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平成23年度 宇宙航行の力学シンポジウム
(2011/12/19~12/20,@宇宙科学研究所)
火星探査への応用を想定した
密閉型パラフォイルの風洞試験結果について
○ 谷繁 樹林(東京大・院)
山田 和彦(ISAS/JAXA)
高橋 裕介(ISAS/JAXA)
安部 隆士(ISAS/JAXA)
研究背景
• 将来の火星複合探査計画(MELOS)における
着陸機の候補
– 展開型柔軟エアロシェル
– パワードパラフォイル型探査機
2011年12月20日
2つを組み合わせた
小型探査機
火星探査への応用を想定した密閉型パラフォイルの風洞試験結果について
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研究背景
• パラフォイルの利点
– 誘導制御,ピンポイント着陸
– 収納効率が良い,小型化
→ペイロードの増加(揚抗比3→6) [1]
• 火星環境…大気密度が薄い,突風が発生
– 通常のラムエアー型パラフォイルではなく,
密閉型パラフォイルを検討
[1]展開型柔軟構造飛翔体による火星大気圏内飛行型探査機の概念検討
山田和彦, 安部隆士, 平木講儒, 東野伸一郎, 第54回宇宙科学技術連合講演会(2010)
2011年12月20日
火星探査への応用を想定した密閉型パラフォイルの風洞試験結果について
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研究背景(過去の研究)
• パラフォイルはパラグライダーとして主にスカイスポー
ツの分野で開発
– 空気力学的見地からの研究は少ない
– 多くがラムエアー型パラフォイルについて
• 密閉型パラフォイルを用いた風洞試験[2]
– 揚抗比約4(CL=0.52,CD=0.132)
– 重心位置は固定
– リギングアングルについて言及なし
[2]空気封入式パラグライダー模型の風試結果について
奥山政広,岩崎昭人,et al., 航空宇宙技術研究所資料(1994)
2011年12月20日
火星探査への応用を想定した密閉型パラフォイルの風洞試験結果について
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パラメータ(CG,RA)について
• どちらも糸の策の長さを調整することで設定
• 重心位置(CG)[%]
– 索取り付け金具から伸ばした線が翼弦線と直交する位置
• リギングアングル(RA)[deg]
– CGを中心に回転
一様流
CG25%,RA0deg
2011年12月20日
CG25%,RA-12deg
CG25%,RA-12deg,通風時
火星探査への応用を想定した密閉型パラフォイルの風洞試験結果について
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研究背景(曳航試験)
• 密閉型パラフォイルの基本的な特性(運動特性,空力
特性)を調べるために,曳航試験を試みた
• パラメータの調整不足や横風の影響から安定せず
→風洞試験にて詳細に調べる必要
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火星探査への応用を想定した密閉型パラフォイルの風洞試験結果について
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研究目的
• 風洞試験によって密閉型パラフォイルの挙動や空力
特性を調べ,
主要なパラメータである重心位置(CG)・リギングアン
グル(RA)・風速・パラフォイル内圧と揚抗比の関係を
明らかにする
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火星探査への応用を想定した密閉型パラフォイルの風洞試験結果について
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風洞試験概要
• 翼幅2mパラフォイルを用いて以下の試験を行った
– 主要なパラメータと揚抗比の関係
•
•
•
•
重心位置(CG)
リギングアングル(RA)
風速
パラフォイル内圧
– 密閉型とラムエアー型の揚抗比の比較
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火星探査への応用を想定した密閉型パラフォイルの風洞試験結果について
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大型低速風洞
• JAXA調布の6.5m×5.5m低速風洞
大低風洞
写真
測定部
高さ6.5m,幅5.5m
風速
10~23m/s
レイノルズ数
約4~10×105
一様流動圧
約60~300Pa
測定項目
6分力
パラフォイル
索(ライザー)
空気注入
チューブ
風防(内部に天秤)
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火星探査への応用を想定した密閉型パラフォイルの風洞試験結果について
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パラフォイルについて
• 密閉型パラフォイルを開発し,比較のために既存の
ラムエアー型も用意
模型
密閉型
ラムエアー型
翼型
DAE51
-
スパン
2,000mm
2,000mm
コード
667mm
900mm
アスペクト比
3
2.22
CG
15~55%
固定
RA
-18~-3deg
固定
翼素材
片面ゴム引き布
-
密閉型
ラムエアー型
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火星探査への応用を想定した密閉型パラフォイルの風洞試験結果について
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通風中の様子
安定
CG45%,-12deg,
20m/s,300Pa
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振動
CG35%,RA-3eg,
20m/s,300Pa
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試験結果(CG・RAと揚抗比の関係)
– 風速20m/s,内圧300Pa固定
5
4.5
CG15%
CG25%
CG35%
CG45%
CG55%
L/D
4
3.5
3
45%,-15deg
45%,-9deg
2.5
-21 -18 -15 -12 -9
RA[deg]
-6
-3
0
– CG大,RA大→揚抗比大の傾向
→迎角が大きくなっている
– CG45%,RA-9degで揚抗比約4.5
– ただし,どちらも大きく取り過ぎると振動が発散
(ex. CG55%,RA-12deg)
2011年12月20日
25%,-9deg
火星探査への応用を想定した密閉型パラフォイルの風洞試験結果について
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試験結果(振動発散時の挙動)
RAが小さすぎる
→ロール方向の振動から発散
CG15%,RA-9deg
2011年12月20日
RAが大きすぎる
→迎角が大きく後ろに倒れる
CG35%,RA-3eg
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試験結果(風速と揚抗比の関係)
– CG45%,RA-12deg,内圧300Pa固定
6
003
10m/s
004
005
011
016
018(+err)
L/D
5
4
3
2
8
10
12
14 16
V[m/s]
18
20
22
24
20m/s
– 風速大→揚抗比小の傾向
→迎角が小さくなっている
– 測定誤差は20m/sにおいてL/D±0.2程度
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試験結果(内圧と揚抗比の関係)
– CG45%,RA-12deg固定,風速15m/sと20m/s
4.5
4.4
175Pa
4.3
15m/s
20m/s
15m/s動圧
20m/s動圧
L/D
4.2
4.1
4
3.9
0
500
1000
Internal Pressure[Pa]
1000Pa
– 内圧大→揚抗比小の傾向
– 内圧を大きくするとCL,CDともに大きくなるが, CDの増加が
やや上回るため
→内圧大によってパラフォイルが膨らみ,翼型が崩れる
– 動圧以下でも構造保持
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試験結果(密閉型とラムエアー型の比較)
– CG45%,RA-12deg,内圧300Pa固定
6
003
密閉型
004
005
011
016
018(+err)
L/D
5
4
3
2
8
10
12
14 16
V[m/s]
18
20
22
24
ラムエア
ラム
エアー
– 風速20m/s以上において
密閉型は揚抗比約4,ラムエアー型は揚抗比約2
– 諸元の違い(アスペクト比など)はあるが,密閉型は通常の
ラムエアー型よりも高い揚抗比を達成できることが期待
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まとめ
• 2種類のパラフォイルを用いて風洞試験を行った.
• 適切な重心位置(CG)とリギングアングル(RA)を選
択することにより,パラフォイルが安定的に飛行し,揚
抗比が約4.5に達することが分かった.
• 風速や内圧と揚抗比の関係を調べた.
• 密閉型はラムエアー型よりも大きな揚抗比を期待でき
る.
• 今後の研究
– 計測精度の向上
– より大きな揚抗比(6程度)のパラフォイルの開発
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