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トラヒック特性を考慮したネットワーク
機器の省電力化に関する論文調査
九州大学 システム情報科学府
情報知能工学専攻
岡村研究室 修士1年生
李楠
発表内容
• 背景
– ネットワーク機器の省電力化:文献[1]の紹介
– 状態遷移
• トラフィック予測:文献[2]の紹介
• 通信速度制御:文献[3]の紹介
• まとめ
• 今後の研究
文献[1]の紹介
文献[1]
• Greening of the Internet
– Maruti Gupta, Suresh Singh
– Proc. ACM SIGCOMM2003, pp. 19–26, Aug. 2003
• 概要
– 2000 年度のアメリカにおけるネットワーク機器の消費電力が本論文
において紹介されている。 本論文では、LAN スイッチ内の全到着パ
ケットの転送処理が行われ待機状態になったときに、直ちに電力
セーブモードへ遷移し、待機電力を削減する手法が提案されている。
ネットワーク機器での消費電力
文献[1]
機器名
機器数
年間総電力消費
ハブ
9350万台
1.56TW-h
Lanスイッチ
9万5000台
3.2TW-h
Wanスイッチ
5万台
0.15TW-h
コアルータ
3257台
1.1TW-h
合計
6.05TW-h
ネットワーク機器の消費電力がアメリカの総電力消費量のなかで占める割
合は0.07%だが,この消費電力は原子力発電所のリアクタ一基の年間発電
量にも相当し,発電にかかるコストは年間10 億ドルにも達する。
提案手法
文献[1]
転送後
パケット
セーブモード
ウェイクアップ
正常モード
パケット転送
大きな電力が消費される
• 電力セーブモードの時間が短い場合,省電力化で得られる電力削減量
よりも復帰時の突入電流による消費電力の方が大きくなり,結果的に省
電力効果が得られない場合がある.
• 短い時間に過度に電力セーブモードから復帰すると,機器に電気的スト
レスを与える可能性がある。
状態遷移
• トラフィックとは
– ネットワーク上を流れる単位時間当たりのデータ
– トラフィック量は、一般に1秒あたりの伝送ビッド数を単位として表わさ
れる。
• トラヒックの特性によってはスリープからウェイクの状態遷移
– トラフィック予測
――過去のトラフィック状況を把握し、将来を予測する
– 通信速度制御
――動的に転送速度 や集約リンク数 を制御することで省電力化を
実現
文献[2]の紹介
文献[2]
• ニューラルネットワークを用いたトラヒック予測器とその特性
– 戸出英樹 岩本厚志 池田博昌
– 電子情報通信学会論文誌 B Vol.J82-B No.2 pp.208-216 1999年2月
• 概要:
– 本論文はトラヒック予測技術としてニューラルネットワークを使用する
予測法を取り上げ、基本ニューラル予測システムに対する改良法を
提示し、現在有効なトラヒックの予測法として考えられている線形予
測とその予測性能の比較を通じてニューラル予測システムの有効性
を明らかにした。
ニューロンモデルとは
文献[2]
●入力がn個あるとき、
●それに対応する結合荷重もn個存在す
る。
●i番目の入力、結合荷重を
それぞれXi、 Wiとする
ニューロンの出力Y
これはニューロンを層
状にならべ、前の層か
ら次の層へ一方向の
み信号が伝わるという
ネットワークです。
ニューラル予測 について
文献[2]
• ニューラルネットワーク(Neural Network)による予測
• ケーススタディからの学習を通じて所望の多変数関数を構成
できる
• フィードフォワード型ニューラルネットワーク(BPNN:BackError Propagation Neural Network)
– 誤差逆伝搬則に従う学習機能を持つ
– 一定周期ごとに予測値出力処理・関数学習処理を実行する
予測対象
• 予測対象:区間セル到着率
– 区間セル到着率 = セル到着数 / 区間長
– ATM:データ伝送技術の一つ
であり、セルと呼ばれる短い
固定長のパケットを使うコネク
ション型のパケット通信
– セルを連続して通信し、
セルにデータを入れて運ぶ
イメージがある。
文献[2]
ニューラル予測器
• Phase I:過去の時系列データ
{Xn-k,…,Xn-1}入力に対して次区
間の到着率^Xnを予測する処理
• Phase II:tn時点までに取得され
た最新のデータXn-1とその時の
予測値^Xn-1との差を予測誤差と
してニューラルネットに逆伝搬さ
せ、中間リンクの結合荷重値を
更新する学習処理
文献[2]
各層の構成
文献[2]
• 入力層:入力値を0から1の間に
変換(正規化関数)
• 中間層:基本演算処理
• 出力層:基本演算処理に加え、
ユニットの示す値入力値と同じ
環境に戻す為の出力逆正規化
関数が後処理として設定され
る。
●正規化関数
(m,ondoは任意の定数)
●逆正規化関数
ARモデルによる予測
文献[2]
• ARモデルとは
