適応的になりうる。

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●ハチ目(膜翅目)Hymenoptera
体長は0.18~50 mm。 翅は膜質で,後翅の前縁にある翅鈎(シコウ)
により,飛翔時には前後翅が連結し1枚の翅として機能する。地上
生活に適応し,翅を欠くものもいる。口器は咀嚼型であるが,吸収や
なめる機能も持つものもいる。腰にくびれがない広腰亜目
(Symphyta)と,腹部の第1節と第2節が深くくびれ,腹部の第1節は胸
部に融合する細腰亜目(Apocrita)に分かれる。細腰亜目では,腹部
第1節は前伸腹節,第2節以降を膨腹部(gaster またはmetasoma)と
呼ばれる。広腰亜目の幼虫は植物の葉,茎,幹などを食べて育ち,
農林業害虫も多い(ハバチ,キバチ)。細腰亜目はさらに,有錐類
(Parasitica寄生蜂類)と有剣類(Aculeata)に分けられる。有剣類では,
産卵管は本来の機能を失い,毒針となる。有錐類はほとんどが捕食
寄生者であるが(ヒメバチ,コバチ),植食者(タマバチ)もいる。有剣
類には捕食寄生性,狩猟性,訪花性など多様な生活型がみられ(セ
イボウ,カマバチ,アリ,スズメバチ,ハナバチ),一部の種では。高
度の社会性の発達もみられる。日本から約4,500種,世界から
130,000種以上が知られている。
Horntail wasp
Sawfly
Parasitoid
Symphyta
広腰亜目
有錐類
寄生蜂類
Parasitica
Wasp
Apocrita
細腰亜目
有剣類Aculeata
Bee
細腰類
前伸腹節
=
腹部第1節
(後胸部と
融合して
いる場合
あり)
膨腹部
Symphyta
広腰亜目
Apocrita
細腰亜目
有錐類
寄生蜂類
Parasitica
寄生蜂類
セイボウ
カマバチ
第8節ー第1担弁節ー第1産卵弁片
第9節ー第2担弁節ー第2産卵弁片・第3産卵弁片
第8節
第1担弁節
第9節
第1産卵弁片
Symphyta
広腰亜目
ハバチ
ニホンキバチ
スギ,ヒノキの間伐材を放置するよう
になって問題になってきた
Symphyta
広腰亜目
クロハラカマバチ (ヒメトビウンカの寄生蜂)
有剣類Aculeata
イラガイツツバセイボウ(イラガの寄生蜂)
有剣類Aculeata
捕食寄生者の類別
内部寄生者(endoparasitoids)
外部寄生者(ectoparasitoids)
単寄生者(solitary parasitoids)
多寄生者(gregarious parasitoids)
一次寄生者(primary parasitoids)
高次寄生者(hyperparasitoids)
共寄生(multiparasitism)
同胞寄生(adelphoparasitism)ツヤコバチ科:オスはメスか
他の寄生者に高次寄生
捕食寄生者の類別
盗寄生(cleptoparasitism):共寄生の一種であるが,他種が寄生してい
る寄主にもっぱら寄生し,前の寄生者との寄主を巡る競争に打ち勝
つ。例,イラガに寄生するカタビロコバチ。盗寄生という言葉は,本来
は,他種が蓄えたえさなどを自分の子のえさとして利用する寄生様式
を指す。
過寄生(superparasitism)
羽化前卵成熟型(proovigenic)
羽化後卵成熟型(synovigenic)
殺傷型(idiobiont)
飼殺し型(koinobiont)
多胚生殖(polyembryogeny) ほとんどメスになるが,少数のオスも羽化,
兄妹交配をする。
Superparasitism
Self-superparasitism同母過寄生
Conspecific superparasitism 異母
Oviposition
Host
1
Parasitoid
Oviposition
1st comer1
2
Selfーparasitized
Parasitoid
1
Conspecifically parasitized
Parasitoid
1
2
2nd comer
過寄生
従来:群淘汰の考え
寄生蜂の寄主識別能力の限界
従来:
寄生蜂の能力の
非適応的
限界, 非適応的
最近:進化は通常個体レベルで起る
場合によっては適応的で
積極的に行っている
適応的な過寄生
異母過寄生
後着者の生存率が0<ならば,適応的になりうる。
同母過寄生
以下の条件が成り立つとき,適応的になりうる
第1回産卵と第2回産卵から得られる利益
>単寄生から得られる利益
先着者と後着者の合計生存率,
羽化成虫の大きさと発育日数の両者の平均。
Triple parasitism
Parasitoid A
3回寄生
Parasitoid A
Parasitoid B
Oviposition
1
Host
1
2
Double parasitism
Parasitoid A
1
1
2回寄生
Parasitoid B
1
2
2
3
通常の幼虫
兵隊
多胚生殖のトビコバチ
単数倍数性(Haplodiploidy)=半倍数性
♂(一倍体=半数体)
♀(二倍体)
The sex-determining mechanism found in some insect groups among
which males are haploid and females are diploid.
ハチ目,アザミウマ目,ダニ目
補足性決定 Complementary sex determination
(=相補性決定)
A1
♂
A1 A1
♂
A1 A2
♀
性決定遺伝子座がホモのときオスとなる。
性決定遺伝子座上には多数の対立遺伝子(複対立遺
伝子)が存在するため、通常二倍体オスは出ない。
二倍体オス
発育途中で死亡しやすい
不稔または子が不稔
A個体からみたB個体の血縁度(coefficient of
relatedness)とは,
Aのなかにある遺伝子のなかでその同祖遺伝子
(祖先が同じ遺伝子)をBが持っている割合をい
う。
○Hamiltonの3/4仮説
女王が巣に1頭しかいず,その女王が1回交尾のとき,
姉妹間の血縁度は3/4,ワーカー(働き蜂)とその娘と
の血縁度は1/2。そのため,ワーカーは娘を産むより,
妹である新女王を助けたほうが次世代に自分が持ってい
る遺伝子を多く残せる。そのため膜翅目では真社会性
(ワーカー,兵隊といった非繁殖カーストが存在する社
会性)が進化しやすかった。
昆虫の社会性の進化を全て説明できるわけではない.シロ
アリでは,単数倍数性でない。多回交尾する種もいる。