山形大学創出プロジェクト

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Transcript 山形大学創出プロジェクト

筑波大学大学研究センター主催
平成20年度 第2回Rcus大学マネジメントセミナー
山形大学SDと大地連携
~若手職員発の大学改革の展開~
山形大学マネージングプロフェッサー
教授 山崎 淳一郎
2008年10月23日
2ページ
山崎プロフィール
大阪大学 1980.4~1985.5〔5年2月〕工事経理/物品調達業務
文部省初等中等教育局職業教育課 1985.6~1987.2〔1年9月〕学習指導要領改訂
文部省初等中等教育局高等学校課 1987.2~1991.3〔4年1月〕
6年制中等学校・単位制高校制度/定時制・通信制高校修業年限弾力化/高校海外留学制度
放送大学学園 1991.4~1993.12〔2年8月〕学生募集/入学手続/カリキュラム改革
文部省大臣官房総務課 1993.12~1995.9〔1年10月〕国会連絡調整/広報・広聴
文部省高等教育局医学教育課 1995.10~2000.3〔4年6月〕
公立医
科大学・看護大学経常費助成/看護系大学・大学院設置
保健師・助産師・看護
師学校養成所指定規則等改定
山形大学総務課長 2000.4~2002.3〔2年〕工学部入試合否判定過誤問題/法人化対策
東京大学学務課長 2002.4~2004.3〔2年〕
大学
院制度/大学院入試/附属中等教育学校 担当
特命:国立大学協会の社団法人化/海洋研 研究船・乗組員移管問題
文科省研究振興局学術研究助成課学術団体専門官 2004.4~2006.3〔2年〕
科研費の審査、不正対策、繰越、機関指定/学会法人・研究助成法人指導監督
山形大学教授 2006.4~現在〔2年6月〕
科研費等外
部資金の獲得/プロジェクト型共同研究のコーディネート/
研究マネジメントの企画立案等 担当
山形大学版国際化推進プログラム(若手教員海外研修)制度化/競争的資金申請書ライターetc.
3ページ
index
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
山形大学の概要等
序説:山形大学SDを生んだもの
エリアキャンパスもがみ
山形大学SDの軌跡
Ⅴ 工学部入試過誤
Ⅳ 法人化に向けての若い力の胎動
Ⅶ 教職協働から教職・学生協働へ
4ページ
Ⅰ 山形大学の概要等
基本方針
①学生が主役となる大学創り
②教養教育の充実
ー結城プラン2008よりー
似顔絵イラスト:
地域教育文化学部4年生 小野としみ さん 作
5ページ
1.山形大学の概要
1949.5設置*6学部5研究科を擁する地方中規模総合大学
エリアキャンパス
もがみ
100km
鶴岡キャンパス
農学部
小白川キャンパス
人文学部
地域教育文化学部
理学部
飯田キャンパス
○学生数:9,284人=学部 7,971人、
大学院 1,313人
○職員数:1,846人=教員853人、職員993人
○H20収支予算
330億円
教育研究診療等 285億円
うち授業料等収入 54億円、
附属病院収入104億円、
運営費交付金120億円
外部資金
13億円
施設整備費補助金 32億円
○科学研究費補助金 4億円(239件)
50km
米沢キャンパス
医学部
○21世紀テーマ:自然と人間の共生
○Leading concept:
地域に根ざし、世界を目指す
○経営の基本方針:
◇学生が主役となる大学創り
◇教育、特に教養教育の充実
工学部
6ページ
2.教職協働の業務組織
2-1.エンロールメント・マネジメント室
◇平成18年7月設置。
◇昨年7月に配置した専門教員1名と事務職員4名の5名体制(専任)。
◇全国初の組織。
◇エンロールメント・マネジメント(EM)とは、学生募集(入口管理)や
就職指導(出口管理)だけでなく、その間の在学中の「学生満足」、
卒業生の「社会満足」をいかに高くするかの、大学と学生・親、社会と
の一貫した関係づくりの「支援」。
◇主な業務
①入試緊急対策の具体化・実践
オープンキャンパス、入試アドバイザー制度(高校訪問)
②山形大学ファクトブックの作成
学校基本調査、地域連携マッピング、外部資金・人事・財務・
学務・施設・附属図書館の各種データ
③調査研究 学生のニーズ調査が基本のWG設置
④卒業生への対応 各学部同窓会機能をサポート
7ページ
2-2.研究プロジェクト戦略室
科学研究費補助金等競争的資金獲得のための説明会の
開催、学部間共同研究のリエゾン等
室長
:河田 純男(研究担当理事)
専任教授:山﨑淳一郎(マネージング・プロフェッサー)
小嶋典夫
事務局 :企画部研究支援ユニット(4名)
◇設置 平成18年4月
◇目的
本学の研究の活性化を図り,科学研究費補助金等の各種 研究費助
成金,受託研究費,共同研究費等の外部資金獲得額の拡充を図るため,
本学の研究プロジェクトの調整及び国内外機関との共同研究を戦略的に
推進すること
◇業務内容
研究プロジェクトの全学的な調整,研究費助成金等の情報収集・応募
への支援等
8ページ
2-3.評価分析室
中期目標、中期計画、年度計画及び各種大学評価について全学的
観点からの取りまとめ
室長
:河田 純男(評価担当理事)
専任教員:山下泰弘准教授
構成員 :各学部・病院の教員、附属学校園長、事務局各部長
事務局:企画部経営企画ユニット(4名)
◇設置 平成17年10月
◇業務内容
①中期目標、中期計画、年度計画、点検・評価のとりまとめ
②中期目標に係る事業報告書、各事業年度に係る業務の
実績報告書の取りまとめ
③認証評価に係る自己評価書の取りまとめ
④認証評価に係る訪問調査対応 等
9ページ
Ⅱ 序説:山形大学SDを生んだもの
山形大学SDは、
大
学遺伝子の多様化 ブ
ルー・オーシャン戦略から
仙道前学長
10ページ
JUDO石井慧選手が金メダルを獲得した意味
日本柔道の真髄=投げ技一本勝ち
ところが!
世界JUDO=ポイント制する者が勝者
一本勝ちにこだわる日本柔道陣が惨敗
する中、いち早くこうした世界JUDOの
勝負のあや(環境変化)を読み取り、
ポイントを獲得するための試合運び、
逆転されないための精神力・スタミナ
の強化に傾注した戦略によって、目標を
達成した
11ページ
1.恐竜はなぜ絶滅したか?
