グローバリゼーションとEU新加盟国の金融経済危機

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Transcript グローバリゼーションとEU新加盟国の金融経済危機

日本国際経済学会関東支部
2010年07月17日
グローバリゼーションとEU新加盟国の金融
経済危機--中東欧地域のおける危機の諸原
因とそれへの対応
田中
宏
立命館大学経済学部
1
1.はじめに:EU新加盟下での中東欧の
経済金融危機
その4つの背景:
広義の経済的背景;世界的な過剰資本の蓄積、過剰流動性、世
界の国際収支不均衡
狭義の経済的背景; バブル経済、セキュリタリゼーション、金融工
学的イノベーション、世界的利子率の低下
EU経済の統一市場、金融市場の統一;ユーロ導入の成功、マク
ロ経済のより安定化、市場開放の進展、金融統合の前進、越境
的金融銀行制度の規制監督の不十分
異質危機説(田中素香2010):EU域内収支インバランス(ドイツ
等黒字、周辺国赤字)の持続可能性、周辺国赤字ファイアンスの
危機=西欧銀行の危機と各国の財政危機
問題関心:移行経済の面から観察
東欧諸国は、世界金融危機・同時不況の影響を他の地域より深
刻に受けたという認識⇒逆に、いかなる意味で体制移行とEU新
加盟が中東欧の経済金融危機に影響を与えたのか?
域内インバランスの持続不可能性・逆転のなかで中東欧諸国に
はどのような回復過程にあるのか?

1.
2.
3.
4.

1.
2.
2
報告の構成
1.
2.
3.
4.
3
体制転換後中東欧はどのような資本主義になったの
か.EU新加盟国と金融危機の到達点を概観する
ハンガリーの金融危機の特徴を検討する
欧州統合は中東欧の金融危機にいかに関係したのか
若干の結論
報告の構成
1. 体制転換後中東欧はどのような資本主義になったのか.
EU新加盟国と金融危機の到達点を概観する

3つのタイプの資本主義、統合成長モデル、加盟と収
斂、バラツキ

金融統合の進展と金融危機

金融危機後の「景気回復」

統合20年間の総括:新タイプのポピュリズム(?)
2. ハンガリーの金融危機の特徴を検討する
3. 欧州統合は中東欧の金融危機にいかに関係したのか
4. 若干の結論
4
中東欧の体制転換:3つの転換と3タイプの
トランスナショナル資本主義
3つの転換
1.
2.
3.
3つのタイプの資本主義
民族国家への転換;民
族アイデンティティの確
立
議会制民主主義への転
換
資本主義、市場経済へ
の転換
1.
2.
3.
ネオ・リベラル型:バルト
諸国
埋め込まれたネオ・リベ
ラル型:ポーランド、チェ
コ共和国、スロヴァキア
、ハンガリー
ネオ・コーポラティズム
型:スロヴェニア
表1参照
5
出所:田中宏、2008、p.98.
東欧の体制転換は「成長の統合モデル」
Landesmann(2010)「成長の統合モデル」:できるだけ早
急なEU加盟⇒内外経済の自由化⇒国際金融市場・資
本市場へのアクセスと外資・外銀への国内市場開放⇒
旧加盟国への急速なキャッチアップ(旧加盟国の成長
率<新加盟国)と収斂の開始

EBRD(2009):東欧は「統合を通じての開発」モデルの
成功例:
1. EUとの政治、法・規制統合 (アキコミュノテ―ル)
2. 貿易統合、EUとの対外開放
3. 金融統合:
今次の危機はそれを否定あるいは危機後に「統合成長モ
デル」は復活できるのか?

6
Source:EBRD(2009)
「成長の統合モデル」の脆弱性・リスク
このモデルは脆弱性、構造的歪みを抱える。

対外不均衡

競争力の喪失(産業基盤)

