地域保健をめぐる国の動きとリーダーに期待すること

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Transcript 地域保健をめぐる国の動きとリーダーに期待すること

平成26年4月19日
全国保健師長会
地域保健をめぐる国の動きと
リーダーに期待すること
厚生労働省 健康局
がん対策・健康増進課
保健指導室長 山田敏充
1
本日のテーマ
1 自治体保健師のキャリアパス
の構築に向けて
2 「統括的な役割を担う保健師」
を機能させるために
2
自治体保健師の
キャリアパスの構築に向けて
3
1.職位別常勤保健師数の推移
(単位:人)
H21年度
部局長級
31
H22年度
33
H23年度
32
H24年度
H25年度
30
37
2倍!
(うち
本庁)
(15)
(18)
(21)
(22)
(29)
課長級
737
807
857
957
1,046
(うち
本庁)
4割増!
(291) (333) (365) (370) (398)
資料出典: 保健師活動領域調査
※各年度5月1日時点
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2.キャリアラダーに関する先行研究と事例
(1)「キャリアラダー」とは何か
キャリアラダーとは、当該組織の人的資源管理ならびに総
合的な人材開発を目的とした個人支援システムである。
保健師のキャリアラダーは、職務の目的、社会に対する成
果責任の特性を踏まえて考える必要がある。
キャリアラダーの基本軸となるのは保健師のコンピテン
シーであり、それは、職業経験に伴い発達が確認できる項
目であること、項目の内容には、知識・技術的側面ととも
に思考的側面(分析、判断、企画、調整、管理等)を取り上
げることが重要である。
資料出典:厚生労働科学研究費補助金地域健康危機管理研究事業「保健師指導者の育成プロ
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グラムの開発」(主任研究者:佐伯和子、平成17年度総括・分担研究報告書)より抜粋
2.キャリアラダーに関する先行研究と事例
(2)「保健師指導者の育成プログラムの開発」
資料出典:厚生労働科学研究費補助金地域健康危機管理研究事業「保健師指導者の育成プロ
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グラムの開発」(主任研究者:佐伯和子、平成19年度総括・分担研究報告書)より抜粋
2.キャリアラダーに関する先行研究と事例
(3)A市
新任期
(1~3年目)
【個人・家庭】
中堅前期
(4~10年目)
【担当地区】
中堅後期
(11~17年目)
【地域全体】
(5地区)
個人・家庭
支援能力
等
 一生懸命相手
のことを思い、
関わる
 情報の収集・整
理をし、的確にア
セスメントできる
 複雑化及び多問
題の家族におけ
るコーディネート
する
連携・調整
能力
 担当地域の既
存の社会資源
を把握し、活用
する
 担当地区の健康
課題に基づき、
地区の社会資源
をコーディネート
する
人材育成
能力
 自ら課題を見出
し、助言を得な
がら取り組むこ
とができる
 後輩と一緒にア
セスメントや対応
方法を共有、整
理できる
資料出典:倉敷市資料を要約・改変
リーダー期
(18年目前後~)
管理期
(管理職~)
【市全体】
 後輩や同僚へ
スーパーバイズ
できる
 行政組織としての
判断を行い、指
示・指導ができる
 市全体における
事業の位置づけ
を把握した連携・
調整
 健康課題に対す
る市全体をマネ
ジメントする
 保健部門として担
う役割を認識し、
それを達成するた
め、明確に組織内
に伝える
 事業の位置づけ
や地域の健康課
題を把握した後
輩指導ができる
 スタッフの能力・
特性を理解した
後輩指導
 人財の適性を見
極め、適切な業務
配分ができる
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3.キャリアパスの持つ意義
(1)「キャリアパス」とは何か
キャリアパス
○ ある職位や職務に就任するために必要な一連の
業務経験とその順序、配置異動のルート
(人事労務用語辞典より)
○ 昇進・昇格のモデル、あるいは人材が最終的に目
指すべきゴールまでの道筋のモデル
(人材マネジメント用語集より)
8
3.キャリアパスの持つ意義
(2)「キャリアパス」の必要性
保健師が本庁の管理職に就任
「統括的な役割を担う保健師」が必要
求められる能力は、現場のそれとは異なる!
職務経験を通して意識的・計画的に育成する必要
9
4.キャリアパスの事例
B市の例
次頁へ続く
資料出典:平成23年2月「保健福祉関連専門職種のあり方について」北九州市保健福祉局
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4.キャリアパスの事例
B市の例(続き)
資料出典:平成23年2月「保健福祉関連専門職種のあり方について」北九州市保健福祉局
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5.保健師のキャリアパスの構築に向けた展望
キャリアパスについて共通のイメージを持つこと
キャリアパスの必要性についてコンセンサスを得る
こと(まずは保健師、その上で自治体内)
「モデル」を作ること
順次広げていくこと
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「統括的な役割を担う保健師」
を機能させるために
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1.「統括」が必要とされるに至った経緯
これまでの議論等
【市町村保健活動の再構築に関する検討会報告書(平成19年3月)】
人材育成や地域全体の健康課題を明確にして活動する観点から、保健衛
生部門に保健師を技術的に指導・調整する統括的な役割をもつ保健師を配
置することが望ましい。
【地域保健対策検討会報告書(平成24年3月)】
保健師の人材育成に当たっては、分散配置が進む中で、現任教育を充実
