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当院の医療事故分析と
低減に向けての取り組み
高松赤十字病院
医療安全管理者
中谷美子
H27.5.18モーニングセミナー
1
本日の主な内容
1 H26年 1年間のインシデントの現状分析と対策
転倒・転落
与薬(内服 注射・点滴)
ドレーンチューブ
2 「to err is human] 事故は起こることを想定して・・・
シュミレーション教育の実施
医療事故想定訓練
救急外来 暴言暴力対応訓練
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2
「医療安全管理指針」より抜粋
安全管理に関する基本的考え方
医療従事者の個人レベルでの事故防止対策と
医療施設全体の組織的な事故防止対策の
二つの対策を推し進めることによって、
医療事故を無くし、患者が安心して安全な医療を
受けられる環境を整えることを目標とする。
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インシデント報告システム画面(H24~稼働)
ナビゲーションマップ → 共通・外部リンク
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医療安全報告システム[右下]
4
インシデント報告システム(クリップ)
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5
医療安全報告における患者への影響度レベルと報告手順
レベル
患者への影響度
報告手順
レベル
エラーや医療品・医療用具の不具合が見られたが、患者には実施されな
0 かった
レベル
1
患者への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない)
報告者は医療安全報告システムに
て3日以内に報告し、所属長は7日
以内に所属長承認を行う
レベル
処置や治療は行わなかった(患者観察の強化、バイタルサインの軽度変化、
2 安全確認のための検査などの必要性は生じた)
レベル
簡単な治療や処置を要した(消毒、湿布、皮膚の縫合、鎮静剤の投与など)
3a
報告者は直ちに所属長に口頭報告
する。所属長は、当日中に医療安全
推進室に口頭報告し、医療安全報
レベル 濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、 告システムにて7日以内に所属長承
認を行う
3b 手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など)
レベル 永続的な障害や後遺症が残ったが有意な機能障害や美容上の問題は伴わな
4a い
レベル
永続的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害や美容上の問題を伴う
4b
レベル
死亡(原疾患の自然経過によるものを除く)
5
報告者は直ちに所属長に口頭報告
する。所属長は直ちに医療安全管
理者、医療安全推進室長に口頭報
告し、医療安全報告システムにて2
日以内に所属長承認を行う
その他 コール9における自然経過による死亡、オカレンス等でどのレベルにも当てはま
らないもの
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平成24年3月 改訂
医療事故(レベル4,5)発生時の緊急報告フローチャート
平日
休日・時間外
事故発生現場
事故発生現場
所属長
(リスクマネージャー)
医療安全管理者(6851)
(医療安全推進室1172)
①
当直責任医師
医療安全推進室長
③
①または②
管理当直看護師長
(5900)
医療安全管理者
④
③または④
院長
医療安全推進室長
※状況により、「当直責任医師」または「管理当直看護師長」
院長
から直接院長あるいは事務部長あるいは看護部長に連絡する
事もある
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H26年(1月~12月)
インシデント分析より
1件の重大な事故
29件の軽微な事故
300件のヒヤリハット
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インシデント報告件数 推移H18(2006~)
1月~12月の集計
3000
2425
2500
2000
1772
1603
1755
2004
1842
1456
1500
2487
2650
インシデント報告
システム電子化
CLIP導入
1000
500
0
H18
H19
H20
H21
H22
H23
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H24
H25
H26
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職種別報告件数
n=2650
薬剤師1.5%
リハビリ1.5%
ME 1.0%
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表題別インシデント件数と比率
リハビリテーション, 29,
1%
調剤, 30, 1%
観察, 30, 1%
その他, 125, 5%
手術, 80, 3%
医療用具(機器), 49,
2%
処方, 21, 1%
事務, 21, 1%
説明, 15, 1%
感染, 1, 0%
転倒・転落,
552, 21%
処置, 53, 2%
食事と栄養, 81, 3%
輸血, 23,
1%
n=2650
検査, 154, 6%
与薬(注射・点滴),
308, 12%
ドレーン・チューブ,
531, 20%
与薬(内服・外用),
466, 18%
褥創・皮膚損傷, 43,
2%
転倒・転落
検査
処置
調剤
処方
分娩
ドレーン・チューブ
与薬(内服・外用)
その他
食事と栄養
医療用具(機器)
褥創・皮膚損傷
観察
リハビリテーション
事務
説明
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感染
与薬(注射・点滴)
手術
情報・記録
輸血
麻酔
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RMレベル別比率
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RMレベル3b以上を表題別にみると
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インシデント患者要因:年齢別
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転倒・転落事故の特徴とは・・・?
