Transcript 2007年
第80回日本産業衛生学会
職域の喫煙対策研究会
製造工場の喫煙対策事
例
2007年4月27日
古河電気工業(株)千葉事業所
衛生管理室
利根川豊子
会社概要
商 号 :古河電気工業株式会社
社 長 :石原廣司
創 業 :明治17年(1884年)
設 立 :大正9年(1920年)
資 本 金 :693億円
売 上 高 :8,725億円(2006年3月期連結)
従業員数 :28,601名(2006年3月連結)
本 社 :東京都千代田区丸の内
事業内容 :光ファイバケーブル・光部品、
電力ケーブル、
プラスチック加工品、伸銅品、
自動車部品、
アルミ板材等の製造・販売等
古河電気工業(株)千葉事業所
千葉事業所の沿革
S36年
千葉電線製造所開設
通信第1工場完成
S43年
電力第1工場完成
S45年
銅線工場完成
電子線材工場完成
S49年
光ケーブル開発製造開始
H2年
光技術研究所完成
企業として喫煙対策が必要な理由
1.企業の財産である従業員の健康を守る
個人の幸せ、家族の幸せも
2.職業関連疾患を防止する
石綿、じん肺、特化則などの対象職場
3.健康保険組合が支出する医療費増加を抑制する
高血圧、糖尿病、高脂血症など生活習慣病や腎疾患、歯周疾患、心
疾患、呼吸器疾患、がん家系などは禁煙は必須
4.喫煙に関わる費用抑制
清掃費、ゴミ処分費用など
5.社会的責任を果たす
環境を守る・子どもを守る
法的背景
◆ 「健康増進法」
◇ 「労働安全衛生法」
快適職場の形成
喫煙対策ガイドライン
職域の喫煙対策の4本柱
啓発対策
受動喫煙防止対策
将来的には
正しい知識の普及
構内全面禁煙を
禁煙のきっかけづくり
健康の確保
禁煙支援対策
防煙対策
禁煙したい方には
入社してから喫煙
者にならないように
しっかりサポート
再喫煙しないように
喫煙対策のポイント
1.数値(データ)を提示し、
対策の必要性、重要性を説明し
認知を高める
2.目標を具体的に設定する
経年的に
根気よく
あれやこれやの
総合対策
3.会社(事業所のトップ)、安全衛生委員会など
組織を取り込む
4.核となって動く人をつくる
5.費用を抑える
特に喫煙所には費用をかけない。なるべく屋外に。
喫煙対策3ヵ年計画の策定
千葉事業所安全衛生管理指針重点項目の中に
「喫煙対策3カ年計画」を盛り込む
期 間
: 2005年~2007年 3年間
目標数値: ① 男性喫煙率40%以下にする
② 喫煙所の数を30%減らす
2004年末の安全衛生委員会にて承認され
2005年度にスタートしました
1年目の計画と実施(2005年)
1.「喫煙所利用基準」の策定
2.出前健康教室の開催
「タバコの真実を知る~もうだまされない!~」
3.「禁煙教室」の開催
対象: 「調査票」に禁煙したいと記入した方
4. 「全国労働衛生週間」行事 標語とポスターの募集
5.歓送迎会、飲み会など会場禁煙の呼びかけ
6.「長期の休みは禁煙のチャンス!」を呼びかけ
2年目の計画と実施(2006年)
1.「安全衛生委員会メンバーの率先垂範」
2.「禁煙の輪を広げよう!ミニ講座」
毎月の安全衛生委員会で講話。
そのスライドを各職場に配信
3.「禁煙教室」の開催
対象:喫煙率40%以上の職場の喫煙者
4.喫煙対策の職場表彰の設置
5.標語の募集
3年目の計画(進行中)2007年
1.「5月31日世界禁煙デー」
千葉事業所敷地内全面禁煙の実施
2.「禁煙キックオフ大会」
「5月31日世界禁煙デー」にスタート
3.「禁煙教室」の開催
4.「全国労働衛生週間」行事 標語募集
1年目(2005年)
①
1.「喫煙所利用基準」の策定
千葉事業所喫煙所利用基準.doc
