20140602_223837

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皮膚科学
紅斑、蕁麻疹、薬疹
臨床准教授
三浦俊祐 (三浦俊祐・貴子皮膚科)
2014年6月2日
この講義で扱う内容
・“いわゆる”紅
・蕁 麻 疹
・薬
疹
斑 (erythema dominated disorders)
紅斑、紅斑症とは?
*紅斑 (erythema);原発疹の一つ.皮膚が
隆起せずに紅色~赤色調を示した状態.
*紅斑症 (erythemas) ;紅斑が臨床的主体
の疾患で、特定の病因に結び付けられない
もの.
紅斑症の本態
・本来、真皮以下の疾患である.
・病理学的には血管中心性の炎症細胞浸潤
である.
・表皮・真皮境界部への細胞浸潤が主体だと、
浮腫を伴い(滲出性)、表皮傷害が強いと、
水疱を形成する.
・真皮全層、時に脂肪織への細胞浸潤が主体
だと、固く触れ、(浸潤性)、血管炎を伴うと
潰瘍を形成する.
日常診療における紅斑主体の疾患
疾患名
定義、原因
多形(滲出性)紅斑 紅斑症(薬剤性、感染性)
結節性紅斑
紅斑症(薬剤性、感染性)
頻度
◎
△
硬結性紅斑
紅斑症(結核性、非結核性)
△
慢性遊走性紅斑
マダニ咬症→ボレリア感染
△(季節性)
(成人の)伝染性紅斑
ウイルス性(パルボB19)
○(流行性)
水疱性類天疱瘡
自己免疫性
△老人
蕁麻疹様血管炎
自己免疫(SLE)、ウイルス(HBVなど)
△
Erythema Multiforme minor
(EM minor)
多形性紅斑(軽症型)
〔疫学〕 EM全体の約80%を占める.
〔現症〕
☆個疹:浮腫性~滲出性の紅斑、「痛がゆい」.
☆辺縁が堤防状となり、拡大(癒合→「多形」).
☆数日かけて拡大した後、中心部より治癒し始める
(iris / target lesion).
〔経過〕
☆個疹は1週間程度で自然治癒.色素沈着はない.
☆全経過は無治療でも2~3週間.
〔治療〕
☆強力なステロイド剤の外用(たいして効かない).
☆抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤の内服(たいして効かない).
☆無治療.
EM minorの臨床像
Iris/target lesion
癒合した病変
EM minorの病理組織像
EM~SJS~TENの疾患概念
最近の考え方
皮膚症状
皮膚の水疱、びらん
粘膜疹
全身 原因
症状
EM
minor
円形/類円形
四肢に左右対称
なし
なし/
口唇に軽度
なし
原因不明/
感染性/
薬剤性
EM
major
大型の円形/類円形
地図状
四肢に左右対称
(時に全身)
なし、あっても軽度
時にあり
主に口唇、
口腔内
あり
原因不明/
感染性/
薬剤性
SJS
広範囲、非定形
(びまん性、地図状)
あり(体表面積の10%以下)※
眼、口、
陰肛部
あり
感染性/
薬剤性
TEN
広範囲
全身に地図状
あり(体表面積の30%以上)
眼、口、
陰肛部
重篤
薬剤性
※:10%以上30%未満は”SJS-TEN overlap”
SJS/TENの臨床像
TENの臨床像
紅斑上への水疱の出現、拡大
SJS/TENの病理組織像
EM major~SJS~TEN; 臨床での考え方
危惧すべき症例:即時入院が必須.
★皮膚科的な視点から


