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Tokyo University of Science (TUS)
材料工学各論12−2
金属酸化物の電子伝導
電気伝導率の大小により呼び方が変わる
電気伝導度
絶縁体
小
抵抗体
半導体
導体
超伝導体
大
セラミックスの多くは絶縁体
可視光域では白色または透明
可視光域では光吸収が生じない
キャリアを生成し、電気を流すことができれば透明でありながら電気を流す材料へ!
キャリア濃度が高く、バンドが縮退すると自由電子を多く持ち、金属光沢がでる
反射率の増加
自由電子の光によるプラズマ振動(吸収と反射)
プラズマ振動よりも小さいと吸収されずに反射する
自由電子濃度が1.5×1021cm-3程度より多くなると反射率が増大
なぜ人間はものを見ることができるのか?
目に見える光は400nmから800nmという長さの光です。
人間は目に入ってきた光を見ているのです。
太陽からの光は全ての色を含んでいます。
800nm
400nm
紫外線
紫
藍
青
緑
黄
橙
赤
物質に当たった光は反射される
一部分は物質に吸収される
残った光を合わせた光が色として
見ることができる
E=hc/l
一部分吸収
赤外線
E=hc/l
3.1eV
h:プランク定数 6.626X10-34 J•s
4.136X10-15 eV•s
c:光の速度
2.998X108 m/s
l:波長 nm
600nm=2.07eV
1.55eV
800nm
400nm
紫外線
400
500
600
紫 藍 青
緑 黄 橙
YAGレーザー
532nm
700
赤
800
He-Neレーザー
633nm
赤外線
典型元素の酸化物
固体内ではOは二つの四面体に共有される
四面体に分割して考えると
酸素が不足するため、(SiO4)4-として電気的中
性ではない状態で考える
O
例 SiO2
O
Si
O
O
O-2s,2pの軌道 < Si-3s,3p軌道
エネルギー(eV)
30
O-2s,2pは完全に占有
Si-3s,3pは完全に非占有
0
Si 3p
O 2p
Si 3s
O 2s
-30
Si
O×4
Si-3s,3p 伝導帯
O-2s,2p 価電子帯
電気陰性度の大きなイオンの原子軌道
関数が主成分の分子軌道はエネルギー
が下がる
陽イオンー陰イオン間は結合的
バンドギャップが大きく、伝導
帯が空であるので絶縁体とな
E=hc/l
3.1eV
h:プランク定数 6.626X10-34 J•s
4.136X10-15 eV•s
c:光の速度
2.998X108 m/s
l:波長 nm
600nm=2.07eV
1.55eV
800nm
400nm
紫外線
400
500
600
紫 藍 青
緑 黄 橙
700
赤
800
赤外線
SiO2のバンドギャップ 約8.5eV=1.4X10-18J
(1eV=1.60X10-19J)
l=hc/E
=(6.626 X 10-34 [J•s] X 2.998X108 [m/s]) / (1.4X10-18 [J])
=14.2 X 108 [m]
= 142 [nm]
真空紫外域でようやく励起されるほどバンドギャップが大きい
可視光域では透明
酸化スズドープ酸化インジウム (Indium Tin Oxide : ITO)
In2O3のバンドギャップ 約3.5eV
吸収端は405nm
可視域ではほぼ透明
LED
液晶ディスプレイ
イオン結合性結晶や共有結合性化合物
自由電子がほとんど存在しない
抵抗率:108〜1012Wcm
金属
絶縁体
CB
CVは空っぽ
EF
FB
5〜10eV程度
VB
CB
VB
電子はVBのみ
CB : Conduction Band(伝導体)
VB : Valence Band(価電子帯)
FB : Forbidden Band(禁制帯)
FBが無くなりVB電子は
連続的にCBへ移行
自由電子として伝導に寄与
不純物半導体
真性半導体
Extrinsic semiconductor
Intrinsic semiconductor
CB
CB
EF
EF
VB
p形半導体
n形半導体
VB
ED
EF
CB
VB
EA
ED Donor State EA Acceptor State
半導体ではFBが1〜2eV程度
(Si:1.1eV, Ge:0.7, GaAs:1.4eV)
熱励起によりVBにある電子の一部がCBへ
Intrinsic semiconductor VBでは電子の励起によりホールが単独で存在
真性半導体
CB
EF
-
n = NC e