看護師が介入して
いる場面での転
倒・転落
患者自身による転倒・転落
多くの医療者が直接介入してい
ない、または、見ていないところ
で発生している
深刻な事故になりやすい
・頭部打撲による急性・慢性硬膜下血腫
・大腿骨頚部骨折などの骨折
・脊髄損傷
●発生件数が多い
●当事者に及ぼす心身の影響が大きく、生活の質(QOL)を低下させる
●効果的な対策が見出せない
●”いつでも“”だれにでも“”どこでも“無制限に発生する可能性がある
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転倒・転落発生場所
転倒転落の78%は病室内で発生
★ベッドの近くが危ない!!
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転倒・転落と部署
昨年度より
40件以上増加
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転倒・転落予防対策
入院している
患者さんの中
から
抽出された患
者さんの危険
な行動
転倒・転落の
起こす危険性
が高い患者さ
んを抽出す
る。
を未然に防止
する。
患者さんが行動を
起こしても
その行動を医療ス
タッフが察知して事
故が発生しないよう
にする。
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転倒・転落が発生
しても
患者さんへの影響
度を低減させる。
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分類
年齢
既往歴
機能障害
感覚機能
循環動態
活動領域
認識力
薬剤使用
排泄
その他
転倒・転落アセスメント
チェックポイント
65歳以上、9歳以下
転倒・転落したことがある
麻痺がある
骨・関節に異常がある
破行がある
アセスメント
視力障害
の視点
聴力障害
下肢の感覚障害
起立性低血圧
・年齢
めまい
貧血
・転倒歴
不整脈
足腰の筋力低下がある
・機能障害
ふらつきがある
・感覚機能
車椅子・歩行器・杖を使用
移動時に介助が必要
・循環動態
寝たきりである
持続点滴・チューブ類がある ・活動領域
自力で座位保持ができない ・認識力
見当職障害・意識混濁・混乱がある
・薬物使用
認知症がある
せん妄がある
・排泄
判断力・認識力・記憶力の低下がある
・その他
何かするときに慌てる
自立心が強い
(透析など)
不穏行動がある
理解力が未発達
睡眠剤
安定剤
鎮静剤
麻薬
緩下剤
点数化
抗認知症剤
利尿剤
抗痙攣剤
抗凝固剤
オムツを使用している
頻尿・便がある
夜間トイレに行く
トイレ介助が必要
ポータブルトイレを使用している
排泄介助に抵抗がある
血液透析
安静度の変更がある
(
)
評価スコア
2
2
3
1
2
3
転倒・転落アセスメント用紙 No.1
査定は入院時、
再評価は、1週間毎・転棟時・転倒転落
事故発生時・薬剤使用開始時・病状等
変化時に行う。
危険度なし:0点 ➡看護計画必要なし
危険度Ⅰ:1~5点 転倒転落することもある
4
➡状況に応じて看護計画を立案する
危険度Ⅱ:6点~15点 転倒転落を起こしやすい
➡看護計画を立案する
各1
危険度Ⅲ:16点以上 転倒転落をよく起こす
➡看護計画を立案する
各2
3
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転倒・転落事故:
頭部打撲院内
体制
★チェックリスト
①意識レベル低下 ②麻痺
③呼吸状態異常 ④嘔気、嘔吐
頭部
打撲
あり
⑤頭部裂傷
なし
⑦頭痛
様子
観察
夜間・休日
平日日中
厳重経過観察
・意識レベル
・バイタルサイ
ン経過観察
当直医(外科系)
or ICU当直医
当直師長報告
主治医Call
★30分毎に
1時間観察
★3時間後に
再度観察
必要時 主治医Call
CT不要または所見なし
頭CT検査
CT所見
要否判断
CT読影困難時
平日 日中
夜間・休日
: 脳外科 読影依頼
:画像診断システム利用
CT所見あり
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★必要時
脳外科診察
依頼
脳外科連携
【家族へ連絡】
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★チェックリスト
転倒・転落事故:四肢打撲院内体制
①疼痛部位
④運動機能
②腫脹 出血
⑤関節可動域