広範囲、水疱~びらん、粘膜(口腔、性器)病変!
紅斑の色調が淡褐色(表皮壊死の反映).
★内科的な視点から

全身症状、重症感、咽頭痛!
★眼科的な視点から

眼病変(充血、眼脂、眼瞼の腫脹).
結節性紅斑
誘因
臨床像
急性型
急性感染症(細菌、ウイルス感染症). 20~40歳台の女性に多い
薬剤(ピルなど).
(70~80%).
ベーチェット病、潰瘍性大腸炎など
1~数個の光沢のある鮮紅色
の扁平隆起、境界不明瞭、硬く
ない.
圧痛、熱感あり.
慢性型
クローン病、結核
紅色~暗赤色、境界鮮明、硬
い結節(膠原線維の増生).
熱感なし.
結節性紅斑の臨床像
急性型
慢性型
結節性紅斑の治療
<急性型>
NSAIDの内服.
局所の冷却、湿布.
ヨードカリの内服.
細菌感染症(+);抗生物質投与.
ステロイド内服(感染症由来には不可).
<慢性型>
NSAIDの内服.
局所の冷却、湿布.
循環障害も関係するので、安静、肢の挙上.
(バザン)硬結性紅斑
・原因;結核疹*(バザン型)、非結核型(非バザン型).
・基礎疾患;肥満、慢性の下腿静脈不全.
・臨床像;皮下硬結を伴う暗赤色の紅斑.
容易に潰瘍化、熱感なし.
・結核感染の有無、発病の有無を精査する事.
*;菌の分離培養陰性、PCR法で陽性.
バザン硬結性紅斑の臨床像
・中高年女性の下腿1/3に好発.
・治療抵抗性で、年余を経て
瘢痕治癒.
潰瘍化
紅斑症ではない紅斑①
伝染性紅斑-成人例-





ヒトパルボB19ウイルスによる(IgM抗体でチェック).
体幹、四肢の非特異的紅斑(風疹様).
手足に腫脹、朝のこわばり.
7割の患者で対称性の関節炎.
妊婦では胎児水腫、貧血患者では悪化(造血障害による)が問題と
なる.
紅斑症ではない紅斑②
慢性遊走性紅斑
erythema chronicum migrans



マダニの刺咬で媒介.
ライム病ボレリア菌による.
刺咬後、数日~数週間後の内に刺咬部を中心に拡大し、
環状の紅斑となる.経過とともに「二重発赤」となる.
紅斑症ではない紅斑③
水疱性類天疱瘡

水疱出現前は、痒みの極めて
強い浮腫性紅斑.

抗基底膜抗体(抗BP180、抗
BP230抗体)により、表皮と真
皮が乖離→水疱になる.

浮腫性紅斑辺縁に緊満性の
水疱が生じる.
紅斑症ではない紅斑④
蕁麻疹様血管炎



蕁麻疹様の皮疹が24時間以上続き、色素沈着を残して、
消褪する.紫斑を生ずる事あり.
掻痒感は伴わないが、疼痛を伴う事がある.
基礎疾患にSLE、関節リウマチ、肝炎(B、C)など.
紅斑と紫斑の区別;診断のポイント
1.
2.
赤やピンクの皮疹は押してみる→色が残
れば、血管炎やアナフィラクトイド紫斑の
初期.
紫、赤紫色の皮疹は触ってみる→ザラザ
ラならアレルギー性の血管炎、ツルツルな
ら止血線溶系の異常を考える.
アナフィラクトイド紫斑とガラス圧法
ス
ラ
イ
ド
グ
ラ
ス
で
圧
迫
し
て
も
色
が
残
る
病初期は紅色丘疹である
蕁麻疹、血管性浮腫とは?

