A2資料/1.57MB - 全国地域包括・在宅介護支援センター協議会

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「高齢者なんでも相談会」

~相談のたらい回しを防ごう~

京都市下京区地域包括支援センター 社会福祉士部会

京都市下京・西部地域包括支援センター 林春菜 京都市下京・中部地域包括支援センター 速水裕美子 京都市下京・東部地域包括支援センター 樋口宙 修徳地域包括支援センター 島原地域包括支援センター 塚本好美 後藤幸雄

★「京都」はこんなところ

京都府は1府4県に面した南北に 長く、京都市は、府の中心より南に 位置し、政令指定都市となってい る。下京区は、市の中心部に位置 している。

★京都市の概要

人口 147 万人 (政令指定都市では中位) 高齢化率 21.6

% 地域包括支援センター数 61 (全センター委託) 京都は世界に誇る国際文 化観光都市で、日本にある 国宝の約 ている。 20 %が京都市内 にある。京都の最大の産業 は観光ではなく「ものづくり」 で、西陣織や友禅染のよう な伝統的な工業と現代的な ハイテク工業が京都を支え

★下京区の概要

人口:約 8 万人 高齢化率: 23.8

%(京都市内で 3 番目に多い) 地域包括センター: 5 センター(委託型) 下京区は京都盆地のほぼ中央に位置し、大半が市街地。京都の玄関口である京都駅 を始め、多数の鉄道網があり移動に便利なまち。四条通や京都駅などの商業集積地 を抱えて、京都の賑わいの中核を担う。近年、新たなマンション建設や小規模な住宅開 発が相次ぎ人口は増加傾向。三世代世帯の減少、単身・高齢者のみ世帯の増加など 世帯単位の縮小や変化がある。比較的若い年齢層の転入が多く、一方で単身高齢者 や高齢世帯は増加しており、高齢者に関する情報が得にくいことや地域コミュニケーションの 希薄化が指摘されて いる。

★下京区内地域包括センター社会福祉士部会

・下京区内に 5 センター。専門職部会は、月 1 回開催。 ・地域のサービス情報をまとめた「高齢者便利帳」の作成や、下京区介護保険 事業所連絡会にて高齢者虐待防止の研修を年 1 回行う。他、事例や制度活用 などの情報提供をおこない、互いのスキルアップを目指す。 ・京都弁護士会高齢者・障害者部会から弁護士 1 名の派遣があり、事例に対す る法律面での助言を受けている

★「高齢者なんでも相談会」の誕生

◎定例部会での弁護士とのやり取りの中で・・・ 「高齢者の相談って、一つじゃないよね」 「色々な方面の専門職が一度に集まったら、高齢者の相談一度に解決できるよ ね」 「法律のことを相談するのって、ハードルが高いと感じている高齢者って多くな い??」 「なんでも相談できる相談会って、他市でも取り組んでるみたい。下京区でもで きないかな・・」 → 下京区では、以前から医療と福祉がつながるネットワークは存在していた。 → 法律分野とのネットワークもつくることで、もっと下京区の高齢者を支えられる のではないか。 ◎司法書士会、行政書士会、下京区社会福祉協議会、社会保険労務士会、認 知症の人と家族の会などに呼びかける。 → 平成 24 年 5 月 「下京・高齢者権利擁護支援ネットワーク」 発足

◎相談会開催までに課題は山積 財源はどうするの? どんな内容にするの?? 相談会だけではもったいないよね? 等など → 運営会議を 2 ヶ月に 1 回開催。高齢者が何でも相談できる他職種が 一堂に集まる相談会をしよう!メーリングリストも議論の場、次の会 議までの間はメーリングリストで発信。 → 財源について 「こんな補助金ありますよ」と区役所からの情報提供。「下京区区民が 主役のまちづくり事業」が活用できれば、最大30万円の補助金を利 用できる。 補助金申請のため、要綱作成・役員を決める・プレゼンテーションを 行う。包括職員だけが行わず、それぞれが役割分担。 無事、補助金を受け取ることができました。 → 相談会は年 2 回。そのうち 1 回は、市民向け権利擁護講演会を開催。

高齢者 なんでも相談会の様子

・下京区役所の協力にて、会議室を全面貸し出し。パーテーションや机椅 子を並び替えて、相談ブースを開設。 ・一人の相談者につき、2-3人の専門職で対応。 ・参加専門職:弁護士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・社会福祉 士・介護福祉士・精神保健福祉士・介護支援専門員・医師・歯科医師・看 護師 等 ・ 講演会も同時開催。(講演内容:「認知症ケア」「エンディングノート」など権利擁 護に関する内容)

