性暴力被害者支援センター・神戸open file

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SANE(性暴力被害者支援看護師)
山本 潤
今、ここに生きる
約束事
安全
安心
目次
 自己紹介
 性暴力について
 アメリカ・オレゴン州での取組
 性暴力被害者支援センターの役割
暴力の種類
殺人
障害
パワ
ハラ
自殺
う
つ
セク
ハラ
身体的
性
経済的
精神的
暴力
暴力
暴力
暴力
いじ
め
虐待
モラ
ハラ
トラウマ
(心的外傷)
Resilience: 2010
4
トラウマとは
 過去の出来事によって心が耐えられないほど
の衝撃を受け、それが同じような恐怖や不快
感をもたらし続け、現在まで影響を及ぼし続
ける状態
(1)過去のトラウマ体験
(2)トラウマ反応(外傷反応)
(3)過去のトラウマ体験とトラウマ反応の間の因果関係
宮路尚子「トラウマ」
岩波書店 2013
性犯罪≠性暴力
性犯罪
性暴力
 刑法の規定
 1970年代からの権利運
強姦罪
強制わいせつ罪
・児童ポルノ禁止法
動の中で女性の側からの定
義
「同意のない性的言動は性暴力」
「性を用いた性を対象とした暴
力」
・迷惑防止条例(ちかん・盗
撮)
「性的自由・性的自己決定権の侵
害」
 定義が狭い
暴行脅迫要件
強姦罪は女性のみ
 裁判で有罪にならないと認
同意せざるを得ない状況もある
DV関係・上下関係(職場・年
齢・学校)→ 真の同意ではな
い
統計
警察の認知件数
強
全国
姦
兵庫
強制 全国
わい 兵庫
せつ
実態調査
(内閣府男女共同参画
局)
2012年
20
10
20
11
12
89
49
11
85
40
 加害者と面識がある76.
70
27
68
70
 13.4%は12歳以下に
30
1
34
0
(兵
合計
83
80
警察に連絡・相談
庫)
16
55
3.7%~10%
 7.6%の女性が異性から
の無理矢理の性交を受けた
経験がある
8%
無理矢理の性交を受けた経
験がある

どこ(誰)にも相談しな
かった人は、 67.9%
強姦神話の意味(加害の正当化)
● 暗い夜道など危険の多いところに行くから被害にあ
う
→夜道を歩くなど男だけが持っている自由を行使
した
のだから女の責任だ
● 女性が挑発するから被害を受ける
→女が自分の武器で男を攻撃したんだから反撃す
るの
は当然だ
● 本当にいやなら最後まで抵抗できるはず
→女性は最初はノーというが後で必ずイエスという
レイプというものが、今日突然
地上から消えたら、あなたの人生
は明日からどう変わりますか?
 レイプに対する恐怖は女性の生き方の隅々
にまで浸透している。
ティモシー・ベイネケ「レイプ・男からの発言」
ちくま書房
性暴力の犠牲者を悼むデモに3万人
オーストラリア
2012年9月22日
「メルボルンで前夜同僚と
飲んでいた22歳のジル
さんが午前1時半ごろ店
から徒歩で数分の自宅に
向かった後行方不明に」
1週間後強姦殺人で男が逮
捕
何時であろうと、酔っぱ
2日後の日曜日
「ジルのためのピース・
マーチ」に3万人が集合
らっていようと、何を着て
いようと、安全に道を歩く
権利がある
性暴力
受動的
積極的
強制的
レイプ
性 行為
性暴力
Resilience: 2010
相互的
尊重
対等
愛情
責任感
一方的
搾取
攻撃性
虐待
11
感覚の違い
性行為
性暴力
心地よさ
愛情
好意
親密さ
安心感・安全感
NPO法人レジリエンス
DV、虐待、モラハラなどによ
る心の傷つきやトラウマにつ
いて情報を広げる活動
Resilience: 2010
恐怖
無力感
混乱
搾取された感覚
「自分」という感覚の喪
失
自尊心の低下
罪悪感
自責
恥
12
性暴力による健康障害症状
急性期
身体的
精神的
心理的
慢性期
・外傷‥全身、性器
消化器症状(腹痛、胃部不快感、下痢、下痢
・性感染症
と便秘の繰り返し)、腹痛、めまい、耳鳴り、
・妊娠(人工妊娠中絶) 意識消失発作、意識障害、易感染症、泌尿器
系の細菌感染を繰り返す、皮膚症状(慢性湿
