Transcript 資料1

はじめての水道設備
第1章
研修時間割
午 開講の挨拶 9:30~ 9:40 (10分間)
前 1時限目
9:40~10:40 (60分間)
の
部 2時限目 10:50~11:50 (60分間)
第
一
章
3時限目 13:00~14:00
午
後 4時限目 14:10~15:10
の 5時限目 15:20~16:20
部
閉講の挨拶 16:30~16:40
第
二
章
(60分間)
(60分間)
(60分間)
(10分間)
1時限目
第1章 水道施設の概要
1.1
1.2
1.3
1.3.1
1.3.2
1.3.3
1.3.4
1.3.5
水道施設と設備
取水施設・貯水施設の役割と管理
浄水施設の役割と管理
凝集沈澱施設
急速ろ過池
緩速ろ過池
膜ろ過施設
凝集用薬品注入設備
1.1 水道施設と設備
水道設備のポイント
分 類
幅広い設備が使用されている
①機械設備(ポンプ・弁、掻寄機、脱水機など)
②電気設備(受変電、配電、現場操作盤など)
③計装設備(流量計、水質計器、監視制御など)
役 割
1.水道施設の機械化・自動化を図る
2.施設を安全・円滑・効率的に管理する
3.水の輸送・処理及びエネルギーの供給を行う
水道施設と設備の概要と役割
需要者
浄水場
ダム
河
川
水路(水管)橋
着
水
井
・
混
和
池
フ
ロ
ッ
ク
形 沈 ろ
成 澱 過
池 池 池
M
給
水
管
P
配水池
導
水
管
P
取水場
浄水池
P
取水堰
沈砂池
貯水施設
取水施設
調圧水槽
導水施設
浄水施設
送
水
管
配
水
支
管
配
水
本
管
需要者
M
配
水
支
管
送水施設 配水施設
給
水
管
給水施設
P :ポンプ場
機械設備の例
自動除塵機
ポンプ設備
オゾン発生器
加圧脱水機
電気・計装設備の例
高圧配電盤
監視制御設備
残留塩素計
調節計
水道施設の構成 (1)
1)塩素消毒のみの方式
着水井
取
水
・
貯
水
施
設
2)急速ろ過方式
着水井
凝集沈澱池
オゾン接触池
急速ろ過池
活性炭吸着池
急速ろ過+高度処理方式
塩
素
接
触
池
浄
水
池
・
配
水
池
水道施設の構成(2)
3)緩速ろ過方式
着水井
取
水
・
貯
水
施
設
普通沈澱池
緩速ろ過池
4)膜ろ過方式
着水井
前処理
5)紫外線処理方式
着水井
紫外線処理施設
膜ろ過
塩
素
接
触
池
浄
水
池
・
配
水
池
水道の水源
水源の種類
水道水源
地下水
伏流水・湧水
浅層(不圧)地下水
河川水
地表水
海水など
湖沼水
貯水池水
深層(被圧)地下水
水源の特徴
水道水源
水 量
水 質
地下水
水量が限定
水質が良好・安定
地表水
水量が変動
水質が変動
取水施設の役割と管理
1)取水施設の役割
年間を通して計画取水量を確実に取水し,洪
水時や渇水時にも安定的に取水する。
2)取水施設の構成
地下水取水施設(浅井戸,深井戸)
地表水取水施設(取水堰,取水塔,取水門,
取水枠,取水管渠,沈砂池)
1.2 取水・貯水施設の役割と管理
取水施設の例(1)
取 水 堰
取 水 塔
取水施設の例(2)
水位計
取水門 上部
取水門 下部
取水施設の例(3)
沈 砂 池
地下水取水施設の概念(深井戸と浅井戸)
30m以上
貯水施設の役割と管理
貯水施設の役割
水を安定的に利用するため,雨が多い豊水期に水を貯留
し、必要な時に適切な量を放流するための施設。
目的により,水道専用貯水施設と多目的貯水施設がある。
○ 貯水施設の形態
ダム
:河川を締め切り,豊水時に貯留,有効利用
湖沼
:河川への流出を人工的に変動させ,有効利用
遊水池 :遊水池を掘削などで,利水容量を確保
河口堰 :河口付近に堰を設置し、河川水を利用
溜池
:灌漑用を再開発して、水道用として利用
地下ダム:地下の帯水槽に遮水壁を設置し,地下水流を
堰止めて,貯留
ダムの種類
重 力 ダ ム
ロックフィルダム
アーチダム
アースダム
貯水施設の水質保全対策
(1)貯水循環
(2)表層水移送装置
分画フェンス
分画フェンス
