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『マクロ金融特論』 (3)
一橋大学大学院商学研究科
小川英治
マクロ金融特論2014
1
マンデル・フレミング・モデル
マクロ金融特論2014
2
マンデル・フレミング・モデルの特徴
• IS-LMモデルの開放経済版
• 実物部門(財市場)と金融部門(貨幣市場)
との相互作用によって所得、金利、為替相
場のマクロ経済変数が決定。
• 固定為替相場制度と変動為替相場制度に
おける金融・財政政策の効果を分析
マクロ金融特論2014
3
マンデル・フレミング・モデルの仮定
• 小国開放経済(世界市場に影響を及ぼさ
ない⇒世界の価格と金利が所与)
• 不完全雇用⇒固定物価(P=1⇒名目値と実
質値の区別がなくなる)
• 資本規制がない⇒資本移動の完全性
• 為替リスクを無視⇒自国通貨建て資産と
外国通貨建て資産が完全代替
• 為替相場の静学的期待
マクロ金融特論2014
4
モデルの体系(1)
• 財市場均衡
Y  C ( Y  T )  I ( i )  G  N X (Y  T , E )
Y  T  C (Y  T )  S (Y  T )
↓
S ( Y  T )  I ( i )  G  T  N X (Y  T , E )
Y:GDP、C:消費、I:投資、G:政府支出、NX:純輸
出(輸出-輸入)、T:租税、i:自国通貨建て利子
率、E:為替相場、S:貯蓄
マクロ金融特論2014
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モデルの体系(2)
• 貨幣市場均衡
M  L (Y , i )
M:名目貨幣供給残高、L:実質貨幣需要残高
マクロ金融特論2014
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モデルの体系(3)
• 国際収支(=経常収支+資本収支)均衡
(変動相場制)
但し、経常収支の内の所得収支をゼロとして、
経常収支=純輸出とする。
BP  NX (Y  T , E )  K ( i  i )  0
*
BP:国際収支、K:資本収支
マクロ金融特論2014
7
モデルの体系(4)
• 固定相場制下における国際収支と貨幣供
給との関係
(国際収支黒字→自国通貨増価圧力→自国
通貨売り外国通貨買い介入→外貨準備増
→名目貨幣供給残高増ΔM)
BP  N X (Y  T , E )  K ( i  i )   M
*
マクロ金融特論2014
8
モデルの体系(5)
• カバーなし金利平価式
E t 1  E t
e
it  i t 
*
Et
i*:外国通貨建て利子率、 E
e
t 1
:予想将来為替相場
• 静学的期待
E t 1  E t
e
• 内外金利均等
it  i
*
t
マクロ金融特論2014
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モデルの体系(6)
• 内生変数:Y、i、E
• 財市場均衡:IS線(Y-i平面)、XX線(Y-E
平面)
• 貨幣市場均衡:LM線(Y-i平面)
*
• 国際収支均衡: i  i 線(Y-i平面)、FF線
(Y-E平面)
マクロ金融特論2014
10
i
IS
i
*
LM
A
i= i *
y
y0
E0
A'
FF
XX
E
マクロ金融特論2014
11
変動為替相場制度下における金融政
策の効果
①貨幣供給増加⇒LM右方シフト⇒金利低下圧力
⇒資本流出(=資本収支赤字)⇒
②FF下方シフト⇒為替相場上昇(自国通貨減価)
⇒貿易収支黒字(=外需増加)⇒
③IS右方シフト⇒GDP増加
マクロ金融特論2014
12
L
i
i
*
IS
IS’
LM’
LM
A
C
i= i
*
B
y
y0
y1
E0
A'
FF
E1
C’
E
マクロ金融特論2014XX
FF’
13
変動為替相場制度下における財政政
策の効果
①政府支出増加⇒IS右方シフトとXX右方シ
フト⇒金利上昇圧力⇒資本流入(=資本収
支黒字)⇒
②FF上方シフト⇒為替相場低下(自国通貨
増価)⇒貿易収支赤字(=外需減少)⇒
③IS左方シフト⇒GDP不変
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i
IS’
IS
LM
B
i
A
*
i= i
*
y
y0
XX’
XX
C’
E1
FF’
E0
A'
FF
E
マクロ金融特論2014
15
固定為替相場制度下における金融政
策の効果
①貨幣供給増加⇒LM右方シフト⇒金利低下
圧力⇒資本流出(=資本収支赤字)⇒
②FF下方シフト⇒為替相場上昇(自国通貨
減価)圧力⇒外為市場に外貨売り介入⇒
貨幣供給減少⇒
③LM左方へシフトバック⇒GDP不変
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16
i
i
*
IS
LM’
LM
A
i= i
*
B
y
y0
E0
A'
FF
FF’
E
マクロ金融特論2014XX
17
固定為替相場制度下における財政政
策の効果
①政府支出増加⇒IS右方シフトとXX右方シ
フト⇒金利上昇圧力⇒資本流入(=資本収
支黒字)⇒
②FF上方シフト⇒為替相場低下(自国通貨
増価)圧力⇒外為市場で外貨買い介入⇒
貨幣供給増加⇒
③LM右方シフト⇒GDP増加
マクロ金融特論2014
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i
IS’
IS
LM’
LM
B
i
A
*
C
i= i
*
y
y0
XX’
y1
XX
FF’
E0
A'
C’
FF
E
マクロ金融特論2014
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為替相場制度と金融・財政政策の効果
変動為替相場
制度
固定為替相場
制度
金融政策
自国通貨減価
GDP増加
GDP不変
財政政策
自国通貨増価
GDP不変
GDP増加
マクロ金融特論2014
20
為替介入
マクロ金融特論2014
21
為替介入とは?
