50% - 新潟大学小児科学教室アレルギーチーム

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幼稚園・小中学校の園児及び学童における
スギ花粉症のアンケート調査
高見暁(1)
荒川浩一(2)
新潟厚生連新潟医療センター小児科(1)
群馬大学大学院医学系研究科小児科学分野(2)
【背景】
アレルギー性鼻炎の患者数は増加を続けている。
小児においてはその原因抗原として、ハウスダ
スト、ダニが圧倒的に多いが、最近はスギ花粉
も多い。小学生でスギに対してすでに高い感作
率を示すという報告も散見される。
1998年と2008年のアレルギー性鼻炎有病率
鼻アレルギー診療ガイドライン 2013年版より
アレルギー性鼻炎の年齢層別有病率
鼻アレルギー診療ガイドライン 2013年版より
【目的】
幼稚園児から中学生までの小児における
スギ花粉症の疫学調査を実施し、その実
態を明らかにする。
【対象・方法】
某大学附属三校園(幼稚園、小学校、中学
校)の園児・児童・生徒(1599名)を対象
として、平成20年3月6日〜13日の1週間で、
花粉症症状の有無、喘息の合併の有無、Q
OLなどにつきアンケート調査を実施した。
(ヘルシンキ宣言を遵守して遂行されていた。)
平成20年2-5月調査対象地域における花粉飛散数
アンケート期間
(環境省花粉観測システム;はなこさん)
花粉症の有病率
1354名よりアンケート
を回収(回収率84.7%)
%
50
40
男
男
女
女
30
20
10
0
幼稚園
(24.5%)
中学校
小学校
(31.7%)
(32.2%)
(44.0%)
アレルギー性鼻炎症状の重症度分類
くしゃみ発作または鼻漏*
程度および重症度
鼻
閉
くしゃみ・鼻漏型
最重症
最重症
最重症
最重症
最重症
最重症
重症
重症
重症
重症
最重症
重症
中等症
中等症
中等症
最重症
重症
中等症
軽症
軽症
最重症
重症
中等症
軽症
無症状
鼻閉型
充全型
*くしゃみか鼻漏の強い方をとる。
従来の分類では、重、中等、軽症である。スギ花粉飛散の多いときは重症
で律しきれない症状も起こるので、最重症を入れてある。
鼻アレルギー診療ガイドライン 2013年版より
アレルギー性鼻炎症状の程度
種類
程度
くしゃみ発作
(1日の平均
発作回数)
鼻汁
(1日の平均
擤鼻回数)
21回以上
20~11回
10~6回
5~1回
未満
21回以上
20~11回
10~6回
5~1回
未満
鼻閉
1日中完全に
つまっている
日常生活の
支障度*
全くできない
鼻閉が非常に強
鼻閉が強く、
く、口呼吸が1
口呼吸は全くな
口呼吸が1日の
日のうちかなり
いが、鼻閉あり
うち時々あり
の時間あり
未満
(
)と
(
)の中間
未満
手がつかないほ
ど苦しい
あまり差し支え
ない
*日常生活の支障度:仕事、勉学、家事、睡眠、外出などへの支障
鼻アレルギー診療ガイドライン 2013年版より
アレルギー性鼻炎症状の重症度分類
くしゃみ発作または鼻漏*
程度および重症度
鼻
閉
くしゃみ・鼻漏型
最重症
最重症
最重症
最重症
最重症
最重症
重症
重症
重症
重症
最重症
重症
中等症
中等症
中等症
最重症
重症
中等症
軽症
軽症
最重症
重症
中等症
軽症
無症状
鼻閉型
充全型
*くしゃみか鼻漏の強い方をとる。
従来の分類では、重、中等、軽症である。スギ花粉飛散の多いときは重症
で律しきれない症状も起こるので、最重症を入れてある。
鼻アレルギー診療ガイドライン 2013年版より
園児・児童・生徒における花粉症重症度の割合
100%
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
最重症
重症
軽症~
中等症
症状なし
幼稚園
低学年
高学年
中学校
花粉症によるQOL障害
100%
80%
小学校高学年
非常にあり
50%
あり
少しあり
20%
0%
勉強
100%
読書
思考
集中力
野外
外出
睡眠
だるさ いらいら 憂鬱
マスクの
必要
中学生
80%
非常にあり
50%
あり
20%
少しあり
0%
勉強
読書
思考
集中力 野外
外出
睡眠
だるさ いらいら 憂鬱
マスクの
必要
QOL項目に有意な関連が認められた花粉症症状
勉強や読書への支障
思考力や集中力の低下
鼻水
鼻水
2.5
2
せき
1.5
2.5
(オッズ比)
鼻づまり
2
せき
1.5
1
1
0.5
0.5
0
0
喉イガ
鼻かゆみ
涙目
眼かゆみ
野外運動や外出への支障
鼻水
2
1.5
鼻づまり
1
0.5
0
喉イガ
鼻かゆみ
涙目
喉イガ
鼻かゆみ
涙目
眼かゆみ
会話や電話対応への支障
2.5
せき
鼻づまり
眼かゆみ
季節性アレルギー性鼻炎の試験成績に対する影響
Seasonal allergic rhinitis is associated with a detrimental effect on
examination performance in United Kingdom teenagers: case-control study
Walker S et al.J Allergy Clin Immunol. 2007 Aug;120(2):381-7. Epub 2007 Jun 8.
花粉症における
喘息合併率
花粉症の時期における
喘息症状の悪化
%
%
18
60
15
50
12
40
9
30
6
20
3
10
0
0
幼
稚
園
低
学
年
高
学
年
中
学
校
幼
稚
園
低
学
年
高
学
年
中
学
校
喘息の有無における花粉症の重症度割合
100%
80%
最重症
60%
重症
軽中等症
40%
無し
20%
0%
BA- BA+ BA- BA+ BA- BA+ BA- BA+
幼稚園
低学年
高学年
中学校
重症度に応じた花粉症に対する治療法
鼻アレルギー診療ガイドライン 2013年版より
【まとめ】
①花粉症では、学齢が上がるほど重症の割合が高
く、QOLの障害も強かった。一方、喘息の合併や
悪化は低年齢のほうが多かった。
②QOL項目別に関連する花粉症の諸症状に特徴が
みられた。
③全学齢で、喘息の合併があるほうが、花粉症の
重症の割合が有意に高かった。
【結語】
幼稚園・小中学校の園児・児童・生徒計1599名に
スギ花粉症についてのアンケート調査を行った。
小児のスギ花粉症の診療において、学齢による
症状・QOL障害の特徴や喘息合併の有無に合
わせた対処・治療が必要と考えられた。