2. - 公益財団法人日本医療機能評価機構

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Transcript 2. - 公益財団法人日本医療機能評価機構

財団法人 日本医療機能評価機構 主催
第4回EBM 研究フォーラム
わが国における診療ガイドライン作成の現状
ーエビデンスに基づく合意形成ー
泌尿器疾患
前立腺肥大症・尿失禁
平尾 佳彦
奈良県立医科大学泌尿器科学教室
2005/11/5 日本医師会館大講堂
平成11-14年度厚生科学研究費補助金研究計画 医療技術評価総合研究事業
「泌尿器科領域の治療標準化に関する研究」
主任研究者:大島伸一教授(名古屋大学)
泌尿器科領域で作成されていた臨床試験ガイドライン
排尿障害
臨床試験の取り扱いは確立
前立腺肥大症:
重症度・治療効果判定基準が中心(国際的な標準化)
標準的な治療はあるが、多彩な治療が開発途上
重症度別にみた標準的治療法には言及していない
神経因性膀胱:重症度判定法なし、効果判定法を表示
尿路感染症 臨床試験の取り扱いは確立
各論で疾患別に定義からエンドポイントまで明確に規定
標準的治療法に関する明確な記載あり
悪性腫瘍
臨床試験ガイドラインあり、癌腫別に日本泌尿器科学会取り扱い規約
標準的治療法は確立していない。
尿路結石症 尿路結石症研究会が準備作業中
第2回泌尿器科教育サマーキャンプ
泌尿器科学教育の推進にはEBMに
基づいた治療の標準化が緊急課題
名古屋大学
泌尿器科診断治療マニュアル
第3回泌尿器科教育サマーキャンプ
泌尿器疾患のガイドライン作成
各施設でのガイドライン
日本泌尿器科学会のガイドライン
診療ガイドライン対象疾患優先順位
Agency for Health Care Policy and Research
19疾患 1 急性疼痛管理
2 失禁
3 褥創予防
4 白内障
・
・
8 良性前立腺過形成
医療技術評価推進検討会
47疾患
1
2
3
4
本態性高血圧
糖尿病
喘息
急性心筋梗塞・虚血性心疾患
23 膀胱炎
・
・
泌尿器科領域の代表的な5疾患と
クリニカルガイドライン重要度優先順位
順位
疾患名
健康改善
患者数
費用対
効果
標準化
1
2
3
4
5
健康改善: 治療ガイドラインの有効性
患 者 数 : 健康改善を受ける患者数
費用対効果:治療ガイドラインによる費用対効果の改善
標 準 化 : 治療のばらつきの改善
総点
泌尿器科教育サマーキャンプ打合会参加者による
診療ガイドライン対象疾患優先順位
上位5疾患
1.前立腺肥大症 (50点)
2.尿失禁
(20点)
3.尿路結石
(18点)
4.尿路感染症
(13点)
5.前立腺癌
(11点)
(2000年6月28日)
平成11-14年度厚生科学研究費補助金研究計画 医療技術評価総合研究事業
「泌尿器科領域の治療標準化に関する研究」
主任研究者:大島伸一教授(名古屋大学)
診療ガイドライン作成手順
1. ガイドライン作成委員会(パネル)の招集
2. 委員会を補助するプロジェクトチームの設置
3. 広範な文献探索と選定(重要分野、重要領域の設定)
4. プロジェクトチームによる論文の系統的批判的評価
5. 関係団体からの意見聴取(公開フォーラム)
6. ガイドライン案の作成
7. ガイドライン案のピア・レビュ(専門家組織に配布・意見聴取)
8. ガイドラインの印刷
9. 関係機関でのパイロット・レビュー (現場での適用性の検証)
10. ガイドラインの有用性の検証作業
11. ガイドラインの次期改訂の準備
文献探索と選定ならびに系統的な論文評価
前立腺肥大症
AHCPRの診療ガイドライン(1994年)
PubMed(1989~1999年) 診断・治療に関する論文 10,037
clinical trialに関する論文
739
Cochrane library
臨床研究に関する論文
411
評価者:班員/研究協力者21名とその関連施設勤務医および臨床疫学家1名
最終的採用文献:診断;25論文、治療;365論文を採用
治療法の論文評価は、論文評価シートを作成
