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オープンデータを活用したサービスの実現に向けての コミュニケーション方式の提案 情報学部 情報社会学科 湯浦研究室4年 IDプログラム 7001-1079 廣瀬 奈月 2 目次 1. オープンデータの言葉の定義 2. 研究の背景と目的 3. 本研究のアプローチ 4. ODを活用したサービス実現に向けてのコミュニケーション方式の提案 1. ステークホルダーの分析と分類 2. 提案方式の概要 3. フレームワーク/リーン・キャンバスとは 4. 提案方式でのリーン・キャンバスの書き方 5. 提案方式を用いた2つの実験と評価 6. 結論および今後の展望 3 オープンデータの言葉の定義 行政機関(国、自治体)が持っている公共データを誰もが 利用 再利用 再配布 できることをオープンデータと定義する。 4 研究の背景と目的 ◎世界各国のオープンデータ進捗度の評価 ・World Wide Web Foundation による 14の評価指標に基づいた、オープンデータの進捗度の評価 ・日本は19位に留まっている。(平成24年9月現在) Open Data Index(出典:World Wide Web Foundation) 5 研究の背景と目的 ◎日本のオープンデータ進捗度の減点評価 オープンデータの進捗度の評価指標 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 オープンデータのライセンス使用度 貿易支出関連データの公開度 予算・支出データの公開度 医療関連データの公開度 教育関連データの公開度 交通関連データの公開度 統計データの公開度 地図データの公開度 税データの公開度 政府連絡先データの公開度 犯罪関連データの公開度 機械可読データの公開度 オープンデータ戦略の有無 データを活用した新サービスの創出度 1.オープンデータライセンスの使用度 5.教育関連データの公開度 12.機械可読データの公開度 14.データを活用した 新サービスの創出度 評価指標(出典:World Wide Web Foundation) 目的:オープンデータを活用した新サービスの創出度の向上 6 研究の背景と目的 (参考)オープンデータを活用したサービスの事例ー日本ー 税金はどこへ行った?(Where does my money go?) • 一日あたりどこにいくら税金が使われているかを知ることができる • 現在、71の自治体で運営されている • 使用データ:各自治体の予算データ、決算データ 税金はどこへ行った?(出典:http://spending.jp/) 7 研究の背景と目的 (参考)海外のサービス事例 ○illustreets • イギリス国内で最も住みやすい場所を探すためのWebサービス • 平均不動産価格、賃貸料、公共施設までの所要時間、犯罪率、治安状況に基 づいた生活水準を色分けして表示 • OD提供元:陸地測量部、教育省、Ofsted(学校評価機関)、国民統計局、警察 illustreets(出典:http://illustreets.co.uk/) 8 本研究のアプローチ ◎利活用・普及に重要な要素と本研究のアプローチ OD利活用に必要な7要素(出典:GLOCOM) オープンデータを活用したサービス開発に携わる人々同士 のコミュニケーションから、新サービス創出度の向上を図る 9 オープンデータを活用したサービス実現に向けての コミュニケーション方式の提案 ◎サービス開発のステークホルダーの分析と分類 本研究におけるステークホルダーの分類 既存のステークホルダーの分類 イメージ図 データ提供者 サービス開発面か ら再分類 対話 民間利用者 政府 顧客 民間利用者 開発技術者 アイディア発案者 10 オープンデータを活用したサービス実現に向けての コミュニケーション方式の提案 ◎提案方式の概要 フレームワーク(リーン・キャンバス)を導入したコミュニケーション方式 開発技術者 アイディア発案者 データ提供者 顧客 (想定利用ユーザ) 11 オープンデータを活用したサービス実現に向けての コミュニケーション方式の提案 ◎フレームワークとは 抜け漏れなく、重複なく、全体として網羅的に情報を整理する枠組みのこと。 ◎リーン・キャンバスとは • 不確実性の高い新規事業の立ち上げや起業をする際に用いられるビジネスモ デルを顧客主導で検証するフレームワーク 3 つ の 特 徴 高速性 ・ビジネスモデルの概要をすぐに書き上げることができる。 ・作成、変更を行うのが簡単。 簡潔性 ・ビジネスモデルの全体像を1枚で把握することができる。 ・端的な言葉を使って書くためアイディアの本質を抽出できる。 携帯性 ・1枚のビジネスモデルを複数人で共有することができる。 12 オープンデータを活用したサービス実現に向けての コミュニケーション方式の提案 ◎ODを活用したサービスを議論する上でのリーン・キャンバスの書き方 1. アイディア発案者が定められた順番に9要素を埋めていく。 空白があっても構わない 例外:課題、顧客セグメントの2要素は最初の段階で必ず埋める 2. 3. 4. 他のステークホルダーが閲覧する ステークホルダーが原案を元に要素を埋めたり、変更したりする 2.3を繰り返し、アイディアを事業策定可能なレベルまで練り上げる。 コスト構造 収益の流れ アッシュ・マウリャ氏のLC 必要なOD パートナー オープンデータ仕様のLC 13 提案方式を用いた実験と評価 ◎実験の目的 • オープンデータIDEABOXで議論された「保育園の受入児童空き情報を Google Mapsに表示させる」を題材に、提案方式の有効性を検証。 実験Ⅰ ア イ デ ィ ア の 抽 出 ア イ デ ィ ア の 整 理 従来型の議論形式 比 較 フレーム ワーク導入 の有効性 比 較 リーン・キャ ンバスの 優位性 リーン・キャンバス 6W2H 実験Ⅱ ※6W2H・・・事業計画書を作成する上でしばしば用いられるフレームワーク 提 案 方 式 の 有 効 性 14 提案方式を用いた実験と評価 ◎実験の概要 実験Ⅰ 実験Ⅱ 実験概要 フレームワークを導入することが、ステー クホルダー同士の議論を有意義にさせる か検証する。 フレームワークの中でもリーン・キャン バスが適切であるかを検証する。 比較対象 ・従来のスレッド型の議論形式 ・フレームワーク(リーン・キャンバス) ・リーン・キャンバス ・6W2H 評価項目 1.原案の提示 1.原案の提示と意見のしやすさ 2.原案に対する意見 2.MECEに整理できているか 3.議論への途中参加 4.原案の更新・追加のしやすさ 5.ステークホルダーの管理 (MECE:抜け漏れなく、重複なく、 全体として網羅的に情報を整理) 15 提案方式を用いた実験と評価 議論の内容の整理 • 投稿No/投稿区分/投稿者/時間/賛否/内容 • 投稿者ごとに色分け 投稿No 投稿区分 投稿名 0(アイディ 一般 ア投稿) イトキン 投稿時間 賛否 内容 2013/2/26 12:39 はじめましての投稿です。自治体が保有している 公立保育園の空き状況等をGoogleMapsの地図上 に公開して、子供を預けたい親と、保育園のマッチ ング支援を図ることにより、待機児童数を減少させ る。また、これらの統計データを取ることにより、地 域毎の保育園の需給ニーズがわかるため、どこの 地域に保育園を新設すべきか等の、設備投資戦 略にも生かされる。 1 一般 yo- 2013/2/15 16:38 賛成 逆に、待機児童のいる都市部では、入所希望者の分布が わかると私立保育所の新設に役立つのかもと思ったりもし たけど、難しそう。大まかな地域別人数はすでにあるとし て、細かくしていくとプライバシー上の問題が出かねない し、希望者には流動性があるのに対して、廃置は簡単で はなさそうだし。 2 一般 奥野幹也 2013/2/16 10:45 賛成 データさえ開示してあれば要件を満たすことができ ますね。あえて地図と組み合わせるところまで行 政側でやらなくても良いのではないかと思います。 (データの提供自体はもちろん賛成です。) 賛成 #002奥野さん コメントありがとうございます。地図へのプロットま でを行政側やるのではなく、あくまでも、生きた データ(PDFとかではなく、できればマシンリーダブ ルな形)で提供するのが最低限の役割だとおもい ます。 3 一般 イトキン 2013/2/18 12:34 16 提案方式を用いた実験と評価 フレームワークへの適用 投稿No 投稿区分 投稿名 0(アイディ 一般 ア投稿) イトキン 従来のスレッド型議論 投稿時間 賛否 2013/2/26 12:39 内容 はじめましての投稿です。自治体が保有している公立保育園の空き状況等をGoogleMapsの地図上 に公開して、子供を預けたい親と、保育園のマッチング支援を図ることにより、待機児童数を減少させ る。また、これらの統計データを取ることにより、地域毎の保育園の需給ニーズがわかるため、どこの 地域に保育園を新設すべきか等の、設備投資戦略にも生かされる。 A.Why(なぜ事業を やるのか?) A.課題 B.顧客セグメント C.独自の価値提案 D.ソリューション E.チャネル (A-1)待機児童 (D-1)公立保育 (C-1)地域毎の保育園の需要 (B-1)子供を預 園の空き情報を ニーズの把握(C-2)設備投資戦 けたい親(B-2) Google Mapsの 略へ(どこの地域に保育園を施 保育園 地図上に呼応 設すべきか) 階 F.主要指標 G.利用するオープンデータH.パートナー (E-1)待機児童 (G-1)公立保育園の空き (H-1)自治体 の減少 状況等 リーン・キャンバス I.圧倒的な優位性 (I-1)親と保育園の マッチング支援 B.What(サービスの 具体的な内容) C.Where(想定する 市場はどこなの か?) D.Whom(ターゲットと E.When(どのようなタ F.How to(どんな特徴が する顧客は誰なの イミングで事業を行う あるのか?どのようなノ か?) のか?) ウハウを使うか?) J.その他分類できないコメント (B-1)子供を預けた (A-1)待機児童を減 (C-1)保育園・幼稚 (D-1)子供を預けた い親と保育園のマッ 少させたい 園 い親(D-2)保育園 チング支援 6W2H (F-1)公立保育園の空き 状況等をGoogleMapsの 地図上に公開する(F-2) 統計データをとって、地域 毎の保育園の需要ニー ズを把握できる(F-3)設 備投資戦略に活かすこと ができる(たとえば:どこ の地域に保育園を新設す べきか) H.How about OD?(どの G.Who(誰がその事 ようなオープンデータを使 分類できないコメント 業をやるのか?) 用するのか?) (H-1)公立保育園の空き 状況(自治体) 17 提案方式を用いた実験と評価 実験Ⅰの評価 (1)原案の提示 スレッド型 ・記述の自由度が高く、書きやすい ・高いが故に読み手の誤読が生じやすい フレームワーク(リーン・キャンバス) ・慣れないうちは書きづらさを感じる ・端的な言葉表現により誤読が生じにくい 18 提案方式を用いた実験と評価 実験Ⅰの評価 (2)原案に対する意見 投稿No 投稿区分 投稿名 投稿時間 賛否 内容 2013/2/15 16:38 賛成 逆に、待機児童のいる都市部では、入所希望者の分布がわかると私立保育所の新設に役立つのかもと 思ったりもしたけど、難しそう。大まかな地域別人数はすでにあるとして、細かくしていくとプライバシー上の 問題が出かねないし、希望者には流動性があるのに対して、廃置は簡単ではなさそうだし。 1 一般 yo- 2 一般 奥野幹也 2013/2/16 10:45 賛成 3 一般 イトキン 2013/2/18 12:34 賛成 #002奥野さん コメントありがとうございます。地図へのプロットまでを行政側やるのではなく、あくまでも、生 きたデータ(PDFとかではなく、できればマシンリーダブルな形)で提供するのが最低限の役 割だとおもいます。 