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GW 近似周辺の最近の進展
鳥取大工 小谷岳生(Takao Kotani) Dec22,2010 MRS-J,Yokohama
OUTLINE
I. INTRODUCTION
LDA/GGA, Hybrid functionalの限界
II. RPA全エネルギーとGW法
Quasiparticle Self-consistent GW(QSGW)法
III.最近の進展
IV. 展望
ecalj を検索
(原子核の位置を固定した電子系について)
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電子状態計算のお仕事
何をどういう着眼点で? 何の役に立つ?
Intro.
× 方法は?
計算できる量
• 基本量
– 「独立粒子(準粒子)近似」を与える一体ハミルトニアンH0
– 独立粒子(準粒子)間の有効相互作用
– 全エネルギー
• 複合的な量
– 電子系の線形応答(光学的、磁気的、電気的)。
– 全エネルギー関係。構造緩和、フォノン、熱力学的な量。
– 非線形応答、これらの組み合わせ、
モデルとの組み合わせ。 ダイナミクス。
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Intro.
現状
• LDA/GGA
「状況によっては」十分な予言力。
• 信頼性に疑問のある場合も多い
d電子、f電子、表面や不純物準位など。
–
–
–
–
自己相互作用の問題:水素
鏡像ポテンシャル(分子吸着など)
局在性の強い電子(4fはコア?,5fはDMFT?)。
電荷揺らぎ(相関)の大きい系、van der Waals力
 次ページへ
3
LDA/GGAの結果
Intro.
?
固有値は無限小個加えたときのエネルギー変化でない
私の結論: 「DFKohn&Sham方程式」の枠組みに限界あり。
真のExc[n]はかなり変な汎関数(これ以上がんばっても無理)。
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非局所的ポテンシャルを導入するのが自然。
Intro.
Bonding
HOMO
Anti-Bonding, LUMO
これらを2乗した電子密度は同じ。それゆえ
 LUMO V (r)  LUMO   HOMO V (r)  HOMO .
局所ポテンシャルでは LUMO と HOMOの
エネルギー差をつくれない。
非局所ポテンシャル V (r, r ') が必要。
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Intro.
Hybrid Functional
LDAでは小さすぎ、Hartree-Fockでは大きすぎるという事情から考案.
α 「Hartree-Fock」 + (1- α ) 「LDA」
最近、「固体への適用」がなされるようになってきた。
金属ではα=0、誘電率の低いものではα=1に近づく。
通常、α=0.25程度(そういうような物質を扱うことが多いから?)。
交換ホールをクーロンホールの代わりに
つかうので磁性には不向き(かも)。
Spin up
α=0.25では金属には不向き。
HybridやLDA+Uの使い方:
とにかくキチンと校正(補正)する。
Spin down
(Hybrid functional Kresse pptで検索すると
http://www.cms.tuwien.ac.at/media/uploads/cms/psi-presentations/Kresse.ppt )
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Intro.
場所によって変化するスクリーン効果
GW法
(物理学的に正統的な方法)
Hartree-Fock + RPA correlation energy
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II.RPA全エネルギーとGW法
RPAとGW法
RPA total energy
H0 

 Veff (r, r ') の固有値 iと 固有関数iを 用いて
2m
E  Ek  Eext  EH  EX  EC

  i
 Vext (r)  VH (r)  VX (r, r ') i  EC
2m
i
OCC.
EH  EX  EC
…
ECは、電子相関(クーロン力で電子が避け合う効果)
でのエネルギーの下がり(HFを基準にする)
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RPAとGW法
軌道 i (r )に電子を微小個つけ加える時のEの変化。
H0 

 Veff (r, r ') の固有値 i 固有関数iを 用いて
2m
E

  (r )
 Vext  VH  ( i )  (r)
i
i
n
2m
i

=  (r )
 Veff  V  ( i )  (r)
i
i
2m

EC
EX

ni
ni

= i   (r ) ( i )  V  (r) と なる 。
i
i
粒子数の微小変化に対する全エネルギー変化。
One-shot GW 近似 (G0W0近似) :



