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第1回
インターネットあらはし講座
2013/11/30
合同会社あらはし館代表 土屋 武夫
[email protected]
本日の概要
【1】インターネットとパソコンの変化の流れ
【2】接続無料時代とスマートフォンの台頭
【3】ネットで他人に知られる個人情報とは
【4】あらはしアカデミー情報教育講座
【1】
インターネットとパソコンの変化の流れ
1969 米国の大学研究所を結び初のメッセージ送信に成功
UCLA → Stanford 最初のメッセージは「l」「o」
1974
世界初の家庭向けコンピュータ(パソコン)が登場
1979
日本初のパソコンがNECより発売
1984
日本で東大・東工大・慶応大を結ぶネットワークJUNET開始
1986-87 パソコン通信サービス開始PC-VAN、NIFTY-Serve
以後1999年頃までパソコン通信の時代
1991
世界初のホームページ
1992 インターネット商用利用開始、プロバイダ創業、
日本初のホームページ
1995
Windows 95発売、Yahoo! JAPAN開設、インターネットブーム
1997
Google
1999
ADSLサービス開始、2ちゃんねる
2000
blog
2004
mixi, facebook, Skype
2006
twitter
2007
iPhone発売
2011
LINE
インターネット略史
パソコンをネットワーク化することで
もたらされたもの
(単体使用→パソコン通信→インターネット)
コミュニケーションの道具として生活必需品に仲間入りした
それまでは「おもちゃ」(パソコン自体が使用目的)
または「仕事の道具」(ワープロ、計算など)だった
ネットにより「人とつながる」という使い道が生まれる
パソコンで何をする?
1990年頃
「普通の家庭にパソコンあっても何に使うのか?」
2000年頃
「ワープロと年賀状にしか使っていない。あとはゲーム」
もともとほとんどの人にとってパソコンの多機能性は
不要なもの
「使いこなしていない」→必要ないものを使わないのは
当然
2010年代
パソコンからスマホの時代に
2005~2010年頃
「メールとホームページを見るだけ」の利用層
現在「パソコン自体立ち上げなくなった」
「パソコン持っていない」
コミュニケーションの道具として必要なのであれば
それに特化したものがあれば大抵の人には事足りる
2000年頃のIT企業人の間で
よく言われていたこと:
「デスクトップパソコンはなくなり、ノートが主流になる」
「もっと言えばノートですら大きすぎる。
理想は手のひら端末」
「手帳くらいの大きさで何でもできるものがあれば流行る」
10年後にスマートフォンが登場 歴史上の必然
個人で持つコンピュータのひとつの最終形
パソコンの性能は頭打ち状態
「速いパソコン」の目安となる"CPU"の性能
売れ筋価格帯の製品
2000年 1.0GHz程度
2005年 2.0GHz程度
2013年 3.0GHz程度
上がり続けてはいるが、もはや違いを体感できる
ソフトは動画編集と一部のオンラインゲーム程度
ほとんどの人は5年前のパソコンでも困らない
パソコンの将来
再び限られた人たちのものになる
価格も上昇、もしくは激安品と高級品に二極化
現在でも
液晶モニタ:同じ程度の大きさで1万円と10万円
キーボード:1000円以下のもの、2万円のもの
「創造の道具」としてのパソコンの価値
プログラムを書いてソフトウェアを作る
ウェブサイトを作る、絵を描く、音を奏でる
その過程でプロの世界を知る
80年代~90年代にパソコンに触れた子ども
「なければ自分で作る」ことで成長できた
パソコンで作品を残す楽しみと意義が失われている
学校ではそこまでの指導は期待できない
「問題解決能力」が(結果として)育つ
複雑な部品が絡み合い、多数のソフトウェアが
動作するパソコンは基本的に「難しいもの」
「動かない」「変な画面になった」
「消えちゃった!」「何度やっても戻らない」
こうしたトラブルを根気よく解決していくことで
パソコン以外の問題も解決する力がつく
携帯、スマホ、ゲーム機など
リセットボタンを押す、それでもダメならお店に
持っていって直してもらえば済んでしまう
【2】
接続無料時代とスマートフォンの台頭
インターネット進化の30年
1990年代
2000年代
2010年代
創生期から一気に普及、常時接続
ソーシャルメディアの登場
3年間では目立つ変化無し
あと7年間、いま小学生の子が高校生になるまでに
インターネットの世界はどうなっているか?