ポイント
① 喫煙者自身がタバコ煙に暴露されるのを最小限
にする
② 喫煙は休憩ではない
③ 喫煙のみで、長居しない(椅子の撤去、飲食禁止)
④ 防火に努める
⑤ 水、灰皿、蓋付きの吸殻入れの設置
⑥ 管理責任者の設置
1年目(2005年)
②
2.出前健康教室の開催
「タバコの真実を知る~もうだまされない!~」
看護職2人で各職場に出向いて実施
(パソコンとプロジェクターを肩に)
対象者 : 非喫煙者含む全員
古河電工だけでなく、関連、協力会社も
実施
回 数 : 60回
時 間 : 15分
内 容 : タバコは嗜好品ではない。健康問題、環境
問題、社会問題から切り込む
スライド表紙
出前健康教室
喫煙対策シリーズ
2005年
衛生管理室
利根川豊子・鶴岡寛子
パソコンとプロジェクターを肩にたくさんの職場に
出かけて行きました
職場の都合に
合わせて、時間を
設定しました
朝8時など
スライドの内容
「喫煙は個人の嗜好の問題」で片付けないでください
環境破壊と飢餓の問題
タバコは色んな問題を持っている
※ タバコの乾燥に、木材、重油を使用
※ 葉っぱ1kg 乾燥するのに薪10kg必要
(アフリカ、アジアでは森林を伐採して乾燥
毎年2000Km2の森林伐採。
長野県2つ分の森が消えている)
※ タバコの栽培に、森林の伐採を進め、食料の
栽培が減る
→ 世界の飢餓人口は 8億人。
ますます飢餓が増えている
※ 20億人の子どもの 3分の1 が喫煙。その
半分の3億2500万人が早死
出典 京都精華大学人文科学 細川
スライドの内容
軽いタバコのなかみ
パッケージ
表示の嘘
無意識のうちに吸い方を変え、結果的には普通のタバコを吸っているのと同じ
くらいのニコチンを取っていたり、逆に有害物質が増える 脳がニコチンの
自己調整をする
タバコメーカーがあ
る一定の条件下で
機械に吸引させて
分析した数値
北里大学薬学部
福本先生の分析値
左記以外に、
厚生労働省が専門家に
依頼して測定した数値も
タバコパッケージの表示より
高い数値だった
スライドの内容
喫煙者にかかる費用はこんなに!
禁煙すると
年間10万
円小遣いが
浮きます
よ!
古河電工平均賃金の時間給で計算すると、
会社で10本喫煙したとして、 1年労働日数×時間給=??万円
スライドの内容
2005年2月27日発効されました
やっと
WHO「タバコ規制枠組み条約」の発効
WHOは、
1975年(昭和50年)
初めて喫煙の健康への影響報告
1964年に米国公衆衛生
局が「喫煙と健康」を発表
1979年(昭和55年)
世界の加盟国に、喫煙に関する勧告
1.喫煙しないことが正常な社会行動であり、そのような態度を促進するべきである
2.タバコ促進については、いかなるかたちといえども全面的に禁止すべきである
3.タバコの輸出と生産は援助せず、可及的速やかに、それらを縮小すべきである
4.政府は一定の職場においては、喫煙は極めて危険であることの認識を持たせると
ともに、必要な場合は、立法措置を含む特別な対策を講ずるべきである。
消費3位の日本を含む57ヶ国が批准。
1. タバコの広告、販売促進、後援(スポンサーシップ)の禁止、または制限
2. タバコの箱主たる表示面の50%以上を占めて(30%を下らない)、健康
警告表示をすること
3. 未成年者に対するタバコの販売を禁止する効果的な措置をとる
マイルド、スーパーライトなどの紛らわしい商品名も禁止
スライドの内容
カナダのタバコパッケージの警告表示
16種類の警告表示がある
口腔の中の疾患 歯周病
脳卒中
箱の半分に警告表示
残念なが
ら、日本
は文言の
み
喫煙で、くも膜下出血の危険が3,6倍に!
