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サービス管理責任者等指導者養成研修テキスト
強度行動障害児者への支援について
<共通講義>
平成25年9月25日
厚生労働省 社会・援護局
障害保健福祉部 障害福祉課
障害保健福祉関係主管課長会議資料 平成25年2月25日
強度行動障害を有する者等に対する支援者の人材育成について
強度行動障害を有する者は、自傷、他害行為など、危険を伴う行動を頻回に示すこと
などを特徴としており、このため、現状では事業所の受け入れが困難であったり、受け入
れ後の不適切な支援により、利用者に対する虐待につながる可能性も懸念されている。
一方で、施設等において適切な支援を行うことにより、他害行為などの危険を伴う行動
の回数が減少するなどの支援の有効性も報告されており、強度行動障害に関する体系
的な研修が必要とされている。このため、平成25年度に、研修の普及を通じて、適切な
支援を行う職員の人材育成を進めることを目的として、指導者を養成するための研修を
独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園において実施することとした。
また、平成25年度予算案において、都道府県が実施する強度行動障害を有する者等を
支援する職員を養成するための研修事業を都道府県地域生活支援事業のメニュー項目
として盛り込んだところであるので、積極的な取り組みに努められたい。
なお、これらの研修に関する詳細については、別途周知することとするので、御承知お
き願いたい。
2
強度行動障害の施策の経過
昭和55年
平成25年
昭和55年
第1種・第2種自閉症児施設
施
設
入
所
支
援
○平成5年
利用者 平成23年4月2432人 平成24年4月8667人 平成25年4月14901人
強度行動障害者特別処遇事業
施設数
308施設
638施設
975施設
○平成10年
強度行動障害特別加算費
○平成18年10月 重度障害者支援加算(Ⅱ)区分6 ・15点以上)
○平成24年4月 重度障害者支援加算(Ⅱ)区分6 ・8点以上)
利用者 平成19年11月3204人 平成20年4月3296人 平成22年1月4528人 平成25年4月7013
事業所数
739事業所
901事業所
1204事業所
在
宅
サ
ー
ビ
ス
平成5年
知的障害者
ガイドヘルパー制度
平成15年
移動介護
○平成17年 行動援護開始(対象者基準 9項目+てんかん中10点以上)
○平成18年10月(区分3以上 11項目+てんかん中10点以上)
○平成20年4月(区分3以上 11項目+てんかん中8点以上)
○平成18年 市町村地域生活支援事業・移動支援事業
短期入所 平成23年4月780人 平成24年4月1164人 平成25年4月1905人
共同生活介護
113人
399人
1656人
○平成18年10月
短期入所・共同生活介護
専
門
的
拠
点
強
度
行
動
障
害
支
援
者
養
成
研
修
(
基
礎
研
修
)
重度障害者支援加算(※Ⅰ,Ⅱの合計人数)
平成14年
自閉症・発達障害支援センター創設
平成17年
発達障害者支援センター
3
平成21年度~平成23年度厚生労働科学研究
「強度行動障害の評価基準と支援手法に関する研究」(研究代表者 井上雅彦)の主要な指摘
○強度行動障害の要因
強度行動障害は、知的障害だけでなく自閉性障害の程度も影響。基本的な障害に二次的に積み重ねられた
人格形成過程における不適切な育ちや対応の結果に起因する(障害特性に応じた専門的支援により予防や改
善が可能。ただし、「積極的な医学的治療が必要な精神的な障害、生物学的な障害に起因した最重度の知的障
害などは除外する」とされる)。
○支援方法
物理的環境調整(※行動障害を誘発する刺激等を視野に入らないようにする等)や構造化(※抽象概念の理
解が苦手なため、スケジュールや行為の手順等を分解し視覚化する等)が有効。
強度行動障害の予防的支援が重要。
日中活動、居住支援(GH・CH)においては、小規模グループと複数職員配置、緊急時の応援体制が必要。
個別支援計画による一貫した支援。
○研修・コンサルテーション
行動障害の専門研修が必要。
研修終了者が複数の事業所、機関で役割分担し、日常的な協働支援ネットワークが構築された。
月1回の専門家によるコンサルテーションにより、行動援護基準において改善が見られた。
○連携・ネットワーク
医療(精神科医療含)、保健、福祉(相談機関含)、教育、雇用など分野横断的な連携による一貫した支援、ラ
イフステージの移行支援が重要。
○医療
長期在院患者に強度行動障害の患者が相当数存在。受け入れ先あれば長期在院とならない患者も。