4 一般 イトキン 2013/2/18 12:38 賛成 #001yoさん コメントありがとうございます。たしかに、廃置は簡単にできるものではないの で、ニーズが低い地域だからといっても打つ手を別に考えなければならないと思います。 データさえ開示してあれば要件を満たすことができますね。あえて地図と組み合わせるとこ ろまで行政側でやらなくても良いのではないかと思います。(データの提供自体はもちろん 賛成です。) 時間軸に従うため、 複数の意見を挟むことに なり、読みづらい。 時間軸にとらわれることなく 要素ごとに議論展開が可能なため、 読みやすい。 19 提案方式を用いた実験と評価 実験Ⅰの評価 (3)議論への途中参加 投稿No 投稿区分 投稿名 投稿時間 賛否 内容 イトキン 2013/2/26 12:39 はじめましての投稿です。自治体が保有している 公立保育園の空き状況等をGoogleMapsの地図上 に公開して、子供を預けたい親と、保育園のマッチ ング支援を図ることにより、待機児童数を減少させ る。また、これらの統計データを取ることにより、地 域毎の保育園の需給ニーズがわかるため、どこの 地域に保育園を新設すべきか等の、設備投資戦 略にも生かされる。 1 一般 yo- 2013/2/15 16:38 賛成 逆に、待機児童のいる都市部では、入所希望者の分布が わかると私立保育所の新設に役立つのかもと思ったりもし たけど、難しそう。大まかな地域別人数はすでにあるとし て、細かくしていくとプライバシー上の問題が出かねない し、希望者には流動性があるのに対して、廃置は簡単で はなさそうだし。 2 一般 奥野幹也 2013/2/16 10:45 賛成 データさえ開示してあれば要件を満たすことができ ますね。あえて地図と組み合わせるところまで行 政側でやらなくても良いのではないかと思います。 (データの提供自体はもちろん賛成です。) 賛成 #002奥野さん コメントありがとうございます。地図へのプロットま でを行政側やるのではなく、あくまでも、生きた データ(PDFとかではなく、できればマシンリーダブ ルな形)で提供するのが最低限の役割だとおもい ます。 0(アイディ 一般 ア投稿) 3 一般 イトキン 2013/2/18 12:34 ・最初の投稿から最新のものまで、全て に目を通す必要があり時間がかかる。 ・現在討論されていない項目について投 稿する際、タイミングを計らう必要がある。 ・最新版を見ることで、今までの議論を すぐに把握することができる。 ・要素ごとに議論がされているため、タ イミングを計らう必要がない。 20 提案方式を用いた実験と評価 実験Ⅱの評価 (1)原案の提示と意見のしやすさ 6W2H 「How to」にサービスの強みや特徴が集約さ れている。 リーン・キャンバス サービスの強みを3要素に細分化している。 →ピンポイントな意見の提示が可能 21 提案方式を用いた実験と評価 実験Ⅱの評価 (2)MECEな議論の可能性 リーン・キャンバス 6W2H How to LCの要素とステークホルダーの関係性 ・1要素に1視点と考えられ、重複のない、 無駄を省いた(Lean)議論ができる可能 性が高い。 How to How to 6W2Hの要素とステークホルダーの関係性 ・1要素に対し複数の視点が交わっている が故、発言者の立ち位置が不明瞭。 ・情報の整理という点でリーン・キャンバス より劣ってしまう。 22 結論および今後の展望 結論 ①フレームワークの導入について 従来のスレッド型よりも、全体の議論の流れが把握しやすく、かつ議論へ の途中参加の敷居も低いことが明らかとなった。 ②リーン・キャンバスの適用性について リーン・キャンバスは議論を有意義にできると示唆された。 不確実性の高いアイディアを事業策定を考慮した上で議論できる 6W2H「How to」→L・C「ソリューション」「独自の価値提案」「圧倒的な優 位性」 今後の展望 実際に提案方式を用いてサービス開発を行ってもらい、フィードバックを得る。 ご清聴ありがとうございました。