環境の変化に対応できず
恐竜絶滅
では企業は?
(突然変異による生物の進化は役に立たなかった)
存続
会社の遺伝子情報をさまざまな方法で
変えることによって環境の変化に対応
しかし!
大学
会社の遺伝子情報を定期的にリエンジニアリング(変革)
しない会社は、恐竜同様激変する市場環境の餌食になる
社会環境
資料:「コアコンピタンス経営 未来への競争戦略」Gary Hamel,C.K.Prahalad著(1995年3月 日本経済新聞社)から引用
12ページ
2.多様な遺伝子の必要性
自分の遺伝子情報に縛られている会社は、新たな市場機会
や、業界の慣習に染まらない新興会社の挑戦に気づかず、
太刀打ちできなくなる
その結果
出遅れ企業
*経営幹部が価値が減り続ける知的財産を捨てきれず、新しい知的財産の
構築に十分投資を行わない会社
*知っているのは過去の知識にもかかわらず、実際以上に業界を熟知して
いると経営幹部が思いこんでいる会社
資料:「コアコンピタンス経営 未来への競争戦略」Gary Hamel,C.K.Prahalad著(1995年3月 日本経済新聞社)から引用
13ページ
3.多様な遺伝子を生み出す方法
【突然変異】
1.自然発生的に生まれる隠密プロジェクト、社内企業家制
度、分社化などのボトムアップ行動
→会社の未来に即効性ある大きなインパクトを生む遺伝子は生まれない
→こうした行動はいつしか挫折し、持続的なものとならない
会社に必要なのは、不規則・小規模な突然変異を待つ
ことではなく、会社の遺伝子を大胆にリエンジニアリン
グすること
【品種交配】
2.競合他社または異業種から役員を登用
→リエンジニアリング(変革)のスピードは遅く、影響が及ぶのは狭い範囲
(特定の人の認識、思いこみ、偏見)に限られる
資料:「コアコンピタンス経営 未来への競争戦略」Gary Hamel,C.K.Prahalad著(1995年3月 日本経済新聞社)から引用
14ページ
4.会社(組織)遺伝子を変革する
官僚的体質が強いほど、遺伝子の多様性は減少する
1.経営の枠組みのボルトを締め付けない
組織の規則、運営手続に適度の余地を残す
2.社員教育の場で過去の成功話を教え込まない
3.経営者に似た人材を安易に採用・昇進させない
経営幹部の思いこみや過去の知識を会社(組織)の管理運営システムに
持ち込まない
4.異なった遺伝子を持つ社員の声を会社経営に反映させる
経営幹部は社内(組織内)の慣習に挑戦する社員を見つけ、評価する
役員会まで上がってくる懸案プロジェクトは、既存の事
業体系と同じものばかりだ。私は従来の事業体系に当
てはまらない新規プロジェクトや、従来の事業体系を
変革してくれそうなプロジェクトを探している
資料:「コアコンピタンス経営 未来への競争戦略」Gary Hamel,C.K.Prahalad著(1995年3月 日本経済新聞社)から引用
15ページ
Ⅲ エリアキャンパスもがみ
職員育成
幅広い視野と専門的な能力を
備え、使命感と情熱に溢れる
プロパー職員集団を育成する
ー結城プラン2008よりー
似顔絵イラスト:
地域教育文化学部4年生 小野としみ さん 作
16ページ
1.エリアキャンパスもがみとは?
◇大学固有の教育施設を持たずに、最上地域の8市町村(新庄市・金山
町・最上町・舟形町・真室川町・大蔵村・鮭川村・戸沢村)が持つ
施設を活用し、出張大学祭、自然塾、タウンミーティング等の種々の
事業を展開するソフト型キャンパス。
◇平成17年3月、山形大学と最上地域の8市町村と包括的連携協定を締
結、エリアキャンパスもがみの取組がスタート。
◇地域とのダイナミックな双方向的連携により、「地域の活性化と人材育成」
と「学生の課題探求能力育成」が目的。
◇キャンパスは、キャンパス長と教員、現地スタッフ、それに「キャンパス生」
が在籍し、教職員・学生・地域住民からなる「キャンパス運営委員会」によっ
て運営。
◇本取組は山形大学SD合宿研修における若手職員の企画提案がきっかけ。
◇平成19年2月、日本計画行政学会 第11回計画賞最優秀賞を受賞。
17ページ
2.日本計画行政学会
第11回計画賞最優秀賞受賞
この賞は,優れた計画を発掘し,これを表彰することで社会全体の計画能力の
革新的進歩に大きく寄与することを目的としたもので,新しい社会的ニーズにこた
える革新性と将来の社会的変化に適応する先見性,他の計画策定への参考とな
るモデル性と新しい計画策定の道を切り開く発展性などの視点から評価を受ける。
エリアキャンパスもがみの取組は,非常にユニークでかつ実効を伴っていること,
高等教育機関のない地域を大学のソフト型キャンパスと位置付ける先進性が評
価された。特にややもすれば旧弊にとらわれがちな国立大学にあって,多くの障
害を乗り越え,現状を打破して,地域との連携を図っていこうとする大学の姿勢が
最も大きく評価された。
18ページ
3.エリアキャンパスもがみの運営体制
特徴
①「エリアキャンパスもがみ」と
いう統一ブランドにより、一体
感を強め、継続性・発展性あ
る事業を展開
②大学から地域への一方向の
サービス提供ではなく、大学
と地域が成果と負担を共有す
る、対等な連携関係
19ページ
山形大学
エリアキャンパスもがみ
4.採択事業
○文部科学省
・平成18年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム 地域活性化への貢献(広域型)
取組名称:エリアキャンパス未来遺産創造プロジェクト
・平成19年度社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム
事業名:里山保全と中山間地域活性化を相乗的に具現化する里地里山活動プラン
ナーの実践的養成
・平成18年度地域再生人材創出拠点形成事業(科学技術振興調整費)
取組名称:『食農の匠』育成プログラム~最上地域再生プロジェクト~
・平成19年度国際教育推進プラン事業(新庄市)
○文化庁
・平成19年度「文化芸術による創造のまち支援事業」
(大学と地域との交流・連携の促進事業)
20ページ
5.エリアキャンパスもがみの教育実践
<現地体験型地域共育プログラム>平成18年度~
①初年次教育「フィールドワーク共生の森もがみ」
1.地域貢献効果
学生は最上広域圏に滞在し、自然や伝統文化を活かした草の根の人材育成活
動を実体験し、地域住民との交流を行う。学生教育と地域の活性化をともに体
現するのがねらい。
2.寄付授業
最上広域圏の各自治体・関係団体がプログラムを作成、人的・経費的支援を行
い、山形大学に提供する「寄付授業」として実施。毎年継続して開講することに
より、広域圏の大きな財産に。
3.履修要件
◇前期・後期あわせて22プログラム開講。
◇一泊二日の授業を2回受講…2単位
◇活動拠点=廃校となった小・中学校、利用頻度の低い公民館など
②専門教育「もがみ専門科目」
人文学部 地域づくり特別演習(金山町)
地域教育文化学部 教育実習(新庄市)教育実践研究・総合的学習(戸沢村)
理学部 野外巡検(新庄市)
21ページ
事例1:「伝承 鮭川歌舞伎」~歴史を感じる~(鮭川村)
鮭川村に伝わる「鮭川歌舞伎」(平成18年山形県無形文化財指定)の歴史的背