地域での支援には、医療的支援の充実・訪問看護やショートステイなどを円滑に利用できる環境整備が必要。
円滑に入院治療ができる環境整備や行動障害に対する専門医の配置、専門的病院・病棟の設置が必要。
加算適応症例で、抗精神病薬の使用は不可避。薬物と症状の改善の対応関係は今後評価が必要。
4
施設・事業所等の聞き取り
○連携した支援
・サービス等利用計画、個別支援計画を核として、ライフステージを通じた一貫した支援が必要。
・強度行動障害の専門性のある相談支援専門員が必要。
・福祉、医療、保育、教育、労働などの横断的な連携が必要。
・一法人だけでなく、複数法人の事業所が支援方法を統一して連携して支援することが必要。
・学校教育との連携が不可欠。
○研修・コンサルテーション
・外部の専門家によるコンサルテーションを受けて支援を行うことが有効。
○専門的サービス
・療育的な放課後等デイサービスが必要。
・本人の生活を整えるための短期入所や短期間の入所が有効。
・学校等の長期休暇中の余暇支援が必要。
○家族支援
・家族に本人の障害特性と対応方法を伝え、孤立しないように支えることが必要。
○医療
・緊急時に対応してくれる医療が必要。
5
強度行動障害支援の課題
課題1. 行動障害の発生を予防する視点が弱い。
↓
・行動障害が激しくなってから対応が始まるので、当事者も対応者も大変。
・不適切な対応でさらに状態が悪化する。
・落ち着いた後の支援が疎かになるため、再発を繰り返す。
↓
本人の生活や行動を制限する対応策しかなくなる。
課題2. 対応するための標準的な手法が確立されていない。
↓
・人材育成が進まない。
・対応機関同士で支援の情報共有や引き継ぎができない。
↓
家族や特定の職員・施設に負担が偏る。
課題3.サービス事業者の受け入れが進まない
↓
・職員が、行動障害の支援手法を身につけていないことを理由に対応しない。
・受け入れても、不適切な対応でさらに状態が悪化する失敗体験。
↓
サービスが利用できなくなり、家族に負担が偏る。
課題4.福祉と医療の連携が進まない
↓
・強度行動障害のある人が受診できる医療機関が少ない
・強度行動障害のある人が身近で医療を受けることが難しい
↓
強度行動障害の改善のために医療を受診することが少なく対応が困難
6
今後の対応の方向性(イメージ)
1.専門的な人材の育成
(1)虐待防止・身体拘束廃止の観点から
(2)強度行動障害への対応を中心とした研修体系
2.訪問系サービスの普及拡大、質の向上
(行動援護、重度訪問介護)
3.施設、通所等の拠点型サービスの人材育成機能の地域展開
7
1.専門的な人材の育成
(1)虐待防止・身体拘束廃止の観点から
8
○ 障害者に対する虐待防止を進めるに当たっては、
特に、強度行動障害への適切な支援のあり方を広
める必要。
→ 次に、身体拘束の廃止に向けた取り組みを中心
に、障害者虐待防止の取り組みおいて、強度行動
障害への対応と関係の深い部分について紹介。
9
障害者虐待防止法の概要
(平成23年6月17日成立、同6月24日公布、平成24年10月1日施行)
目 的
障害者に対する虐待が障害者の尊厳を害するものであり、障害者の自立及び社会参加にとっ
て障害者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等に鑑み、障害者に対する虐待の
禁止、国等の責務、障害者虐待を受けた障害者に対する保護及び自立の支援のための措置、
養護者に対する支援のための措置等を定めることにより、障害者虐待の防止、養護者に対する
支援等に関する施策を促進し、もって障害者の権利利益の擁護に資することを目的とする。
定 義
1 「障害者」とは、身体・知的・精神障害その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社
会的障壁により継続的に日常生活・社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
2 「障害者虐待」とは、次の3つをいう。
①養護者による障害者虐待
②障害者福祉施設従事者等による障害者虐待
③使用者による障害者虐待
3 障害者虐待の類型は、次の5つ。(具体的要件は、虐待を行う主体ごとに微妙に異なる。)
①身体的虐待 (障害者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障害者の身体を拘束すること)
②放棄・放置 (障害者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置等による①③④の行為と同様の行為の放置等)
