第1回 環境と企業

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Transcript 第1回 環境と企業

熊野雄太
目次
1.企業と環境問題のこれまでの関係
2.企業の環境問題への対応
3.環境問題と企業の経営戦略
4.まとめ
5.思ったこと、考える点


1960年代から1970年代にかけての公害問題が契
機となって、環境問題が広く意識され始めた
「局所的」
1980年代から1990年代にかけて現在よく耳にする
環境問題(地球温暖化、オゾン層破壊、砂漠化、熱帯
雨林の破壊など)が表面化してきた
「広い範囲、グローバル」


企業経営の観点から環境問題が注目を集める
イメージ向上のために「環境に優しい」製品が登場
環境ブームと言われるような状況
環境に関する法令も成立し、環境問題はすべての企
業が取り組む課題に

2000年以降、企業の不祥事が相次ぐ
◦ 三菱自動車・三菱ふそうによるリコール
◦ 雪印乳業の集団食中毒

これらを受けて法令遵守、行動規範などCSRに関する
動きが活発になり、企業も力を入れ始める。

ISO14001の認証取得
◦ 1992年にブラジルで行われた「地球サミット」をきっかけに
ISO(国際標準化機構)に依頼された環境マネジメントの国際
規格
◦ 外部機関によって認証されることにより、企業の環境マネジメ
ントシステムが規格に適合していることを証明できる
◦ ISO14001を取得していないと取引を打ち切る場合も


ISO14001の取得が経営上の必要条件に
日本は取得企業数世界一(2007年時点)

2000年 循環関連6法成立
◦ 環境問題の中でも緊急性の高い廃棄物・リサイクルに焦点を
あてたもの

各企業が処理、リサイクルしやすい(費用がかからな
い)製品の開発を始める。
拡大生産者責任

企業の環境への取り組みの意識
「企業での環境への取り組みのあり方をどう思うか」
単位(%)
業績を左
ビジネス
法規制クリ
重要な戦
社会貢献
右する要
チャンス
ア
略の一つ
素
その他
回答なし
上場2001
3.4
30.1
1.8
33.3
29.3
0.9
1.2
上場1999
6.1
33.2
2.9
32.1
21.0
0.9
3.8
未上場2001
5.4
42.5
2.6
25.5
20.7
0.9
3.8
未上場1999
7.5
51.5
2.7
20.3
13.5
1.6
2.9
合計2001
4.5
36.9
2.2
29.0
24.5
0.9
2.0
合計1999
6.9
43.9
2.7
25.2
16.6
1.3
3.3

社会貢献から業績を左右する要素、重要な戦略へと
意識が変わっている

ビジネスチャンスが少なく、比率も下がっている
エコビジネス企業でない企業にとって、環境対策は利益増大の手
段ではなく、対策をしないことで受けるリスクを回避するための手段



M.E.Porterの「米国の環境戦略」
「環境対策は、短期的にはコスト増大による競争力低
下を引き起こすが、長期的には環境汚染削減、コスト
低下、技術革新を促し結果的に国際市場での競争で
優位に立てる。」
環境と経営を長期的な視野で考えていく必要がある

企業の評判。企業の重要な無形資産
無形資産
知的資産
特許権、
ノウハウ
コーポレート・レピュテーション資産
ブランド
ビジネス・レピュテーション
製品、サービスに対する信頼
性など
ソーシャル・レピュテーション
社会的活動に関する評価


すぐに利益に直結しなくても、環境対策の積み重ねが
コーポレート・レピュテーションという経営資産を生み
出せる。
プラスのコーポレート・レピュテーション
◦ ステークホルダーの信頼、評判

マイナスのコーポレート・レピュテーション
◦ 反社会的行動
環境経営はマイナスを出さないようにし、
長期的にプラスを生み出す

1.
2.
3.
4.
企業を経営資源の集合体とみなす
財務資本
物的資本
人的資本
組織資本(組織構造、管理システムなど)
組織資本にコーポレート・レピュテーションを加えること
が環境経営を考える上で重要

顧客が製品自体の違いを見出すことが難しくなってき
ており、企業の好き嫌い信頼性などで購入の判断を
する傾向

つまり、コーポレート・レピュテーションが他社との差
別化を促す。
(例)トヨタのプリウス、シャープのアクオスなど

企業の第一目標は長期的な発展であり、環境保全が
第一目標にはならない。
→経営と環境対策をいかに統合していくかという戦略が重要

環境対策が将来的に他社には模倣困難な企業の強
みになる

コストではなく投資として考えるように

義務感だけでは他社と差別化できない。戦略的に取
り組み、マイナスをなくすだけでなくプラスの創出を。

企業の環境対策が本当に環境によいものなのか?
環境対策
プラスの創出
売上増


イメージアップ
差別化
環境対策の結果が入ってない。
方針だけでなく継続的に対策による効果を公表してい
くことが必要。

顧客全員が環境に優しい商品を買うわけではない?
どのくらいの割合か?

実際の環境への影響、将来的な利益の増加の両方
の観点から環境対策は大切

参考文献
「環境問題と企業経営」
-その歴史的展開と経営戦略の観点から-
2007年 加賀田 和弘