利用料金無料の時代へ
インターネットの接続料金は無料に近づく
家にパソコンがなければ光ファイバーは不要
スマホで求められるのは高速な無線LAN(Wi-Fi)
すでに無料でWi-Fiを提供するサービスもある
(自販機、FON Free Internetなど)
「お金がかかるから子どもには使わせない」
が通用しなくなる
無線LAN(Wi-Fi)ルータが急速に普及中
WiMAX, LTE(xi, emobile), 4Gなど
1台の契約で10人まで同時使用可
スマホ自体にルータ機能を持つ機種もあり
数年前までは「使いすぎるから持たせない、
月額いくらと上限を決める」
などの決まりで子どもに持たせることができた
→ お金はかからなくなっている
IT企業はどうやって収益を上げるか
どのような企業が生き残るか
インターネットの接続環境を提供するビジネスは
無料化により成り立たなくなる
パソコンも売れない、周辺機器ももちろん売れない
携帯スマホも飽和状態で買い替え需要しかない
利用者の個人情報で利益を得る時代
Googleなどの検索サービス
→検索履歴を活用
Amazon, 楽天などのオンラインショップ
→購入履歴、閲覧履歴を活用
facebook, LINEなどのソーシャルメディア
→個人情報そのものを活用
「LINEが怖い」と言われる理由
LINEの利用規約より抜粋:
「NAVER LINEでは
電話番号、メールアドレス、アドレス帳、プロフィール情報、
携帯電話の端末情報などを以下の目的のために収集いたします。
NAVER LINEに登録している知り合いを検索、通知、自動登録するため
知り合いの可能性がある他の利用者を検索、通知できるようにするため
ご本人確認や不正利用防止のため
利用者の利便性向上、より良いサービス提供のための利用者傾向の分析などのため」
これらは「無料でサービスを利用できる」代償
LINEの
「友だち追加」設定
他にも「IDの検索を許可」が問題視
これらは初期状態で「オン」
LINEの魅力とは
○無料通話機能
◎メール機能(未読・既読が分かる)
◎「トーク」機能(チャット)
○「ホーム」機能(簡易ホームページ)
LINEの楽しさはチャットにあり
twitterもチャット的なリアルタイム性がある点で共通
チャットは今までのインターネットにない
「新しい」ものか?
2000
年頃の
テキスト
チャット
チャットの特徴
共時性(場所は離れていても同じ時間を共有)
ネット時代以前の長電話に相当
多くの仲間とひとつのことで盛り上がる楽しさ
→ネットに特有なものではない
普通に会話したほうが明らかに効率的だが、
文字だけの制約されたコミュニケーション
ならではの楽しさがある
同じ時間を共有する楽しさ:
パソコン通信時代のチャット
常時接続以前のインターネットチャット
LINEトークやtwitter
2ちゃんねるの「実況」
2013.9.8
東京五輪決定
2ch 実況板
2013.9.8
東京五輪決定
2ch 実況板
2013.10.23
NHK「朝イチ」
子どものネット依
存特集
2ch NHK実況板
「スマホでチャット」まとめ
LINEやtwitter自体に技術的な新しさはなく、
昔からある機能を使いやすく親しみやすく工夫し
たもの スタンプ(アバター)
スマホはどこでも持ち歩けるので常に人とつな
がっている感覚が得られる
本質はそれぞれが離れた場所に居ても同じ時間を
共有するコミュニケーションの楽しさにある
【3】
ネットで他人に知られる個人情報とは
「漏れる」のか「伝わる」のか
×(意図しない形で)「漏れる」
○(必要な情報として)「伝わる」
「メールを送った」とき
「ホームページを見た」とき
自分と相手のコンピュータ間で行われるやりとり
によって一定の情報が送られる
メールを出すことで相手に伝わる情報
自分のメールアドレス、日付、件名、本文
自分のパソコン固有のインターネットアドレス
(IPアドレス)
どこのプロバイダを使っているか
どんなメールソフトを使っているか
→同じアドレスでもパソコンとスマホで異なる
自分のパソコンに付けたコンピュータ名
メールのアリバイ工作失敗例その1:
「いま海外にいるのでしばらく会えません」
→そのメールの送信情報を見たら、
日本のプロバイダから送っていた
「まだ会社で残業中です」
→同じく送信情報から、自宅で使っている
プロバイダのアドレスから送っていた
メールのアリバイ工作失敗例その2:
とあるメーリングリストにて
Yahoo!メールなど無料アドレスを使い、
あたかも別人になりすましてそのメーリング
リストの管理人を批判する投稿をしていた人
その人が以前実名で私信を送ったメールの
送信情報と一致
プロバイダとコンピュータ名が同じだった
Webサイトの閲覧で相手に伝わる情報
自分のパソコン固有のインターネットアドレス
(IPアドレス)
どこのプロバイダを使っているか
どんなブラウザソフトを使っているか
どこの検索エンジンからどんなキーワードで
検索していたか
(ブックマークやアドレス直入力は除く)
名前や住所、出身校や勤め先は?