③心理的虐待 (障害者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと)
④性的虐待
(障害者にわいせつな行為をすること又は障害者をしてわいせつな行為をさせること)
⑤経済的虐待 (障害者から不当に財産上の利益を得ること)
10
身体拘束の廃止に向けて
障害者虐待防止法では、「正当な理由なく障害者の身体を拘束すること」は身体的虐
待に該当する行為とされています。身体拘束の廃止は、虐待防止において欠くことの
できない取り組みといえます。
やむを得ず身体拘束を行うときの留意点
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障
害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準」等には、緊急やむを得ない場
合を除き身体拘束等を行ってはならないとされています。さらに、やむを得ず身体拘束
等を行う場合には、その様態及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急や
むを得ない理由その他必要な事項を記録しなければならないとされています。
緊急やむを得ない場合とは・・・
① 切迫性
利用者本人又は他の利用者等の生命、身体、権利が危険にさらされる可能性が著し
く高いことが要件となります。
② 非代替性
身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する方法がないことが要件となります。
③ 一時性
身体拘束その他の行動制限が一時的であることが要件となります。
11
やむを得ず身体拘束を行うときの手続き
① 組織による決定と個別支援計画への記載
やむを得ず身体拘束を行うときには、個別支援会議などにおいて組織として慎重に
検討・決定する必要があります。この場合、管理者、サービス管理責任者、運営規程
に基づいて選定されている虐待の防止に関する責任者など、支援方針について権限
を持つ職員が出席していることが大切です。
身体拘束を行う場合には、個別支援計画に身体拘束の様態及び時間、緊急やむを
得ない理由を記載します。これは、会議によって身体拘束の原因となる状況の分析を
徹底的に行い、身体拘束の解消に向けた取組方針や目標とする解消の時期などを
統一した方針の下で決定していくために行うものです。ここでも、利用者個々人の
ニーズに応じた個別の支援を検討することが重要です。
② 本人・家族への十分な説明
身体拘束を行う場合には、これらの手続きの中で、適宜利用者本人や家族に十分
に説明をし、了解を得ることが必要です。
③ 必要な事項の記録
また身体拘束を行った場合には、その様態及び時間、その際の利用者の心身の状
況並びに緊急やむを得ない理由など必要な事項を記録します。
12
身体拘束としての行動制限について
障害者支援施設等において、特に行動障害のある利用者が興奮して他の利用者を叩
く、噛みつくなどの行為や自分自身の顔面を強く叩き続けるなどの行為があるときには、
やむを得ず利用者を居室に隔離したり、身体を拘束したりするなどの行動制限を行わざ
るを得ない場面があると思います。そのような場合に、やむを得ず行動制限をする必要
があったとしても、その必要性を慎重に判断するとともに、その範囲は最小限にしなけ
ればなりません。また、判断に当たっては適切な手続きを踏む必要があります。
しかし、職員の行動障害に対する知識や支援技術が十分でない場合、対応方法が分
からずに行動制限をすることに頼ってしまうことも起こります。行動制限をすることが日
常化してしまうと「切迫性」「非代替性」「一時性」のいずれも該当しなくなり、いつの間に
か身体的虐待を続けている状態に陥っていたということにもなりかねません。職員の行
動障害に対する知識や支援技術を高め、行動制限や身体拘束の解消に向けての道筋
を明確にして、職員全体で支援の質の向上に取り組む必要があります。
13
(1)いわゆる「問題行動」について
行動障害のある利用者が示すいわゆる「問題行動」の原因は、利用者自身の障害に
よるものだけでなく、支援者も含めた環境側の問題にもあるという基本的な視点をもつ必
要があります。「問題行動」は「障害特性と環境要因との相互作用の結果である」と言え
ます。
(2)アセスメント
利用者の障害特性や個別的なニーズを把握するためにはアセスメントが重要です。
アセスメントは支援の基本となります。特に以下の点が重要な項目となります。
a.好きなこと苦手なこと
b.得意なこと・強みと弱み
c.コミュニケーションレベル(表現性コミュニケーション、受容性コミュニケーション)
d.ひとつひとつの場面や状況をどのように理解しているのか?