景を学ぶとともに、衣装を身につけ、台詞や演技を習得する。最終日には実際に
舞台に立ち上演する。 <講師> 佐藤雄昭 鮭川歌舞伎保存会座長
鮭川歌舞伎の実演。舞台に立つ学生たち
22ページ
事例2:里の自然文化研究講座~
冬の里山と郷土料理編~(戸沢村)
冬の里山の自然と文化は、複雑な里の生態系のバランスのもとで成り立ってい
る。それらを体験し学ぶことで、里に生きる知恵と技術にふれ、そのライフスタイ
ルの今後の可能性を探求する。
<講師> 斎藤久一 角川里の自然環境学校代表 ほか
マタギ体験のためかんじきを履いて里山に向かう学生たち
23ページ
事例3:山村活性化調査隊(真室川町)
過疎化が進む山村にあって、いかにすれば地域が元気になるのかを、実際の体
験や地域住民との交流を通して考える。山村の魅力や今抱えている課題、住民
の願いなどを感じ取るとともに、これからどんなことをしていけばいいのかを学生
の視点で提言してほしい。
<講師> 佐藤忠男 小又地区公民館長 ほか
みずを採集し、みずを使った郷土料理の下ごしらえをしている場面
24ページ
6.エリアキャンパスもがみ誕生秘話
◇エリアキャンパスもがみは、若手職員の企画提案がきっ
かけ
◇仙道前学長が主導した中堅事務職員研修がはじまり
山形大学初の新しい大学全体の取組を!
従来の(意思決定)方式でないものを!
学長裁量経費による新プロジェクトの募集で!
これが、山形大学的大学遺伝子の多様化
ブルーオーシャン戦略のスタート!
25ページ
Ⅳ 山形大学SDの軌跡
職員育成
幅広い視野と専門的な能力を
備え、使命感と情熱に溢れる
プロパー職員集団を育成する
ー結城プラン2008よりー
似顔絵イラスト:
地域教育文化学部4年生 小野としみ さん 作
26ページ
1.山形大学SDのコンセプト
1.教授会→評議会→役員会or委員会→評議会→役員会という重厚な意思決定シ
ステムではない、学内NGO、NPO的事務職員参加による新たな意思決定システ
ムの構築
ボトムアップに基づいたトップダウン:大学運営基本モデル
2.合宿セミナーによる議論及び教職員・市民対象の発表会を組み合わせた若手
中堅事務職員の企画・運営・交渉・プレゼンテーション能力開発
Of the staff, by the staff, for the staff の実践
3.PBL(Project Based Learning)型能力開発
☆提案されたプロジェクトは、大学の事業に発展する仕組み
☆プロジェクトリーダーは主に企画提案した事務職員
4.大地(大学と地域)連携
☆地域との結びつきを草の根(現場)レベルで展開
27ページ
2.中堅事務職員合宿セミナーのあゆみ
企画力
運営力
プレゼンテーション力
戦
略
企画力 運営力 調査力
交渉力 プレゼンテーション力
大地連携(地域連携)=地元力
評価・点検
文章力
大 学 の 事 業 シ ー ズ 発 掘
企 画
事業数
17事業
3
名
」〕
」〕
15年度
16年度
」
*
第
3
回
【
社
会
貢
献
】
18
名
〔
6
班
3
名
〕
17年度
第
4
回
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D
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り
」
霞
出
版
刊
「第
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事歩
務
改み
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大 17
学名
-
24
名
〔
8
班
報
告
書
「
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S
-
第
2
回
【
社
会
貢
献
】
7事業
×
6
名
報
告
書
「
山
形
大
学
活
性
化
プ
ロ
ジ
ェ
ク
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×
*
30
名
〔
5
班
×
報
告
書
「
山
形
大
学
創
出
プ
ロ
ジ
ェ
ク
ト
第
1
回
【
大
学
改
革
】
8事業
18・19年度
SUCCESS:Skill building, Up to date, Challenging, Creative and Encouraging Study program for the YU Staff
28ページ
3.山形大学地域連携推進協議会主催シンポジウム
「おらほと大学なじょすっぺ」
開会の挨拶 仙道学長
美しい自然に囲まれたこの山形で…
基調講演首都圏私大O大学M副学長:
さきほど学長は「美しい自然に囲まれた山形…」といったが、そんなものは日本国中どこに
でもあり、山形ブランドでもなんでもない…
法人化を前に、大学のシステムの中に、改革のための方策を樹立するため努力すること
は、学長に要請される重要な課題の一つ。
法人化により学長権限が強化されると人は言うが、動脈硬化に陥った老人(学長)の思
いつきで妙な案が出され、それが実行に移されるのでは大学の構成員はたまったもので
はない。
大学の内在する問題点を見つけ出しそれを改良していくシステム、時代を先取りするよう
なアイデアを考え出し、それを学長に提言していくシステムなどの存在なしには、山形大学
は基本的に変わらない。
(第1回山形大学中堅事務職員合宿セミナー説明会:学長趣旨説明より抜粋)
29ページ
8.会社(組織)遺伝子を変革する(再掲)
官僚的体質が強いほど、遺伝子の多様性は減少する
1.経営の枠組みのボルトを締め付けない
組織の規則、運営手続に適度の余地を残す
2.社員教育の場で過去の成功話を教え込まない
3.経営者に似た人材を安易に採用・昇進させない
経営幹部の思いこみや過去の知識を会社(組織)の管理運営システムに
持ち込まない
4.異なった遺伝子を持つ社員の声を会社経営に反映させる
経営幹部は社内(組織内)の慣習に挑戦する社員を見つけ、評価する
役員会まで上がってくる懸案プロジェクトは、既存の事
業体系と同じものばかりだ。私は従来の事業体系に当
てはまらない新規プロジェクトや、従来の事業体系を
変革してくれそうなプロジェクトを探している
資料:「コアコンピタンス経営 未来への競争戦略」Gary Hamel,C.K.Prahalad著(1995年3月 日本経済新聞社)から引用
30ページ
4.SD構想の検討
15.2.17 仙道学長から、若手職員に検討指令
*山形大学初の取組
*学長裁量経費による公募プロジェクトの構想づくり
15.2.20 学長の私的懇談会発足 教員数名+若手事務職員若干名
◇教育学部(当時)小田教授の発案でSD構想まとまる
15.3.14 学長から、「学長裁量経費によるプランの募集案」提示
*山形大学全体の発展のためのプロジェクト
*
教員と職員の真の協力による、未来に羽ばたく山形大学の樹立
15.3.20 学長へ、SD構想提案→SD始動
◇平成15年度第1回山形大学事務職員研修会「蔵王合宿セミナー」
コンセプト=相互研鑽による新しい山形大学の創出
キャッチフレーズ=明るく、楽しく、そして誇り高く。
みんなで新生山形大学を創り上げよう!