させ、業務の中で地域を見る力や企画力を育成していくことが必要であり、
組織横断的に、計画的かつ、効果的に人材育成を進めるためには、保健所、
市町村において、統括的な役割を担う保健師を配置することが望ましい。
【地域における保健師の保健活動に関する検討会報告書(平成25月3月)】
様々な部署に配置されている保健師を技術的及び専門的側面から横断的
に調整・支援し、災害時には保健師の派遣調整等を行う統括的な役割を担
う保健師を配置するよう努める。
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1.「統括」が必要とされるに至った経緯
市町村保健活動の再構築に関する検討会報告書(平成19年3月)【要約】
【背景】 効果的な予防対策の推進が急務
・平成18年度 改正介護保険法:介護予防対策
・平成20年度 医療制度改革:生活習慣病予防対策
検討会の趣旨:
保健師の配置と
人材育成体制の
検討
【課題】 ①分散配置 ②業務分担制
↓
・事務的業務が増え、地域全体の健康課題を把握することが困難
・中堅期が分散配置され、人材育成が不十分
【まとめ】
1,組織横断的な取り組みが可能となる体制の整備
・市町村内で組織を横断した協議の場の設置
・分散配置された保健師を、技術的に指導・調整する統括的な保健師を配置
・計画的なジョブローテーションの仕組みの構築
2,専門性を活かす体制の整備
・地区分担制と業務分担制を併用するなどの体制の整備
・新任者の配置については、保健衛生部門が望ましい
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2.通知・指針の記載
記の3
○ 保健師の保健活動を組織横断的に総合調整及び推進し、技
術的及び専門的側面から指導する役割を担う部署を保健衛生
部門等に明確に位置付け、保健師を配置するよう努めること。
地域における保健師の保健活動に関する指針
○ (本庁)保健師の保健活動の総合調整等を担う部署に配置さ
れた保健師は、住民の健康の保持増進を図るための様々な活
動等を効果的に推進するため、保健師の保健活動を組織横断
的に総合調整及び推進し、人材育成や技術面での指導及び調
整を行うなど統括的な役割を担うこと。
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3.「統括保健師人材育成プログラム」(案)
1.目 的
自組織内の組織横断的な調整を図り、
質の高い保健活動を推進するために
必要な能力を強化する。
※平成26年度に厚生労働省先
駆的保健活動交流推進事業の
一環として、日本看護協会にお
いて実施予定
2.目 標
効果的な保健活動を展開するために、組織横断的な「統括保健師」の役
割・機能を理解し、その機能の発揮に不可欠な知識やスキルを強化する。
①統括保健師の役割や機能を十分に理解する。
②統括保健師としての役割や機能を発揮した活動が実践できる。
③統括保健師としての役割を果たしていくための意識(自信)が高まる。
④組織の中で統括保健師としての明確な位置づけを確保できる。
3.対 象
市区町村の保健師(その他に、一定の条件の設定を検討している)
資料出典:日本看護協会資料より抜粋
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3.「統括保健師人材育成プログラム」(案)
時 期
1事前学習
内
容
①必読文献・図書の読み込み
②行政における組織論
③自組織の構造や多様な角度からの情報の把握
④統括保健師の役割・機能
⑤保健活動の現状分析
2前期集合研修
※1泊2日
①理解すべき重要施策
②統括保健師としての実践
③自組織の保健活動推進に向けての方略1
④組織の中で求められる調整力
⑤パジャマミーティング
⑥関係者を巻き込む力とは1.2
⑦自組織での保健活動改革の提案
3中間:自組織での ①統括保健師としての保健活動推進の提案
実践
②保健活動推進の実践
③自身の活動の評価
4後期集合研修
①自組織の保健活動推進に向けての方略2
※1日
②統括保健師として必要なスキルや活動のコツについて
③講師陣からのエール
修了証の授与
資料出典:日本看護協会資料より抜粋
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4.実際は・・・








全国で8000人!?
本庁にはいない!?
「統括」という名称への反発
保健師ばっかり・・・
何を話し合えばいいかわからない
何をしていいかわからない
他部署にまで目が行き届かない
部署横断ミーティングへの賛同が得られない
等
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5.「統括」を機能させるために
見えてきた課題
なぜ「統括」が必要か。
保健師間でコンセンサス
事務職をはじめ、他職種の理解
「統括」を意識的に育成する。
「ポスト」が人を育てる
「キャリアパス」の構築
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6.「統括」が機能するための必要条件(仮説)
部署横断ミーティングを定期的に開催できる状況に
あること
「統括」が組織としての意思決定に関与できる立場
にあること
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6.「統括」が機能するための必要条件(仮説)
部署横断ミーティングを定期的に開催できる状況に
あること
どうやら発展の段階があるらしい・・
まずは時間外に・・・
そのうち味方が現れる・・・
そのうち公認される・・・
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6.「統括」が機能するための必要条件(仮説)
「統括」が組織としての意思決定に関与できる立場
にあること
他職種の理解が大前提
幹部と話ができる関係を
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7.今後の課題
導入に当たっての留意点を整理できれば!
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