e.「何が」わからないのか?
f.どのような刺激に敏感又は鈍感か
g.健康上の課題、合併する障害
14
(4)わかりやすい環境の支援
環境をわかりやすくする手法の一つに「構造化」があります。
「構造化」では、「①いつ ②どこで ③なにを ④どのくらい ⑤どのように ⑥終わった
ら次は何」の6つの情報を伝えなければなりません。この6 つの情報をわかりやすくする
ために4 つの「構造化」を図ります。
① 時間の構造化
「いつ」「どこで」「なにを」という情報を、文字や絵、写真など、または実物等、一人ひと
りの理解レベルに応じてスケジュールを提示します。変化が苦手な人でも、予めスケ
ジュールカードを差し替えることで混乱なく受け入れることができるように、「見通し」を
持ってもらうことがきるようになります。
15
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17
18
19
② 空間の構造化
「どこで」「なにを」を伝えます。テープやパーテーションなどで境界線を作り、活動場
所を視覚的にわかりやすくします。
また、一つの場所を多目的に使用すると混乱しますので、例えば、作業をするところ
はワークエリア、おやつはフードエリア、遊びはプレイエリアというように場所と活動を
一致させると利用者にとってわかりやすくなります。
20
21
22
③ 手順の構造化
課題の作業手順等について、「なにを」「どのくらい」「終わったら次は何」ということが
分かるように、左から右、上から下の順で、色や数字、○や△等の図形をマッチングす
ることにより、視覚的にわかりやすく整理します。
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④ 材料の構造化
課題で扱う材料の組み立て方等について、手順書、指示書によって「どのように」を
わかりやすく、視覚的に伝えます。プラモデルの設計図に当たるようなものです。また、
サボタージュ場面(例えば、あえて材料の一部を抜いておくこと)により、適切な要求の
方法を支援することもできます。
32
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やむを得ない場合の身体拘束と、行政、サービス管理責任者の役割
○行政の役割
実地指導などの機会を通じて、やむ得ない場合の身体拘束の有無の確認、利用者の
状態の確認、個別支援計画や介護記録等への記載内容の確認、身体拘束の解消に向
けた検討状況の確認等を行う。
障害者支援施設等に係る指導監査について(平成19・4・26 障発0426003)
(別紙)障害者支援施設等の主眼事項及び着眼点
第1 適切な利用者支援の確保
施設のサービスについて、個人の尊厳の保持を旨とし、利用者の意向、希望等を尊重するよう配慮がなされているか。
施設の管理の都合により、利用者の生活を不当に制限していないか。
1 利用者支援の充実
(1) 個別支援計画は、適切に策定されているか。
ア (略)また、個別支援計画は、利用開始後、適切な時期に、ケース会議の検討結果等を踏まえたうえで策定され、定期的
に見直しが行われているか。
イ 個別支援計画は、その責任者等により、医師、理学療法士等の専門的なアドバイスを得て策定され、かつその実践に努
めているか。
ウ 利用者の支援に関する記録等は整備されいるか。(以下略)
○サービス管理責任者の役割
利用者に、やむを得ない場合の身体拘束が必要な場合、組織として検討し決定した
上で個別支援計画に身体拘束の様態及び時間、緊急やむを得ない理由を記載し、身
体拘束の原因となる状況の分析を徹底的に行い、身体拘束の解消に向けた支援の提
供やサービス内容の見直しなどを行う。
35
障害者虐待の防止
身体拘束・行動制限の廃止
支援の質の向上
36
1.専門的な人材の育成