対外収支の赤字の拡大・ネット資本流入

公的財政の悪化
それに加えて、

西欧の銀行システムの傘下に統合されることのリスク
1. EUの総合大銀行グループの形成と展開(岩田賢治(2009))
2. 対外資産・負債の増加、国境を超えるFDIや投資、ロー
ン、信用のコントロール能力の喪失
7
加盟時の中東欧8カ国の到達点と問題点
8
出所:田中宏(2008)pp.102-103
新加盟国の3つの収斂グループ
X軸:1999年1
人当たりGDP
Y軸:19952005年1人当
たりGDP伸び
率
E15=100,
GDP per
capita in EKS
PPP
9
Source: Magdalena Morgese Borys, et al., p.14.
統合と加盟による収斂傾向
購買力平価による1人当たりGDP指標
2001年
2003年
2004年
2006年
EU15カ国
100
100
100
100
新加盟8カ国平均
46.2
48.9
50.6
54.4
ラトヴィア
33.8
37.9
40.2
49.4
リトワニア
36.3
43.2
45.1
50.9
エストニア
40.0
47.1
49.5
61.4
ポーランド
42.0
43.0
44.8
47.8
スロヴァキア共和国
44.4
48.5
50.1
55.9
ハンガリー
51.9
55.8
56.5
58.8
チェコ共和国
60.1
64.9
66.4
70.6
スロヴェニア
67.4
71.0
73.6
78.2
10
Source:Sandor Ritcher, 2007, p.444
EU加盟後の3年;明瞭な経済的成功
2001-03年平均と2004-06年平均との比較
1. GDP成長率3.1%⇒5.3%(EU15カ国1.4%⇒2.2%)
2. 投資成長率0.3%⇒8.3%(同0.3%⇒3.6%)、差4.7%
3. 対内FDI(€10億)55.8⇒80.4(同1331⇒1286)
4. 輸出成長率10.0%⇒18.7%(同0.7%⇒8.9%)
5. 家計消費成長率4.0%⇒4.4%(同1.7%⇒1.8%)
6. 失業率14.7%⇒13.0%
(同7.5%⇒7.8%)
7. インフレ率3.4%⇒3.0%
(同2.1%⇒2.1%)
8. 経常収支(GDP比)▲4.3%⇒▲3.0%(同0.2%⇒0.2%)
9. 財政収支(GDP比)▲5.4%⇒▲4.2%(同▲2.1%
⇒▲2.2%)

11
Source:Sandor Ritcher, 2007, pp.437-440.
マクロ経済安定化のバラツキ
(2001-03年対2004-06年の比較)
インフレ率*
対外均衡**
財政収支***
チェコ共和国
-
+
+
ハンガリー
+
変化なし
-
ポーランド
+
-
+
スロヴァキア
+
-
+
スロベニア
+
-
+
エストニア
-
-
+
ラトヴィア
-
-
+
リトワニア
-
-
+
+は改善、-は悪化を示す。
* : 各期間のCPI平均
**:GDPに占める経常収支差額の%、各期間平均値
***:GDPに占める財政赤字の%、各期間平均値
12
Source:Sandor Ritcher, 2007, p.443.
工業生産の累積的変化
13
出所:Landesmann (2010)p.2
新加盟国の経済成長の反転度の格差
2008Q2と2009Q2の四半期成長率の変化率
変化率%
移行期最大低下率(年度)
2番目の低下率(年度)
リトワニア
-25.4
-16.0(1993)
-9.5(1994)
ルーマニア
-18.0
-12.9(1991)
-6.9(1997)
ラトヴィア
-16.8
-34.9(1992)
-14.9(1993)
エストニア
-14.9
-13.6(1991)
-14.2(1992)
スロヴェニア
-14.8
-8.9(1991)
-5.5(1992)
スロヴァキア
-13.2
-14.6(1991)
-6.5(1992)
ブルガリア
-12.0
-11.7(1991)
-10.1(1996)
チェコ共和国
-10.0
-11.5(1991)
-3.3(1992)
ハンガリー
-9.6
-11.9(1991)
-3.1(1992)
ポーランド
-4.7
-7.0(1991)
+2.6(1992)
各国別
Source: Richter, 2009, p.2., Transition report 1999.
14
CESEEのGDP成長と経常収支(2003-07)


EU加盟によ
る成長:外資
アクセスの制
約緩和、投資
拡大、消費ブ
ーム、経常赤
字。
資本流入によ
る生産性増
加、所得向上
の期待、借入
の増大
15
出所:Darvas,Z. (2009) p.6
中東欧における総合大銀行グループの形成
1985-2001に総合大銀行グループが形成、東方拡大の
なか「金融FDI」で東欧にも金融ネットワークを構築、
 新加盟国の銀行部門資産は外国銀行によってほぼ半分
以上占有(例外、スロヴェニアとラトヴィア)
 東欧での2つタイプのバンキング:
1. 中東欧:オーストリア・ドイツ・イタリア親銀行、広範な銀
行業務を展開
2. バルト諸国:スウェーデン特定銀行が住宅金融展開。
アジア通貨危機と同様に「カレンシーミスマッチ」発生。
為替相場の死守が重要。

注意点:1と2は別々に分析すべき課題

16
出所:岩田(2009)
総資産に占める外国資本のシェア
(2004年)
17
Martin Čihák and Wim Fonteyne, p.6.
1995-2007年
民間セクターへの信用の伸び(GDP%)


18
出所:Darvas,Z.(2009) p.7
資本流入
と経済成
長は民間
資本の増
加による。
銀行システ
ムが決定
的役割。
民間部門における信用・対外債務の変化
(2002~07年;対GDP比)
19
Source:Martin Čihák and Wim Fonteyne, p。11
欧州新興国におけるGDP対外債務比率
2007年
20
Source: Athanasios Vamvakkidis 2008,
外貨準備にたいする短期債務の比率
(2007年;%)
21
Source: Martin Čihák and Wim Fonteyne, p.11
全ローン中の外貨建てローンのシェア
(2005年;%)
22
Source:Martin Čihák and Wim Fonteyne,
P.29.
旧加盟国銀行の新加盟国への融資残高の集
中度の特徴(2007年末)
23
Source:Martin Čihák and Wim Fonteyne, P.33.
24
Source: Zsolt Darvas and Gyorgy Szapary,2008,
住宅価格の上昇率(1997-2006年)
25
IMF((2007) World Economic Outlook , p.72
26
Source: Global Financial Stability Report ,2008,
p.27
1995-2010年
CESEE諸国の政府負債の累積(GDP%)