31ページ
5.合宿セミナーへの道
15.5.29 第1回合宿セミナー研修生応募
<目的>
事務職員の交流を図り、職務と組織の意義を再確認することで、事務職員が大学の認
識を新たにするとともに、学長と意見交換を行い、新しい山形大学を創るためのシステム
の構築を目指す
<対象>30~45歳の中堅事務職員 20名程度
<場所>山形大学蔵王山寮 (1泊2日)
15.6.18 研修生決定 30名
15.6.24 合宿セミナー事前説明会開催
この合宿セミナーは、単に学長と中堅職員が蔵王に行って、酒を飲んで親しくなることだ
けのために開催されるのではなく(これも大変大事と思うが)、山大改革へ向けた一歩とし
て位置付けられるもの。
具体的には、このセミナーの中で提出されたプロジェクトが、山形大学改革に資するもの
であれば、それを学長の主導のもとに施行してみたい。このセミナーを新生山形大学設立
の第1ページにするために、諸君のこのセミナーに対する積極的なコミットメントを強く期待
する。
(第1回山形大学中堅事務職員合宿セミナー説明会:学長趣旨説明より抜粋)
32ページ
6.第1回合宿セミナー(1/2)
■日程:7月14日~15日
■テーマ:大学改革
■班編成:1組6人×5班
■プログラム:4部構成
Ⅰ 山形大学:ニーズと課題
Ⅲ 山形大学創出プロジェクト
Ⅱ 山形大学をどのような大学にするか
Ⅳ 全体討論:プロジェクトを具体化するために
Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ部の構成(各90分)
◇講師によるプログラム説明(10分)
◇班別討議(50分)司会者・記録者・発表者を分担
◇各班発表(20分 4分×5班)OHPによる発表
◇質疑応答(10分)
プログラムⅠ 山形大学:ニーズと課題
①山形大学には何が求められているのか?
②山形大学が置かれている状況分析
長所/短所/その理由・原因
③現実的な制約・問題点、改革の必要性
33ページ
6.第1回合宿セミナー(2/2)
プログラムⅡ 山形大学をどのような大学にするか
①山形大学の理念・目標
・自覚的に個性的な校風を作り出していく
・個性的な山形大学像(理念・目標、キャッチフレーズ)
②方略(考えられるいくつかの方法、実現可能性)
③いま事務職員に何ができるか
プログラムⅢ 山形大学創出プロジェクト
①計画(主な活動、資源、時期、担当、責任、企画書など)
◇その宣伝・普及の方法 ◇15年度後期から何が着手できるか ◇組織論
②評価 ◇目標を達成できたかどうかを検証
プログラムⅣ 全体討論:プロジェクトを具体化するために
プロジェクトを具体化するための戦略などを検討
◇プロジェクトの優先順位 ◇プロジェクトの合体など
◇発表会の運営方法
◇報告書作成責任者の決定
15.7.25 合宿セミナー報告会開催
15.9
合宿セミナー報告書作成
34ページ
7.山形大学創出プロジェクト
プロジェクトをきっかけに始まった事業
【広報の改善充実】
①利用者にやさしいホームページ作成
②インターネット広告(バナー・HPへのリンク)
③マスメディアを利用した本学の教育・研究活動のPR
④市街広告等による本学の教育・研究活動のPR
⑤インフォーメーションセンターの設置
【社会貢献への取組】
⑥附属図書館所蔵中条家文書のレプリカ作成
⑦「山形大学ってこんなところ」
⑧健康センターの設置
⑨オープンキャンパスの実施
⑩公開講座の充実
⑪小中学生のためのオープンスクール
⑫正門の整備
⑬附属図書館の整備
【組織の改革】
⑭情報評価室「東京分室(仮称)」創設
⑮「ISO14001」の認証取得
⑯留学生センター「中国サテライト(仮称)」の創設
⑰「YUSO(財団法人山形大学後援会)」の創設
35ページ
8.第2回SD研修「活性化プロジェクト」
平成16年度は、職員が大学を出て県内の市町村役場に出向き、地域住民と共同
でプロジェクトを作り上げる「山形大学活性化プロジェクト」として実施。
■テーマ
■目的
社会貢献
①山形大学事務職員の企画・調査・交渉・プレゼンテー
ション能力の開発
②山形大学と県内市町村との連携強化
③市町村との連携プロジェクトの作成
■研修対象者 中堅事務職員(25歳から46歳まで)
■班構成
3名×8班(計24名)
■スケジュール
7月27日
合宿セミナー事前説明会
8月~9月
研修期間
9月6日
中間報告会
10月4日~5日 最終報告会(1泊2日合宿)
10月26日
発表会(山形大学職員、自治体関係者、市民)
11月30日
報告書作成
36ページ
9.活性化プロジェクトのコンセプト
山形大学の地域連携は、事務職員の力によって開
拓する。
1.事務職員の多くは山形県の出身者であること。
2.山形県の様々な事情に精通し、子どものころから培っ
てきた地縁・血縁の人脈が豊富であること。
3.そうした財産は教員にはない。
4.地域連携を緒につけるためには、この資源を活用する