(2)強度行動障害への対応を中心とした研修体系
37
【参考(平成24年度)】
【現状】
GH・CH
職員
入所職員
行動援護
ヘルパー
通所職員
その他の訪問
系ヘルパー
強度行動障害を有する者に対する支援者研修なし
実務経験
2年以上
サービス管理責任者養成研修 (3日間)
共
通
講
実務経験1年以
上+行動援護従
事者養成研修20
時間
義 (理論編)
分野別演習 (実践編)
介護
地域生活
(身体)
地域生活
(知的・精神)
就労
児童
行動援護従業者
一定の
実務経
験等
+
実務経験
計5年以上
相談支援従事者初任者研修(講義部分・11.5時間)
サービス管理責任者
サービス提供責任者
38
※ 内容は現時点検討案のため、今後変更の可能性あり。
【平成25年度】
訪問系
施設系・日中活動系・居住系等
相談支援
専門員
入所職員
GH・CH職員
行動援護
ヘルパー
通所職員
その他の訪問
系ヘルパー
実務経験に関わらず強度行動障害支援技術者養成研修(都道府県研修)受講
必須を検討(行動援護)
強度行動障
害支援技術
者養成研修
(国研修)
※指導者養
成研修
強度行動障害支援者養成研修(都道府県研修)
指導
相互の人材活用
相互の人材活用
相互の人材活用
相互の人材活用
サービス管理責任者養成研修の受講前に強度行動障害支援者養成研修
(都道府県研修)を受講することが望ましい。
平成26年度以降、行動援護従業者養
成研修を強度行動障害支援技術者養
成研修(都道府県研修)に統合検討
サービス管理責任者養成研修 (3日間)
共
通
講
義 (理論編)
分野別演習 (実践編)
介護
地域生活
(身体)
地域生活
(知的・精神)
就労
+
一定の
実務経
験等
児童
行動援護従業者
相談支援従事者初任者研修(講義部分・11.5時間)
実務経験
計5年以上
サービス管理責任者
サービス提供責任者
【見直しに当たっての趣旨】
○専門的な人材の育成(強度行動障害の特性から虐待につながりやすい→虐待防止の観点)
○知的障害者等の支援者のキャリアパスの形成
○施設、通所等の拠点型サービスの人材育成機能の地域展開
○訪問系サービスの普及拡大、質の向上(行動援護、重度訪問介護)
39
2.訪問系サービスの普及拡大、質の向上
(行動援護、重度訪問介護)
40
行動援護
○ 対象者
■ 知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって常時介護を有する者
→ 障害程度区分3以上であって、区分の認定調査項目のうち、行動関連項目(11項目)等の合計点数が8点以上である者。
○ サービス内容
○ 主な人員配置
■ 行動する際に生じ得る危険を回避するために
必要な援護
■ 外出時における移動中の介護
■ 排せつ及び食事等の介護その他の行動する際
に必要な援助
・予防的対応
…初めての場所で不安定になり、不適切な行動に
でないよう、予め目的地での行動等を理解させる等
・制御的対応
…行動障害を起こしてしまった時の問題行動を適切
におさめること等
・身体介護的対応
…便意の認識ができない者の介助等
■ サービス提供責任者:常勤ヘルパーのうち1名以上
・介護福祉士、実務者研修修了者、
介護職員基礎研修修了者、ヘルパー1級
・ヘルパー2級であって3年以上の実務経験があること
・行動援護従業者養成研修修了者
+
5年以上の直接処遇経験(知的障害・精神障害者等)
※行動援護従業者養成研修修了者は3年(平成27年3月までの経過措
置)
■ ヘルパー:常勤換算2.5人以上
・介護福祉士、介護職員基礎研修修了者、ヘルパー1、2級
・行動援護従業者養成研修修了者 等
+
2年以上の直接処遇経験(知的障害・精神障害者等)
※行動援護従業者養成研修修了者は1年(当面の間)
○ 報酬単価(平成24年4月~)
■ 基本報酬
251単位(30分)~2,487単位(7.5時間以上)