アオコを表層水とともに太陽光の
アオコを表層水とともに
届かない下層へ移送し繁殖を抑制する。
太陽光の届かない下層へ
移送し繁殖を抑制する。
1.3
浄水施設の役割と管理
凝集沈澱施設の概要
各池に
原水を分配 凝集剤,
塩素剤等を注入
取水量(水位)
沈澱したフロックを掻き
ゆっくり撹拌して,
を安定させる
フロックを大きく成長させる 寄せて排水処理施設へ
ろ過池へ
原
水
着水井
混和池
フロック形成池
薬品と原水を
よくかき混ぜる
汚泥は
排水処理施設へ
沈澱池
成長したフロック
を沈降させる
凝集沈澱施設
着水井の働き
塩素剤,凝集剤,pH調整剤
などを注入する。
流入弁で取水量を
調整する
流量計
原水取水量が
安定すると
A系統へ
流出弁で各系統に
原水を配分調整する。
原水 →
B系統へ
着水井
①薬品注入量が
安定する。
②沈澱池,ろ過池の
流量が安定する。
⇒水質の変動が
少なくなる。
混和池の撹拌方式
薬品
フラッシュミキサ
薬品
フロック
形成池へ
原水
薬品
フロック
形成池へ
原水
急撹ポンプ
①機械撹拌方式
フロック
形成池へ
原水
P
②急撹ポンプ方式
③迂回流方式
フロキュレータと整流壁
整流壁 : 壁に多数の穴が開いていて,
水が均一に流れる
フロキュレータ
整流壁
沈 澱 池
約4m
水を抜いた状態
の沈澱池
傾斜板
凝集剤注入率を変更した結果が
ろ過水濁度に表れるまでの時間
凝集剤
混和池
処理水が混和池から沈澱池出口まで
到達するのに約6時間かかる場合
フロック
形成池
沈澱池
ろ過池へ
約6時間
ろ過水濁度が上昇したので,混和地に注入する凝集剤注入率を
上げても,ろ過水濁度が低減するまで約6時間かかる。
ろ過水濁度
凝集剤注入率
約6時間
1.3.2 急速ろ過池
急速ろ過池の役割
河川や湖沼水など表流水を原水とし、処理水量
が多い場合に主に採用される。
急速ろ過池は凝集沈殿施設で取り除けなかった
細かいフロックを砂ろ過などで除去する
クリプトスポリジウムによって原水が汚染され
る恐れのある浄水場では,ろ過池出口の濁度を
0.1度以下に維持する必要がある。
急速ろ過池の構成
ろ層構成
ろ過速度
単層
120~150m/日
多層
240m/日以下
水流方向
下向流
上向流
ろ材
砂
アンスラサイト・砂
水理的
重力式
圧力式
ろ過流量調節 流量制御形 水位制御形 自然平衡形
急速ろ過池の構成
急速ろ過池 上部
急速ろ過池 下部(管廊)
通常時の水の流れ
洗浄水槽または洗浄ポンプから
原水渠
③表洗弁
表洗管
沈澱処理水
⑤洗浄排水弁
①原水流入弁
浄水渠
④逆洗弁
②浄水弁 ⑥ろ過流調弁
浄水池
⑦捨水弁
洗浄排水池へ
通常の水の流れ
バルブ 開
バルブ 閉
バルブ開度調整
洗浄時の水の流れ
洗浄水槽または洗浄ポンプから
原水渠
③表洗弁
表洗管
沈澱処理水
⑤洗浄排水弁
①原水流入弁
浄水渠
④逆洗弁
②浄水弁 ⑥ろ過流調弁
浄水池
⑦捨水弁
洗浄排水池へ
逆洗時の水の流れ
バルブ 開
バルブ 閉
洗浄後ろ過開始まで 開
1.3.3 緩速ろ過
緩速ろ過のポイント(特徴)
①ろ過速度は,4~5m/日程度である。
②砂の表面の微生物の働きにより,濁質が分解・
除去される。
③急速ろ過の30~40倍の用地が必要。
緩速ろ過池の模式図
砂上水深
生物ろ過膜
原水
砂層
微生物
砂利層
集水装置
ろ過水
緩速ろ過池の断面
生物膜
ろ過池の断面図
ろ過池の断面写真(模型)
ろ過砂表面の削り取り・汚砂の洗砂
ろ過膜の生成
ろ過膜の養成
ろ過
削り取り・洗砂
補砂
20~40日に一回
1~2年に一回
汚砂の洗砂装置
ろ過砂表面の削り取り作業
補砂作業手順の例
①在来砂跳ね上げ
②洗浄砂の敷き込み
洗浄砂
規定砂面
③切り替えし
在来砂
梁
在来砂(40cm)
堰板
洗浄砂(45cm)
在来砂(25cm)
粗 砂
作業の方向
ろ過砂表面の削り取り作業
急速ろ過池と緩速ろ過池の違い
項 目
急速ろ過方式
緩速ろ過方式
開発・発祥
アメリカ(1884年)
イギリス(1808年)