ことが最適であること。
これが、山形大学の大地連携戦略
37ページ
平成16年7月28日 山形新聞
事務職も地域の中へ-山形大プロジェクト2年目-
自治体と連携 共同事業も視野
「山形大学活性化プロジェクト-地域に飛び出してみよう」は27日、プロジェクトに参加する同大
職員を対象とした説明会を開き、スタートした。…職員が実際に市町村に出向き、可能であれば自
治体と同大の「共同事業」にまで発展させる。
…それぞれの班が興味を持った分野に積極的に取り組む自治体を実際に訪問し、生の声を聞いた
上で、地域に貢献するために大学としてできることを模索していく。必要に応じて、教授ら教員、
学生の協力を得ながら、事業の企画・立案を進めていく。…
…仙道富士郎学長は「トップダウンではなく、下からの意見を重視するボトムアップ型の事業と
したい」とあいさつした。
という内容
38ページ
10.第2回SD研修「活性化プロジェクト」
焼き畑農業、わさび
栽培実習:旧朝日村
森の学校の開校:
旧朝日村
鮭まつりにおける
「山形大学触れ合い
コーナー」の設置
県内移動オープン・
キャンパス
「1日山形大学」
大蔵村自然塾
-四季を楽しもう-
学生主体の地域連携
授業「大石田町に出か
けよう!」の開講
村山地場農産物を
用いたヘルシーメ
ニューコンテスト
廃校利活用プロジェ
クトin朝日町
平成17年度大学事業採択
平成17年度学部事業採択
平成16年度大学事業採択
実施化検討
39ページ
11.エリアキャンパスもがみ誕生(1/3)
県内移動オープン・キャンパス「一日山形大学」班の取組
7月27日
7月28日
7月29日
8月11日
合宿セミナー事前説明会
新庄市教育委員会管理課に事業趣旨説明
新庄市へ訪問日時アポ取り
新庄市役所訪問(第1回目)
【当初の提案内容(概要)】
1 山形大学のキャンパスのない最上地域(新庄市)に山形大学を創出するこ
とが目的。
2 新庄市での「1日山形大学(仮称)」の開催
◇サッカー教室、人形劇団の公演等小学生向け事業
◇理科実験教室、ものづくり教室等中学生向け事業
◇研究室紹介、模擬講義など高校生向け事業
◇在学状況の報告等新庄市出身で本学在学者の父兄向け事業
3 大学と地域の連携事業例をリストアップし、新庄市内の学校・企業・市民
に対するアンケートを実施。新庄市民のニーズに応える事業を実施する。
40ページ
11.エリアキャンパスもがみ誕生(2/3)
県内移動オープン・キャンパス「一日山形大学」班の取組
8月20日
新庄東高校、新庄神室産業高校、新庄南高校、
新庄北高校、新庄市役所(第2回目)、
最上広域教育研究センター訪問
当班の認識
◇小中学校教員のための研修センター
◇教育学部のリモート講義設備配置→市民のための公開講座などを画策
センターからの逆提案!
最上地区山形大学指首野川キャンパス(仮称)構想
◇公開講座の開催、教職員研修の充実、リカレント教育の拡充など
◇支援団体の組織化による運営
41ページ
山形大学指野川キャンパス構想
地域〔最上広域組合〕の大きな期待に溢れた逆提案
42ページ
11.エリアキャンパスもがみ誕生(3/3)
県内移動オープン・キャンパス「一日山形大学」班の取組
9月7日
最上広域教育研究センター訪問(第2回)
【最上地区山形大学指首野川キャンパス(仮称)構想】
1 センターを教職員の研修のほか、地元企業から要望のあるリカレント教育
のための利活用の場に見直し
2 地域の教育関係団体、山形大学同窓会、関連企業等で支援団体を組織し、
山形大学の財政支出は伴わないようにする。
3 支援団体から非常勤職員を配置する。
学長に報告→「山形大学としてありがたい話なので今後も進めるように」
9月8日
本構想を検討するプロジェクトチーム発足
43ページ
12.ブルーオーシャン戦略とは…
レッドオーシャン(既知の市場空間。限られたパイを求めて多くの企業が少ないシェア
争いを展開するが、得られる利益や成長見通しは厳しい市場)を抜け出し、競争のない
好業績を得られる市場=ブルーオーシャンを創造しようという戦略
〔2004.10 Harvard Business Review W・チャン・キム、レネ・モボルニュ〕
マイケル・ポーター「成長の戦略」
【戦略の優位性】
【
戦
略
タ
ー
ゲ
ッ
ト
】
業広
界範
全・
体
的特
な定
範・
囲限
定
顧客に価値ある差異
を認めてもらう
低価格の実現
差別化戦略
コストリーダー
シップ戦略
集中戦略
〔差別化戦略orコストリーダーシップ戦略〕
両戦略を同時に実現
ブルー・オーシャン戦略
資料:「ビジネスプランニングの達人になる法」志村勉著(2008年2月 PHP研究所) から引用
44ページ
13.ブルーオーシャン戦略策定手法
4つのアクション〔増やす・付け加える・取り除く・減らす〕を駆使して価値最大化
4つのアクション
「取り除く」と「付け加える」は価値最大化のチャンス!