■ 主な加算
特定事業所加算(10%又は20%加算)
特別地域加算(15%加算)
→①サービス提供体制の整備、②良質な人
材の確保、③重度障害者への対応に積極的
に取り組む事業所のサービスを評価
→中山間地域等に居住している者
に対して提供されるサービスを評価
○ 事業所数
1,206(国保連平成25年4月実績)
○ 利用者数
喀痰吸引等支援体制加算(1日当たり
100単位加算)
→特定事業所加算(20%加算)の算定が
困難な事業所に対して、喀痰の吸引等が
必要な者に対する支援体制を評価
7,022(国保連平成25年4月実績)
41
4
行動援護の利用者数
(平成25年4月 国保連データ)
800
705
700
630
600
573
566
500
449
421
442
407
400
330
285
300
182
200
146
135
153
138
111
100
61
56
38
11
3
26
82
77
34 44
15
38
78
60
32
8
115
103
45
53
25
31
5
91 87
85
45
44
5
20
8
0
北 青 岩 宮 秋 山 福 茨 栃 群 埼 千 東 神 新 富 石 福 山 長 岐 静 愛 三 滋 京 大 兵 奈 和 鳥 島 岡 広 山 徳 香 愛 高 福 佐 長 熊 大 宮 鹿 沖
海 森 手 城 田 形 島 城 木 馬 玉 葉 京 奈 潟 山 川 井 梨 野 阜 岡 知 重 賀 都 阪 庫 良 歌 取 根 山 島 口 島 川 媛 知 岡 賀 崎 本 分 崎 児 縄
道 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 都 川 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 府 府 県 県 山 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 県 島 県
県
県
県
42
行動援護従業者養成研修のカリキュラム
区分
講義
科 目
時間
備 考
行動援護に係る制度およびサービスに関する講義
2
サービス利用者の人権と従
事者の職業倫理に関する講
義も含む
行動援護利用者の障害特性と障害理解に関する講義
2
行動援護の技術に関する講義
2
行動援護の事例に関する演習
4
行動援護の支援技術に関する演習
3
行動援護の事例分析に関する演習
4
モデルを使ったグループ
ワークによる演習を行うこと
行動援護の事例分析の検討に関する演習
3
演習結果の発表および講評
を行うこと
演習
計
20
厚生労働省告示第538号「指定居宅介護等の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの」 別表第3(第4号関係)
43
障害者に対する支援(①重度訪問介護の対象拡大)
重度訪問介護の対象者を、「重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働
省令で定めるもの」とする。
【平成26年4月1日施行】
厚生労働省令において、現行の重度の肢体不自由者に加え、重度の知的障害者・精神障害者に対象拡大
する予定
(参考)現行の制度内容
【重度訪問介護】
【行動援護】
)
・重度の肢体不自由者で常時介護を要
する障害者(区分4以上)
・知的障害又は精神障害により行動上著し
い困難を有する障害者等であって常時介
護を要するもの(区分3以上)
( サ ー ビ ス 内 容 )
・身体介護、家事援助、見守り、外出時
の介護を総合的に提供
・長時間の利用を想定
・行動する際に生じ得る危険を回避するため
の援護、外出時における移動中の介護を
提供
・8時間までの利用を想定
(
)
・1,403単位
(7.5時間以上8時間未満)