– ある離散時系列データにおいて、時刻kでの値xkがp期間前までの値
xk-i(i=1,2,…,p)、及び誤差項wkの線形関数で表せるとすると
のようになり、これを自己回帰モデル(AR(p))と呼ぶ
– wkは平均値0で分散σ2の正規白色雑音である
• ARモデルを用いて予測を行う場合、最小2乗推理法に基づ
いて係数を更新する
ARMAモデルによる予測
文献[2]
• ARMAモデルとは
– ある離散時系列データにおいて、時刻kでの値xkがp期間前までの値
xk-i(i=1,2,…,p)とq区間前までの推定誤差uk-j(j=1,2,…,q)、及び誤差項
wkの線形関数で表せるとすると
のようになり、これを自己回帰移動平均モデル(ARMA(p,q))と呼ぶ
• ARMAモデルを用いて予測を行う場合、ARモデルと同様
(最小2乗推理法に基づいて係数を更新する)
予測システムの高度化手法
文献[2]
• 正規化変数mの制御
– 固定値
– 入力値の平均値
• モーメント項αの制御
– ニューラルネットワークにおける学習で、結合荷重値の修正には一般
に誤差逆伝搬則が用いられる。
– 第n回目のリンクij(ユニットiからユニットjへの配線)の結合荷重値の
修正
第1項は誤差逆伝搬則による学習項を表す
第2項はモーメント項
● 固定値
● リセット制御
(0<α<1)
比較
文献[2]
• 誤差計算式
予測誤差入力着き
文献[3]の紹介
文献[3]
• Managing energy consumption costs in desktop PCs and Lan
switches with proxying split TCP connection, and scaling of
link speed
– C.Gunaratne, K.Christensen, B.Nordman
– International Journal of Network Management Volume 15, Issue 5,
pp.297-310, September 2005
• 概要
本論文はスリープ以外のネットワーク省電力化手法としてはネット
ワーク機器の通信速度制御を利用した省電力化が提案されている。
コアネットワークとエッジネットワーク
• コアネットワーク
– インターネットを利用する際に頻繁
に用いられる経路
– ISP (Internet Service Provider) 間を
文献[3]
• エッジネットワーク
– LAN などのインターネットの端に位
置するネットワーク
– トラヒックの特性:時間帯によってト
結ぶ回線,ISP とIX (Internet
ラヒック流量が大きく変動し,夜間
eXchange) を結ぶ回線
などにはほとんどトラヒックが発生
– トラヒック特性:昼夜を問わず常にト
しない。昼間はユーザが多いため
ラヒック流量が多く,バースト的に流
Web 閲覧,電子メールなどのバー
れている上,あまり変動しない
スト的なトラヒックが発生することに
なる
スリープ状態への遷移を用いた
省電力化手法
文献[3]
• インターフェースに一定時間(interval 時間と称する) パケット
の流入がない場合のみスリープに状態遷移する
• 最適なinterval 時間を求める
省電力化手法
スリープ状態への
遷移を用いた省電
力化手法
文献[3]
エッジネッ
トワーク
コアネット
ワーク
ネットワーク機器の
通信速度制御を利
用した省電力化
●バッファに存在するパケット数により通常状態と低速な
電力セーブ状態を切り替えることで省電力化
単線物理リンクにおける
転送速度制御
文献[3]
• 端末 ― スイッチ間の単線リンクにおける転送速度制御による省電力化
手法を提案
• 同じNIC (Network Interface Card) を用いた場合でも10 Mb/s と1 Gb/s の
転送速度では消費電力に約1.8W の差が生じる
• スイッチのキュー長に応じて低電力なlow状態である転送速度10 Mb/s
と,通常電力が必要なhigh 状態である転送速度100 Mb/s を切り替える
省電力化手法を提案
• 手法:パケットが絶え間なく到着してもトラヒック量が減少した際に省電力
化が可能となる
まとめ
• トラフィックを予測し、演算の複雑のため、省電力に役に立つかどうかは
分からない。
• スリープを用いた既存の省電力化手法では,全パケット転送後に電力
セーブ状態に遷移する。コアネットワークには効果があまりない。
• 単線物理リンクにおける速度制御は転送速度を10 Mb/s と100 Mb/sの間
で切り替えることで省電力化を行う方法であり、この手法は使用する通信
規格を変更することで転送速度を制御するため,40 Mb/s や60 Mb/s な
どの規格にない転送速度は設定できず粒度の粗い制御しか行うことがで
きない
今後の研究
• トラフィック予測より、状態の遷移制御の手法がもっと行われ
やすいと考えられる
• コアネットワークに速度制御による省電力化手法を適用する
ためには,より柔軟な転送速度の制御が必要となる