H 0  H LDA 
 Vext (r )  VH (r )  V LDA (r)  (r  r ') から 計算
XC
2m
9
RPAとGW法
注意点
1. GW近似「微小粒子数の変化に対するエネルギー変化」。
多体系の励起エネルギーではない(Gを求めるのではない)。
1個増やした(減らした)時のエネルギー変化を知りたいな
ら、0から1まで積分する。原則、格子緩和も入りうる。
III.最近の発展へ
2. 繰りこみ因子Zなし。これのほうが実験との一致もよい。繰りこみ因子
が準粒子エネルギーに影響するのはおかしい。
3. 物理的近似のないFull-potential All-electron GW法を開
発した。その結果、「擬ポテンシャルGW+plasmon pole近
似の結果は問題あり」であることが分かった。
(PRL105,146401(2010)にZnOの場合の反論あり)
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RPAとGW法
最適なH0は?self-consistentに決める
注:Hartree-Fockと違い全エネルギー最小化でない。
微小に粒子数  ni を増やした時のエネルギー増
E

  (r)
 Vext  VH  (i )  (r)
i
i
ni
2m
励起エネルギーを最小化する方程式
 E

 n
i





 0
i

 

  Vext  VH  (i )  i (r)  i i (r)
 2m

問題点:適当な平均化が必要。
Quasiparticle
self-consistent GW(QSGW)法
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GWがどういった効果を含むか?
RPAとGW法
•W : “Plasmon” + いろんな電荷ゆらぎモード
ある種の「誘電性媒質」を規定している。
•GW = “Exchange effect ”
(他の占有電子と区別できない)
+ “Self-Polarization effect”
(「誘電性媒質」中での一体問題)
= “Screened Exchange effect ”
(他の占有電子と区別できない)
+ “Coulomb hole effect”
(Screened Coulombでのself-polarization)
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RPAとGW法
I.Localized electrons (onsite non locality)
 LDA+U type effect
II.Extended electrons (off-site non locality)
 GW type effect for semiconductors.
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RPAとGW法
Band gap summary for sp bonded systems
QSGW ●
One-Shot GW (Z=1)●
Expt. 横棒 ー
Errors are small and
systematic
GG transitions
overestimated by 0.2
0.1 eV
Other transitions
overestimated by
0.10.1 eV
(2005ぐらい。固体物理特集号)
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RPAとGW法
Results of QSGW : sp bonded systems
LDA: broken blue
QSGW: green
O: Experiment
GaAs
m* (QSGW) = 0.073
m* (expt) = 0.067
m* (LDA) = 0.022
Gap too large by ~0.3 eV
Band dispersions ~0.1 eV
Ga d level well described
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ZnO
RPAとGW法
Black:QSGW
3.87eV
Red:LDA
0.71eV
Experiment(+correction) 3.60eV
Green:GLDAWLDA (Z=1,Offd) 3.00eV
Blue:e-only
3.64eV
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Kotani et al PRB76,165105(2007)
Im part of dielectric function  (w)
RPAとGW法
ずれ:Bethe-Salpeter Eq.を解く必要
Black:QSGW
Red:expt
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RPAとGW法
QSGWにさらなる改善(Wに対して)を加えた結果
Shishkin,Marsman,Kresse PRL99,246403(2007)
技術的にはそんなにきれいな方法ではない。試験的。
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RPAとGW法
srtio3
QSGW
S. A. Chambers et al, Surface Sci 554,81-89 (2004)
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RPAとGW法
Anti-ferro II
Black:QSGW Red:LDA Blue: e-only
20
Im part of dielectric function  (w)
RPAとGW法
NiO MnO dielectric
Black:QSGW
Red:expt
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RPAとGW法
SpinWave dispersion based on QSGW:
J.Phys.C20 (2008) 295214
22
RPAとGW法
La0.7Ba0.3MnO3
1eV
0.8eV
LDA
QSGW
t2g
eg
Efermi
Kotani and Hiori Kino 2009 J. Phys.: Condens. Matter 21 266002
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最近の発展
III.最近の発展
1. RPAでの全エネルギー計算
2. 不純物準位の計算法
3. Si/SiO2等でのバンドオフセットの計算
IV. 展望
V. まとめ
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1. RPAでの全エネルギー計算
RPAとGW法
RPA total energy
H0 