増やす
業界標準と比べて大胆に
増やすべき要素は何か
取り除く
業界常識として製品やサービ
スに備わっている要素のうち
取り除くべきものは何か
競合他社よりコスト
面で優位に立つ
買い手にとっての
価値を高め、新た
な需要を生み出す
付け加える
新しい価値曲線
業界でこれまで提供されてい
ないが、今後加えるべき要素
は何か
減らす
業界標準と比べて思い切り
減らすべき要素は何か
資料:「ビジネスプランニングの達人になる法」志村勉著(2008年2月 PHP研究所) から引用
45ページ
14.山形大学SDのブルーオーシャン戦略分析(1/2)
山形大学SDのアクション・マトリクス
取り除く
◇講義・講演型研修スタイル
◇著名(高額)な講師陣
減らす
◇コスト
◇特定分野のスキル向上
増やす
◇グループ討論・発表
付け加える
◇職員の企画・運営・調査・交渉・
プレゼンテーション能力開発
◇大学事業シーズの発掘
◇課題の明確化
◇大地連携
◇職員の参加意識、地元力
46ページ
14.山形大学SDのブルーオーシャン戦略分析(2/2)
160
山形大学SDの戦略キャンバス(イメージ)
140
120
バリュー・イノベーションの実現
100
山大SD
従来の研修
80
60
40
20
0
コ 事企
ス 務画
ト 局・
運
営
は
著
名
な
講
師
陣
講 ル特
義 向定
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明
確
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力
向
上
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携
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力
47ページ
Ⅴ 工学部入試過誤
職員育成
幅広い視野と専門的な能力を
備え、使命感と情熱に溢れる
プロパー職員集団を育成する
ー結城プラン2008よりー
似顔絵イラスト:
地域教育文化学部4年生 小野としみ さん 作
48ページ
1.工学部入試過誤とは…(1/2)
~「あ、偶数じゃなくて奇数だ。」~
1.平成13年5月14日、平成13年度入試の受験生からの情報公開
請求によって、平成13年度の一般入試「国語」において合否判定
過誤が判明。
2.大学入試センター試験の「国語(近代以降の文)」の成績を2倍して
200点満点に換算して判定すべきところ、「国語(近代以降の文章、
古文、漢文)」の成績の合計点(素点)を判定資料としたことによる
過誤。
3.その結果、本来合格であるのに不合格とされた受験生が90名、不
合格であるのに合格となり学生となった者が93名いることが判明。
4.過誤は、学習指導要領の改訂によるシステム変更を行った平成9年
度からの可能性が…
5.合否判定をやり直した結果、問い合わせた受験生の成績は、〔当初
判定〕不合格→〔再判定〕不合格に。
49ページ
1.工学部入試過誤とは…(2/2)
~初動対応がすべての鍵となる~
【想定された選択肢】
①当該受験生に対して、合否判定をやり直した結果不合格
と伝える。そのほかの対応は大学として行わない。
②過誤の可能性のある平成9年度から平成12年度について
も、徹底的な調査を行う。調査判明後、当該受験生の
対応と同時に、マスコミに公表、謝罪会見をする。
③②と同様平成9~12年度の調査は行うが、平成13年度
の
結果は、速やかにマスコミに公表、謝罪会見をする。
④③は行うが、その前に被害を受けた受験生及び保護者
に対し、謝罪文の送達、電話・対面による謝罪開始。
50ページ
2.第1回記者会会見
~隠蔽はせず、すべて情報公開する方針に~
平成13年5月18日
1.第1次調査の結果が判明。
2.当日午後、NHK山形放送局から、本事案を本日夜の全国ニュースで報道する
旨予告。
3.いわゆる「御前会議」で、次のことを決めた。
①徹底的な調査、原因究明を行うこと、全てを情報公開すること
②当日、午後8時に記者会見を行うこと
③5月21日に文科省に事案の報告に行くこと
④今後の対応策
ⅰ 本来は不合格なのに誤って合格となった者93名は改めて不合格としない。
ⅱ 誤って不合格とされた受験生90名は、事情を説明・謝罪した上で、入学
意思の確認をし、入学希望者は入学を受け入れる。その際、本人の不利益
は、大学を挙げてその解消に努める。
ⅲ 平成12年度以前の該当者も同様に対応する。
⑤事実関係の説明
⑥今後の防止策
51ページ
3.事務局総務課長としての心構え
1.対応を誤ると、国立大学とはいえ、大学消滅の危機に至るのでは?
2.山形大学では、地震等自然災害を含めた危機管理体制がなくいかに対
処するか処方箋がない!
3.担当する入試課長が発覚1週間で過労のためダウン。担当部署の学務
部は機能停止の状態。
4.通常なら、総務課は広報担当としてマスコミ対応が主な仕事。しかし、大
学の存亡を左右する非常事態。
5.総務課長がこの問題処理の司令塔の役割を担い、その全責任を自ら負
う決意で判断権限を集約・一元化。
6.本部の事実上の指揮・監督は総務課長が担い、少数精鋭の課長補佐・
係長でのプロジェクト型で問題処理に当たる。
7.大学存亡の危機ではあるが、これを起点として大学が大きく変えるチャ
ンスに転換することができる!
52ページ
4.2001.5.25 記者会見(1/3)
1.受入の基本方針
① 合格者が工学部に入学・転入学・編入学・学士入学を希望する場合、文
科省・現在所属の教育機関と協議の上、原則として受け入れる。
② 合格者の状況はそれぞれ異なることから、緊急性・必要性の高い順に対
応し、受け入れる。一般的には、当該合格者のうち、特に緊急性・必要性
の高い者(例:大学進学のため勉学中の者)については、迅速な対応に努
める。
2.受入のための手続き上の基本方針
①合格者に対する謝罪文(詫び状)の送付
当該合格者に対し、学長名文書により謝罪する。
②合格通知書の送付
謝罪文の中で合格者であることを言及しているため、原則として合格通知書は
送付しない。ただし、大学側から当該合格者に合格通知書の要否を確認の上、
請求がある場合は合格通知書を送付する。
③受験生に対する入試情報の開示
