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2011年2月1日
東京大学理学系研究科物理学専攻
小沢研究室 修士2年
桝本 新一
開発背景 J-PARC E26実験
γ線カロリメータ及び中性子TOF検出器の概要
新読出し方式でのカロリメータ性能評価
• 東北大学電子光理学研究センターの陽電子ビームを用いたビームテスト
中性子TOF検出器の性能評価
• SPring-8 LEPS施設でのテスト
まとめ
2
中間子の原子核中での質量変化を捉え
る実験
M. Nanva et al.,
PRC100(2008)192302
CBELSA/TAPS
CBELSA/TAPS
photon beamを用いてω中間子を生成し、
π0γ崩壊モードを用いて質量スペクトル
を得た。
LH2とNbターゲットでスペクトルを比較し
たが、no sensitiveであった。
問題点
生成中間子の運動量が大きすぎる
( >400MeV)
中間子の生成状態を同定していない
g+A +X
3
• J-PARC E26実験
原子核中でのω中間子質量変化
p- + A + n + X
p0 + g
g+g
K. Utsunomiya, Master Thesis (2010)
-質量変化期待値
9%(~70MeV)
-Mass resolution
30MeV
3γを検出しinvariant mass
を測定 γ線検出器
nを検出しmissing mass
を測定 中性子検出器
γ線カロリメータ
中性子TOF検出器
検出するγ線エネルギー:~450MeV
質量分解能 30MeV
~4πのアクセプタンス
KEK-E246実験で使用され、現在J-PARC
TREK実験で使用される予定のCsI(Tl)結晶
カロリメータを使用
(200MeV以下では十分なエネルギー分解能を
持つことを先行研究により確認済み)
TREK実験に向け読出し回路がアップグ
レード中で、そのテストを行った
検出する中性子の運動量:1.8GeV程度
飛行距離 7m
質量分解能 30MeV → TOF分解能 80ps
検出効率 30%
厚さ3cmのシンチレーション検出器を使用
シンチレータを4層用意し、さらに各シン
チレータ前面に、厚さ1cmの真鍮板を設置
SPring-8 LEPS施設で、実際にE26実験で
使用される中性子検出器をテスト
NIM A440(2000)151
n
E26では穴を
埋めて使用
p-
中性子
5
NIM A440(2000)151
前面約3×3cm2,後面約6×6cm2,長25cm(13.5X0)
のCsI(Tl)結晶が7.5°刻みに配置
E246実験での読出し方式:
100cm
PIN diode & shaper & PADC
レート耐性~a few ten kHz
CsI(Tl)光出力が時定数約1μsのため
140cm 性能を下げずにレート耐性を上げる
には増幅率の大きい素子が必要
→Avalanche Photo Diode (APD)
エネルギー分解能
Micro Pixel Photo Diode (MAPD)
4.3%@100MeV
実際にJ-PARCで必要となる
2.8%@200MeV
ただし、E246カロリメータ
レート耐性は余裕をもって1MHz
とは違うconfigurationで測定
された結果
→APD or MAPD & FADC読出し
7
APD(Hamamatsu S8664-55)
5mm×5mm
Gain~50
310p.e./MeV
MAPD (Zecotek)
3mm×3mm
ガイガーモード
pixel数が15000/mm2 と多い
ため、CsI(Tl)カロリメータの
読出しとして使用できる
Gain~105
70p.e./MeV
メインのpn接合の裏に特別な
ポテンシャルバリアを設けて
いる
NIM A610(2009)381
8
CsI(Tl)結晶にAPDとMAPDを接着し、結晶にLEDで約10MeVのエ
ナジーロス相当の光を入射し、LED入射のレートを変化させるこ
とによって、APDとMAPDのレート耐性を調べる
グラフの縦軸はLED入射1kHzでのQADC値で規格化している
プロトタイプのMAPD
ではこのような減少が
見られなかったため、
おそらく今回のMAPD
を作成するにあたり、
保護のために大きな
バイアス抵抗を入れて
しまったためであると
考えられる
MAPDは1kHz
以上のレートで
出力が減少して
しまう
9
実際のE246カロリーメータと同じ形状のCsI(Tl)結晶を
3×3本に並べて、APD&FADC読出し方式でテスト
トリガー及びBPM:ファイバーホドスコープ(48mm×48mm,16×16 fibers)
エネルギー分解能測定(50,100,200,300,460MeV e+ beam)