女性尿失禁 尿失禁の診断と治療に関する勧告(第1回国際尿失禁会議)
女性腹庄性尿失禁の外科的治療に関するGL(AUA GL 1997年)
Cochrane LibraryとPubMed(1995~2001年)
本邦論文
最終的採用文献:105論文
447論文
12論文
論文評価は、以下の8項目から妥当性を評価
1.患者の選定基準、 2.患者への治療方法の割り振り、3.治療方法の明記、4.研究全体の管理、
5.脱落例の取り扱い、6.盲検、割付が適切かどうか、7.検討結果の測定方法、8.統計処理方法
臨床研究の論文評価
レベルⅠ 大規模のRCTで結果が明らかなもの
レベルⅡ 小規模のRCTで結果が明らかなもの
レベルⅢ 無作為割付によらない同時期の対照群を有するもの
レベルⅣ 無作為割付によらない過去の対照群を有するもの、
および専門科の意見が加わったもの
レベルⅤ 症例集積研究(対照群のないもの)、
および専門科の意見が加わったもの
推奨のランク
推奨度A
最低2つ以上のレベルⅠの臨床研究に裏付けられる
推奨度B
2つ以上のレベルⅠの臨床研究に裏付けられる
推奨度C
レベルⅡの臨床研究に裏付けられる
推奨度D
最低1つ以上のレベルⅢの臨床研究に裏付けられる
推奨度E
レベルⅣまたはレベルⅤの臨床研究しか存在しない
前立腺肥大症の診療ガイドライン
前立腺肥大症総受療病数
59.0
千人
600
47.8
500
400
28.9
300
20.2
23.3
30.1
33.5
25.6
200
100
0
1987
1989 1990
1992 1993
厚生省 患者調査
年間 TURP 件数
1995 1996
1998
厚生省 国民生活基礎調査
寺井章人ほか:泌尿紀要 46:537,2000より一部改変
前立腺肥大症による排尿障害
責任病変は肥大結節
交感神経
(機械的閉塞)
(機能的閉塞)
前立腺肥大症を構成する要素
LUTS
下部尿路症状
BOO
膀胱排出
閉塞
BPE
良性前立腺
腫大
それぞれの重症度判定基準が既に国際標準として確立
前立腺肥大症の診療ガイドライン
*1
•病歴
•身体所見と直腸指診
•尿検査
•腎機能評価(s-Cr)
•PSA(オプション)
*2
•再発性尿路感染症
•再発・持続性肉眼的血尿
•膀胱結石
•腎機能不全
厚生科学研究 「泌尿器科領域に治療標準化に関する研究」班
排尿障害を訴える50歳以上の男性
基本的評価*1
繰り返す尿閉やBPHに
起因する病態*2を合併
国際前立腺症状スコアを用いた評価
軽症0-7
中等症8-19
基本的評価・
愁訴とスコア
が矛盾*4
重症20-35
*3
排尿機能と前立腺形態の評価*3
*4 基本評価と症状スコアの矛盾する症例
全般重症度判定
全般:軽症
全般:中等症
全般:重症
治 療 指 針 の 提 示*5
オ プ シ ョ ン 検 査*6
経過観察
•排尿機能:尿流率測定と残尿測定
•前立腺形態:容積と内部構造(オプション)
*5 病態以外に考慮すべき点
•年齢、併発疾患、侵襲性と根治性
•患者の希望、性機能、社会・日常活動
薬物療法
*6 手術適応決定のためのオプション:
PFSテスト、尿道膀胱鏡検査
低侵襲手術
手術
症状の評価
国際前立腺症状問診票
まったく
なし
5回に1回
の割合未満
2回に1回
の割合未満
2回に1回
の割合
2回に1回
の割合以上
1.最近1ヶ月間、排尿後に尿がまだ残っ
ている感じがありましたか。
0
1
2
3
4
5
2.最近1ヶ月間、排尿後2時間以内に
もう一度行かねばならないことがあ
りましたか。
0
1
2
3
4
5
3.最近1ヶ月間、排尿途中に尿が途切
れることがありましたか
0
1
2
3
4
5
4.最近1ヶ月間、排尿をがまんするの
がつらいことがありましたか。
0
1
2
3
4
5
5.最近1ヶ月間、尿の勢いが弱いこと
がありましたか。
0
1
2
3
4
5
6.最近1ヶ月間、排尿開始時にいきむ
必要がありましたか。
0
1
2
3
4
5
7.最近1ヶ月間、床に就いてから朝起
きるまで普通何回排尿に起きました
か。
0回
1回
2回
3回
4回
5回以上
