村数
★印はデータセンター整備を実施
共同利用を行う情報システム
北海道★(18)
・公会計、人事給与、公有財産管理、ふるさと納税、電子申請のシステムを
共同利用。
京都府★(25)
・住民情報 (注1)、税、国保、福祉 (注2)のシステムを共同利用。
佐賀県★(6)
・住民情報、税、国保・年金のシステムを共同利用
大分県(5)
宮崎県(5)
・住民情報、税、国保、福祉、財務会計、人事給与、文書管理の各システム
を共同利用。【大分県/宮崎県が共同で実施】
徳島県(7)
・京都府のデータセンターに構築されている文書管理システムを県内市町村
で共同利用。
※ 大分県、宮崎県、徳島県の3団体は、佐賀県のデータセンターの共同利用するほか、自らデータセンターを調達して
これらの取組を実施。
(注1): 住民基本台帳、印鑑証明、外国人登録、宛名管理、選挙等が該当
(注2): 介護保険、後期高齢者医療、児童手当、母子医療、保育等が該当
○ 原口ビジョンⅡにおいては、自治体におけるクラウド普及施策は次の通り整理されている。
(原口ビジョンⅡより)
自治体ク ラ ウド
・2020年までの成果目標
・自治体クラウドの推進のための協定を地方三団体等と速やかに締結する等、地方公共団体の情報システムの集約と
共同利用を推進し、住民等の利便性向上を実現。
・業務改革を通じて、2015年までに情報システム等への経費の30%程度(1,200億円/年)以上の経費を削減し、地域
の「自給力」と「創富力」を高める取組やより効率的な電子自治体の基盤構築への再投資等を通じて地域主権型社
会を構築(3,300億円程度の経済波及効果)。
(参考)費用削減を通じた経済波及効果:1,600億円強 クラウド化投資による経済波及効果:1,600億円強
・総務省における取組
自治体クラウドの全国的な展開のために以下の取組を推進。
(1)地方公共団体におけるASP・SaaSの導入、活用を支援。
⇒ より多くの地方公共団体による情報システムの共同利用、業務改革を推進。
(2)自治体クラウドの標準仕様書(※)を策定。
⇒ 地方公共団体間、地方公共団体と政府の間のシステムの連携を確保。
(3)自治体クラウドの推進のための国・地方の新たな連携の枠組を整備。
⇒ 国と地方三団体との間で「自治体クラウド推進協定(仮称)」を締結し、情報システムの集約と共同利用、
業務改革を推進。
⇒ 地方が関係する新制度の導入時等におけるクラウドの活用について政府内の取組を強化。
経費削減分を地域の再投資に活用するための制度整備(インセンティブ)の在り方を検討。
(4)上記合意に基づく役割分担に応じ、国は所要の予算確保に努めるとともに、地方は地方自治情報センター
(LASDEC)を核とした取組(費用負担を含む)等を推進。
(※) 例えば韓国においては、地域情報開発院が地方公共団体の情報システムの標準仕様を策定しており、地方公共団体はこの仕様に則したシステムを
調達することとなっている。日本では、地方自治情報センター(LASDEC)が自治体クラウドの標準仕様書を策定。
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自治体クラウド
BPR(業務改革)に
目に見える成果
ヒト・カネの
「割勘効果」
「所有から利用」で
業務負担軽減
セキュリティ環境の
維持
制度改正への対応
・子ども手当、高齢者医療 etc
効率化で生み出したリソースを住民向けサービスや
オープンガバメントの推進等に再投資し、地域力の創造へ
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29
30
1
緑の分権改革とは
○ 地域においては、少子高齢化・人口減少社会が到来する中にあって、厳しい財政制約の下で、地域主
権の確立、低炭素型社会への転換等の改革の推進が強く求められている。
○ 緑の分権改革とは、それぞれの地域が、森・里・海とそれにはぐくまれるきれいな水などの豊かな資源と
それにより生み出されうる食料やエネルギー、あるいは歴史文化資産の価値等を把握し、最大限活用す
る仕組みを創り上げていくことによって、地域の絆の再生を図り、地域から人材、資金が流出する中央集
権型の社会構造を、分散自立・地産地消・低炭素型としていくことにより、「地域の自給力と創富力を高め
る地域主権型社会」への転換を実現しようとするもの。
2
地域主権改革と緑の分権改革
○ 地域主権の確立のため、義務付け・枠付けの見直し、基礎自治体への権限移譲、国直轄事業負担金の
廃止、補助負担金の一括交付金化、出先機関の原則廃止、国と地方の協議の場の法制化等を目指す。