③麻痺
四肢打撲
あり
なし
夜間・休日
平日日中
・状況により冷罨法
主治医Call
当直医(外科系)
・安静の保持★3時
間観察
X線指示(部位)
骨折・脱臼(疑いも含む)
整形外科紹介
整形外科医
ファーストコール
当直看護師長報告
【家族へ連絡】
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与薬(内服外用)インシデント n=470
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内服インシデント 要因別
医療者側の原因が大半
を占める
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与薬システムアプローチ
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内服ラウンド後、インシデント報告数が一番多かった
病棟に与薬カートを導入し、与薬業務の改善を図った
与薬カートを導入したけ
れど・・・減らない薬剤に
関するミス
×情報発信の問題
(処方の仕方や時間、
変更・中止)
×情報伝達の問題
(電子カルテの運用方
法)
部門間のコミュニケー
ションが鍵を握る
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与薬(注射)インシデント
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n=311
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与薬(注射)要因別
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医師の指示を正しく読み取る
5つのR
正しい患者(Right Patient)
誰に
正しい薬剤( Right Drag )
何を
正しい用量( Right Doze )
どのくらいの量
正しい時間( Right Time )
いつ
正しい方法( Right How )
どのような方法
+
2つのR ・・・・静脈内に直接注入する注射では
正しい速度(Right Speed)
どのくらいの速さで
正しい経路( Right Route)
どの経路から
7つのRを確認する習慣を身に付ける。
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不完全になりやすい
口頭指示と指示受け
● 口頭指示が起きる場所や状況とは?
・患者の急変、救急
・病態上迅速な実施を優先
・医師が手術中、検査中
・夜間など医師が院外にいるとき
● 口頭指示の情報伝達の弱点とは?
①薬剤量の単位が曖昧になりやすい
②複数規格のある薬剤で規格を言わない
③投与方法が曖昧になる
④患者名をフルネームで言わない
⑤似た語調のものと聞き間違える
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ドレーン・チューブインシデント n=533
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ドレーン・チューブ 要因別
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チューブ・ドレーンインシデント
自己抜去に関する報告件数
298件
250
200
*自己抜去複数回答
切断、接続外れは含まない
150
100
50
0
C
V
・
点
滴
ル
ー
ト
抜
去
胃
管
・
栄
養
チ
ュ
ー
ブ
膀
胱
留
置
カ
テ
ー
テ
ル
気
管
チ
ュ
ー
ブ
類
抜
去
A
ラ
イ
ン
抜
去
イ
レ
ウ
ス
チ
ュ
ー
ブ
腹
水
穿
刺
留
置
針
ド
レ
ナ
ー
ジ
チ
ュ
ー
ブ
抜
去
(
S
…
E
N
B
D
H27.5.18モーニングセミナー
静
脈
ポ
ー
ト
抜
去
脳
室
、
硬
膜
下
ド
レ
ナ
ー
ジ
抜
去
ス
ワ
ン
ガ
ン
ツ
カ
テ
ー
テ
ル
持
続
硬
膜
外
チ
ュ
ー
ブ
抜
去
P
T
C
D
ア
ス
ピ
レ
ー
シ
ョ
ン
37
自己抜去防止に向けての研修会と固定材料検討
皮膚・排泄ケア認定看護師と医療安全推進室の共催でランチョンセミナー開催
テーマ:
固定法に関するスキルアップ
「抜けない!かぶれない! カテーテル固定法」
あなたは固定方法にエビデンスがありますか?