蕁麻疹



膨疹(紅斑を伴う一過性、限局性の皮膚の浮
腫)が、多くは痒みを伴って出没する疾患.
個々の皮疹は24時間以内に跡形もなく、消失.
血管性浮腫


皮膚ないし粘膜の深部を中心として限局性の浮
腫を生じる疾患。通常、痒みは伴わない.
通常2~3日以内に跡形もなく、消失.
蕁麻疹の病態
皮膚、粘膜の真皮浅層のマスト細胞(肥満細胞)が脱顆粒し、
化学伝達物質(最重要はヒスタミン)が組織内に放出される
皮膚微小血管の拡張
血漿成分の漏出
↓
紅斑、限局性浮腫
知覚神経の刺激
↓
「ムズムズ」、「チクチク」、
「虫に刺されたような」痒み
外因性のヒスタミンでも生じうる(ヒスタミン食中毒)
蕁麻疹の病態
ヒスタミンなど
外因性のヒスタミンでも生じうる(ヒスタミン食中毒)
蕁麻疹の臨床像
紅色皮膚描記症
蕁麻疹、血管性浮腫の治療ガイドラインから
―日本皮膚科学会(2011年)―
病型
I. 突発性の蕁麻疹
1. 急性蕁麻疹(発症して1ヵ月以内のもの).
2. 慢性蕁麻疹( 1ヵ月以上持続するもの).
II. 特定刺激ないし負荷により皮疹を誘発する事ができる蕁麻疹
(アレルギー性、物理性、不耐症、コリン性、接触性など).
III. 血管性浮腫
(特発性、外因性など).
IV. 蕁麻疹関連疾患
蕁麻疹様血管炎など
色素性蕁麻疹(肥満細胞症)のダリエ徴候
蕁麻疹の原因は?
非アレルギー性蕁麻疹
-原因・悪化・背景因子1.感染因子(細菌、ウイルス).
2.精神的、肉体的ストレス(午前<午後<夜、と悪化していく).
3.発症、悪化する条件(発汗、温度変化、食後の運動).
4.食物;仮性アレルゲンを多く含む食品.
サリチル酸;保存料、色素、イチゴ、ブドウなど .
ヒスタミン;サバ、マグロ.
アセチルコリン;ナス、タケノコなど.
セロトニン;バナナ、トマトなど.
5.薬剤;アスピリン不耐症、ACE阻害薬、造影剤など.
蕁麻疹は「足し算」である
臨床症状の発現
危険な蕁麻疹とそうでもない蕁麻疹
危ない(ショックを起こしうる)蕁麻疹
☆アナフィラキシー反応の一部(前駆)としての蕁麻疹
・食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA).
・蕁麻疹型薬疹.
・重症のアスピリン不耐症(薬剤、添加物)
 そうでもない(ショックを起こさない)蕁麻疹
☆慢性蕁麻疹.
☆寒冷、水以外による物理性蕁麻疹(機械性、日光、温熱、
遅延性圧性蕁麻疹).

急性期の蕁麻疹の治療

血圧低下、呼吸困難あり
◎ショックの治療
エピネフリン投与、気道確保・酸素吸入、静脈ライン確保、H1-拮抗
薬の静注、ステロイドの静注*1 )

血圧低下、呼吸困難なし
◎即効性のH1-拮抗薬(抗ヒスタミン / アレルギー剤)の頓服
○ステロイドの内服(初回はプレドニゾロン)
△静脈ライン確保(ショック対策、静注時間を伸ばす)
△クロルフェニラミン (ポララミンなど) や強ミノCをゆっくり静注
△ステロイドの点滴、静注*1
1 ;コハク酸エステル型、防腐剤を含む薬剤を避ける。リンデロンが良い.
急性期の蕁麻疹の患者への対応

まずは治療をする事.

内服薬で済むなら、内服薬で治療する事.

次回受診予定日までの薬剤を必ず内服させる事.

安静、十分な睡眠を心がけさせる事.

次回受診まで、飲酒、熱い風呂、刺激物、運動を止
めさせる事.

薬剤性が疑われれば、被疑薬を中止させる事.
突発性慢性蕁麻疹の治療
◎毎日ないしほぼ毎日出現する時.
①H1-拮抗薬(抗ヒスタミン剤)の内服
患者に合わせて決定.経過により変更、増量、併用.
②補助的治療薬
H2-拮抗薬、抗不安薬、抗ロイコトリエン薬、漢方薬など.
③副腎皮質ステロイドの内服
悪化時のみ、短期.
プレドニン換算5~15mg/日、効果に応じ、減量.
◎1~2回/週または時々(数週~数ヵ月に一度)出現する時.
予防的、対症的投与。軽症ならあえて治療をしない.
突発性慢性蕁麻疹の患者を納得させる

病型診断では問診が最も重要である.

血液検査は「見逃さない」ために行う.

原因不明でも自然治癒しうる疾患だと告げる.

