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千葉大学内山ゼミナール 『企業スポーツの今後』
序章 はじめに
第1章 実業団の定義
第2章 実業団の歴史
第3章 実業団の現状分析
第4章 企業がスポーツチームを保有する
ことのメリット・デメリット
第5章 今後の企業とスポーツの関わり方
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近年、企業が保有する運動部の休廃部の
ニュースをよく聞くようになった
そもそも、企業はどのような理由からスポーツ
活動を行うのだろうか
また、今後の企業スポーツの
あり方をどうするべきか、現状の
課題を明らかにしつつ考える
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世界的にはノンプロ、セミプロ、カンパニーアマ等
と呼ばれる
福祉としての企業内スポーツではなく、企業宣伝や
社員意識の統合策としての企業内の高度スポーツ
組織
各競技の実業団連盟に加盟し、各種大会へ参加して
いるチーム
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・企業がチームを保有していること
・企業内の一組織として存在
⇔企業からの出資を元に、地域を
拠点とした活動しているチーム
=クラブチーム
・社員は仕事とスポーツ活動を両立
⇔スポーツ活動の対価のみで
生活している人
=プロスポーツ選手
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国外から輸入された
スポーツ
江戸時代の武道から存在
幕府や藩が剣道や柔道の師範を指導役とし
て雇用していた
※現在も、他の近代スポーツに比べ目立たないが、
剣道・柔道・相撲のチームを持つ企業がある
例:綜合警備保障(株) 井上康正
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明治時代に国外発祥のスポーツ
(野球、サッカー、ラグビーetc.)が全国に普及
明治40年代には実業団が誕生(@野球)
札幌鉄道管理局(現JR北海道硬式野球部)
…明治42年成立
三菱重工業…大正7年成立
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例1:野球
東京を中心に大学野球が人気
→学生が教師となり全国各地へ
→中等学校で野球が盛んに行われる
→進学せずに地元に残った選手が競技を続ける
場として、企業内球団の需要が高まる
鉄道・製鉄会社を中心に実業団が結成
労務対策として野球部への援助を行う
当時製鉄業は危険な職業というイメージがあったが、
野球人気によって人気の職業へとイメージが転換
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例2:女子バレーボール
紡績会社で実業団創設
紡績業では小学校を卒業したばかりの女子が過酷な
労働条件下で働いていた
1925年前後、労働環境改善の要請が高まり、企業
内に学校を作るようになる
学校教育の一環として、女子にふさわしい団体競技
のバレーボールが導入
(東京オリンピックでは紡績会社所属の選手が中心
となったチームで金メダルを獲得)
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1950~60年代中頃(実業団の創成期)
労働協調と社内一体感の向上を目的として、
実業団を保有する企業が現れる
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1960~80年代(実業団の最盛期)
実業団を保有する企業が増える
実業団リーグが多く誕生
日本は高度経済成長をむかえ、国民に余暇が
増える
スポーツの試合観戦に足を運ぶ人の増加
以降バブル崩壊まで、企業の広告宣伝塔としての
役割を果たす
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主な実業団リーグ(球技9リーグ)の設立時期
66年 日本アイスホッケーリーグ
67年 日本バレーボールリーグ
68年 バスケットボール日本リーグ
ソフトボール日本女子リーグ
76年 ハンドボール日本リーグ
ラグビー日本リーグ
80年 日本ホッケー協会(リーグ戦は97年より)
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日本ではプロリーグが発展していなかったため、
娯楽としての観戦、実際に競技を行う場として、
企業内スポーツ組織の需要が高かった
武道精神・競技の場が公共(学校教育)中心で
あることなどにより、スポーツ運営に営利性を求
める傾向が弱かった
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◎年次別「企業スポーツ休廃部数」一覧(1991~2008年)
1991~2008年の休廃部の
合計は324チーム
70
60
50
40
1999年が58チームでピーク
30
20
10
07
20
05
20
03
20
01
20
99
19
97
19
95
19
93
19
19
91
0
出典 http://diamond.jp/articles/-/4920
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ピーク時
237チーム
現在
83チーム
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球技九リーグとは
バスケットボール(男女) バレーボール(男女) ハンドボール
アイスホッケー ラグビー ソフトボール ホッケー
からなる球技のリーグ
1999年
2004年まで
約60チーム脱退
300チーム休廃部
1990年代後半が休廃部のピーク
↓
1990年代初頭のバブル崩壊が
きっかけに?
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2007年6月時点での廃部数
チームスポーツの球技が多い
種目
廃部数
野球
83
陸上
39
バレーボール
38
バスケットボール
26
卓球
25
具体例
サッカー
18
スキー
12
・バレーボール
・アイスホッケー
・バスケットボール
バドミントン
9
アメリカンフットボール
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チームスポーツはコストが
かかる?
日立、新日鉄
雪印
住友金属工業、東芝
優勝経験のある名門も突然廃部に!
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「経営合理化の一環としての廃部」
「リストラの一環としての廃部」
「不況による経費削減のための廃部」
企業スポーツに必要な資金
3~5億円
しかし・・・
景気が回復したとき
チームの再開を考えていない企業
チームの再開を考えている企業
58%
3%
お金の問題だけではなく、企業にとって
スポーツを行う意義がうすれてきている!
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メリット
デメリット
地域・
社会
・外部性
・公益性
地域・
社会
選手・
種目
・安定的雇用
・競技者の環境保全
・競技レベルの維持・向上
・裾野を広げる
選手・
種目
・企業の業績に左右される
・広告塔として見られる
・レベルや実績によっては
解雇される可能性もある
企業
・従業員の帰属意識の
高まり
・広告宣伝
・CSRの一環
企業
・経済的負担
・一般社員との折り合い
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外部性 ・・・取引や活動の外部に生じる影響
選手→スポーツをする
観客→スポーツを観る
共に効用アップ!