目的:カテーテル 留置患者の安全を維持し、皮膚障害を起こさ
ないようにカテーテル固定の根拠とスキルを習得する
内容:インシデント状況を報告し、問題を共通認識
1)カテーテル固定の問題
今年は6月4日
2)絆創膏・カテーテルの種類と特徴
ランチョンセミナー
3)カテーテル固定方法のエビデンスと実際 (実習)
今年度からCV、末梢ルート固定材料の変更
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医療安全・事故防止マニュアルと報告
事故を起こさないために・・・マニュアル遵守!
■医療安全・事故防止マニュアル (赤ファイル)
各病棟と各診療科外来配布
■医療安全マニュアル
電子カルテ:院内情報Web ライブラリー
医療安全ホルダー
医療事故を経験したらマニュアルに沿って報告を!
報告する文化 ミスから学ぶ文化 が重要
遅れると組織的対応の遅れ→医療の質の低下を招く
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「To err is human」
あなたは医療事故に遭遇した時、適切に対応できますか?
想定事例
H25年度 「CVカテーテル挿入後の血胸による死亡」
H26年度 「異型輸血による急変」
40
H27.5.18モーニングセミナー
訓練の目的
万一の事故の際に、病院の総力を結集した最
善の治療ができるように、医療者がそれぞれの
立場で事故の初期対応手順を身につける。
今回は『高松赤十字病院 医療事故防止と医
療事故・紛争対応マニュアル』に準じ、シミュレー
ションを通して事故後の初期対応のあり方を学
び、職員で共有することができる。
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H27.5.18モーニングセミナー
重大事故初期対応
■
チェックリスト
緊急コール、管理者報告
チェック
緊急コール体制 Call 9 … 患者の生命と安全を最優先
管理者への緊急連絡体制にそった報告… 各リスクマネジャーへの迅速な連絡
[平日 時間内] リスクマネジャー→医療安全管理者、医療安全推進室長→院長
[休日 時間外] 当直責任医師⇒医療安全推進室長
]⇒ 院長
管理当直師長⇒医療安全管理者
■
使用した薬剤・医療機器保存
1
2
チェック
3
医療事故に関係した医療機器、医療器材、衛生材料などの保存
医療事故に関係した薬剤、空アンプルなどの保存
■
診療記録 看護記録などの記録
5 時間にそって 診療内容、診療過程を正確に記録
6 患者、家族への説明と反応の記録
■
患者・家族への一致した対応
7 家族への連絡 …細かい内容伝達ではなく、至急来院していただくことを主眼に
連絡がつかない場合:連絡した時刻状況を診療録に記録(連絡する度に)
チェック
チェック
8
患者家族の初期対応は原則主治医が実施…医療処置後速やかに主治医もしくは現場にいる医師
もしくは看護師など医療従事者のうち上席者が実施
9
患者・家族へ事実を説明
①何が起こったのか
②起こったことで生じる影響は何か
③明らかな過誤が発生した場合過誤を認め謝罪
④過誤・過失の有無が不明の場合でも事故が発生したことついての遺憾の意を表する
■ 剖検もしくはAiのすすめ
10 原因が明らかでない死亡の場合必ず剖検をすすめる。42
剖検の承諾ない場合Ai(Autopsy imaging)すすめる。
チェック
H27.5.18モーニングセミナー
救急外来 暴言・暴力対応訓練
目的
:夜間の救急外来における診療過程に
おいて、救急患者の暴言・暴力行為
に遭遇した場合の対応を学ぶ
◆当院の職員と警備員の連携体制及び警察との
連携の在り方を学ぶ
◆110番直結非常通報装置の検証をする
※「暴力・暴言発生時マニュアル」
※「患者・家族からの暴言・暴力時の現場対応について」
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43
「急性アルコール中毒患者の暴言・暴力」
救急車で搬送→ナイフを振り回す危険行動
高松北警察署や日本災害通信協会香川県支部のご協力を得て
ご清聴ありがとうございました
H27.5.18モーニングセミナー
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