入試過誤に伴う受験生の動揺の防止、合格者に対する迅速な救済措置のため
、平成9年度以降の工学部受験生に対して、入試情報を工学部で開示する
53ページ
4.2001.5.25 記者会見(2/3)
3.補償に対する基本方針
①入学希望者に対する経済的損失に関する補償
合格発表以降の追加費用(当時、本学に入学していればかからなかったであろう
費用)について、文科省と協議しながら、誠意を持って対応していきたい。(例:受
験料、入学料、授業料、移転料、家賃等)
②入学を希望しない者に対する経済的損失に関する補償
今後、個々具体のケースに応じ、文科省と協議しながら、その対応について検討
していきたい。
③「支援基金」の創設
当該合格者に対する経済的困難に対する支援を行うため、工学部教授会構成
員からの拠出金による「支援基金」を創設して合格者への見舞金、就学中の教育
面での支援(例:奨学金)を行う。
54ページ
4.2001.5.25 記者会見(3/3)
4.入学後の修学上・生活上の配慮に対する基本方針
【修学上の配慮】
○平成13年度前期入学者
6月末までに入学手続をし、7-8月に特別クラス編成により授業を行う。必要に
応じて、9月初旬に補講を行う。10月から後期の授業開始。
○平成13年度後期入学者
7月中旬に入学手続をし、9月下旬に入学式・ガイダンスを実施し、10月から後期
の授業開始。
○平成14年度前期入学者
2月中旬に入学手続をし、4月上旬に入学式・ガイダンスを実施し、前期の授業開
始。
【生活上の配慮】
○下宿、アパート等の斡旋や学生相談室の充実による入学者の心のケアなどを
行う。
55ページ
Ⅵ 法人化に向けての若い力の胎動
~入試過誤・法人化による危機意識発現~
職員育成
幅広い視野と専門的な能力を
備え、使命感と情熱に溢れる
プロパー職員集団を育成する
ー結城プラン2008よりー
似顔絵イラスト:
地域教育文化学部4年生 小野としみ さん 作
56ページ
1.大学(国立大学)の構造改革の方針
平成13年6月
-活力に富み国際競争力のある国公私立大学づくりの一環として-
1.国立大学の再編・統合を大胆に進める。
○各大学や分野ごとの状況を踏まえ再編・統合
・教員養成系など→規模の縮小・再編(地方移管等も検討)
・単科大(医科大など)→他大学との統合等(同上)
・県域を越えた大学・学部間の再編・統合 など
○国立大学の数の大幅な削減を目指す→スクラップ・アンド・ビルドで活性化
2.国立大学に民間的発想の経営手法を導入する。
○大学役員や経営組織に外部の専門家を登用
○経営責任の明確化により機動的・戦略的に大学を運営
○能力主義・業績主義に立った新しい人事システムを導入
○国立大学の機能の一部を分離・独立(独立採算制を導入)
・附属学校、ビジネススクール等から対象を検討
→新しい「国立大学法人」に早期移行
3.大学に第三者評価による競争原理を導入する。
○専門家・民間人が参画する第三者評価システムを導入
・「大学評価・学位授与機構」等を活用
○評価結果を学生・企業・助成団体など国民、社会に全面公開
○評価結果に応じて資金を重点配分
○国公私を通じた競争的資金を拡充→国公私「トップ30」を世界最高水準に育成
※文部科学省公表資料
57ページ
2.国立大学法人化への対応
◇平成13年7月、「国立大学の独立行政法人化に関する調査
研究協力者会議」の設置とともに、国立大学の法人化の議
論が活発化
◇山形大学でも、文科省高等教育局担当官を招いて、オー
ダーメイド独法化論の理解を伸長させる
◇大学の統合問題をめぐって、自民党県連、山形県等への説
明
教育学部→福島大
学・宮城教育大学と統合
工学部→福島大学と統
合
農学部→新潟大学との統合 な
どの噂
58ページ
3.若手職員「法人化改革レポート」
山形大学リニューアル・プランー今、山形大学がとるべき行動ー
平成13年11月19日
◇30代前半の若手職員4名が勤務時間外に自己啓発のた
め、自主的に、法人化に向けた「山形大学の将来構想」案
の策定を目指し、10月に勉強会を組織。1ヶ月の議論を
経ての成果物がこのレポート。
◇「学生に魅力ある大学」、「地域に大切にされる大学」、「北
東アジア地域との連携を重視する国際大学」など、将来を
見据えた山形大学が目指すビジョンとともに、事務職員の
能力開発方策を提言。タウンミーティング、エンロールメン
ト・マーケティングや大学の営業マン的人材の育成など、
現在の山形大学改革の源流がここに。
◇このほか、南東北3大学の統合試案が盛り込まれ、遠山
プランを強く意識。
59ページ
4.学長と4人衆の出会い
◇冒頭、
「山形大学が無くなるかもしれない。」そんなことを考えたことがあっただ
ろうか?で始まるレポート。
一般係員レベルで取りまとめた「将来構想(案)」がそのまま採択
されることは全く想定していないが、希望することはただ一つ、早急
にアクションを起こしていただきたい…本学がこのたびの変革期を乗
り越え、この地に根ざして、更なる発展を進めていくために、全学的
な検討の開始を切に切望したい。
◇30代前半の若手職員4名のこうした熱いメッセージをこのままにして
はおけない。
◇総務課長(私)は、学長にこのレポートを伝え、彼らのことを話し
た。学長はこのレポートに痛く感激し、彼らとの懇談が実現。
◇この懇談会が全てのはじまり。その後、学長は4人衆(総務課長が命
名したことになっている。)を様々な企画立案に登用することとなって
いく。
60ページ
4.SD構想の検討(再掲)
15.2.17 仙道学長から、若手職員に検討指令
*山形大学初の取組
*学長裁量経費による公募プロジェクトの構想づくり
15.2.20 学長の私的懇談会発足 教員数名+若手事務職員若干名
◇教育学部(当時)小田教授の発案でSD構想まとまる
15.3.14 学長から、「学長裁量経費によるプランの募集案」提示
*山形大学全体の発展のためのプロジェクト
*
教員と職員の真の協力による、未来に羽ばたく山形大学の樹立
15.3.20 学長へ、SD構想提案→SD始動
◇平成15年度第1回山形大学事務職員研修会「蔵王合宿セミナー」
コンセプト=相互研鑽による新しい山形大学の創出
キャッチフレーズ=明るく、楽しく、そして誇り高く。
みんなで新生山形大学を創り上げよう!
