水溶性切削油の再利用

Download Report

Transcript 水溶性切削油の再利用

水溶性切削油の再利用
2004.11.13
香林工場 環境委員会
1
水溶性切削油の再利用
環境改善活動
20世紀の急激な経済成長は、一方で地球温暖化やオゾン層破
壊など地球環境への大きな影響をもたらした。21世紀は環境の世
紀と言われ、今日ではもはや資源やエネルギーを濫費する事は許
されなくなっている。また国内外の規制も段階的に強化され、環境
先進地域とされるEUの新規制が電機・自動車業界に重大な影響
を与え、当社を含めあらゆる業界・企業が環境対応を避けて通れ
ない状況にある。従来の大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とし
たモノ造りの考え方や遣り方を捨て、変革に挑戦して行かなけれ
ばならない。
2
水溶性切削油の再利用
環境方針
私達は「地球環境保全」が経営の最重要課題であることを認識し
「人と環境に優しい企業」を目指し
「WE LOVE PEOPLE WE LOVE EARTH」をスローガンに
全社員が環境保全の向上に努め
地域社会に調和した持続可能な事業活動を推進します
3
水溶性切削油の再利用
環境重点課題
ISO14001に基づく環境マネジメントシステムを経
営管理の一環と位置付け、環境負荷低減の目的
及び目標を設定
環境保全に関する法規制、地域協定等の要求事
項を遵守し、更に自主基準を設定
企画・設計・購買・生産・販売・使用・廃棄の全段
階を見通して、環境に配慮した製品を開発
ムダ、ムラ、ムリな動きを排除して働き方の効率
を高め、省資源・省エネ・少人を推進。
リデュース、リユース、リサイクルとムダ取りを徹
底追及し、廃棄物ゼロ
環境に影響を与える化学物質の適正管理と消費
・排出量の抑制により、環境汚染を予防
全社員の地球環境保全への意識向上を図
り、自主的な活動で社会に貢献
環境保全活動への取組みについて積極的
に情報を公開
4
水溶性切削油の再利用
ゼロエミッションとは
リデュース(排出抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(資源化し
て再利用)とムダ取りを徹底追及し、廃棄物ゼロを目指します。
先ずは産業廃棄物ゼロを達成し、次に一般廃棄物も含めて全て
の廃棄物ゼロ達成を目指します。この廃棄物ゼロは究極のムダ取
りです。従って、環境改善活動の中であらゆるムダを排除し、環境
への貢献を実現しながら経営への貢献も同時に実現します。
当社の定義は、「工場から出る産業廃棄物と特別産業廃棄物を
可能な限り、リサイクルすることで埋立量をゼロにする」である。
5
廃液総量(03/11~04/8月)
水溶性切削油の再利用
40,000
\800,000
錆止め剤
部品洗浄液
床洗浄液
水溶性切削油
処理費
25,000
\600,000
\500,000
20,000
\400,000
15,000
\300,000
10,000
\200,000
5,000
\100,000
平均処理費 ¥442,323/月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
04
/1
月
\0
12
月
0
03
/1
1月
廃液量[L]
30,000
\700,000
処理費[\17.85/L]
35,000
6
水溶性切削油の再利用
廃液の分別
・水溶性切削油(20,980L/月)
・床洗浄液(2,000L/月)
・部品洗浄液(1,200L/月)
・錆止め剤(800L/月)
床洗浄液
8%
錆止め剤
2%
部品洗浄液
5%
水溶性切削
油
85%
7
水溶性切削油の再利用
切削油購入量(03/11~04/8月)
2,000
\1,600,000
購入量
購入費
\1,400,000
\1,200,000
1,000
\800,000
購入費
\1,000,000
\600,000
500
\400,000
\200,000
平均購入費 ¥792,960/月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
04
/1
月
\0
12
月
0
03
/1
1月
購入量[L]
1,500
8
水溶性切削油の再利用
再利用試作機の製作に至る経緯
環境PJ方針:廃油(水溶性切削油)を無償で引き取れる業者を模索
無償引取業者が見つかったが、現取引業者では無理
業者、及び油種の変更を検討
水溶性切削油種の選定
新業者より「廃油量が多く、無償では無理」との回答
廃油のリユース化を検討
試作機の製作を検討
但し、成功が確約出来ない為、メーカーのデモ機借用や、
既存の部品・設備を使用し、費用の発生を極力抑える
9
水溶性切削油の再利用
切削油種による刃先磨耗比較
多溝荒引チップの刃先磨耗比較
(S12C冷鍛材 600溝加工後 切削速度450m/min)
変更前:シンタイロ
77EF
変更案:シムテック
410
上 面
正 面
左側面
右側面
10
水溶性切削油の再利用
水溶性切削油種の検討結果
変更後
変更前
・メーカー
BPジャパン㈱
・品名
シンタイロ 77EF
・濃度
5%(S12C材のみ7%)