APD gainの時間依存性(200MeV e+ beam)
パイルアップ波形の取得(200MeV e+ beam, a few hundred kHz)
6×3mm2の
部分を使用
10
FADC波形情報から
エネルギー情報を
得るために波形の
フィッティングを
行う
フィッティング関数
- (t - t0 )
- (t - t0 )
exp
B exp
S
L
C - A
- (t - t0 )
1 exp
rise
S , L , rise , B の値は、波形
のフィッティングから得ら
れた一定値を使用
Cの値はイベントごとに、
FADCの最初の13chの平均
値を使用
A , t0 はイベントごとに
決める
Aの値がエネルギーの
CsI(Tl)のシンチレーション
光が2成分あることを反映
大きさに相当する
0
2
4
6
8 [μs]
入射200MeVで得られた
エネルギー分布
青線:得られたエネルギー分解能
のフィッティング結果
2
E
61.0
1.852
E
E
5MeV以上の出力があった
クリスタルの出力の総和
非対称ガウシアンでフィッティング
x - xp
1
02
2
F ( x) N exp- 2 ln (1 ) -
2
2
0
E
σE : 分解能
xp : peak値
η : 非対称度
2
0 sinh-1
, 2 ln 4
2
Energy[MeV] resolution[%]
50
8.8±0.7
100
6.31±0.30
200
4.82±0.17
300
3.90±0.13
460
3.41±0.10
12
質量782MeVの粒子の崩壊の質量分布
質量782MeV,巾なし,
運動量0で計算を行
い、γ線検出器の
Mass resolutionを
評価した。
(本来のωの自然巾:8.49MeV)
Mass resolution
⇒21MeV
Invariant mass [MeV]
クリスタル1
クリスタル2
Peak:376.0
σ:10.86%
~10時間後
Peak:435.4
σ:11.68%
~10時間後
Peak:375.6
σ:11.04%
Peak:433.7
σ:11.68%
14
パイルアップが、最初のパルスか
ら8usの範囲内に1回だけ存在す
るイベントに対して、波形解析をお
こない、1個目のパルス及び2個
目のパルスについてエネルギー
分解能を見積もる。
2個目のパルスについては、
BPMでビーム入射位置を特定
できないため、9本のうち中心のク
リスタルが最も出力が大きかった
イベントを選びだすことによって、
カロリメータの中心にビームが入
射したと判断
・ 200MeVのe+ビーム
・レート:数百kHz
0
2
4
6
8 [μs]
15
・ 200MeVのe+ビーム
・レート:数百kHz
1個目のパルス
Peak:576ch
σ:5.02±0.17%
2個目のパルス
Peak:571ch
σ:5.26±0.19%
0
2
4
6
8 [μs]
16
2個目のパルスは1個目のパ
ルスに比べて、1%のAPD出
力の減少と、0.3%程度のエネ
ルギー分解能の悪化がみら
れた。
16
1~4μs後
Peak:571ch
σ:5.33±0.23%
パイルアップがあった波形につ
いて、2個目のパルスが、
1個目のパルスの1~4μs後に
あった場合と、4 ~ 8μs後にあっ
た場合とで比較
4~8μs後
分解能及び中心値に大きな変化
なし
Peak:570ch
σ:5.24±0.25%
1MHz以下で、十分な性能
17
新読出し方式APD&FADCで、波形解析に
よってエネルギー分解能を評価した
ω中間子の質量分解能 21MeV
1MHz付近のレートで200MeVの陽電子に
対し、1%のAPD出力の減少と0.3%のエ
ネルギー分解能の悪化が見られた。
18
検出する中性子の運動量:1.8GeV程度
要求される性能
TOF分解能80ps
検出効率30%
時間分解能を達成するために厚さ3cmのシンチ
レーション検出器を使用する
検出効率を稼ぐため、シンチレータを4層使用し、
さらに各層の前面に厚さ1cmの真鍮板を設置する
中性子
20
http://pdf.lbl.gov/2010/hadronic-xsection/hadronicrpp_page121.pdf
厚さ3cmのシンチレータ1枚
で検出効率約2.5%
1.8GeV付近の中性子は、
真鍮板から荷電粒子が放出
される
厚さ1cmの真鍮板1枚で、
5%程度の検出効率の増加が
見込める
陽子
π中間子
光子
K. Utsunomiya, Master Thesis (2010)
5.2%
1.2%
2.1%
21
photon beam 1.5~3GeV
(105 photons/s)
deuteron target
LEPS TOF Wall の後ろに
中性子検出器を設置
