Transcript 若者世代から見た 年金制度の在り方

若者世代から見た
年金制度の在り方
名古屋大学 柳原ゼミ２班
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発表の目的
日本の年金制度を
将来世代の受益を考慮したうえで
賦課方式から積立方式に移行することを
提案し、それを検証する。
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発表の結論
日本は、国民年金を
積立方式に移行するべきである。
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目次
１）
２）
３）
４）
５）
年金とは
国民年金のカラクリ
論証１
論証２
結論
4
１） 年金とは
１－１ 日本における年金の特徴
5
１－１ 日本における年金の特徴
6
１－１ 日本における年金の特徴
国民皆年金
7
１－１ 日本における年金の特徴
社会保険方式
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１－１ 日本における年金の特徴
歳入
9
１－１ 日本における年金の特徴
歳出
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１－１ 日本における年金の特徴
世代間扶養
• 現役世代の支払う保険料が現在の高齢者の
年金支給に充てられる仕組み。
日本は
実質賦課方式
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２） 国民年金のカラクリ
２－１
国民年金給付までの流れ
２－２
年金財源はどこから
２－３
年金制度への疑問
２－４
賦課方式の問題点
２－５
問題提起
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２－１ 国民年金給付までの流れ
一般会計
年金積立金勘定
1.6兆円
1.2兆円
保険料
1.7兆円
年金
18兆円
厚生年金勘定より受入
受給者
1６兆円
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国民年金
加入者分
２－２ 年金財源はどこから
一
般
会
計
7
%
補填分？
厚生年金より受入れ
保険料
国民年金給付
２７%
78％
51%
これは何だ？
厚生年金（7.7兆）
一般会計（2兆）
保
険
料
８
%
積
立
金
7
%
厚生年金
加入者分
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２－３ 年金制度への疑問
おかしい！？
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２－３ 年金制度への疑問
• 厚生年金なしで保険料を支払うとすると・・・
22歳の場合
生涯で844万円の負担に！
なぜこうなるのか？
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２－３ 年金制度への疑問
保険料収入が年金給付額に見合わない
その理由は・・・
賦課方式だから
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２－４ 賦課方式の問題点
なぜ賦課方式はいけないのか？
• 世代間扶養が前提となっているから
• 世代間扶養の問題とは？⇒支え手の減少に
よる若者世代の負担増
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２－４ 賦課方式の問題点
人口ピラミッド
若者世代人口が年々
減少している
総務省HPより
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２－４ 賦課方式の問題点
１９６５年
２０１２年
２０５０年
支え手の減少
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２－４ 賦課方式の問題点
21
２－４ 賦課方式の問題点
％
22
２－４ 賦課方式の問題点
現状を打破するには・・・
財政的に独立した年金経営
が可能になるのでは？
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２－５ 問題提起
保険料のみで
国民年金を経営できる
積立制度に移行する
べきではないか？
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３） 論証１
３－１
論証で行うこと
３－２
前提条件
３－３
賦課方式継続の場合
３－４
積立方式移行時の試算
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３－１ 論証で行うこと
• 賦課方式継続時の保険料
• 積立方式へ移行したらどうなるか
• 移行時のコストについての考察
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３－２ 前提条件
①
②
③
④
⑤
完全な積立方式に移行する
2015年から一斉に制度移行する
前年度までに支払った保険料は保障される
基礎年金のみを試算する
基礎年金のうち、障害基礎年金と遺族基礎年金
は考えないものとする
⑥ 現在の保険料（16,800円）で考える
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３－２ 前提条件
基礎年金にしめる割合が小さく
変動が少ないため考慮しない
厚生労働省年金局HP
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３－３ 賦課方式継続の場合
年金額（平成24年度）
１人
786,500円（満額）
1カ月あたり
65,500円
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３－４ 積立方式移行時の試算
＜試算に用いる要素＞
• 資本回収係数・・・受取年金額を求める係数
• 年金終価係数・・・40年の積立合計額を求める係数
• 終価係数・・・複利運用後の元利合計額を求める係数