( EC -EF )
-
VB
kT
( EF -EV )
p = NV e kT
NC や NVはCBやVBにある有効な状態密度で
3
*
æ 2 pm kT ö 2
NC = NV = 2 ´ ç
÷
2
è h
ø
m* :電子の有効質量
励起された電子濃度はVBからCBに傾斜化しており、
その平均密度がEFとなる
不純物半導体
Extrinsic semiconductor
p形半導体
n形半導体
CB
EF
VB
ED
EF
CB
VB
EA
ED Donor State EA Acceptor State
不純物半導体では
固溶サイトの占有原子よりも高原子価の元素の固溶により
n形半導体
固溶サイトの占有原子よりも低原子価の元素の固溶により
p形半導体
不定比性の化合物における欠陥構造によっても禁制帯中に
エネルギーレベルができる
導電機構
セラミックスの導電機構は数多く提案されている
代表的な導電機構
1.バンドによる伝導
2.金属伝導
3.ホッピング伝導
4.金属ー半導体転移
バンドによる伝導
電子やホールが伝導体の中を移動する
酸化物では
1.化学量論組成からのずれ
2.不純物の添加
によりキャリアを生成、それらのエネルギーレベルを構成する
バンド伝導では導電率は温度依存性を示し、
æ Eö
s = s 0 expç- ÷
è kT ø
で近似することができる。
SrTiO3:ペロブスカイト型(立方晶)
:Sr ion
:Ti ion
:O ion
バンドギャップが大きく、伝導帯には電子がない
絶縁体
バンド構造的には電子を拡散しやすい構造
キャリアを生成させれば電気を流す物質となる
<Band Structure bulk 5% Y-dope SrTiO3>
キャリアを導入しても基本的なバンドギャップは変わらない
基本的なバンドギャップ
光学的バンドギャップ
光吸収スペクトルから求める
Transmittance / %
120
SrTiO3 thin film
100
substrate
80
吸収係数α1/2
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
60
0.3
40
0.2
Eg=3.2~3.4 eV
0.1
20
0
200
E=hc/λ
300
400
500
Wavelength
/ nm
600
700
800
0.0
1
2
3
4
5
エネルギー / eV
6
7
金属伝導
電気伝導度σが非常に高く、σの温度依存性が
ds
<0
dT
かつ金属ー半導体転移が温度を変えても発現しない
セラミックスではReO3が代表的
酸化物の中で最も電気伝導が高い
O
Re
正八面体結晶場の中心に遷移金属イオンが存在
d軌道は八面体結晶場中で縮体がとけて
t2g準位
dxy,dyz,dzx
eg準位
d
x2
- d 2 ,d 2
y
z
に分裂
eg準位の電荷密度はx,y,z軸方向に広がり陰イオンと反発して不安定
t2g準位の電荷密度は軸間に広がり、安定
結晶中の陰イオンー陽イオン、陽イオンー陰イオンー陽イオン間の軌道の重なり方
陽イオンのeg軌道は陰イオンのpx軌道と直交
→陰イオンのsおよびpσ軌道との間では共有結合(σ結
合)が生じる
結晶場におけるegの分子軌道( Ye )は
Ye = Ns ( fe + ls fs )
岩塩型構造の100面
一方、陽イオンのt2g軌道は陰イオンのpπ軌道との間で共有
結合(π結合)を形成
隣接する陽イオンー陽イオン間の相互作用を考えるとt2gの
分子軌道(Yt )は
Yt = Np ( ft + lp fp + lcfc )
fe, fc
陽イオンのegおよびt2g軌道
Ns , Np
規格化のための定数
fs , fp , fc
陰イオンのpσ、pπ軌道および隣接する陽イオンのsおよびp軌道
ls , lp , lc
共有結合性のパラメーター
遷移金属イオン中のd電子が結晶全体に属している傾向が強い場合
化合物は金属的な電気伝導を示す
d電子は非局在化している
d電子がそれぞれの原子核に引き寄せられている傾向が強い場合
化合物は半導体的あるいは絶縁体的な電気伝導を示す
d電子は局在化
Re6+-Re6+間の距離は約5.3ÅでRe6+イオン
のt2g軌道が重なることは極めて少ない
Re6+イオンは6個のOからなる八面体結晶
場の中心に位置
Re6+の電子配置は(5s)2(5p)6(5d)1である。
局在化した5d電子を1個持つReO3 のバ
ンドモデルである。
八面体結晶場に置いてRe6+イオンのd軌
道はt2gおよびeg軌道に分かれる
