Transcript 土壌汚染対策法
土壌汚染の仕組み
出典:www.k-giken.co.jp/business/soil.html
土壌汚染ってどんな問題?
重金属類
(鉛、水銀、カドミウムなど)
有機塩素系化合物
(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど)
農薬
ダイオキシン類
その他 環境ホルモン
人体に
有害な物質
が土壌に蓄積したり、汚染物質が蓄積した土壌から
汚染物質が地下水に流出する問題
土壌汚染に対応する2つの法律
農業用地
「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」
(土壌汚染防止法)
→ 汚染された土壌で作られた農作物を摂取しないように
する法律(1970年公布、1971年施行)
市街地(農用地以外)
「土壌汚染対策法」
→工場跡地などの土壌汚染が健康被害を起こさないよう
対策を求める法律(2002年公布、2003年施行)
「土壌汚染防止法」の仕組み
特定有害物質:銅、カドミウム、ヒ素
調査
↓産出される米中のカドミウム濃度が1ppmを超過した場合(食品衛生法)
「農用地土壌汚染対策地域」の指定
↓都道府県知事が「農用地土壌汚染対策計画」を策定
汚染農用地復元作業
↓かんがい排水施設の新設、客土等汚染の防止及び除去
指定地域の解除
「土壌汚染対策法」の仕組み
調査
↓土壌の汚染が環境基準を超過していた場合
汚染区域として指定
↓都道府県知事が土地所有者に健康被害防止措置を行うよう命令
健康被害防止措置
↓土地所有者が法律に決められた方法で汚染土壌の除去等を行う
指定の解除
汚染調査
出典:www.nmconsults.co.jp/business/kankyou_top.html
指定区域の指定
出典:www.city.osaka.jp/kankyojigyo/jyoukyou/jiban/taisakuhou.html
健康被害防止措置
土壌汚染対策(1)
土壌汚染対策(2)
汚染土壌掘削除去の様子
大阪アメニティパーク 2007.08.01撮影
「土壌汚染対策法」のまとめ(1)
規制される人・事業所
1)廃止される水質汚濁防止法の特定施設
→稼働中の施設は法律の対象外
2)汚染された土地の所有者(ただし、都道府県知事が汚染
地域に指定した場合に限る)
該当事業者は何をすべきか
「指定区域」に登録された場合、健康影響防止の対策を取る
必要がある
「土壌汚染対策法」のまとめ(2)
該当消費者は何をすべきか
該当消費者:汚染された土地を購入する者
不動産を購入する前に、自主的な汚染調査を行ない、土地の
状況を知る必要がある
「土壌汚染対策法」の主な問題点
1)対策地域が限られている
(廃棄物処理場、稼働中の特定施設、都道府県知事が指定し
ない土地は対象外)
2)自然由来による汚染や、近隣地からの「もらい汚染」は対象
外
3)法に基づく調査が行われるまでは、対策ができない(土壌が
明らかに汚染されているとわかっていても対策できない)
「土壌汚染対策法」のまとめ(3)
横出し規制・上乗せ規制との関係
2003年2月5日付施行通知環水土第20号
すでに制定されている条例等を改定・変更する場合、
および新たに条例等を制定する場合には、「法の趣
旨、目的、内容及び効果について留意し、法の施行
と阻害することがないようにするとともに、法とあい
まって土壌汚染対策の実効があがるものとなるよう
配慮して立案することとされたい」
→ 対策法より厳しい条例等が制定できない
土壌汚染問題の事例(1)
大阪アメニティパーク土壌・地下水汚染問題
1.
金属加工製錬所跡地を開発し、マンションなどを建設
深部の汚染土壌を掘り出さなかったため、地下に環境基準
の5,000倍を超える汚染土壌が埋まったままとなった
しかし、製錬所が閉鎖したのが対策法施行前(1998年)だっ
たので、法に基づく調査がされなかった
住民の反対運動などによって、マンション周辺地域の土壌2
mが全量掘削されることとなった。
2.
3.
4.
大阪アメニティパーク全景
日刊建設新聞社提供
汚染土壌掘削搬出の様子(1)
大阪アメニティパーク 2007.08.01撮影
汚染土壌掘削除去の様子(2)
大阪アメニティパーク 2007.08.01撮影
イタイイタイ病と現在の対策
1.
2.
3.
イタイイタイ病と現在の対策
岐阜県の神岡鉱山から排出された重金属が、イタイイタイ病
問題を発生
重金属の自然への排出量を減少させるため、現在でも発生
源対策を行っている(37年間)。
発生源対策は、住民、研究者、弁護士、事業所が共同で行
っている
神岡鉱山の(現:三井金属鉱業神岡鉱業所)
発生源対策
神岡鉱業所 2008.05.27撮影
排水測定
神岡鉱業所 2008.05.27撮影
沈殿池(シックナ―)
神岡鉱業所 2008.05.27撮影
まとめ
土壌汚染問題は目に見えづらいので、未然防止
対策が難しい
しかし、ひとたび被害が発生すれば、長年にわ
たる対策が必要となる
汚染対策には、住民、事業所、学者らが共同し
て解決方法を模索するということが必要である