ろ過速度
120~150 m/日
4~5 m/日
ろ過機構
ふるい分け,付着作用
生物膜ろ過
除去物質
懸濁物質など
懸濁物質,臭気,
アンモニア態窒素など
ろ過砂
の再生
逆 洗
削り取り
ろ層厚
60cm前後
80cm前後
有効径
0.6mm前後
0.4mm前後
特 徴
前段で凝集沈澱処理
が必要
広い用地必要
原水濁度10度程度までが処理可能
1.3.4 膜ろ過施設
膜ろ過のポイント(特徴)
①膜の穴の大きさにより除去可能な病原生物が
異なる。
②維持管理の省力化や凝集剤の減少。
③材質により,有機膜と無機膜に分類される。
膜ろ過施設の役割
直径1.5mm
膜ろ過の概略図
ろ過膜の顕微鏡
拡大写真(精密ろ過膜)
ろ過膜の分類と除去可能な不純物
NF
RO
UF
MF
中空糸型膜モジュールの概略
クリプトスポ
リジウム
細菌
ウイルス
イオン
水
高圧側
低
圧
側
膜への通水方式の種類
外 圧 式
内 圧 式
膜ろ過水
膜ろ
過水
膜供
給水
膜供
給水
【膜の外側に供給水を流し,膜の内
側で膜ろ過水を取り出す。】
膜ろ
過水
膜供
給水
【膜の内側に供給水を流し,膜の外側で
膜ろ過水を取り出す。】
膜ろ過の方式
全量ろ過方式
クロスフローろ過方式
供給水
濃縮水
供給水
膜ろ過水
膜ろ過水
一口メモ(クリプトスポリジウム等)
クリプトスポリジウム
・ジアルジアとは
・塩素処理に耐性を有する原虫で,
人間及び哺乳動物の腸で増殖し,水
系感染症を起こす。飲食物から感染し,
腹痛を伴う水様性下痢が3日~1週
間程度持続する。
クリプトスポリジウムの
オーシスト(5μm 程度)
・2007年に厚生労働省による「水道におけるクリプトスポリジウ
ム等対策指針」が策定され,水源の汚染のおそれを4段階レベル
で評価し,レベルに応じた対策を行うことになった。
1.3.5 凝集用薬品注入設備
凝集用薬品注入設備の役割
急速ろ過方式の浄水処理において,原水中に浮遊している微細
な粒子(コロイド懸濁物質)などは,凝集剤によって凝集させ,固
液分離が行えるようにすることが必要。
凝集剤の種類と特徴
凝集剤
原水中の濁度をフロックの形に凝集させ沈澱しやすく,
ろ過池での捕捉を容易にするために用いる
・水道用ポリ塩化アルミニウム(PAC,パック)
・水道用硫酸アルミニウム(硫酸ばんど)
・鉄系凝集剤等
凝集助剤
凝集フロックの沈降分離性やろ過捕捉性の改善のため、
凝集剤と併用して使用する薬剤。
・pH調整剤(酸・アルカリ剤)
・凝集補助剤
凝集用薬品注入設備の構成
凝集用薬品注入設備
薬品の種類,性状に応じて適正
な注入が確保できるものを選ぶ
最大注入量から最小注入量まで
安定した注入が出来るものとする。
凝集用薬品注入設備
凝集用薬品貯蔵設備
凝集用薬品を貯蔵するタンクの
他に,万一漏洩した場合に備える
ための防液堤,中和装置,廃液貯
蔵槽等がある 。
45
凝集用薬品貯蔵設備
凝集用薬品注入設備の管理
維持管理
・予備設備(予備機,予備配管)
・日常の管理(分解清掃,注入量の誤差を定期的に確認,タ
ンク外部の状態や配管等を点検)
・薬品の漏えいについては細心の注意が必要
運転管理
・凝集剤の最適注入率は,原水水質によって大きく変化
・凝集に与える要因(攪拌強度,pH値,アルカリ度,水温等)
・注入率の決定に当たっては,ジャーテストを行うのが基本
・原水濁度の急変時に備え,あらかじめ注入率の相関表を作成
し対応
一口メモ(フロックの形成原理 )
水中の濁質コロイドは,その表面が
負に帯電し,相互に反発し合い沈澱
しにくい状態
凝集剤(ポリ塩化アルミニウム等)を
加えると,正に帯電することにより,電
荷を中和し濁質コロイド反発力は減少
フロックの形成過程
一口メモ(ジャーテスト)
ジャーテストとは
・ジャーテスタと呼ばれる試験装置
を用い,凝集・沈殿に最適なpH,凝
集用薬品添加量を決定する試験
・適宜ジャーテストを行い,注入率
の適正な管理をおこなっていくこと
が重要
ジャーテスタ
ジャーテストの手順(参考例)