・購入金額
¥123,900/200L
⇒¥619.5/1L
・メーカー
バレナイト ジャパン㈱
・品名
シムテック410
・濃度
4%
・購入金額
¥94,500/200L
⇒¥472.5/1L
11
水溶性切削油の再利用
再利用試作機の装置構成
12
水溶性切削油の再利用
ゆにくりーん
切削油表面に浮いた油を除去
処理能力:1L/min 揚程:1m
13
水溶性切削油の再利用
ゆにくりーんの構造
Qポット(Quick Suction Pot)システムは、吸い込み口が液面に
位置し、常に液面の変動に追随して表面の液のみを吸引する
Qポットを液中に設置する
と、ペローズ上部のフロー
トがQポット内部の液面に
浮かんだ状態となる。
吸い込み管からポンプに
よりQポット内部の液が吸
い出されると、液面を追随
してフロートが沈み、それ
と同期して沈む。Qポット
が沈むと、外側の浮上油
濃度の高い表面液のみが
Qポット内部に流れ込む。
流れ込んだ表面液により、
再びフロートが1の状態ま
で浮き上がる。
Qポットは上記の運動を液表面で繰り返し、常に液の高低に追随
して浮上油濃度の高い液表面を効率良く回収
14
水溶性切削油の再利用
処理前
ゆにくりーん処理前後の比較
処理中
処理後(除去された油分)
処理後
15
水溶性切削油の再利用
マグネットセパレーター
切削油内に混入した磁性体スラッジを除去
16
濾過装置
水溶性切削油の再利用
15μ以上の固形物粒子等のスラッジを除去
フィルスター KS-15
8~15L/min
サイクロンセパレーター CL-20
15~22L/min
17
処理前後の比較
水溶性切削油の再利用
転造油と潤滑油が浮遊
使
用
後
濾
過
後
新 品
18
水溶性切削油の再利用
切削油状態による刃先磨耗比較
多溝荒引チップの刃先磨耗比較(S12C冷鍛材 600溝加工後)
新液補給時
リユース時
上 面
正 面
左側面
有
意
差
無
し
右側面
19
水溶性切削油の再利用
リユース切削油による材質別刃先磨耗比較
SPHE 冷鍛
DSR3-MG01
荒
600溝
仕上
1,200溝
DS6C 熱鍛
DSR4-MG01
荒
700溝
仕上
1,400溝
S12C 冷鍛
HDR1-MG80
荒
595溝
仕上
1,190溝
上
面
正
面
左
側
面
右
側
面
20
水溶性切削油の再利用
再利用切削油の使用方法
NC旋盤のタンク内濃度4%を維持する為、リユース液の補給は、
水分蒸発による濃度上昇を補う目的で希釈し、濃度2%を目標とす
る。
21
濾過装置の選定
水溶性切削油の再利用
切削油中のバクテリアは、肌荒れ・アレルギー等の健康被害、及
び悪臭の原因となり、工場環境を悪化させる要因である
50,000
バクテリア数[個/ml]
10/4、濾過装置能力アップ
サイクロンセパレーター
フィルスター
地下ピット
40,000
30,000
バクテリア増殖
20,000
10/22、殺菌剤60ml投入
10,000
0
9/20
9/27
10/4
10/11 10/18
採取日
10/25
11/1
11/8
22
水溶性切削油の再利用
再利用による効果(廃液処理費)
40,000
25,000
\700,000
\600,000
\500,000
20,000
\400,000
15,000
\300,000
10,000
\200,000
5,000
平均処理費 ¥442,323/月 → ¥67,830/月
差額効果 ¥374,493/月 ⇒ ¥4,493,916/年
\100,000
10
月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
\0
12
月
04
/1
月
0
03
/1
1月
廃液量[L]
30,000
錆止め剤
部品洗浄液
床洗浄液
水溶性切削油
処理費
処理費[\17.85/L]
35,000
\800,000
23
水溶性切削油の再利用
再利用による効果(切削油購入費)
2,000
\1,600,000
購入量
購入費
\1,400,000
\1,200,000
1,000
\800,000
購入費
\1,000,000
\600,000
平均購入費 ¥792,960/月 → ¥283,500/月
500 差額効果 ¥509,460/月 ⇒ ¥6,113,520/年
\400,000
シンタイロ 77EF
\200,000
シムテック410
10
月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
\0
12
月
04
/1
月
0
03
/1
1月
購入量[L]
1,500
24
水溶性切削油の再利用
今後の課題
今後の課題
・バクテリア増殖数による殺菌剤投入時期の明確化
‥‥1回/週データ取りにより見極める
・供給方法の簡略化
現状は、台車で各設備へ搬入
・リユース専用機の製作
25
水溶性切削油の再利用
水平展開
地球環境保全を考え、
他工場にも今回行ったシステムを参考にし、
実施すべく検討して頂きたいと考えます。
26
水溶性切削油の再利用
今後の展望
リユース(濾過)装置
+
自動供給装置
+
自動濃度管理装
一元化へ
↓
大幅な管理費削減!
27