0
1
2
3
4
5
QOLの評価
満足度
1.現在の排尿の状態が
今後一生続くとしたら
どう感じますか。
軽症≦7、 中等症:8~19、重症≦20
大変満足
満足
大体満足
満足・不満の
どちらでもない
0
1
2
3
軽症:0-1、 中等症:2-4、重症:5-6
ほとんど
常に
1から7の点数合計
不満気味
4
不満
大変不満
5
6
生理機能の評価
(ml/秒)
40
排尿状態の評価 (尿流率曲線)
正常 (最大尿流率 29.0ml/秒、排尿量 245ml、残尿量 0ml)
尿 30
の
出
ぐ
あ 20
い
10
0
前立腺肥大症
すぐに
出ない
10
(最大尿流率 5.2ml/秒、排尿量 145ml、残尿量 70ml)
勢いがない
キレが悪い
20
30
40
50
尿を出そうとしてからの時間
60
70
80
(秒)
軽症>15ml/sec & PVR<50ml, 中等症5~15ml/sec &PVR<100ml、重症<5ml/sec or PVR≧100ml
解剖の評価
前立腺容積測定
経直腸超音波断層診断
横断面
縦断面
膀胱
前立腺
移行領域
前立腺
移行領域
辺縁領域
辺縁領域
直腸
軽症<20ml、20ml ≧中等症<50、重症>50ml
前立腺肥大症の全般重症度判定基準
重症度判定項目数
全般重症度
軽症
中等症
重症
軽 症
4個
3個
0
1個
0
0
中等症
不問
不問
2個以上
不問
0
1個
重 症
不問
不問
世界標準
2個以上
前立腺肥大症の診療ガイドライン
*1
•病歴
•身体所見と直腸指診
•尿検査
•腎機能評価(s-Cr)
•PSA(オプション)
*2
•再発性尿路感染症
•再発・持続性肉眼的血尿
•膀胱結石
•腎機能不全
厚生科学研究 「泌尿器科領域に治療標準化に関する研究」班
排尿障害を訴える50歳以上の男性
基本的評価*1
繰り返す尿閉やBPHに
起因する病態*2を合併
国際前立腺症状スコアを用いた評価
軽症0-7
中等症8-19
基本的評価・
愁訴とスコア
が矛盾*4
重症20-35
*3
排尿機能と前立腺形態の評価*3
*4 基本評価と症状スコアの矛盾する症例
全般重症度判定
全般:軽症
全般:中等症
全般:重症
治 療 指 針 の 提 示*5
オ プ シ ョ ン 検 査*6
経過観察
•排尿機能:尿流率測定と残尿測定
•前立腺形態:容積と内部構造(オプション)
*5 病態以外に考慮すべき点
•年齢、併発疾患、侵襲性と根治性
•患者の希望、性機能、社会・日常活動
薬物療法
*6 手術適応決定のためのオプション:
PFSテスト、尿道膀胱鏡検査
低侵襲手術
手術
治療方法
(1) 無治療経過観察
軽症患者では無治療で経過観察することも治療選択肢の一つ
自覚症状で突出した項目のある患者は、薬物療法の対象
(2) 薬物療法
薬物療法は全般重症度が軽症から中等症の患者が適応
機能的閉塞による排尿障害を改善するα遮断薬が標準的治療
抗男性ホルモン薬は効果発現は緩徐で、性機能低下とPSA値低下が問題
(3) 手術療法
手術は、BPH関連合併症患者、中等症から重症の患者が対象
手術は侵襲的であるが、排尿障害の改善には最も有効性が高い
経尿道的前立腺切除術(TURP)が、BPHに対する標準的治療
(4) 低侵襲手術
種々の治療エネルギーを用いた高温度療法は相次いで開発
自覚症状の改善がみられ、その有効率は薬物療法と手術療法の中間
(5)その他の治療
尿道留置カテーテルは、急性尿閉期への緊急的処置として、重篤疾患併発
患者には有用、間歇的導尿はQOLの保持に有用
前立腺肥大症の手術療法
-経尿道的前立腺切除術(TURP)-
A
B
C
D
ループ電極に高周波電流を通電して、肥大結節を切除
現場における前立腺肥大症ガイドライン重症度判定
軽症
(3.2%)
評価に使用せず
(6.2%)
重症
(35%)
評価施行
675例
720例
評価に使用
(93.8%)
中等症
(62%)
重症度別にみた治療法
中等症
421例
低侵襲治療
薬物療法
薬物
軽症
24例
経過
観察
手術
重症
233例
薬物
日常診療の中で、BPHをどう扱うか?