「一体感」「経済効果」「広告効果」
正の外部性
公益性 ・・・非競合的・非排除的性質
テレビ中継、近隣の飲食・交通・宿泊などの商店や企業
→チームに対して支払いはないが恩恵を受けている
公共財的性質
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安定的雇用
→労働による賃金報酬を受けているため
競技者の環境確保
→プロにいけない人が競技を続ける場
競技レベルの維持・向上
→選手生命の延長
裾野を広げる
→社会人になってもスポーツを続けられることで、
競技者人口が増加
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帰属意識の高まり
→モラルハザードの軽減
広告宣伝効果
→情報的広告効果
→シグナリング効果
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CSR活動
⇒高度経済成長期~バブル経済期
社員の士気高揚、福利厚生の一環、一流企業のステータス
などの理由で企業スポーツはもてはやされた。
⇒バブル崩壊後
経営の合理化が進み、「明らかにイメージアップ・販売促進につ
ながる」ものでなければ企業にとって価値のないものという考え。
そこで登場するのが
「社会貢献」
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業績に左右される
→あくまで会社の持ち物である
広告塔として見られる
→日常生活から品行方正さが求められる
レベルや実績によっては解雇の可能性も
→プロに近い選手
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経済的負担
→さまざまな経費がかかる
人件費、練習施設の維持費、管理費、遠征費 etc…
一般社員との折り合い
→労働によって賃金を得ているといっても、午後は
練習にあてるなど、一般社員のよりも仕事量が少ない
場合もあり、そういった場合の社員評価など、またリスト
ラが行われる際、どちらが優先されるべきか、など。
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(人)
企業スポーツの人気の衰退
→スポーツリーグなどの
観客動員数は年々下
降している。
観客動員が貴重な
収入源であるので、
赤字が肥大する。
Vリーグにおける観客動員数の変化
400,000
350,000
300,000
250,000
200,000
150,000
平成18年度
男女計
平成19年度
女子
平成20年度
平成21年度
出典 http://www.vleague.or.jp
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企業のスポーツ成立~バブル景気
日本では年功序列・終身雇用などにより帰属意識を高めており
会社は「経営者と従業員」のものである、という考え。
バブル崩壊後~
「グローバルスタンダード」化を推進し、株主重視の傾向が強まる。
企業の活動、特に費用対効果について、株主に対する説明責任
が生じる。
→スポーツチームを所有することでの広告宣伝効果は、株主に
判断されにくい指標である。CSRについても同様にその活動が
社会に貢献していることを明確に株主に伝えることは困難であ
るといえる。
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表向き
金銭的負担からチーム存続は困難に
根底
企業がチームを持つことのメリット・デメリットを考慮し
チームを持つことの意義が薄れたため、休廃部に
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地域密着を目指すべき!
※ここで取り上げる地域密着とは、
特定の地域で重点的に活動を行うことを指す
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「地域社会」、「自治体」、「企業」は広告効果や
収入増、スポーツを見る効用のみを考慮
→スポーツチームが勝利至上主義となり、
勝つための投資(設備投資など)が増大
→企業の財政圧迫の原因になる
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アルビレックス新潟(サッカーJリーグ)
新潟に本拠地を置き、住民に無料券を配るなど
の地域活動を行っている
→現在ではJリーグで2番目
に多い観客動員数を記録
している
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スポーツチームが地域に密着すると、スポーツに
よっ
て選手や観客はもちろん、地域にも効用が生まれる
(正の外部性、公益性)
①地域、社会のメリット
地域の活性化
②選手、種目のメリット
地元出身選手の受け皿
③企業のメリット
財政負担の軽減
スポーツチームの運営が
地域活性化に(プラス効果)
→スポーツチームを地域の
公共財として捉える
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地域の公共財となることで企業のスポーツ
チームは「企業」と「地域(住民、自治体)」の
受益者負担という形式で運営されるべきである
受益者負担の実例(四国アイランドリーグ)
企業:野球教室の開催、少年野球大会の開催
地域:寄付金、就業体験
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ハード面よりソフト面の支援
人を育て、お金を指導者や選手に投入する。
強いチームと選手を作り、地域に競技を根付
かせることが重要
EX)堺ブレイザーズ(バレーボールVリーグ)
中学生のバレーボール教室を開催したり、
指導者講習会の事業を受託している。
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今後の企業スポーツは企業内の一組織として
だけでやっていくのは難しいと思われる。
地域密着を目指すことで
「企業と地域のWin-Win関係」
を築けるようにすべきではないだろうか
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原田宗彦 『スポーツマーケティング』 大修館書店、2008年
原田宗彦 『スポーツ産業論 第4版』 杏林書院、2005年
内海和雄 『プロ・スポーツ論 スポーツ文化の開拓者』 創文企画、2004年
小寺昇二 『実践スポーツマネジメント』 日本経済新聞出版社、2009年
広瀬一郎 『スポーツ・マネジメント 理論と実務』 東洋経済新報社、2009年
澤野雅彦 『企業スポーツの栄光と挫折』 青弓社、2005年
佐伯年詩雄 『現代企業スポーツ論』 不昩堂出版、2004年
財団法人 日本野球連盟 加盟チーム分布・推移
http://www.jaba.or.jp/team/clubteam/suii.pdf (2010年10月6日)
• 一般社団法人日本バレーボールリーグ機構 事業報告書
http://www.vleague.or.jp/report/ (2010年11月25日)
• ダイヤモンド・オンライン 「 業績悪化で“休・廃部”が続出。不景気で切り捨
てられる「企業スポーツ」の脆い体質 」
http://diamond.jp/articles/-/4920 (2010年10月6日)
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