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石川
1)環境に適応した農耕起源
2)栽培環境に適応した作物の起源
3)拡散による起源地以外への再適応
4)緑の革命:崩壊する稲作vs再生可能な水田稲作体系
5)野生種と遺伝子給源:起源地の情報をもとにした遺伝子供給源の保護と利用
6)栽培種の多様性と遺伝子給源
7)育種による環境適応型品種改良
1回目
1)環境に適応した農耕起源;
農業の現状
作物のふるさとについて
世界地図と作物の起源地栽培作物の起源:8大中心地(説明)
栽培作物の歴史:ブドウ,バナナ,トウガラシ,パイナップル,サ
ツマイモ,カボチャ(個別の栽培歴史)
栽培植物の伝播には複雑なストーリーがある
西瓜
胡麻
胡
中国
胡瓜 胡椒
山椒
南瓜
作物の起源:De Candolle1883
起源値の特定:野生の状態で存在する,近縁の野生型の存在する場所,
野生状態と野生化の区別が困難.補助のため:考古学,歴史学,言語学
ただし,リンネ種や変種が持つ遺伝的グループについて区別しなかった.
それまで,オオムギ,コムギ,エンバクなど一括して起源を考慮した
・バビロフ(ルイセンコ,ラマルキズム):分類地理学的方法,系統,変種,種の地
理的な分布から判別する
一般の分布地域を知るだけでは何もわからないため,微分的分類地理学が必
要
分類形態学,細胞学的方法,交雑親和性,病害抵抗性など種および遺伝的集
団に分類
種の分布地域を決定,過去の分布を知る
種の変種や系統(遺伝的な変異形質)の構成を明らかにする
その種が持つ遺伝的な型の地域・地方ごとの分卯を明確にする,多様性が集積
している中心地を決定する
農業の現状
70
億
60
50
40
Wprld
Asia
30
20
10
0
1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
600000
万ha 500000
400000
300000
World +
Asia +
200000
100000
0
1965 1967 1969 1971 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005
Japan
800
万ha
700
600
500
400
Japan
300
200
100
0
1965 1967 1969 1971 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005
コメ単位(ha)あたりの収量(t)
8
t/ha
7
6
5
Japan
Cambodia
4
Indonesia
Lao PDR
3
Myanmar
Philippines
2
Thailand
Viet Nam
1
0
中国
インド
インドネシア
バングラデッシュ
ベトナム
タイ
ミャンマー・フィリピ
ン
日本
USA
生産量
60000000
50000000
40000000
Indonesia
30000000
Thailand
Viet Nam
20000000
10000000
0
Japan
コメ収穫量(東北):冷害年 1976,80,82,83,88,93,03
4000000
3500000
3000000
2500000
2000000
1500000
1000000
500000
0
品種の変遷:コシヒカリ神話
1958
作付面積(ha)
(%)
1967
作付面積(ha)
(%)
2006
作付面積(ha)
(%)
金南風
125,590 4.8 フジミノリ
186,129 6.8 コシヒカリ
557,829 37.7
農林18号
101,932
175,974 6.4 ひとめぼれ
154,475 10.5
143,284 5.2 ヒノヒカリ
148,341
4 ホウネンワセ
農林22号
85,029 3.2 コシヒカリ
ササシグレ
78,570 3.1 金南風
94,972 3.5 あきたこまち
農林29号
69,991 2.7 ササニシキ
90,784 3.3 キヌヒカリ
51,237 3.5
農林17号
65,748 2.6 ホウヨク
83,528 3.1 きらら397
48,811 3.3
藤坂5号
63,441 2.5 ヤマビコ
64,390 2.4 はえぬき
43,972
農林41号
57,038 2.2 越路早生
60,402 2.2 ほしのゆめ
38,735 2.6
ギンマサリ
51,875
52,775 1.9 つがるロマン
24,048 1.6
ミホニシキ
46,082 1.8 ヨネシロ
50,401 1.8 ななつぼし
17,101 1.2
2 中生新千本
10
130,448 8.8
3
世界地図と作物の起源地栽培作物の起源:
・バビロフ(ルイセンコ,ラマルキズム):分類地理学的方法
系統,変種,種の地理的な分布から判別する
一般の分布地域を知るだけでは何もわからないため,微分的分類地理学が必
要
分類形態学,細胞学的方法,交雑親和性,病害抵抗性など種および遺伝的集
団に分類
種の分布地域を決定,過去の分布を知る
種の変種や系統(遺伝的な変異形質)の構成を明らかにする
その種が持つ遺伝的な型の地域・地方ごとの分卯を明確にする,多様性が集積
している中心地を決定する
栽培作物の歴史:ブドウ,バナナ,トウガラシ,
パイナップル,サツマイモ,カボチャ(個別の
栽培歴史)
ブドウ:
トランスコーカサスと雌雄異株(雌雄同株と異株,イチョウとマツ,雌雄同株でも異なるものイネ
6000-5000BC,4.5mm-7mm,fruit-size,10-12~20mm
4000BC チグリスーユーフラテス河流域
3000-2000BCにヨーロッパへ
100BCに中国?