排尿障害を訴える50歳以上の男性
・ 排尿症状問診票
・ PSA(PA)
・ 経腹超音波診断
軽症(突出項目+)
中等症~重症
重 症・
異常所見
α1ブロッカー
12週間投与
12週後 再評価
間歇投与も考慮
治療に満足している症例
平均余命を常に念頭に!!
治療に抵抗・
不安な症例
心身・年齢・社会
背景を考慮し
手術適応について
泌
尿
器
科
医
に
相
談
尿失禁の診療ガイドライン
尿失禁は客観的に証明される
不随意性の尿漏れのことで,
社会的,衛生的に問題となる。
女性の尿失禁の発生頻度
報告者(年)
対
象
尿失禁の頻度
32.0 %
福
井 (1986)
18 ~ 88 歳の健康成人
加
藤 (1986)
17 ~ 69 歳の会社員
高
井 (1987)
35 ~ 65 歳の教員
46.6 %
梅
原 (1991)
18 ~ 79 歳の健康成人
17.5 %
(1991)
16 ~ 69 歳の就労女性
19.5 %
続
8.5 %
過活動膀胱患者の実数
(本間らの電話アンケート結果)
日本におけるOAB患者は830万人と推定される
本間 之夫 他:排尿機能学会雑誌14:266、2003
過活動膀胱症候群と尿失禁
Overactive Bladder (OAB) Syndrome
Overactive bladder syndrome
腹圧性
尿失禁
混合性
尿失禁
切迫性
尿失禁
OAB Wet
尿意切迫感
OAB Dry
頻尿・夜間頻尿
女性尿失禁の診療アルゴリズム
#
#
このアルゴリスムは客観的に証明され
社会的にも衛生的にも問題となる
尿失禁患者を対象とする。
*1
問診(排尿状態、月経状態を含む)、
理学的検査(神経学的検査、腟診)、
検尿、排尿記録、パッドテスト、QOL、
ストレステスト、残尿の有無
*2
残尿測定
尿流測定
膀胱内圧測定
ALPP
画像検査(腹部超音波、膀胱造影)
*3
バイオフィードバック
電気刺激療法
*4
吸収剤ディバイス
尿失禁を自覚する女性
初期評価 *1
腹圧性
混合性
切迫性
治療指針の提示(患者の意見を尊重して決定)
薬物療法
骨盤底筋訓練、膀胱訓練、 生活指導
治療効果が不十分な症例
専門医に紹介
*2
UDSを含む精査
治療指針の提示(患者の意見を尊重して決定)
継続
継続
外科治療
低侵襲治療 *3
その他の管理
*4
初期評価
• 問診(排尿状態、月経状態を含む)
• 理学的検査(神経学的検査、腟診)
• 検尿
• 排尿記録(日誌)
• パッドテスト
• QOL
• ストレステスト
• 残尿の有無
尿失禁のスコア化ICIQ-SF
1) どれくらいの頻度で尿がもれますか?(ひとつに○をして下さい)
0. なし
1. おおよそ1週間に1回、あるいはそれ以下
2. 1週間に2~3回
3. おおよそ1日に1回
4. 1日に数回
5. 常に
2) あなたはどれくらいの量の尿もれがあると思いますか? (ひとつに○をして下さい)
(あてものを使う使わないにかかわらず、通常はどれくらいの尿もれがありますか?)
0. なし
2. 少量
4. 中等量
6. 多量
3) 全体として、あなたの毎日の生活は尿もれのためにどれくらいそこなわれていますか?
0(まったくない)から10(非常に)までの間の数字を選んで○をつけて下さい。
0
1
2
3
4) どんな時に尿がもれますか?