• 平均寿命・・・80歳として計算
• 利率・・・2.5％として計算
• 保険料・・・16,800円/月
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３－４ 積立方式移行時の試算
• 求めるもの・・・積立方式に移行した際、
将来もらえる年間受給額
• 使用する式
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３－４ 積立方式移行時の試算
終価係数
年金終価係数
金額
￥
￥
資本回収係数
￥
￥
￥
￥
￥
￥
￥
￥
20歳
60歳
65歳
80歳 年齢
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３－４ 積立方式移行時の試算
年金額
40年間きちんと積み立てると・・・
1,104,016円
1カ月 92,001円
１人
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３－４ 積立方式移行時の試算
賦課方式
65,500円/月
積立方式
92,001円/月
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４） 論証２
４－１ これまでのまとめ
４－２ 二重の負担とは？
４－３ 二重の負担の解消方法
- １ 相続税
- ２ 国債
- ３ 消費税
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４－１ これまでのまとめ
• 積立方式に移行すれば健全な財政基盤を
確立することが出来る
• 積立方式への移行で、従来よりも受給できる
年金が増える
• しかし、積立方式への移行にはコストがかかる⇒
二重の負担
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４－２ 二重の負担とは？
15年間
39年間
自分の保険料支払い
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４－２ 二重の負担とは？
負担総額
約610兆円
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４－２ 二重の負担とは？
＜前提＞
• 国民の寿命は80歳
• すべての国民に未納期間が存在しない
⇒ 年金は満額支給
• 年金受給額は従来制度の年額を利用
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４－２ 二重の負担とは？
積立金未納額
積立制度
における生涯
受給年金額
今後自分で
積み立てる額
人口
受給世代の負担額
残りの寿命年数
毎年もらえる年
金受給額
人口
40
４－３ 二重の負担の解消方法
41
二重の負担の解消方法１
相続税
42
４－３ 二重の負担の解消方法１
死亡したことで財産を承継した場合（相続）や、
遺言により財産を譲り受けた場合（遺贈）に生じ
る税金のこと。
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４－３ 二重の負担の解消方法１
前提条件：
①
②
③
④
⑤
相続人は配偶者と子ども2人
相続資産は不動産と金融資産のみ
遺言なし
法定相続人のみ相続
世帯の保有資産を個人のものとみなす
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４－３ 二重の負担の解消方法１
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４－３ 二重の負担の解消方法１
Step 1 推定死亡者数の導出
• 全年齢の年齢別人口×年齢別死亡率
（男・女）
（男・女）
＝推定死亡者数
• 例 55～59歳 男性 の場合
– 5,077,369人 × 0.68 ％ ≒ 34,526人
全年齢の推定死亡者数 1,077,768人
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４－３ 二重の負担の解消方法１
各層の世帯数／全世帯数＝各層の割合
52,000世帯/49,062,530世帯=0.11%
813,000世帯/49,062,530世帯=1.66%
2,804,000世帯/49,062,530世帯=5.72%
7,019,000世帯/49,062,530世帯=14.32%
38,315,000世帯/49,062,530世帯=78.18%
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野村総研 http://www.nri.co.jp/news/2008/081001_3.html
４－３ 二重の負担の解消方法１
全年齢の推定死亡者数 ×各層の割合＝各層の推定死亡者数
1,077,768人×0.11 % ≒ 1,185人
1,077,768人×1.66% ≒ 17,891人
1,077,768人×5.72% ≒ 61,648人
1,077,768人×14.32% ≒ 154,121人
1,077,768人×78.18% ≒ 842,815人
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野村総研 http://www.nri.co.jp/news/2008/081001_3.html
Step3 不動産１人あたり保有額の導出①
国土交通省 土地総合情報ライブラリー http://tochi.mlit.go.jp/shoyuu-riyou/kihon-chousa
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Step3 不動産１人あたり保有額の導出②
• 不動産の相続税評価額
– 土地…路線価≒公示価格の80％
591.5兆円 × 80％ ＝ 473.2兆円
– 建物…固定資産評価額＝公示価格の70％
1237.5兆円 × 70％ ＝ 866.25兆円
• 不動産の相続税評価額＝1339.45兆円
• 1人あたり保有額≒1300万円
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４－３ 二重の負担の解消方法１
