Transcript 3.調査について
道路橋診断における 電磁波レーダ法の適用と有効性 日本無線㈱ 石井 武、中 民矢、島田 尚、飯田 洋志 ㈱計測技術サービス 清 良平、小山 征一郎 1 目次 1. 2. 3. 4. はじめに 電磁波レーダ法とは 調査について おわりに 2 1.はじめに 本発表では、2010年11月に行われた神戸 橋旧橋部分における調査を例にとり、道路 橋診断における電磁波レーダ法の適用と有 効性について述べる。 3 2.電磁波レーダ法とは -概要- 通常のレーダの原理を地中や構造物に対して応用したもの 電磁波を用いて非破壊で内部の様子を把握する 一般に地中レーダやRCレーダ(*1)と呼ばれる *1 RC=Reinforced Concrete:鉄筋コンクリート 4 2.電磁波レーダ法とは -原理- 電磁波は、電気的性質の異なる箇所で反射される 埋設物の深さは、送受信する時間より推定する 埋設物の平面的な位置は、距離検出器により知る ことが出来る 移動距離 探査開始位置 移動方向 コンクリート表面 送信波 鉄筋などの対象物 反射波 かぶり厚さ コンクリート 5 2.電磁波レーダ法とは -特長- ①非破壊で対象物内部の様子を知ることが可能 ②金属、非金属によらず探査が可能 ③ハンディ型等、可搬性が良い。バッテリタイプは商 用電源不要 ④調査箇所に特別な準備不要、すぐに作業可能 6 2.電磁波レーダ法とは -特長- ⑤探査は、対象物表面を走査することにより行うため、短時 間で探査・表示・記録が可能、かつ対象物内部の様子を連続 的に把握可能 ⑥探査データはメモリカードなどに記録、探査結果の確認や、 PCでの利用(再生、解析、整理)が可能 ⑦多彩な画像処理機能により、現場に応じた最適な結果を得 ることが可能 ⑧免許が不要である 7 3.調査について -目的- 神戸橋旧橋の架け替え予定部分を活用して、 橋梁の内部変状を調査し、電磁波レーダ法の 有効性を検証する 8 3.調査について -神戸橋について- 場所:長野県(主)松本環状高家(たきべ)線神戸(ごうど)橋 調査箇所:旧橋部分(1935年架設、L≒84.4m) 調査日:2010年11月1~2日 経緯:2009年10月30日5:30頃、神戸橋旧橋部分の中央付近 において、路面陥没により自動車3台のタイヤパンク事故が 発生、補強のための裏貼り鋼板も脱落。旧橋の架け替えに 先立ち、架け替え予定部分を活用して非破壊調査を行う。 9 3.調査について -陥没箇所- 10 3.調査について -調査方法- 架け替え予定の旧橋部分を電磁波レーダ法により調査 A1 P5 ←松本空港方向 P1 P2 P6 P3 歩道側 P7 P4 P8 P5 駅方向→ 陥没箇所 調査箇所 拡幅部側 11 3.調査について -調査風景- 12 3.調査について -調査結果- 各調査箇所について、寸法図、現地写真、Bモード(断面 画像)及び3Dデータ(3次元可視化ソフトウェアによる強度 画像)としてまとめた 13 3.調査について -調査結果例- 14 3.調査について -所見- ①配筋構造は全般的に不明瞭にしか確認出来ず、ひび割れ や空洞が発生していると考えられる不健全な箇所が多く見ら れた 不健全な箇所 健全な箇所 15 3.調査について -所見- 調査箇所 陥没箇所 健全な橋の場合 16 3.調査について -所見- ②土木研究所による切断調査の外観調査結果では、ひび割れ が多く見られた。配筋構造を不明瞭にしか確認出来なかった原 因は、ひび割れでの反射により、鉄筋反射が弱められたためで あり、外観調査結果は、このことを裏付けている 17 3.調査について -結論- 今回の調査では、橋梁全域にわたるコンクリートのひび割 れを裏付ける探査結果が得られた。 これにより、健全な構造物中の不健全な部位(ひび割れ や空洞の有無等)を検出する方法として、電磁波レーダ法 が有効であることを改めて確認できた。 18 4.おわりに ■構造物の内部状態は、使用環境や経年変化などに伴い 変化していき、ひとつとして同じものはないため、実際の構 造物における探査データを蓄積していくことが肝要である。 ■今後、高度経済成長期に大量に建設された構造物の維 持・管理について、電磁波レーダ法の適用機会が増えるに 従い、実際の構造物における探査データが蓄積され、電磁 波レーダ法の有効性が、更に高められていくと考えられる。 19