 Veff (r, r ') の固有値 i、 固有関数iを 用いて
2m
E  Ek  Eext  EH  EX  EC

  i
 Vext (r)  VH (r)  VX (r, r ') i  EC
2m
i
OCC.
EH  EX  EC
…
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全エネルギー計算の例
過去にも、いくつかの計算例があるが、
数値的に高精度計算が要求され、
あやしいものも多い(と思う)。
(私は、かなり時間をつぶしたがNaの後、中断した)
どういうH0から出発するのか?
DF or Hybrid or QSGW ?
(クーロン相互作用を平面波展開で
表してるのでFe,NiOなどは困難)
有効質量も計算できない。
原理的には、鏡像ポテンシャル等も含み
うる。(Nature Physics, Kresseグループ)
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2. 不純物準位の計算法
*一番よい方法(全エネルギー)の差。ΔSCF
*占有数に対する微分で全エネルギーが変わるかを評価。
( Slaterの遷移状態法に類似な方法)。

E 1  E
E

E   dni
 




n
2

n

n
0
i
i N 1 
 i N
1
占有数に応じて波動関数が変わる効果はとりあえず無視。
これだと「準粒子エネルギー」だけでできる。
格子緩和も原理的には取り入れられる。
ただcharged systemを解く難しさがある。
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Fabien Bruneval PRL 103, 176403 (2009)
Interstitial C of 3C-SiC within G0W0
ΔSCFは1/2 (A(+)+ I(0))
になっている。
準位を足して2で割っている
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3. Si/SiO2等でのバンドオフセットの計算
A. Pasquarelloら,
•PRL 100, 186401 (2008):
Si/SiO2界面にQSGWした例(数値精度は不明)。
実験とはあわない。
•PRL101, 106802 (2008):
Hybrid Functional
ショットキーバリアはできない
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かなりプラクティカル―しかし、「LDA+U+DMFT」がこれより「まとも」と
いうわけでもない。
III.展望
A.プラグマティズム。何らかのチェック方法
•使えるところを上手につかう。
•補正をする。 適用範囲が限定的でありうるが、
とにかく「役かにつかえるのなら良い」。
•何に使ってどう有用な情報を引き出すか。
B.方法論の物理学的な進展
 開発に時間がかかる
 うまくいけばインパクトも大きいがリスキー
 人数少ない。物理の素養や教育、興味。
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B.方法論の物理学的な進展
独立粒子描像とその間の相互作用。
あらゆる(?)物理量が計算できる。
固体物理での摂動理論が使える。
•GW近似、 ベーテ・サルピーター方程式、T-matrix
•スピン波、フォノン
•超伝導
•LDA+U+DMFT
まだこれから。。。キーポイントは「基底状態の決め方」。
小谷:PMT法=「 LAPW法+LMTO法」とそれを基にしたGW法,
異方性、ワニエ関数、自己エネルギーの内層法、
フォノンやマグノンの絡んだGW…等の方向性。
PMT法は一体問題の高性能・高効率解法:
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今までで一番いい仕事になる
まとめ
LDA/GGA,Hybridなどの限界
RPAの全エネルギー。GW,QSGWの基本
準粒子エネルギーとは微小個変化に対する全エネルギー変化。
Onsiteの効果とOffsiteの効果。
QSGW システマティックなバンドギャップの過大評価。
物理として妥当な方法。
全エネルギー計算、不純物準位計算、バンドオフセット計算を
紹介した。
私の仕事:PMT法+QSGW.混乱気味だがecaljに資料あり。
まだスパッとつかえるとこまでいかない。コードはオープンだが、
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資料などは整備がおいついてない。