日常生活での問題点があれば止めさせてみる(飲
酒、甘いもの、健康食品、寝不足).
蕁麻疹の血液検査
おおむね、すべて正常範囲内/陰性
特異的、非特異的IgE抗体価
 白血球増多(好中球、リンパ球、抗酸球)
 炎症反応(赤沈、CRP、ASO)
 膠原病関連(抗核抗体、補体)
 ウイルス(HCV、EBV、パルボB19 )
 甲状腺疾患(TSH、T3、T4)

血管性浮腫の病態
病変は皮膚、粘膜の真皮下層~皮下組織
★マスト細胞(肥満細胞)の脱顆粒(蕁麻疹と同じ機
序).
★ブラジキニンの過剰
<遺伝性、後天性>
C1INH(C1 inhibitor)の欠損、消費過剰→C1の活性
化→キニノーゲンからのブラジキニン産生過剰.
<薬剤性>
ACE阻害剤によるACEの不活化→ACEによるブラジ
キニン不活化の阻害→ブラジキニンの過剰.
血管性浮腫の臨床像
痒みはなく、板状硬である
2~3日は続く.
食べて、動くと、「息が苦しい」



「駅ナカの喫茶店でトーストを食べてからホー
ムに走ったら、蕁麻疹が出た」
「ゴルフ場で、ラーメンを食べて、後半を始めて
間もなく、息が苦しくなった」
「夕食はパスタ.膝が少し痛いのでバファリン
を内服してからジョギングしたら、気が遠くなっ
た」
→→→「普段、何を食べても大丈夫なので、
アレルギーはないと思う」
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
-FDEIA発症のしかた
原因食物の摂取+運動負荷
(+NSAID内服)
 症状
・顔や大腿の蕁麻疹→全身へ
・OASの症状→眼瞼の腫脹

アナフィラキシー
薬疹

定義
「全身投与された(経皮投与は除く)薬剤または
その代謝産物の直接的、間接的作用により誘
導される皮膚粘膜病変」
薬疹かウイルス感染か?
・ウイルスも薬剤も、よく似た皮膚症状、全身症状を引き起こす.
・ウイルス感染時は「免疫異常」の状態である.
・治癒後の免疫状態で検査しても結果が得られる保証は全くない.
DIHS; 薬剤性過敏症症候群
どの位続けたら、薬疹を発症するか?
・投与直後に発症→すでに感作されていた.
・非イオン性造影剤;感作成立後、体内に残存する薬剤で発症.
・非炎症性疾患に対する薬剤;投与中、感染症を起こした時に感作成立.
・薬剤の側からみた場合.
重症薬疹では、SJS/TEN;1~2週間以内、DIHS;3~4週間.
病型で原因薬はわかるか?
原因薬が病型を決めるか?
感作された後、活性化するT細胞の種類により、病型は異なる.
CD8陽性T細胞は、皮膚親和性が強く重症薬疹を引き起こしやすい..
原因薬を決めやすい病型
DIHS、光線過敏型薬疹.
薬剤を中止すれば、薬疹は治癒するか?
-治癒しにくい場合-
肝、腎障害
併用薬剤
肝、腎障害による代謝、排泄の遷延.
代謝、排泄を遅延させる薬剤の併用.
DIHS
HHV-6の再活性化により、遷延.
SJS/TEN
感作後、制御性T細胞が抑制され、CD8陽性
T細胞が暴れ続ける.
乾癬型薬疹
薬剤により、乾癬が発症する.
危ない薬疹とそうでもない薬疹
重症
生命に関わる
後遺症を残しうる
中等症 入院加療を要する
軽症
原因薬剤中止で軽快
外来で治療可能
SJS/TEN
DIHS
重症のAGEP
アナフィラキシー型
EM major
固定薬疹(多発型)
水疱型
紅皮症型
AGEP
EM minor、蕁麻疹型、湿疹型、
ざ瘡型、固定薬疹、扁平苔癬
型、乾癬型、光線過敏型
AGEP;急性汎発性発疹性膿皮症
外来で疑う薬疹
‐疑う事、重症度を評価する事‐
診察と評価
・急激な経過.
・広範囲の皮疹.水疱、膿疱.粘膜病変. 入院!全身投与、
全身管理!
・全身症状.リンパ節腫大、肝脾腫.
検査
・一般検査;末血、血液生化学、免疫、検尿、胸部X線.
・感染症、感染アレルギーの検査;培養、抗体価、ASOなど.
・皮膚生検.
薬剤中止の判断
・重症例;すべて中止.それ以外;必要度、可能性により対応.
説明
・処方した医師に対して;
薬疹の可能性、中止の依頼(例外あり).
・患者に対して;
薬疹の可能性と中止の必要性.
入院の必要性.外来通院なら次回受診日の確約.
原因薬剤究明のための検査
試験名
安全性
信頼性
長所、短所
(除去試験)
極めて安全
高い
複数で検査可能
だが確定は不可
DLST
極めて安全
低い
複数で可能
パッチテスト
高い
低い
(固定薬疹で高い)
複数で可能
偽陰性多い
皮内テスト
時に全身症状~ 比較的高い
ショック
複数で可能
ショックへの対応
が必要
内服(誘発)試験
低い(入院下で) 高い
1剤ずつ検査
時期により陰性化
すべての薬剤は中止すべきか?
-分子標的治療薬の薬疹と対応‐
*分子標的治療薬は細胞増殖因子や炎症性サイトカインを
狙い撃ちして、癌、リウマチ性疾患に奏功する.
*標的となる分子のいくつかは正常皮膚に存在するため、
過剰な増殖作用により、皮膚障害をきたす.
代表的な分子標的治療薬
一般名
商品名
標的分子
対象疾患
ゲフィニチブ
イレッサ
EGFR
非小細胞性肺癌
トラスツズマブ
ハーセプチン
HER2
乳癌
インフリキシマブ
レミケード
TNF-α
RA、乾癬など
エタネルセプト
エンブレル
TNF-α
RA
すべての薬剤は中止すべきか?
-分子標的治療薬の薬疹と対応‐
ゲフィニチブ(イレッサ)による薬疹
ざ瘡様皮疹(1~2週で)→
爪囲炎(3~4週で)
↓
・ほぼ必発する.
・非アレルギー性である.
・対症的に治療.
・薬剤を中止してはいけない!
代表的な薬疹の病型
‐播種状紅斑丘疹型‐