・2,487単位
(7.5時間以上)
( 介 助 者 資 格 )
・20時間の養成研修を修了
・知的障害、精神障害の直接処遇経験2年
以上又は直接処遇経験1年以上 + 20時
間の養成研修を修了
(
・介護技術、医療的ケア、コミュニケー
ション技術など
・障害特性理解、予防的対応、制御的対応、危
険回避技術習得等
(
対
報
研
象
酬
修
者
単
内
価
容
)
3.施設、通所等の拠点型サービスの人材育成機能の地域展開
(地域における取り組みの好事例の紹介)
45
(1)福岡市強度行動障がい者支援事業
受け入れ事業所職員
共同
支援
利用
強度行動障がい者
短期入所事業、ケアホーム
行動援護、日中一時支援事業
利用者のことを理解して
いる施設・事業所職員と、
受入施設・事業所の現
場において共同で支援
を行うことにより、円滑
な引継ぎ、OJTによる支
援技術の向上、受入施
設等の拡大や意見交換
によるフィードバック、の
効果が期待できる。
C施設職員
派遣の内諾
支援実績
成果の報告
派遣依頼
B施設職員
A施設職員
対職
価員
の派
支遣
払に
い係
る
事務局
(福岡市社会福祉事業団)
のと 相
調連 談
整携 支
及し 援
びた セ
依職 ン
頼員 タ
派ー
遣等
宿泊を伴う支援
12,000円
宿泊を伴わない支援 5,400円
「本人を理解している」「専門性を有する」「これから強度行
動障がい者を受け入れる」福岡市内の施設・事業所職員
46
(2)大分県発達障がい者支援専門員派遣事業
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(3)社会福祉法人はるにれの里の地域生活支援とその仕組み
木村昭一・菊池道雄「強度行動障がいを示す人たちの自立に向けた取り組み:地域のケアホームへの移行の実践から」
触法施設
厚田はまなす園
52名
在宅
入所施設
有期限入所トレーニング
サテライト
トレーニング
ハウス3軒
親の会
住まいの場
石狩育成会
ダンディ親の会
ケアホーム親の会
自宅
ケアホーム17カ所
アパート1カ所
学校
寄宿舎
医療施設
発達障害者支援センターおがる
自閉症自立支援
センターゆい
30名
コーディネーター
コンサルテーション
地域の相談センター
相談室ぽらりす
就労援助室
あるば
企業就労
地域生活
支援センター
本人の会
大地の会
余暇活動の場
行動援護サービスポケット
地域活動支援センターえみな
日中一時支援支援事業他
日中活動の場
生活介護事業所7カ所140名
自律訓練事業2カ所16名
日中活動の場
就労に向けて
就労移行支援あるば20名
就労継続A事業10名
就労継続B事業20名
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(参考)強度行動障害支援におけるコンサルテーションの重要性
A事業所独自の
・物理的構造化
・視覚的支援
自宅
家族支援不足(障害特性の理解不足による関わり)
環境調整不足(刺激が多い)
週2日通所
異なる対応
B事業所独自の
・物理的構造化
・視覚的支援
B事業所
職員(ヘルパー)
週3日通所
自宅での入浴介助
週5日訪問
日中活動の職員が
自宅にも来る
支援の統一
情報共有
支援会議
週2日通所
A事業所・B事業所共通化
・物理的構造化
・視覚的構造化
パニック
外部コンサル
テーション
自宅
家族支援(障害特性の理解による関わり)
環境調整(刺激の低減)
週3日通所
自宅での入浴介助
週5日訪問
D事業所ヘルパー
(日中活動と分離)
訪問専門
安定
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「障害者福祉におけるコンサルテーションの役割に関する一考察 -地域で生活をする強度行動障害のある人の支援を通じて-」京 俊輔(島根大学)を参考に作成