疹)、脱毛、口内炎、身体の痛み
・パニック
・無反応
・RTS(レイプトラウマ
症候
群)
・恐怖感
・不眠
PTSD(再体験、回避、麻痺症状)、フラッ
シュバック、侵入、悪夢、過度の警戒反応、
イライラ感、睡眠障害、注意集中困難、抑う
つ状態、大うつ状態、不安障害、過換気、パ
ニック障害、強迫性障害、解離、解離性同一
性障害、身体的・性的な接触を求める
・日常生活のさまざまな 引きこもり、対人関係の混乱、拒食、過食、
対人行動 ことを処理できない
薬物・アルコール・たばこの乱用、買い物依
存、対人嗜癖、希死念慮、自傷行為、再現行
動
症状は生きる力
 生きるか死ぬかの体験
 サバイバー=サバイブした人(生き延びた
人)
 人は生き延びるために何でもする可能性を
持っている
 一人一人が違う
 「死にたい」「行きたく」ないとも感じな
がらサバイブしているかもしれない
必要なサポートとは
 聴く
 そばにいる
 つながる
 トレーニングを受ける
 トラウマケアのできる文化・社会を
作る
アメリカ・オレゴン州での取組み
 NPO法人レジリエン
ス
スタディツアー
201o年
City Holl
性暴力は社会的損失
 性暴力を受けた人は受けていない人の10
倍自死する。
 高いPTSDの発症率(女性46%、男性6
5%)
 うつ病、睡眠障害、摂食障害も高率に発症。
 勤務できない、学校に行けない。
2兆7000億ドルの負担がかかってい
る。
Washinton
Sexual Assault Resource Center報告
官民一体の取り組み
民間団体・裁判所・警
察行政がひとつの施
設に
 安全(防弾ガラス、
防弾扉)保安官駐在
 警察官が出張面接
 福祉サービス
(補助金)
Gate way center
DV被害者のためのワンス
トップサービス提供施設
 出張裁判所
ビデオリンクで裁判
所とつながれる
 民間団体が複数オ
フィスを持つ
カウンセリング
子どもの支援
精神的な支持
ひとつの機関ではできない
民間団体
(アドボカシーグルー
プ)
病院
被害者の声を聞く
被害者の望みがかなう
よう支援する
選択と資源を教える。
情報を伝える
証拠の回収
被害者の検査とケア
ゲートウェイセン
ター
警察
証言・証拠をまとめる
専門家がDV・性暴力の
社会 的・心理的側面を
見る
検察
政府
政策が実行している
事を担保する
助成金
被害者の権利の保護
立件可能かどうか(法廷
闘争をするのか示談とす
るのか)
色々な判断を下す役割
Victim Centerd(被害者中心主義)
被害者中心主義とは
 異なる機関が同じ目的を持って協同するために
「被害者の幸福と利益」を中心とする
 Face to Face
 Training ,Training、Training・・・
性暴力被害者支援センターの意
義
 被害者へのより良い
サービス、回復への貢
献
 より高い通報率、起訴
率
 よりよい証拠採取
 より協力的な関係者の
関わり
性暴力を許さないとい
う
地域の意志が示される
 パートナーのリストを作
る
・センター内・近接地で
のパートナー
医師・看護師・医療事務
ケースワーカー・・・
・センター外でのパート
ナー
警察・行政・支援者団
体・地域の医師会・福祉
事務所
 サービス提供の資金
助成金・寄付金・資金
ケアする人のケア
 チェックポイン 組織の中で
スーパーバイザー
ト
□最近疲れやすい
□だるい
□いらいらする
□怒りやすい
□食欲がない
□ストレス食い
□眠れない
充実した研修
ケースカンファレン
ス
デブリーフィング
仲間の中で
ピアサポート
愚痴の吐き出し
自分の中で
自分を大切にする
相談する
交代してもらう
恐怖なく生きて
痛みなく眠り
再び笑顔を取り戻せるように
ご清聴
ありがとうございまし
た
参考文献
 ティモシー・ベイネケ「レイプ・男からの発言」ち
くま書房
 女たちの21世紀no72「風俗産業と女性」(ジルの
ためのピース・マーチ記事)
 宮路尚子「トラウマ」岩波新書
 中島幸子「性暴力 その後を生きる」NPO法人レジ
リエンス