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READ公開講座
2011年3月5日
障がいをもつ人の所得状況と社会保障の課題
国立社会保障・人口問題研究所
社会保障基礎理論研究部
金子能宏
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1
一般的な世帯の所得状況の状況
-所得金額階級別にみた世帯数の相対度数分布 (2008年)-
16
14
12
10
8
6
「国民生活基礎調
査」世帯所得の度数
分布(%)
4
2
0
注: 「国民生活基礎調査」の所得は調査時点の前年の所得であるため、グラフは平成20年(2008年)の所得に基づいて
いる。右端の所得階級の相対度数は1500万円以上のすべての度数を含むため大きい値となっている。
出所:「平成21年 国民生活基礎調査」(厚生労働省)より筆者作成。
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2
一般的な世帯1人当り所得(等価所得)の分布と
障がいをもつ人の所得の分布の比較
16
14
12
10
8
6
「国民生活基礎調
査」一人当たり等価
所得
「READ調査」本人
(一人)の所得
4
2
0
注: 「国民生活基礎調査」の所得は調査時点の前年の所得であるため、グラフは平成20年(2008年)の所得に基づいている。READ調
査の障がいをもつ人の所得も2008年の所得。右端の所得階級の相対度数は800万円以上の全度数を含むため大きい値となってい
る。
出所:「平成21年 国民生活基礎調査」(厚生労働省)とREAD調査より筆者作成。
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3
所得格差を示す指標
• 相対的貧困率:所得分布の中央値の一定割合(50%が一般的、いわゆる
貧困線)以下の所得しか得ていない人の割合
• →貧困線以下の人がいる頻度を示す指標
• 所得ギャップ率:貧困線以下の所得の人々の平均所得(AINCp)と貧困線の
所得(INCpl)との乖離を、貧困線の所得で標準化した指標
→貧困の深刻さを示す指標
所得ギャップ率=1- (AINCp/ INCpl)
• 貧困ギャップ率:貧困線以下にいる人々個人の所得(INCpi)が貧困線以上
になるのに必要な所得の不足額の平均
→貧困の深刻さを示す指標で、年齢階層別や世帯構造別など要因分解で
きる指標
貧困ギャップ率=(1/N)Σ[(INCpl-INCpi)/INCpl]
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4
所得格差の状況を示す指標
• 相対的貧困率:所得分布の中央値の一定割合(50%が一般的、いわゆる
貧困線)以下の所得しか得ていない人の割合
出典:厚生労働省大臣官房統計情報部「相対的貧困率の公表について」2009年10月
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5
所得に関する公表統計と比べた場合の
障がいをもつ人の所得状況①
• 厚生労働省統計情報部「国民
生活基礎調査」に基づく相対
的貧困率の推移
• 世帯の規模による影響を調整
した世帯人員1人当たり可処
分所得でみた場合
• 貧困線 全世帯の中位所得
(233万円)の50% (116.5万円)
• 相対的貧困率
• 2006年 15.7%
• 2003年 14.9 %
• 2000年 15.3 %
• READ「障害者の日常・経済活動
調査」調査 2009年
• 障がいをもつ人(男女)、本人 1
人の所得(社会保障給付含む)
• 比較対象のための貧困線:厚生
労働省の相対的貧困率と同じ中
位所得(116.5万円)
• READ調査(2009年)に基づく相対
的貧困率
• 2008年の所得に基づく場合
23.11%
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6
所得に関する公表統計と比べた場合の
障がいをもつ人の所得状況②
• 厚生労働省統計情報部「国民生活
基礎調査」に基づく相対的貧困率、
世帯類型別にみた場合の相対的貧
困率(出典:OECD“Growing
Unequal”,2009年)
• 貧困線 全世帯の中位所得 (233
万円)の50% (116.5万円)
• 世帯類型別にみた相対的貧困率
• 高齢者(社会保障給付含む) 22%
• 大人1人子供のいる世帯・就業者あ
り 58.4%
• 大人1人子供のいる世帯・就業者な
し 60.1%
• READ「障害者の日常・経済
活動調査」調査 2009年
• 障がいをもつ人(男女)、本