4
5
6
7
8
9
10
(あなたにあてはまるものすべてに○をして下さい)
1. なし-尿もれはない
2. トイレにたどりつく前にもれる
3. せきやくしゃみをした時にもれる
4. 眠っている間にもれる
5. 体を動かしている時や運動している時にもれる
6. 排尿を終えて服を着た時にもれる
7. 理由がわからずにもれる
8. 常にもれている
切迫性尿失禁の排尿日誌(例)
1日目
2004年
起床時
排尿
(○印)
時間
1
7時
00分
2
8時
30分
3 10時
00分
4 13時
5 14時
00分
6 16時
7 18時
00分
8 19時
9 20時
00分
10 21時
30分
11 23時
12 2時
00分
13 5時
14 時
30分
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
00分
30分
30分
00分
1月 20日 ( 火 )
切迫感
(○印)
尿量
(mL)
就寝時間 午前・午後
11時 00分
漏れ
(○印)
80mL
備考
いっしょに排便
100mL
100mL
○
○
手を洗った時に漏れた
○
○
トイレまで間に合わず
・ トイレにたどり着く前に漏らしている
・ 排尿回数が多い
100mL
120mL
40mL
80mL
・ 水仕事や水の音、寒冷などにより
切迫感が誘発されることがある
○
50mL
100mL
就寝前に排尿
80mL
○
130mL
時
分
mL
16
時
分
mL
17
時
分
mL
18
時
分
mL
19
時
分
mL
20
時
分
○
トイレまで間に合わず
DATA
mL
排尿
尿量
切迫感
(○印)
(mL)
(○印)
21日 (水)
起床時間 午前・午後
・ 切迫感がある
・ 1回排尿量が少なめ
50mL
mL
1月
7時 00分
120mL
15
翌 朝
起床時間 午前・午後
翌日の起床時 までの分をこの1枚に記入してください。
から
分
時間
切迫性尿失禁の鑑別ポイント
7時 00分
メモ
漏れ
(○印)
備考
年齢・性別:66歳・女性
排尿回数:13回(昼間11回、夜間2回)
切 迫 感:あり
失禁回数:3回(昼間2回、夜間1回)
腹圧性尿失禁の排尿日誌(例)
1日目
7時
2 10時
3 13時
起床時
排尿
(○印)
時間
1
2004年
○
○
○
○
00分
00分
00分
4 16時
5 19時
30分
6 20時
7 23時
30分
1月 20日 ( 火 )
切迫感
(○印)
尿量
(mL)
250mL
せきこんだら漏れた
○
・ 咳、くしゃみや運動時など、腹圧が
かかる状況で漏れている
いっしょに排便
就寝中はほとんど漏れがない
テニスをしていたら漏れた
頻尿や切迫感がない
200mL
250mL
mL
9
時
分
mL
10
時
分
mL
11
時
分
mL
12
時
分
mL
13
時
分
mL
14
時
分
mL
15
時
分
mL
16
時
分
mL
17
時
分
mL
18
時
分
mL
19
時
分
mL
20
時
分
mL
就寝前に排尿
排尿
尿量
切迫感
(mL)
(○印)
21日 (水)
7時 00分
1回排尿量は正常
(200〜300mL程度)
DATA
(○印)
起床時間 午前・午後
備考
200mL
分
1月
11時 00分
○
200mL
時
翌 朝
就寝時間 午前・午後
250mL
8
時間
7時 00分
漏れ
(○印)
mL
00分
起床時間 午前・午後
翌日の起床時 までの分をこの1枚に記入してください。
から
00分
○
○
腹圧性尿失禁の鑑別ポイント
メモ
漏れ
(○印)
風邪ぎみ
備考
年齢・性別:45歳・女性
排尿回数:7回(昼間7回、夜間0回)
切 迫 感:なし
失禁回数:2回(昼間2回、夜間0回)
二次評価(専門医の評価)
尿流動態検査
膀胱内圧測定
尿流測定
画像診断
ビデオウロダイナミックス
膀胱尿道造影
骨盤部超音波検査
上部尿路画像診断(非推奨)
膀胱尿道鏡検査
腹圧性尿失禁の治療概要
•理学療法、薬物治療、外科的治療、治療器具に分類
•軽症から中等症には理学療法、
中等症から重症には外科的治療
•薬物治療は、現時点では補助的な治療と位置づけ
腹圧性尿失禁の重症度評価の基準は不明確であること、
また、尿失禁はQOL疾患であり、重症度自体や治療の必要性も