広報用チラシも作成。区内の介護保険事業所、 病院、医院、施設等に配布。後援団体へもチ ラシ配布をお願いしながら、事業の周知を図る。 相談会のお知らせは、新聞の行事欄への掲 載も活用した。 ↑ 京都新聞提供 平成 25 年 9 月 22 日朝刊 地域版より抜粋 ← 日本経済新聞 平成 26 年 2 月 21 日記事より抜粋

★統計

第1回 ( 24.10.14

) 相談員 スタッフ数 57 人 相談件数 22 件 64 人 35 件 第2回 ( 24.2.5

) 第3回 ( 25.9.21

) 第4回 ( 26.2.8

) 82 47 人 人 32 15 件 件 ◎第1回~3回は、講演会も あわせて行なう。講演会 は80~100人程度の参 加者あり。第4回は、相談 会のみの開催とした。 ◎相談内容としては、相続・ 遺言・成年後見・不動産等 の法律相談が半数以上を 占めている。残りは、心身 の健康のこと・年金・介護 サービス・借金・税金のこ となど、多岐にわたる相談 内容であった。

★利 点★

◎他職種が一緒に物事を進めているということ → 職種間の垣根 が低くなり、連携がとれやすい。その後のケース相談がしやす くなる。 ◎相談者のたらい回しを防ぎ、ワンストップで相談ができる。 ◎関係機関などが集まるので、互いに「顔の見える関係」ができ る。 ◎相談無料・時間無制限なので、相談者の話をじっくり聴くことが できる。他職種がどのようなアドバイスして、またどのような点 をポイントに話を深めているのかを一緒に聞ける場 → 専門職 同士が互いのスキルアップにつながる。 ◎行政を巻き込むことは必須 → 行政しかできないことがある。例 えば、区役所会議室の全面貸し出し・机椅子、パーテーション の貸し出しは費用軽減になり、行政からの民生委員、シル バークラブ等への協力依頼は、広報活動に活かしていけた。

★課 題★

◎医療相談がない。医師、薬剤師、歯科医師の出番が殆どない。 → 対策:医師会への働きかけは行なうが、参加できない場合 は包括看護師にて相談対応する。 ◎相談員として待機している間の時間が、手持ち無沙汰である → 対策: 26 年 2 月の相談会より、相談員待機場所にてミニ学習 会を開催。おおむね好評。 ◎回数をもっと多くしてとの期待 → 対策:体制的に 2 回が限度か。 今後の課題である。 ◎補助金申請も 3 年目。次年度はどうするか。ついてまわるのは、 自主財源ができたらよいが・・・ → 対策: 27 年度の活動をどうす るかは、今年度の課題。相談会はなくしたくないのは全体の総 意であり、他の補助金が活用できるか検討中。

★まとめ★

◎地域包括ケアの要として、地域包括支援センターが位置づけら れた。地域包括ケアシステムの構成要素として、「本人・家族の 選択と心構え」を基盤として、「すまいとすまい方」がまずあり、 その上で「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保健・予防」といっ た「生活支援・福祉サービス」が提供される姿が想定されている。 ◎高齢社会に伴い、高齢者自身の疾患のほか、家族構成の変化、 社会の変化から、高齢者の権利を侵す事件や出来事が増加。 認知症等で自分自身の意思が伝えられないことで、今まで築い てきた財産を搾取されるといった経済的虐待も多い。 ◎一人が多くの問題を抱える高齢者の存在があり、それぞれの機 関が単体で問題解決に取り組むには限界がある。高齢者の多 問題を解決するには、複数の関係機関が連絡しあい、「顔の見 える関係」となり、問題解決に向けて一緒に取り組むことが、地 域包括システムの基盤となる「本人・家族の選択と心構え」の後 ろ盾になると考えている。

◎医療・福祉だけがつながるのではなく、法律もつながること で、幅広く支援ができ、たらい回しを防ぐ支援につながるの ではないかと考えている。 走りながら考えてきた「高齢高齢者なんでも相談会」も、 3 年目 に突入。今年度も 2 回の相談会を予定。「京都市下京区には、 なんでも相談会があるから、大丈夫!」と区民の方に思って いただけるよう、関係機関と協力しながら進めていきたい。 読んでもろて、 おおきに。 <参考文献> ・下京区基本計画( 2011 ~ 2020 年度) 京都市下京区役 所 ・事例を通じて、我がまちの地域包括ケアを考えよう「地 域包括ケアシステム」事例集成~できること探しの 素材集~平成 26 年 3 月 株式会社日本総合研究所 (平成 25 年度地域包括ケアシステム事例分析に関す る調査研究事業)