(昨年8月25日厚生労働省研究班調査発表)
1年目(2005年)
③
3.「禁煙教室」の開催
12回実施
4.標語とポスターの募集
全国労働衛生週間に実施
優秀者は「子どもに無煙環境を」推進協議会の
「タバコはやめよう!」啓発コンクールに応募
5.歓送迎会、飲み会での会場禁煙の呼びかけ
禁煙の宴会場を選ぶ。総務課は一番早く禁煙を実行
6.「長期の休みは禁煙のチャンス!」
GW前、夏休み、年末年始の休み前に、
禁煙のコツを書いたチラシを各職場に配布
2年目(2006年)
①
1.「安全衛生委員会メンバーの率先垂範」
毎月、呼びかけを実施
2年目末の昨年12月では、12%低下
2.「禁煙の輪を広げよう!ミニ講座」
毎月の安全衛生委員会で講話
そのスライドを各職場に発信
最新の情報を盛り込み、喫煙に関する知識
の普及に努めた
スライドの表紙
2006年1月19日
衛生管理室
利根川・鶴岡
1年間12回の内容
1月.循環器学会HPのムービーを放映
2月.呼吸器学会HPを活用
3月.市原保健センターの保健師によるプレゼン
(喫煙対策活動報告。小学校出前防煙教室など)
4月.最新のニュースと健康調査票のデータ報告
5月. 5月31日世界禁煙デーについて
6月. 研修医のプレゼン(ニコチン代替療法について)
7月. 研修医のプレゼン(受動喫煙の害)
8月. 職場別喫煙率報告と禁煙教室の案内
9月. 「がん征圧月間」にちなんで(タバコとがん)
10月. 産業医科大学生実習生によるプレゼン
11月. 健康調査票のデータ報告
12月. 総集編
喫煙が呼吸器に及ぼすリスクについて
前回は、日本循環器学会の
HPから学びました(右図)。
今回は、日本呼吸器学会の
HPから見てみましょう。
WHOのスローガン
Tobacco : Deadly in any from or disguise
来年は一日、所内全面禁煙を計画中
2年目(2006年)
②
3.「禁煙教室」の開催
対象:①喫煙率40%以上の職場の喫煙者
②作業長以上の管理監督喫煙者
4.喫煙対策の職場表彰の設置
安全だけでなく、衛生や喫煙対策に熱心に
取り組んだ職場を表彰する制度の設置
5.標語の募集
喫煙に関する標語応募は年々増加
2年目の2006年秋季健診では、喫煙率 9.5%低下
3年目(2007年)
①
1.「5月31日世界禁煙デー」
千葉事業所敷地内全面禁煙
禁煙推進実行委員会が中心になって計画を推進
① 敷地内にあるすべての関連協力会社が参画
② 毎月、安全衛生委員会の後に禁煙推進実行
委員会を開催
③ ポスターの作成(1月から毎月配布)
④ 入構者に周知のためのチラシ配布
⑤ 立て看板、ノボリの設置
⑥ 構内放送(カウントダウンと当日)
⑦ 禁煙推進実行委員によるパトロール
構内のあちこちにノボリを設置
正門には看板を設置してPR
スライドの表紙
禁煙推進実行委員会で説明した後、各職場に配信
2007年3月22日
禁煙推進実行委員会
スライドの内容
3/20発売の
「週刊東洋経済」
の表紙です。
*喫煙をめぐる
「ニセ情報」の氾濫
*JTと「反WHO運動
家」との関係
*JTと医学者の“蜜月”
関係
*たばこ対策の迷走
は昔から変わらず等
③
スライドの内容
タバコに関わる費用
ゴミ処分費用
タバコのパーケージな
どは含まない費用
吸殻 1000本で1kg
処分費用
1kg 49円
年間で計算すると、
700名×10本×245日=1,715,000本
1715kg×49円=84,035円かかる
100名禁煙すると、
100名×10本×245日=245,000本
245kg×49円=12,000円軽減
数えました!
1000本で1kg
500枚パウチして、
受付で入構者に渡し、
周知を図っています
社員食堂、応接室、商談室、喫煙室
などに張り出してPR.
実習に来た看護学生が
ポップを作成
社内メール便にもPR
当日、皆さんに配るペットボトルに
PRのために貼るラベルも工夫いたしました
衛生週間に従業員から応募さ
れた標語を載せました
チラシを作成して
職場の皆さんに
配布しました。
3年目(2007年)
②
2. 「禁煙キックオフ大会」開催
5月31日「世界禁煙デー」千葉事業所敷地内
全面禁煙の日からスタート
* 5月に教室を12回 開催予定
・ 「禁煙キックオフ大会」のやり方の説明
・ ニコチン離脱症状の対処の仕方
・ 禁煙のコツなど
* 職場担当者から、禁煙状況を1ヶ月毎に事務局に
報告
* 3ヵ月後、6ヶ月後の禁煙達成者を安全衛生委員会
で報告予定
毎月ポスター、
チラシを作成して
配信。
Eメールで配信
できない職場には
印刷して配布
最後に
職域で喫煙対策を行うには、
1.私たち自身が、喫煙についての認識を変える必要が
ある(まだ、喫煙は個人の自由とか、個人の問題と
考えている人が多い)
2.情報を絶えず入手し、従業員への発信源になる
3.長期計画をたて、会社を巻き込みながら、根気よく
喫煙対策を実施する
4.経済効果をアッピールする
5.禁煙を希望する方には、いつでもサポートを出来る
体制を作り、常にPRをする。