これらにより、住民自治、地方公共団体の権限と責任は飛躍的に高まるもの。
○ 緑の分権改革とは、このように行財政制度を地域主権型に改革していくことにあわせて、個々人の生活
や地域の経済についても、「人材や食料、エネルギー、資源等ができる限り地域で有効に活用される構
造」に変えていくことにより、ヒト、モノ、カネ、エネルギーの動きそのものを変革し、地域の自給力と創富力
を高めるような社会システムの構築を目指すもの。
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(出典)原口ビジョン
現 状
大都市
海 外
大規模エネルギー供給
・・・
I
のC
T
強利
化活
用
構定
想住
の自
推立
進圏
改革後
共 存
地域の自給力と創富力による成長
緑
の
分
権
改
革
人
資源
流 出
地 域
資金
自過
立疎
地
・
活域
性等
化の
郵
政
改
革
大都市
海 外
大規模エネルギー供給
・・・
人
地 域
資金
歴史
伝統
食料
文化
クリーン
エネルギー
(分散自立・地産地消・低炭素型社会へ)
32
緑の分権改革推進会議(4月28日第一回開催) 構成員
座長
渡 辺
周
座長代行 逢 坂 誠 二
委員
飯 田 哲 也
大 森
彌
小田切 徳 美
笠 松 和 市
川 勝 平 太
北 橋 健 治
鈴 木 重 男
須 藤
修
月 尾 嘉 男
西 澤 久 夫
平 井 伸 治
福 武 總一郎
堀 尾 正 靱
堀 場 勇 夫
安 田 喜 憲
山 崎 養 世
総務副大臣
内閣総理大臣補佐官
環境エネルギー政策研究所所長
東京大学名誉教授
明治大学農学部教授
徳島県上勝町長
静岡県知事
福岡県北九州市長
岩手県葛巻町長
東京大学教授
東京大学名誉教授
滋賀県東近江市長
鳥取県知事
ベネッセホールディングス取締役会長(総務省顧問)
科学技術振興機構社会技術開発センター領域総括
青山学院大学院経済学部教授
国際日本文化研究センター教授・稲森財団理事
太陽経済の会代表理事(総務省顧問)
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第1分科会(モデル構築分科会)
第3分科会(ICT利活用分科会)
【検討事項の例】
【検討事項の例】
・緑の分権改革のモデルとなる取組の整理
・農林水産業の活性化、6次産業化、観光振興など
について、ICTを活用した事業の方向性や国の
制度改革等による支援方策の検討
・モデルとなる取組の実現のために必要な
ノウハウ及び必要な対応方策の整理
・インターネットの利用環境、コンテンツの具体的
な構成、高齢者のICTリテラシーなど、元気な
地域づくりに必要となるICTの環境整備の在り方
主査:小田切徳美 明治大学農学部教授
第2分科会(経済効果分析分科会)
【検討事項の例】
・地域におけるクリーンエネルギー、観光
資源の活用、地場産品の地産地消・
ブランド化、文化の伝承・発信など緑の
分権改革の推進に伴い見込まれる効果の
数量化の検討
主査:堀場勇夫 青山学院大学院経済学部教授
主査:須藤修 東京大学教授
第4分科会
(クリーンエネルギー利活用分科会)
【検討事項の例】
・今後の市町村におけるクリーンエネルギー
の活用の検討に資することを目的とした、
その基礎となる賦存量等の調査についての
統一的なガイドラインの検討
主査:堀尾正靱 科学技術振興機構
社会技術開発センター領域総括
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元気な地域づくり事業(仮称)の概要イメージ
「緑の分権」改革推進会議(分科会)における検討事項
(1)元気な地域づくり事業の在り方
①農林水産業の活性化、②6次産業化、③観光振興などについて、事業の方向性や国の制度
改革による支援方策に関する検討を行う。
(2)ICTの環境整備の在り方
①インターネットの利用環境、②コンテンツの具体的な構成、③高齢者のICTリテラシーなど、
元気な地域づくりに必要となるICTの環境整備の在り方について検討を行う。
パイロット事業の実施
プラットフォーム機能の整備
・取組の効率化・ノウハウの共有化等
・各地の地域資源を有効活用するため、
他省庁等の関連施策と連携
・先行事例を活用(アドバイザーとして助言)
・推進会議での検討結果を踏まえ、各地の特色を
生かす地域づくりのパイロット事業を実施
・地域ICT利活用広域連携事業による支援を実施
【先行事例】
A町
B村
C村
【民間】
【他省庁】
地域づくりプラットフォーム(仮称)
• 地域の取組を横つなぎ
• 地域の産品の情報発信
• 他の施策との連携の窓口 等
D町
F町
E村