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現代を生きる人間の倫理
民主社会の形成
ホッブズ,ロック,ル
ソーの社会契約説
市民革命以前
絶対王政
16世紀から18世紀にヨーロッパの
多くの国で,国王が官僚と常備軍を支
えとして強力に国家統一を進めた政治
の形態。
絶対王政を支えた理論
国王の支配権は王の先祖が神から直接に授けられ
たものであるとする説。
王権神授説
17世紀半ば~
17世紀の近代自然科学の発達を背景に,
また経済力をつけた市民階級が政治的
発言力を持つ中で,
啓蒙主義(思想)
が登場する。
啓蒙主義とは?
啓
戸+攵(て)+口
∴閉じた戸を手でひらくこと。 また,
戸をひらくように,閉じた口を開いて
陳述するの意。
① ひらく。開放する。
② ひらく。物事を理解させる。
啓蒙主義とは?
蒙
下部の字(音モウ)は,ぶたの上に
おおいをかぶせたことを示す。蒙は
それを音符とし,艸を加えた字で,
草がおおいかぶさるの意
くらい(くらし)。道理にくらい。おろか
である。また,幼くて物事の道理が
わからない。
啓蒙主義とは?
人間社会を合理的に考察して,
伝統的な因習・迷信・偏見・無知
から人間を解放しようとする運動。
イギリスで始まり,18世紀には
フランス・ドイツへと広がって
いく。
啓蒙主義とは?
政治面では?
封建的な社会体制(絶対王政)を批判し,
近代市民社会の理論である社会契約説を
確立した。
社会契約説
人間は本来,自由で平等
な存在であり,国家や社
会の成立の根拠をこの個
人間の契約に求める思想
社会契約説を唱えた思想家
ホッブズの
写真
ロックの
写真
ホッブズ(英)
(1588~1679)
ロック(英)
(1632~1704)
ルソーの
写真
ルソー(仏)
(1721~1778)
社会契約説を理解するために
自然法思想 人間がつくった法(実定
法)とは別に,人為的でな
い自然に由来する法(自然
法)が
存在するという考え。
オランダの法学者
グロティウス
の写真
主著『戦争と平和の法』
『海洋自由論』
近代自然法の父
人間の本性に由来する人類普遍の原理とし
グロティウス(英) て自然法を説き,自然法を法体系の最上位
(1583~1645) において,全ての法を基礎づけた。
社会契約説を理解するために
自然法
いつでも,どこでも,だれに対し
てもあてはまる普遍的な法
自然権
人間の自然な本性に根ざした権利
で,すべての人間に備わっている
権利。
自然状態
国家が成立する以前の法的な拘束
のない状態。社会契約による国家
の成立を説明するための論理的架
空の世界。
ホッブズの 主著
社会契約説 『リヴァイアサ
自然権
ホッブズの
写真
ン』
自己保存のために,自分の力
を自由に行使する権利を持つ。
人間観
自己保存の欲求を満たすため
には,何でもやるという利己
的な存在
さらに,人間は本来平等である。
「もっとも弱い者でも,…もっとも強い
者を殺すだけの強さを有している。」
「人は人に対して狼になる。」
ホッブズの社会契約説
ホッブズの
写真
自然状態 人間は自己保存,さらに自己の
幸福のために,無制約的に行動
し,相互に対立し,争う。
「万人の万人に対する戦い」
このような状況を回避するために,
人々は理性の声(自然法)にしたがって,各
人が互いに協定(社会契約)を結んで,各人
の自然権を共通の権威(国家)に譲渡し,そ
れに絶対的に従うべきである。
ホッブズの
社会契約説
『リヴァイアサン』の表紙図
国王・合議体
立法
法
生命の保障
自然権を譲渡され成
立した国家は絶対的
な権力を持つ怪物=
自然権の譲渡 「リヴァイアサン」であ
る。
万人の万人に対する戦
い
自己保存の欲求を
満たすためには,
何でもやるという
利己的な存在
ホッブズの社会契約説の歴史的評
価
結果的には
絶対王政を擁護することになった。
しかし,
国家権力の根拠を王権神授説ではなく,
市民相互の契約に求めた。
近代の民主主義的な考えのさきがけ
となるものと評価できる。
ロックの
社会契約説
人間観
主著
『統治論』
ロックの
写真
人間は神によって造られたもの
として,理性的であり,自由・
平等である。
したがって,自然状態は,
生命,自由,財産の所有といった自然権も,
他人の権利を侵してはならないとする理性