普通にアクセスするだけで相手に伝わることはない
自分が利用しているプロバイダや携帯電話会社でな
いとわからない
プロバイダ・電話会社には通信守秘義務があり、警
察などが絡まない限り特定個人の情報は
開示されない
それでも2ちゃんねるなどで簡単に
特定されるのはなぜか
「高額宝くじに当たった人」のその後と同じ
情報は漏れているのではなく自ら漏らしている
直接の知り合いや近所に住む他人からの情報
卒業アルバムや住所録、電話帳など
Googleキャッシュや「確認くん」「IPひろば」
「Wayback machine」などのサイトも有効
断片的な情報がたくさん集まり、それらを
まとめればひとつの実体となって見えてくる
ソーシャルメディアで容易に特定可能に
facebook, twitter, Google+などのソーシャル
メディアを使っている個人の特定は極めて簡単
これらのサービスを提供する企業は積極的に
個人情報を開示させようとしている
(設定を変えない限り最初から公開に設定、など)
個人情報を共有する社会への変化
初めてネットに触れたのがソーシャルメディア
という世代の意識
→「実名と顔写真載せて何か不都合ある?」
「便利なほうがいいじゃん」
社会も実名のインターネットを望んでいる
e.g. 就職活動にソーシャルメディアを活用
企業側にもメリットが多い
人生の失敗が許されない厳しい社会
「もう会いたくない人」からいつコンタクトが
来るかわからない
過去に失敗したことがネットに残り続ける
大きければ大きいほど社会復帰が難しい
e.g. 飲食店従業員の悪ふざけtwitter
世間は「若気の至り」で許してくれない
情報教育の遅れが生む悲劇
ソーシャル世代は自分のしたことでネットが
なぜ「炎上」しているか理解できない
「ゆとり教育」や彼らの能力の問題ではない
企業はネットの楽しい使い方しか教えない
学校は操作の仕方を教えるだけ
ネットの持つプラスマイナス両面での影響力の
大きさは失敗して初めてわかる
スマホは本来子どもが持つべきものではない
大人でも「教習所」が必要
家庭で何ができるか
親は知識を付け、問題意識を高める
「子どものほうが詳しいから」と
任せてしまうと手に負えなくなる
ネットで起こっている事件、注目を集めて
いる話題に敏感になる
古い世代の常識を越えたことが常に起こる世界
子どもを信頼し、管理しすぎない
特に中高生は親の言うことを聞かないもの
【4】
あらはしアカデミー情報教育講座
父母・大人対象の第2回は希望者が多ければ
実施したい
子ども対象の情報教育実習
小学4年生以上6年生までを対象に開講したい
中高生は別の難しさがあるので検討中
心身のバランスを取るため、彫塑や書道など
手を使う作業の講座と合わせて受講できるとよい
本日の講座は以上です
ご静聴ありがとうございました。
今後の参考にしたいので
ご意見ご感想をいただけると幸いです。