抗生剤(約45%)、抗テンカン薬
(約20%)、非イオン系造影剤(
約20%)、NSAID(約10%).
ウイルス感染との関わりが深い
(例;アンピシリン疹).
DIHSの初期病変でもある(鑑
別、経過観察は重要).
代表的な薬疹の病型
‐固定薬疹型‐
・NSAID(約45%)、催眠鎮静薬(約30%).
・内服後すぐに色素沈着部の発赤、「痛痒さ」.
・病変部(色素沈着部)のパッチテストが有効.
代表的な薬疹の病型
‐光線過敏症型‐



ピリドンカルボン酸系抗菌薬(約50%)、
オキシカム系NSAID(約25%).
常に鼻尖部の皮疹が著明.手背、項部
もチェック.
一般にUV-Aで生じる.
「大人になってから日光に弱くなった」
↓
薬疹、SLE、光線過敏型接触性皮膚炎を
まず考える.
重
代表的な薬疹の病型
‐DIHS‐
・投与薬剤は比較的限られる(抗けいれん薬が多い).
・投与2週~2ヶ月の発症が多い.
・薬剤アレルギーとウイルス再活性化が関与し(HHV-6など) 、再燃を繰り返す.
・多臓器障害を伴う(ウイルス再活性化による).
重
代表的な薬疹の病型
‐AGEP;急性汎発性発疹性膿皮症‐





抗生物質(ペニシリン系、セフェム系)が主.
ほかに降圧剤(ジルチアゼム),抗真菌剤(
テルビナフィン)など.
外用剤(ブフェキサマク)でも生じる⇒OTCで
広く使用されている.
高熱とともに間擦部から発症→紅斑上に小
膿疱が多発.
ニコルスキー現象陰性、粘膜疹なし.
薬剤中止後、2~3週で治癒.
最重要
薬疹への関わりと被害者の救済

新しい薬剤が発売される限り、新たな薬疹
を含む薬害は出現しつづける.症例が集積
すると新しい薬疹型が分離される.情報に
敏感になる事.

薬害被害者には医薬品副作用被害救済制
度がある(「入院、障害、死亡).ブックマーク
に登録の事.