の声(自然法)によって比較的よく保障さ
れている平和な理想的な状態であるとする。
ロックの社会契約説
ロックの
写真
しかし,
自然法の解釈の相違と偶発的悪によって,
対立や混乱が生じる可能性もある。
そこで,
契約を結んで国家をつくり,各人の自然
権を守るための権利(制裁権:法律の制
定およびその実施の権利)を国家の代表
者である政府に信託する。
ロックの社会契約説
ロックの
写真
ただし,
政府が権力を濫用し自然権を侵害した場
合,国民は国家に抵抗し,新たな政治組
織を形成することができる(革命権)と
した。
また,
権力の濫用を未然に防ぐための権力分立
を唱える。
ロックの社会契約説
統治者(議会)
革命権
(抵抗権)
法
立法
自然権の保障
権力を立法権と執行
権に分け,前者を後
者より優先。
自然権の信託
政治社会
相互に自然権の保障をするという契約を結ぶ
怠自
っ然
た権
場の
合保
障
を
理性的で自由な
個人
自由・平等な理想的な状態
しかし,完全ではない。
ロックの社会契約説の歴史的評価
社会契約説の立場から国家の成立を論じる
国家の目的 生命・自由・財産の保障
国家の主権 国
民
国家の意志 多数者の意見で形成
革命権(抵抗権)の正当化
近代の民主政治の諸原理を理論づけた。
名誉革命(1688~89)を思想的に支えると同時に,アメ
リカ独立宣言(1776),フランス人権宣言(1789)に多
大な影響を与えた。
アメリカ独立宣
言
1776年
トマス=ジェファソンらが起草
…われわれは、自明の真理として、すべて
の人は平等に造られ、①造物主によって、
一定の奪いがたい天賦の諸権利を付与され、
その中に生命、自由および幸福の追求のふ
くまれることを信ずる。また、②これらの
権利を確保するために人類の間に政府が組
織されること、そしてその正当な権力は被
治者の同意に由来するものであることを信
ずる。 …
松本重治訳 中央公論社『世界の名著41』より
アメリカ独立宣
言
1776年
トマス=ジェファソンらが起草
…そしていかなる政治の形体といえども,
もしこれらの目的を毀損するものとなった
場合には,③人民はそれを改廃し,かれら
の安全と幸福とをもたらすべしとみとめら
れる主義を基礎とし,また権限の機構をも
つ,新たな政府を組織する権利を有するこ
とを信ずる。…
ルソーの
主著
社会契約説
『人間不平等起源論』
『社会契約論』
人間観
ルソーの
写真
人間の本来的な姿
自己愛と憐憫の情を持つ自然人
したがって,自然状態においては,
人間は完全に自由,平等であり,
平和な理想的生活が営まれている。
しかし,現実の社会は不平等である。
なぜか?
ルソーの社会契約説
ルソーの
写真
不平等の起源は?
ある土地に囲いをして「これはおれのものだ」
ということを思いつき,人々がそれを信ずるほ
ど単純なのを見いだした最初の人間が,政治社
会の真の創始者であった。
(世界の名著
ルソー『人間不平等起源論』中央公論社)
私有財産制が不平等に満ちた
文明社会を生み出した。
ルソーの社会契約説
ルソーの
写真
いかに不平等な状態を克服するか?
各人が自己とその権利(自然権)を一般意志に
全面的に譲渡するということを誓うことによっ
て,社会をつくりなおすしかない。
一般意志とは?
特殊意志
個人の利己的意志
全体意志
特殊意志の総和
個々の私的利害の単なる集合
一般意志 公共の利益を目指す普遍的な意志
ルソーの社会契約説
ルソーの
写真
自然権を一般意志に譲渡するとは?
一般意志は国家(共同体)の普遍的な意志であ
ると同時に,人民自身の意志である。
したがって,一般意志に従うとはことは,
自己の意志に従うことであり,
ここに市民的自由が得られる。
また一般意志がよく表明されるために,すべての
人民が意見を述べる機会を持つ直接民主制の国家
が理想であると考えた。
ルソーの社会契約説
立法者
立案
法
同意
一般意志
立案だけを行なう。
人民の同意がなけ
れば法は成立しな
い。
自然権を保障
政治社会
自然権を社会全体に譲渡
自己愛・憐憫の情を
持つ自然人
平和な理想的な状態であるが,
文明社会によって崩壊していく。
ルソーの社会契約説の歴史的評価
直接民主制を主張
ロックによって明確にされた人民主権を
さらに徹底化したもの
フランス革命やフランス人権宣言に大き
な影響を与えた。