• 為替介入とは?
=外為市場において民間部門による外貨の
超過需要(超過供給)が発生した場合に、
通貨当局が超過需要(超過供給)相当分
の外貨を外為市場に供給(需要)すること。
マクロ金融特論2014
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為替介入vs為替管理
• 為替介入=市場メカニズムを利用。通貨
当局が介入することによって外国為替市
場での不均衡が解消される。
• 為替管理=外国為替取引そのものを規制
する。外国為替市場で不均衡が発生した
まま。
マクロ金融特論2014
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為替介入の目的
• 為替相場安定化(スムージング)
• 為替相場目標(ターゲット)
*為替相場ターゲットの目的には、いろいろ
ある。
→貿易収支安定化、経済成長、インフレ抑
制etc.
マクロ金融特論2014
24
通貨当局のバランスシート
負債
資産
国内信用残高
(対 政 府 信 用 + 対 民 間 信 用 )
ハ イパ ワー ドマネー
ハ イパ ワー ドマ ネ ー
外貨準備残高
マクロ金融特論2014
25
為替介入(外貨買い介入)
と通貨当局のバランスシート
負債
資産
国内信用残高
(対 政 府 信 用 + 対 民 間 信 用 )
ハ イパ ワー ドマネー
ハ イパ ワー ドマ ネ ー
外貨準備残高
外貨買い介入による
外貨準備残高増
マクロ金融特論2014
ハイパワードマネー増
26
為替介入と不胎化政策
• 為替介入→外貨準備残高増減
①不胎化政策を伴わない場合
国内信用残高を一定としたまま、外貨準備残高
増減がハイパワードマネーの増減に結びつく。
②不胎化政策を伴う場合
外貨準備残高増減を相殺するように国内信用残
高を調整して、ハイパワードマネーを一定に保つ。
マクロ金融特論2014
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不胎化政策を伴う為替介入と
通貨当局のバランスシート
負債
資産
国内信用残高
(対 政 府 信 用 + 対 民 間 信 用 )
国内信用残高減
ハ イパ ワー ドマネ ー
ハ イパ ワー ドマ ネ ー
外貨準備残高
外貨買い介入による
外貨準備残高増
マクロ金融特論2014
28
不胎化政策を伴う為替介入
• 自国通貨の減価を抑える為替介入を不胎化する
と、
①為替介入によって外貨準備残高が減少するが、
貨幣供給量は不変。
②ファンダメンタルズが変化しないために、自国通
貨減価圧力が続く。
③外国通貨売り介入を続けなければならない。
④いずれは外貨準備残高が尽きる。
マクロ金融特論2014
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為替介入の効果(1)
• 不胎化政策を伴わない為替介入=貨幣供
給残高(ファンダメンタルズ)の変化を通じ
た効果
(例)
円高抑制の為替介入(=ドル買い介入)
⇒貨幣供給量の増加
⇒金利低下or物価上昇
⇒円安ドル高
マクロ金融特論2014
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為替介入の効果(2)
• 不胎化政策を伴う為替介入=貨幣供給残
高(ファンダメンタルズ)の変化がない。
⇒金利の変化がない。
マクロ金融特論2014
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為替介入の効果(3)
• 内外資産が完全代替
s0  i  i  s
*
e
1
①金利(不胎化政策を伴わない介入)
e
s
②シグナリング効果( 1 )
不胎化政策を伴う為替介入が将来の金
融政策の変化を予想させる場合に、有効。
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為替介入の効果(4)
• 内外資産が不完全代替
s0 

1 
i
*
is
e
1
1
  1   b 
f 

①リスク・プレミアムを通じた効果
不胎化政策を伴う為替介入=自国通貨建
て債券と外国通貨建て債券のスワップ取
引⇒bとfを通じて有効。
マクロ金融特論2014
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不胎化政策を伴う為替介入と
通貨当局のバランスシート
負債
資産
国内信用残高
(対 政 府 信 用 + 対 民 間 信 用 )
円建て債券売りオペ
ハ イパ ワー ドマネ ー
ハ イパ ワー ドマ ネ ー
外貨準備残高
ドル建て債券買いオペ
マクロ金融特論2014
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為替介入の効果(5)