電子・陽電子が主
ハドロン生成のtotal cross
section 200μbにより中性
子も生成
PRC73(2006)035214
22
実際にE26実験で使用される中性子検出器の一部を使用
1列×3層の中性子検出器を、LEPS TOF Wall の後ろに、ビーム軸から
55cm離れた場所に設置(ターゲットからの距離:4.6m)
3層目の中性子検出器の後ろに、 1cm角のシンチレーション検出器を設置
TDC,ADCをLEPSのDAQでphysics runと同時に中性子検出器のテスト
2層目と3層目のシンチレータの前面に真鍮板を設置し、厚みを変えて測
定することによって相対的な中性子検出数の増加を調べる
真鍮板の厚み: 0mm,4mm,7mm,10mm
23
start counter と中性子検出器との時間差からβ~1の粒
子を選びだす
3層の中性子検出器と1cm角のシンチレータの、計4つ
のコインシデンスのイベントを選び出す
3枚の中性子検出器の時間差の分布から、各中性子検出
器の時間分解能を見積もる
Slewing correction後、60ps程度の時間分解能
両読みのPMTの時間差から、15mm程度の位置分解能
時間分解能[ps] 位置分解能[mm]
Scintillator1
67.9
14.83
Scintillator2
60.2
14.97
Scintillator3
55.0
11.02
24
荷電粒子と違い、中性子の場合、厚さ3cmのシンチ
レータのどこで相互作用が起こるかわからないため、
時間分解能が悪化する。
相互作用位置が 3 12 cmふらつくため、1.8GeVの中性子
に対しては33psの時間分解能の悪化→時間分解能70ps
さらに、真鍮板内での相互作用位置のばらつきと放出
された粒子の運動量のばらつきが影響するが、不確定
な要素が多い。
仮に200MeVの陽子の放出を仮定した場合、厚さ1cmの真
鍮板で相互作用位置が 1 12 cmふらつくとすると、35psの
時間分解能の悪化→時間分解能70ps
25
TOFのスタートタイミングは加速器のRFの
情報を使用
PIDのため、中性子検出器の前面にあるTOF
Wallの情報を用いて、荷電粒子を除去する。
→光子、中性子のみが残る
光子は、中性子検出器のβ分布から除去する
26
2層目のシンチレータ
のβ分布
0mm~10mmのデータセットは、1層目の中性子検出器に入射した
photonの数でイベント数を規格化
中性子検出器の横や裏から、ゴミがたくさん入射しており、バック
グラウンドが大きくなってしまう
主なバックグラウンドの原因が電子・陽電子由来であると考え、上
の図はTOF Wall の中心±5cmの範囲に入射があったときのイベント
27
をカットしているが、それではまだ不十分
時間分解能~60ps (for charged particle)
中性子に対しては70ps程度になる見込み
→missing mass resolution 26MeV
中性子検出効率
中性子検出器周辺から飛んでくるバック
グラウンドを減らすため、中性子検出器
の周りにシンチレータを設置
28
新読出し方式APD&FADCでCsI(Tl)結晶カ
ロリメータの性能評価
ω中間子の質量分解能 21MeV
1MHz以下で、十分な性能
中性子検出器の性能評価
荷電粒子に対する時間分解能 60ps
中性子に対する時間分解能を70psとすると、
Missing mass resolution 26MeV
29
30
過去の読出し回路(Pin diode)では、8100p.e./MeVで、これが
エネルギー分解能に与える影響は無視できたため、性能は、
1 crystalの最小検出可能エネルギーとシャワーの漏れによって
決定されていた。
今回の実験のセットアップで、シャワーの漏れをGeant4でシ
ミュレーションし、5MeVを以上の出力があったクリスタルの
みを足し合わせて、エネルギー分解能を再現
1 crystalの最小検出
APDテスト実験結果
可能エネルギー
APD :~5MeV
simulation
APDでもPhoto electron 数
による影響は無視できる
31
γ線エネルギー:
~250MeV(TREK), ~450MeV(E26)
E
エネルギー分解能:
~a few %
E
磁場中で動作(TREK)
レート耐性:~a few hundred kHz/module
→これらの条件を満たすためKEK E246実験で使用された
32
CsI(Tl)カロリメータをアップデートして使用する
• J-PARC E06(TREK)
T violation探索
K+ π0 +
μ+ + ν
g+g
• J-PARC E26実験
原子核中でのω中間子質量変化
p- + A + n + X
p0 + g
g+g
