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(4)アポミクシス(無性的種子形成)
・不定胚形成:珠心細胞や珠皮細胞から胚が形成される.
・無胞子生殖:珠心など体細胞からの非還元性背嚢形成.
・複相胞子生殖(減数性母細胞の倍加.傾母植物形成)
利点:
1)ヘテロ型であっても親と同じ遺伝子型を供給できる
2)種子繁殖により大量供給(増殖効率が高い)、ならびに環
境ストレスに強い
*ウイルスフリー化できる可能性あり
欠点:交雑育種の障害となる
育種例として・・・・・・
不定胚形成—ミカン、マンゴーなど、胚嚢のまわりの珠心(最も内側の組織)から
胚が形成される。珠皮(珠心の外側の中珠皮、外珠皮などからも形成
無胞子生殖—ベリー類とケンタッキーブルーグラス。36−94%程度は親と同じ。
80%以上であれば品種とする。利点は、F1での雑種強勢を維持すること、ウイル
スフリー種子。
珠心胚実生:受精胚形成の胚と同じ形態であるが,多胚となることがある
単胚性:文旦類,ハッサク,伊予柑,日向夏,紀州ミカン
多胚性:レモン,グレープフルーツ,夏みかん,柚など
レモン
文旦
グレープフルーツ
利点
栄養繁殖より成長力旺盛なため,
1.台木実生としての利用:同じものを生産できる
2.ウイルスフリー化した栄養繁殖
欠点
交雑育種が行えない
その他:
温州ミカンの品種改良
温州ミカンの珠心胚実生による品種改良
珠心実生は母親と同じだが,一部に変異あり
宮川早生から選抜:興津早生(みかん農林1号),美保早生
(同2号)など.受精の弱さを克服
中生の長橋温州の珠心胚実生から,久能温州(同3号)
杉山温州から,瀬戸温州(同4号)
興津早生
(5)近交弱勢と雑種強勢
雑種強勢、ヘテロシス
原理:
優性説—複数の遺伝子がヘテロ接合
超優性説の説明—ヘテロ型の方が旺盛になる(超優性)
表
現
型
へ
の
効
果
G2g2
g2g2
G2G2
G1g1
G1G1
g1g1
P1
F1
P2
トマト交雑から一代雑種へ
アンデス山脈起源
Lycopersicum esculentum
(Lycoオオカミ,sicum-モモ)
機械向け品種の育成
・交雑育種により、小柄だが一斉に実をつける習性,
レッド・トップ
・細長い果実がいたまないので,小さいハー
ディンス・ミニチュア x レッド・トップ を(細長
い)1代雑種とした
その他F1hybrid
F1育種
1938年 農試 伊藤(のちにタキイ)
F1福寿号
デリシャス(スムースな果実),ジュンピンク(子実多い,肥大性)
F1(大きくてスムース)
両親を越えた能力
いまの育種目標
スライスしてもゼリーがこぼれにくい
硬さ,多肉,丸い形状,7-8mmのスライスが5-6枚
葉が日焼けしにくいなど