• 円高を抑制する為替介入
円建て債券売りオペ+ドル建て債券買い
オペ
⇒民間部門に利用可能な供給残高(bの増
加とfの減少)
⇒ドル建て債券に対する円建て債券のリス
ク・プレミアムが上昇
⇒ドル高円安
マクロ金融特論2014
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為替介入の現実
• 外貨準備残高の変動から為替介入を推計
• 財務省の「外国為替平衡操作の実施状
況」(http://www.mof.go.jp/1c021.htm)の
データを利用
マクロ金融特論2014
36
外貨準備残高変動と為替相場
億ドル
円/ドル
図4-2:為替相場と為替介入
10000
330
280
為替相場
230
通貨当局対外純資産(短期)
1000
180
①
②
③
④
⑥
130
⑤
100
1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998
マクロ金融特論2014
37
80
円高・円安と為替介入
①③⑤円高進行←ドル買い介入(円高抑制)
②④円安進行←ドル売り介入(円安抑制)
⑥円安進行←ドル買い介入(円安加速)
マクロ金融特論2014
38
B O J In te rve n tio n s an d D o llar/ Y e n M o ve m e n t (J an / 1 9 9 1 - D e c / 2 0 0 4 )
B O J Interventio n (against U S do llar : 100M illio n Y en)
B O J In te rve n tio n
( 1 0 0 M illio n Y e n )
D o llar/Y en (average o f m o nth)
D o llar/ Y e n
(A ve . o f m o n th )
70000
150
60000
140
50000
130
40000
125円/ドル
30000
120
20000
110
10000
0
100
-10000
90
-20000
39
S ep-04
M ay-04
J an-04
S ep-03
M ay-03
J an-03
S ep-02
M ay-02
J an-02
S ep-01
M ay-01
J an-01
S ep-00
M ay-00
J an-00
S ep-99
J an-99
マクロ金融特論2014
M ay-99
S ep-98
M ay-98
J an-98
S ep-97
M ay-97
J an-97
S ep-96
M ay-96
J an-96
S ep-95
M ay-95
J an-95
S ep-94
J an-94
M ay-94
S ep-93
M ay-93
J an-93
S ep-92
M ay-92
J an-92
S ep-91
M ay-91
80
J an-91
-30000
第2.3 表
ドル・円介入日の中心値水準ごとの介入回数・総額
介入日の中心値
以上
未満
介入の方向
介入日数
介 入 総 額( 億 円 )
140
~145
ドル売り
3
2 ,7 3 6
135
~140
ドル売り
1
139
130
~135
ドル売り
8
3 0 ,5 8 1
125
~130
ドル売り
20
1 5 ,3 3 8
120
~125
ドル買い
2
1 7 ,1 0 9
11 5
~120
ドル買い
4
2 1 ,5 6 8
11 0
~ 11 5
ドル買い
17
1 3 ,8 1 5
105
~ 11 0
ドル買い
28
3 8 ,3 1 0
100
~105
ドル買い
50
6 3 ,9 7 7
95
~100
ドル買い
35
2 7 ,2 5 7
90
~95
ドル買い
9
5 ,4 0 6
85
~90
ドル買い
16
2 0 ,7 1 8
80
~85
ドル買い
7
3 ,6 8 0
ドル売り累計
32
4 8 ,7 9 4
ドル買い累計
168
2 11 ,8 60
総合計
200
2 6 0 ,6 54
(注 )こ れ 以 外 に 、 ド ル 売 り ・ マ ル ク 買 い 1 回 、 マ ル ク 買 い ・ 円 売 り 1 回 、 ド ル 売 り ・ ル ピ ア
買い 5 回、ユーロ買い・円売り 5 回、があった。
ドル売り介入日の円・ドル中心値の最安値
126.50円
ドル買い介入日の円・ドル中心値の最高値
122.65円
マクロ金融特論2014
伊藤隆敏「日本の通貨当局による為替
介入の分析」 2001年
40
為替介入の実際
•
125円/ドルを境にして、それ以上におい
て円買い介入。それ以下において円売り
介入。
• 1995年以前と1995年以降で為替介入が
変化。
(1) 1995年以前:頻繁かつ小規模
(2) 1995年以降:頻度が低下し、大規模
マクロ金融特論2014
41