大立体角のγ線カロリメータが必要となる
33
- (t - t0 )
C - A exp
decay
0
2
4
- (t - t0 )
1 exp
rise
6
8
[μs]
でfitした場合
34
n
ピーク波長 550nm
発光スペクトル 350~700nm
Index 1.8
54000 photons/MeV
p
-
p
-
target
35
n
Amp x(10-20)
Current
amplifier x100
Low
frequency
filter
(constant
level)
Compensation of
constant level
36
Requested performance in TREK
Counting rate up to 100 kHz/module
Dynamical range 1-200 MeV/module
Time resolution ~ a few ns (accidentals rejection)
Capability for pile-up rejection ( CsI(Tl) is slow
scintillator)
Gamma and charge particle ID (desired for
background rejection)
What we have at the beginning?
PMT XP-2020, signal 20-40 MeV
CsI(Tl) has two time constant:
s=600 ns (~90%)
L=3.5 ms (~10%)
rise~100 ns
SAINT-GOBAIN CRYSTAL Co. data
Main signal part ~ 2 ms, tail has length
up to 5 ms.
37
FADC波形情報から
エネルギー情報を
得るために波形の
フィッティングを
行う
フィッティング関数
- (t - t0 )
- (t - t0 )
exp
B exp
S
L
C - A
- (t - t0 )
1 exp
rise
S , L , rise , B の値は、波形の
フィッティングから得られた
一定値を使用
(60ch,370ch,2.9ch,0.12)
CsI(Tl)のシンチレーション
光が2成分あることを反映
0
2
4
6
8 [μs]
9本のクリスタル各々の中心に
陽電子ビームを当て、クリスタ
ル各々のgain調整を行った
陽電子ビーム :
100,200,300,460MeV
39
5×5mm2 (Hamamatsu S8664-55)
磁場中でも動作可能
~310p.e./MeV
40
41
Peak:577ch
σ:4.89±0.15%
42
Equivalent noise level~800keV
σ=1.605ch
43
44
Pin diode読出しによる過去の性能と今回のテスト結果を比較した
Pin diodeの性能は、E246実験で測定されたπ0質量分解能
5.6%を再現するシュミレーションを、本テストのセット
アップに合わせて改変し比較対象とする。
1 crystalの最小検出
可能エネルギー
APD :~5MeV
Pin Diode : 5MeV
APDテスト実験結果
simulation
Pin diodeと同程度の
分解能がAPDでも得ら
れた
45
46
Trigger1
500MeV<m<850MeV
p<100MeV
Trigger2
720MeV<m<850MeV
p<400MeV
47
Trigger1
712MeV
Trigger1
782MeV
Trigger2
782MeV
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
青線:得られたエネルギー分解能
のフィッティング結果
2
E
61.0
1.852
E
E
E
2
2
b0 b1
2
b2
E
E E
b0:ノイズ項
b1:統計項
b2:定数項
58
59
K. Utsunomiya, Master Thesis (2010)
3つのポテンシャル
60
K. Utsunomiya, Master Thesis (2010)
Missing Mass Spectra
Invariant Mass Spectra
504イベント
601イベント
61
204イベント
K. Utsunomiya, Master Thesis (2010)
Invariant mass spectra
2366イベント
2755イベント
938イベント
62
2層目のシンチレータ
のβ分布
0mm~10mmのデータセットは、1層目の中性子検出器に入射した
photonの数でイベント数を規格化
イベント数規格化でかけているfactor 1,10.14,1.606,0.8755
63