患者自身の個性や価値観により左右されることから、
治療法の選択には、各治療の有効性、副作用、侵襲性
さらに経済性に加え、患者の希望を考慮することが重要。
腹圧性尿失禁の治療
1)理学療法
1.骨盤底筋訓練、2.膀胱訓練、3.骨盤底筋群電気刺激、4.生活指導
理学療法は腹圧性尿失禁の治療の第1選択(保険点数がない)
2)薬物治療
① アドレナリンα受容体刺激薬(保険適応薬剤はない)
② エストロゲン補充療法(保険適応薬剤はない)
③ β受容体刺激薬(塩酸クレンブテロールは、唯一保険適応)
3)外科的治療(内因性尿道括約筋不全例と膀胱頸過可動例が対象)
恥骨後式膀胱頸部挙上術、経腟的膀胱頸部挙上術、スリング手術、
前腟壁形成術、傍尿道注入術
術後4年以上の尿非失禁率は、恥骨後式膀胱頸部挙上術84%、
経腟的膀胱頸部挙上術67%、前腟壁形成術61%、スリング手術83%で、
一方、傍尿道コラーゲン注入術は尿失禁非消失率・再発率が高い。
4)吸収剤(おむつ)、ディバイス(ペッサリーなど)
吸収剤での管理は推奨できるが、ディバイスは推奨できるものはない。
切迫性尿失禁の治療概要
• 理学療法、薬物治療、外科的治療など。
• 軽症から中等症には理学療法と薬物治療、
治療が奏功しない重症には外科的治療が適応
• 切迫性尿失禁に対する治療は、薬物療法が中心
切迫性尿失禁の治療
1)理学療法
① 膀胱訓練法
切迫性尿失禁に対して膀胱訓練の有用性が実証されている。
膀胱訓練と他の治療法との比較や膀胱訓練と他の治療法との
併用については、結論付けることはできない。
②電気刺激療法(体内電極移植法を除く)
電気刺激療法はRCTでその有用性が証明
本邦では本治療法は保険未適応。
③生活指導
生活改善が尿失禁を改善さすことを証明したRCTはない。
2) 外科的治療
腸管利用膀胱拡大術は優れた尿失禁改善効果。
しかし、44%から70%の症例が術後間欠導尿が必要。
手術侵襲を考慮すると、最終的な治療手段。
切迫性尿失禁の薬物治療
①抗コリン薬
臭化プロパンテリン(プロ・バンサイン)保険適応は夜尿症、遺尿症のみ。
②混合した薬理作用をもつ薬剤
塩酸オキシブチニン(ポラキス)
ムスカリン受容体に作用+排尿筋の弛緩、局所麻酔作用
塩酸プロピベリン(バップフォー)
抗コリン作用とカルシウム拮抗作用を有する薬剤
塩酸フラボキセート(ブラダロン)
③三環抗うつ薬
塩酸イミプラミン(トフラニール) 保険適応は遺尿症のみ
④ホルモン療法
本邦では尿失禁に対しての保険非適応
⑤膀胱内注入療法
リドカイン、塩酸オキシブチニンの膀胱内注入療法は、保険非適応
前立腺肥大症と尿失禁のおけるエビデンスの相違
社会的な要請
Break throughになりうる新規治療法の開発
臨床試験の義務化
重症度・治療効果判定基準の設置
重症度を示す明確な尺度
客観性のある治療効果判定
臨床試験による領域の活性化
エビデンスの形成
競合する同種・同系の
治療法の開発・参入
平成15年簡易生命表
年齢
男性
女性
55
26.12
32.04
60
21.98
27.49
65
18.02
23.04
70
14.35
18.75
75
11.09
14.72
80
8.26
11.04
85
5.95
7.95
90
4.26
5.57
95
3.10
3.93
100
2.28
2.84
簡易生命表は高齢者の診療に重要なEBMツール
泌尿器科領域の診療ガイドライン
泌尿器科領域の治療標準化に関する研究班を嚆矢として
EBMに基づく
前立腺癌
診療ガイドライン
Q&A形式
2002
一部厚生科学研究費助成
2004
2005 発刊予定
厚生科学研究費助成
日本泌尿器科学会として10専門部会を中心に2004年度から多領域で作成作業
50歳以上の男性
PSA測定に関する利益・不利益を説明し、承諾の得られた人
PSA測定
PSA 4ng/ml未満
PSA値 4ng/ml以上
一般全身評価
PSA値再検
尿検査
直腸診
画像診断
泌尿器科医に紹介
PSA再検
基本的評価
前立腺他疾患の疑い
前立腺癌の疑い
血液一般検査
止血機能検査
超音波ガイド下針生検
癌細胞非検出
癌細胞検出
病期診断
限局癌
局所進行癌
進行癌
治 療 指 針 の 提 示 ・ 説 明 (治療決定は患者と医師が相談)
適切な治療
無治療経過観察
前立腺全摘除術
放射線療法
内分泌療法