酸素イオンのsおよびp軌道
二重に縮退したpπ軌道とspσ混成軌道に分かれる。
Re6+イオンの2個のeg軌道は6個の酸素のspσ混成軌道とσ結合
結合性σ準位と反結合性σ*準位を形成
Re6+イオンの3個の酸素のpπ軌道とπ結合し、結合性π準位と反結合性π*準位を
つくり、残りの3個の酸素のpπは非結合準位を作る
。Re6+イオンのsおよびp軌道は6個の酸素のspσ混成軌道とσ結合し、結合性σ準位
と反結合性σ*準位を作る。
ReO31分子当たりの電子数は25個であり、下の準位から電子を詰めて
いくと反結合性π*準位は1/6だけ満たされる。従って、π*準位内にフェルミ
準位がくるため、ReO3は金属的な電気伝導を示す。
ホッピング伝導
イオン結晶
絶縁体
半導体
幅の狭い伝導体
伝導電子は特定のイオンに局在化
極小のエネルギーの状態
電子の雲は周りの格子を歪ませる
電気的分極構造の誘起
電気的分極は電子との相互作用により
電子エネルギーを減少させる
結晶中を電子が動くとすると
分極構造をともなって移動する
電子と分極の複合粒子をポーラロンと呼ぶ
ホッピング伝導では電子の移動度はバンド伝導に比べ非常に小さい
熱活性であるため、温度依存性は指数関数的に増大
æ EH ö
m = m0 expç÷
k
T
è B ø
EHは活性化エネルギー、0.1〜0.5eV程度
イオン伝導よりもかなり低い
WO3、V2O5やMoO3などに欠陥構造が生成した場合に電気伝導を示すようになる
V4+-O-V5+
V5+-O-V4+
電子や正孔は固体中を移動するときに格子を分極させ、局所
的に構造の変形を起こす。周囲の分極を持つ電子、正孔は
ポーラロンと呼ばれる。
電子や正孔とその周囲の分極による変形は仮想的に粒子と
して考える。
結晶の単位胞よりも大きな格子歪み
電子や正孔と周囲の相互作用が弱い
ラージポーラロン
結晶の単位胞よりも小さな格子歪み
スモールポーラロン
電子や正孔のエネルギー準位がバンドを形
成せず、結晶中の原子に局在する
ラージポーラロンでは
分極のエネルギーと有効質量を持った伝導電子として取り扱う
イオン性の高い典型金属酸化物で示唆される。
このような酸化物はエネルギーギャップが大きく、バンド構造は
大きなバンド幅(Eg ³ 6eV)で特徴づけられる。エネルギーギャッ
プが大きいので、高温でのみ真性半導性が見られる。
スモールポーラロンでは
局所的な格子歪みが非常に大きく、結晶は原子やイオンの集合
体として取り扱う、つまり不連続性を取り入れて議論することが
必要
幾つかのイオン性酸化物で見られるホッピング伝導の機構
低温では狭い伝導帯中で結晶中をトンネル効果により移動
温度依存性は格子散乱により決まる
高温ではバンド理論を電子的導電性の機構特徴付けに使うの
は不適当
ホッピング伝導
電子や正孔のエネルギー準位がバンドを形成せず、結晶中の
原子に局在するからである。
電子伝導セラミックスの応用例
バリスタ
ZnOに微量の添加物を加えると粒界に析出し、この粒界を挟んでZnOの粒がある時
(ZnO/粒界の不純物相/ZnO)ダブルショットキー構造となり、過電圧の感知用や漏電セ
ンサーなどに用いられる。
結晶粒
粒界相
順バイアス
印加側
電流
結晶粒
逆バイアス
印加側
EC
EF
EV
-200 -100 0 100 200
電圧 [V]
電子伝導セラミックスの応用例
NTCサーミスタ(Negative temperature coefficient thermistor)
CoO, NiO, MnOなどの遷移金属酸化物
がよく用いられる。
106
半導体金属酸化物の抵抗は温度上昇に伴い
減少する
105
温度と抵抗は
PTCサーミスタ
R= R0 exp{B(1/T -1/ T 0)}
a = -B/ T 2
電気抵抗 [W]
で表される。Bはサーミスター定数と呼ば
れる。1℃あたりの温度変化率は
104
103
102
101
NTCサーミスタ
Pt線
100
40
80
120
温度 [℃]
160
PTCサーミスタ(Positive temperature coefficient thermistor)
BaTiO3は強誘電体
コンデンサーなどへ応用
不純物のドープにより電気伝導を示す
PTCサーミスターは強誘電体に不純物をドープして半導体化させ、キュリー点で劇的に抵
抗値が変化することを利用したりする。BaTiO3はペロブスカイト構強誘電体である。室温
では1012Ωcm程度の抵抗を示す。
単結晶では確認されないので粒界がエネルギー障壁となっていると考えられている 。