ブドウにみる人為選抜
インダス文明におけるブドウの利用
ユーラシア大陸のブドウ属
アジアの野生ブドウ
西洋ブドウ
Vitis vinifere
V. amurensis
V. coignetiae
V. flexuosa
V. ficifolia など
西洋ブドウ
V. sylvestris
6000-5000BC
人為選抜
種子サイズ4.5mm (果実:10-12mm)
Caucassia (Georgia)
種子サイズ7mm (果実:20mm).
V. vinefera
4000BC
チグリスーユーフラテス
3000-2000BC
欧州
100BC中国へ
日本の野生ブドウ
ヤマブドウV. coignetiae
サンカクヅル V. flexuosa
エビヅル V. ficifolia
1cm
A.
B.
1mm
1mm
C.
2cm
10cm
V. coignetiae
V. ficifolia
Current V. coignetiae
Seed (ca. 5900BP; San-nai site)
Sannai-Maruyama site
Vitis vinefera cv.
Beniizu
New Muscat
Portland
1mm
Golden Mucat x
Kuroshio
Muscat of Alexandria x
Japanese landrace
バナナ:種があったら困るもの
インドネシア,ミャンマーなど
倍数性と不稔性,巨大化
安定した栽培地の確立,単一遺伝子体系の
脆弱さと品種保護技術
トウガラシ:カカオとトウガラシ,辛いけど甘い
のみもの
中南米と西インド諸島,コロンブスの航海,ア
ジアへの移入
日本での栽培と海外からの輸入,清水森ナン
バ
パイナップル:
南アメリカ
クック船長とタヒチなどへの移植
栄養成長と花の退化
ベトナムでのパイナップル船,カンボジアでの
プランテーション
栄養繁殖:無性生殖
種子繁殖:有性繁殖(アンフィミクシス(自殖,他殖)とアポミクシス(単為生
殖)
www.cgiar.org
1971年に設立された国際農
業研究協議グループ
(CGIAR)は、世界15か所の
国際研究センターの活動を
支える数々のドナーの戦略
的共同体で、各国にある多
数の国立農業研究機関、市
民社会団体、そして世界各
地の民間企業と共同で活動
を展開しています。 CGIARの
ドナーには、先進国、途上国、
国際機関、地域機関、民間
財団などが含まれます。
2回目
・気候と作物の起源:
・4つの農耕文明(中尾佐助)
・伝播の様式
・日本への農耕の伝播
2回目
・気候と作物の起源:
肥沃な三日月地帯とムギの栽培化(地理的環境,栽培化と伝播)
東亜半月弧とイネの栽培化
4つの農耕文明(中尾佐助)
異なる環境に適応した野生種からの栽培化:野生種の分布・特性と栽
培種の地域性
各栽培地域における農作物:
新大陸のジャガイモ,キャッサバ,トマト
地中海のキャベツとカリフラワー
サバンナのごま,メロン
根菜農耕文化:サトウキビ,タロイモ(Arum),ヤムイモDioscorea,バナ
ナ
・伝播の様式
固有種:起源値と多様性の中心が一致,ギニアキビなどマイナーcrop
準固有種:起源地よりも分布地域はやや広く多様性中心が拡散 アフリカイネ
単中心型:起源と多様性の中心が一致,コーヒーなど.栽培種は広く分布
少数中心型:起源地は1つ,多様性の中心は1つ以上,栽培種は広く分布,伝播の過程で分化.
コムギ,オオムギ,エンドウマメ,アマ,トウモロコシ
無中心型:栽培種の分布広いが中心地が不明,ダイコン,アブラナ,ヒョウタン
日本への農耕の伝播
縄文と弥生:管理栽培から農耕へ
•弥生以降の栽培種導入による農耕の発達.
•東日本と西日本,導入された作物の違いとその後の適応(ムギとコメ)
•二条と六条,皮と裸
•水田稲作の導入と北進
•農業と環境(古環境の復元)
2)栽培環境に適応した作物の起源
栽培化へのプロセス(一次作物と二次作物)
直接選抜の対象となる生物種
2次的に対処となった生物種
野生と栽培の違い
機械的淘汰と意識的淘汰
雑草型植物:コムギとイネ
ツルマメとエダマメ
リョクトウ
アズキ
5900年前のマメ
ツルマメ
ダイズ
ツルマメとエダマメ
形質の変化:なにが栽培種と野生種を見分ける点か?
食用部大型化:バナナ,リンゴ,ダイズ
成分の増加:サトウダイコン
毒性の減少:アーモンドyes,オークno
休眠性の消失:ムギ,イネ
開花特性の変化(短日性の消失など):イネ
脱粒性の消失:ムギ,イネ
形質の変化:なにが栽培種と野生種を見分ける点か?
食用部大型化:バナナ,リンゴ,ダイズ
成分の増加:サトウダイコン
毒性の減少:アーモンドyes,オークno
休眠性の消失:ムギ,イネ
開花特性の変化(短日性の消失など):イネ
脱粒性の消失:ムギ,イネ
バビロフが確定した作物の起源地推定法
大きさの異なる変種などの多く見られるところが多様性の中心地
多様性の中心地が起源地である可能性が高い
また,かって,もしくは現在,野生種がみられる地域で栽培化がおこった