人 1人の所得(社会保障
給付含む)
• READ調査対象の相対的
貧困率
• 高齢者(社会保障給付含
む) 26.1%
• 仕事をしている 16%
• 仕事をしていない 34.9%
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7
所得ギャップ率と貧困ギャップ率の比較
• 厚生労働省統計情報部「国
民生活基礎調査」(2007
年、所得の値は2006年)に
基づく貧困ギャップ率
• 出典:小塩隆士(2010)「再
分配の厚生分析」ch.3, 日
本評論社
• 所得移転後所得の貧困
ギャップ率
• 年齢計 6.5%
• 若年層(20~39歳) 6.4%
• 中年層(40~59歳) 4.1%
• 高齢層(60~79歳) 8.2%
• READ「障害者の日常・経済
活動調査」調査 2009年
• 障がいをもつ人(男女)、本
人 1人の所得(社会保障給
付含む)
• READ 所得ギャップ率
56.5%
•
•
•
•
•
READ 貧困ギャップ率
年齢計 13.1%
若年層(20~39歳) 20.3%
中年層(40~59歳) 12.5%
高齢層(60~79歳) 11.1%
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8
障がいをもつ人への就労支援の再分配効果の推計
• 就労支援の再分配効果:就労支援により、求職活動をしている人が
就職できて、READ調査の働いている人々の平均稼得所得が得られる
ようになると想定する場合
• →求職中の人の所得に平均稼得所得を加えて、仮想の所得分布を作
り出して、所得格差の指標を推計
• →就労支援後の貧困率 19.7%
貧困ギャップ率 10.9%
• 2008年法定雇用率達成企業割合が44.9% (厚生労働省「平成20年6
月1日現在の障害者の雇用状況について」)のもとで、READ調査対象
のひとの62%が就労しているので、達成企業割合が100%になり、すべ
ての人が就職できて、READ調査の平均稼得所得が得られるようにな
ると想定する場合
• →非就業の人の所得に平均稼得所得を加えて、仮想の所得分布を作
り出して、所得格差の指標を推計
• →就労支援後の貧困率 10%
貧困ギャップ率 12.5%
再掲:READ調査(2009年)による2008年の所得に基づく相対的貧困率 23.11%
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9
障がいをもつ人への所得再分配政策の効果の推計
• 所得再分配政策の効果:月額 7万円の最低保障年金を非就業
のすべての人に支給すると想定する場合
• →すべての非就業の人の所得に月額 7万円の最低保障年金を
加えて、仮想の所得分布を作り出して、所得格差の指標を推計
• →最低保障年金支給後の貧困率 8.5% 貧困ギャップ率 2%
• 所得再分配政策の効果:月額 5万円のベーシック・インカムをす
べての人に支給すると想定する場合
• →すべての人の所得に月額 5万円のベーシック・インカムを加え
て、仮想の所得分布を作り出して、所得格差の指標を推計
• →ベーシック・インカム後の貧困率 8.5% 貧困ギャップ率3%
再掲:READ調査(2009年)による2008年の所得に基づく相対的貧困率 23.11%
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10
参考文献
• 小塩隆士(2010) 『 再分配の厚生分析』(日本評論社)
• 駒村康平編著(2010) 『最低所得保障』(岩波書店)
• OECD (2009) Growing Unequal? Income Distribution and Poverty in
OECD Countries, 小島克久・金子能宏訳(2010) 『格差は拡大してい
るか OECD加盟国における所得格差』(明石書店)
• 武川正吾(2008) 『シティズンシップとベーシックインカムの可能性』
(法律文化社)
• 橘木俊詔・浦川邦夫(2006)『日本の貧困研究』(東京大学出版会)
• 小塩隆士・田近栄治・府川哲夫編著(2006)『日本の所得分配』(東
京大学出版会)
• 小沢修司(2002)『福祉社会と社会保障改革-ベーシック・インカム
構想の新地平』(高菅出版)
• Lambert P.J. (1993) The Distribution and Redistribution of Income,
Second edition(Manchester University Press)
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