61ページ
Ⅶ 教職協働から教職・学生協働へ
~SD研修のマインドは進化する~
職員育成
幅広い視野と専門的な能力を
備え、使命感と情熱に溢れる
プロパー職員集団を育成する
ー結城プラン2008よりー
似顔絵イラスト:
地域教育文化学部4年生 小野としみ さん 作
62ページ
若手職員提案の輪講会
◇もう一度「大学とは何か」を根本から考察することを目的に就職して1
~10数年の若手・中堅職員と理事、高等教育企画センター、評価分
析室、EM室等所属の専任教員がメンバーの勉強会。
◇「原点に立ち返っての大学改革」館昭桜美林大学教授・著をテキスト
として、山形大学改革の懸案事項を絡ませまがら、週1回のペースで
議論を展開。
◇若手職員主導で企画し、全員がモデレーター、講師、受講者の役割
を交代し、講義・ディスカッションを展開する全員参加型の円卓会議
方式。
◇輪講会の「Web会議」サイトを設け、Webでも意見交換を進め、将
来的には大学のシンクタンク機能へ発展させようと志向。
63ページ
「原点に立ち返っての大学改革」
1.リベラル・アーツと教養
2.プロフェッショナル・スクールと専門
職大学院
3.ディシプリンと専門
4.インターディシプリナリーと学際
5.リサーチと研究
6.パブリック・サービスと社会貢献
7.ディグリーと学位
教職協働から、教員・職員・学生協働の取組をめざして
64ページ
山形大学山澤進奨学金「山形俊才育成プロジェクト」
「株式会社ヤマザワ」山澤進代表取締役会長様からの奨学金のお申し出により、平成19年度学
部入学者から「山形俊才育成プロジェクト」がスタート。山形県の振興に資する優れた人材育成を
目的。
今後20年間(平成19年度から平成38年度まで)、毎年度6人の学部入学者を対象。返還義務
の無い給付奨学金に加え、本学の入学料・授業料全額免除。合計卒業までに、約480万円(医学
部医学科学生は約710万円)の高額な援助が実現。他に類を見ない国立大学初の制度。
山澤奨学生との協働
分散キャンパスであるためSNSを用いた戦略会議を実施
新入生対象のメール・サポート・サービス 新入生が先輩に聞いてみたい質問を電子メールで問い合わせ、奨学生が回答
山形大学の学生サービス等諸教育サービスについて、奨学生がモニターとして意見
入試広報や大学イベントに関する奨学生の協力
アドバイザー教員としてEM室教授、サポートスタッフとして学務部学生支援ユニットが担当
EM室教授担当「実践的キャリア教育学」
本学卒業生の起業家、NPO代表をゲスト講師に招いたプロジェクト実施型授業。高校生に本学の魅力を訴求するHPの作成、
オープンキャンパスでの保護者対象イベントの企画・運営、地域商店街活性化のためのフリーペーパーの作成等を実施。
EM室教授担当プロデュース 私塾「社会人に学ぶ単位なき授業」
授業に協力してくれたゲスト講師陣が、それぞれのテーマで、学生自身が自分のキャリアを深く考えるきっかけとなる講演や
ワークショップを7回シリーズで行う。他大学の学生や社会人の参加とし、講師と学生らとの交流の場も提供する。
担当教員としてEM室教授、サポートスタッフとして就職支援ユニットが担当
キャリアサポーター(就活支援のための学生ボランティア団体)との協働で実現
教職協働から、教員・職員・学生協働の取組をめざして
65ページ
オープンキャンパスにおける学生プロジェクト
8月2日山形大学オープンキャンパス2008にて、学生の視点で作った保護者向けイベ
ントを実施。保護者のニーズ調査も実施した上で、満足度の高いイベントを実現。
学長の大学方針説明
教員による大学魅力の紹介
学生による大学生活の実態紹介
大学生協利用法
山形県の観光案内
個別相談 等々
保護者の知りたい、
“本音の情報”を提供
(おみやげあり)
「がくちょうせんべい」配付
山形名物「玉こんにゃく」試食
アドバイザー教員としてEM室教授、サポートスタッフとしてEM室が担当
教職協働から、教員・職員・学生協働の取組をめざして
66ページ
学生広報部によるウエブサイト「山形大学情報マガジン」製作
山形大学の魅力を学生視点で、伝えるウエブサイト。PRに特化したものではなく、山大
生が山大生に対する情報発信、山大生同士の情報交換等、そのままの姿を高校生に
見てもらうコンセプトで設計、更新中。
・ ボランティア学生の主体的な運営。
・ 学生の取材を中心とした構成。
・ アップデートに関して、大学側は
チェックをしない。
・ 内容については、大学側の指示はしない。
・ アクセス解析により、より興味を引く
コンテンツを強化。
・ 見せたいものと同時に、視聴者が
見たいコンテンツを追求。
アドバイザーとして、広報担当理事、EM室教授、
サポートスタッフとして、総務部広報ユニット、EM室が担当
67ページ
平成20年度文部科学省大学教育の国際化加速プログラム採択
「協働する教育改善マネジメント・サイクル
-教員、職員、学生が協働する国際通用性の高い学生支援システムの実現-」
教員、職員、学生が
教員、職員、学生が
協
する
働 する
協働
国際通用性の高い
国際通用性の高い
学生支援システム
学生支援システム
卒業生)
学生
学生 ((卒業生)
学 長
役員会
担当部署
教育研究評議会
経営協議会
プ ロ グラ ム
構築・ 提案
プロフェッショナルな
プロフェッショナルな
計 画
職
員
職 員
アドミッション
アドミッション
修学・生活支援
修学・生活支援
大学寮
大学寮
就職支援
就職支援
卒業生支援
卒業生支援
教員、職員、学生が
教員、職員、学生が
協
る
する
働す
協働
学
大
形
山
の
自の
独自
山 形 大 学独
アカデミック・コミュニティの
アカデミック・コミュニティの
構
築
構 築
リーダーシップを持った
リーダーシップを持った
実 行
教 育
(学生支援システム)
学生支援システム)
改 善
マネジメント
サイクル
EM室
EM室
評 価
専門分野の教育力
専門分野の教育力
P DCA
EM室
EM室
調査チーム
全学視点での
と り まと め
評価分析室等
担当部署
調査・ 研究
教
員
教 員
人文学部
人文学部
地域教育文化学部
地域教育文化学部
理学部・医学部
理学部・医学部
工学部・農学部
工学部・農学部
センター他
センター他
企画・ 立案
米国大学の先進事例
改善提案
学長、EM担当理事はじめEM室教授、
EM室スタッフ、学生支援スタッフ、企画
部スタッフによる米国大学先進事例調査
研究。
教員、職員、学生が協働して創出する
学生支援システムの構築を目的。
UCバークレー、ポートランド州立大学、
ウエルズリー大学、ボストンカレッジ、ボ
ストンユニバーシティ、ニューヨーク大学
等を訪問し、3者+卒業生協働の学生支
援システムを調査研究する取組。
国内でもシンポジウムを2回開催予定。
調査 ・ 研究
「EM運営」
EM運営」 「学生(卒業生)が協働する学生支援システム」
「プロフェッショナル・スキルの高い職員のマネジメント力・リーダーシップ」
「プロフェッショナル・スキルの高い職員のマネジメント力・リーダーシップ」
EM室教授が主担当で企画・申請、サポートスタッフとして
国際交流ユニット、EM室が担当
派遣先一覧
68ページ
ご静聴お疲れ様でした。
山形大学研究プロジェクト戦略室 山崎 淳一郎
TEL.023-628-4838
FAX.023-628-4849
E-mail:[email protected]
「研究プロジェクト戦略室」HPアクセス方法
山形大学HP→「研究案内」→「研究助成金情報」→
「研究プロジェクト戦略室」
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