Step 4
試算
基礎控除
相続
課税
資産額
法定
相続分
税率
遺産
総額
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Step4 試算②
 基礎控除（相続人が配偶者、子ども二人の場合）
相続の一部を課税対象から外すこと
◦ 現行…5000万円＋1000万円×法定相続人数（三人）
＝8000万円
◦ 提案税率…3000万円＋600万円×法定相続人数（三人）
＝4800万円
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Step4 試算③
現行
各取得分の金額 税率
提案税率
控除額
各取得分の金額
税率
控除額
1000万円以下
10％
─
1000万円以下
15％
─
3000万円以下
15％
50万円
3000万円以下
20％
50万円
5000万円以下
20％
200万円
5000万円以下
25％
200万円
1億円以下
30％
700万円
3億円以下
40％
1700万円
3億円超
50％
4700万円
1億円以下
2億円以下
3億円以下
6億円以下
6億円超
35％
45％
50％
55％
60％
700万円
1700万円
2700万円
4200万円
7200万円
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４－３ 二重の負担の解消方法１
Step 4
例
試算
◦ 純金融資産8500万円の被相続人
◦ 課税遺産総額
8500万円＋1300万円－4800万円＝5000万円
◦ 配偶者の相続税
5000万円×1/2×20％－50万円＝450万円
◦ 子どもの相続税
（5000万円×1/4×20％－50万円）×2人＝400万円
◦ 相続人１人あたりの相続税
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450万円＋400万円＝850万円
４－３ 二重の負担の解消方法１
Step4 試算
合計額は…
2.1兆円
増額分は…
約7000億円
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４－３ 二重の負担の解消方法２
国債
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４－３ 二重の負担の解消方法２
年金国債はどちらにあたる？
建設国債
赤字国債
道路や公共施設の建設 一時的な赤字の埋め合
のための国債
わせのための国債
将来の国民にも受益が 現在の国民のみに受益
ある支出が対象
がある支出が対象
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４－３ 二重の負担の解消方法２
建設国債的な性格
赤字国債的な性格
二重の負担を将来の国にも 道路・公共施設のような
担ってもらう
乗数効果はない
期間は40年間
年金格差がなくなるため、
実質的に赤字の補填
将来世代にとっては受益
建設国債の範囲は国会の議決により決定
建設国債としての発行は可能
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４－３ 二重の負担の解消方法３
消費税
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４－３ 二重の負担の解消方法３
• 消費税増税
2.7兆円の
消費税率1％の引き上げで
増収
政府広報オンライン【特集】社会保障と税の一体改革
http://www.govonline.go.jp/tokusyu/201208/naze/henka.html
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４－３ 二重の負担の解消方法
• 財源調達元ランキング♪
１位 消費税
２位 年金国債
３位 相続税
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財源獲得先内訳
• 10兆円の負担をこのように分ければ二重の
負担を解消することが可能である
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５） 結論
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５） 結論
• 年金積立方式にして変わること
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５） 結論
• 二重の負担総額＝約610兆円
• 60年で償却すると1年あたり負担
• 約10兆円
• 20歳以上の人の１年あたり負担
• 9万6,955円
• 例 22歳の人の残りの生涯負担額
• 562万3,445円
65
５） 結論
一人あたりの負担額（22歳）
844万円
562万円
＊ 千円以下は四捨五入
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５） 結論
若者世代の世代間格差是正のためには、
積立方式を採用する方が良い
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参考文献一覧
 『年金問題は解決できる！』２０１２年、鈴木亘、日本経済新聞出版社
 『社会保障を通じた世代別の受益と負担』２０１２年、内閣府経済社会総合研
究所
 『年金改革論－積立方式へ移行せよ－』１９９９年、八田達夫、小口登良、日
本経済新聞社
 『孫は祖父より１億円損をする－世代会計が示す格差、日本－』２００９年、
島澤論、朝日新聞出版
 『日本の年金政策－負担と給付・その構造と機能－』２０１０年、井口直樹、ミ
ネルヴァ書房
 『年金を考える－持続可能な社会保障制度改革－』２００６年、貝塚啓明、中
央経済社
 政府広報オンライン 【特集】社会保障と税の一体改革http://www.govonline.go.jp/tokusyu/201208/naze/henka.html
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