27
出所:Darvas,Z.(2009)
財政赤字、各
国別に多様、
だが深刻では
ない(ハンガリ
ー例外)
民間が債務を
累積、公的部
門が混乱を収
拾(SDP協定)
低い政府債務
水準だが、CD
Sは上昇。
東欧諸国のマクロ金融指標(2008・09年)
経常収
支(GD
P比)
対外債務
再融資必
要比率(外
貨準備比
率)
BIS報告銀
行にたいす
る純対外ポ
ジション(G
DP比)
最近5年
間の実質
信用成長
年率)
ローン/預
金比率
総ローン
に占める
外貨の
シェア
ブルガリア
-12.3
132
-34.9
35.9
1.3
66.9
クロアチア
-6.5
136
-44.5
13.1
1.1
62.0
チェコ
-2.8
89
-13.1
16.0
0.8
13.6
エストニア
-6.3
346
-68.8
27.3
2.1
85.3
ハンガリー
-3.6
101
-5.0.2
14.3
1.4
65.7
ラトヴィア
-6.7
331
-57.6
38.4
2.8
89.3
リトワニア
-4.0
204
-41.5
43.2
2.0
64.0
ポーランド
-4.6
141
-15.4
14.7
1.1
32.6
ルーマニア
-7.5
127
-32.5
47.1
1.3
55.5
28
Source: IMF(2009) April. p..13.
中東欧諸国のGDP成長率(1992-2011年)
出所:EC(2010)p.182 *予測値(2010春)
国名
9296
9702
02-06 2005
2006
2007
2008
2009
*
2010
*
2011
*
スロヴェニア
2.0
4.2
4.3
4.5
5.8
6.8
3.5
-7.8
1.1
1.8
スロヴァキア
:
2.7
5.9
6.7
8.5
10.6
6.2
-4.7
2.7
3.6
ブルガリア
-2.8
2.0
5.7
6.2
6.3
6.2
6.0
-5.0
0.0
2.7
チェコ
2.3
1.2
4.6
6.3
6.8
6.1
2.5
-4.2
1.6
2.4
エストニア
:
7.0
8.4
9.4
10.0
7.2
-3.6
-14.1
0.9
3.8
ラトヴィア
-8.8
6.3
9.0
10.6
12.2
10.0
-4.6
-18.0
-3.5
3.3
リトワニア
-8.3
4.7
8.0
7.8
7.8
2.8
-15.0
-0.6
3.2
ハンガリー
0.6
4.6
4.2
3.5
4.0
1.0
0.6
-6.3
0.0
2.8
ポーランド
4.9
4.4
4.1
3.6
6.2
6.8
5.0
1.7
2.7
3.3
ルーマニア
1.4
-0.9
6.2
4.2
7.9
6.3
7.3
-7.1
0.8
3.5
EU
1.4
2.9
2.0
2.0
3.2
2.9
0.7
-4.2
1.0
1.7
ユーロ圏
1.5
2.8
1.7
1.7
3.0
2.8
0.6
-4.1
0.9
1.5
29
9.8
EU新加盟10カ国の2008-09年経済状況と
2010-12年の予測
30
EU新加盟国の景気回復の現状について評価
出所:WIIW(2010)




対外需要(特に対EU・ユーロ圏への輸出)が景気回復の
推進力、危機前の80-90%の水準まで回復。弾力的為替
政策と堅固な産業基盤をもつ国が最大の恩恵。
GDP2009年-6%、2011年約2.5%で回復、投資と消費は
徐々に回復。
回復の程度:CIS>EU中東欧諸国>バルト諸国と南東欧
諸国
財政赤字は歳出の急増のせいではなく、歳入不足のた
め、財政緊縮再建と金融引き締めは蓄積の遅速化、雇
用水準の低下、その結果として収斂、キャッチアップの
長期の遅れを予測させる。
31
東西経済統合の20年間の成果と問題点(1)





計画経済体制から資本主義経済;体制転換不況(恐慌)
欧州という地政学的位置、移行の連鎖的政治経済的過
程
EUへの制度的参加(内外アクターへの統合と改革のシ
グナル)が成長と動態的なキャッチアップによる収斂を
貿易の方向転換と貿易統合、貿易特化パターンの急速
な変化、先進国の構造と類似化、FDIによる構造変化・
改善
労働市場の改善の遅れ;GDPの伸びとは遅れた雇用な
伸び(労働集約型サービスの伸び)
地域的成長パタンの偏在、首都圏の集中、地域的不平
等の拡大、経済のサービス化とFDIの地域的偏向
32
東西経済統合の20年間の成果と問題点(2)
マクロ経済の脆弱性:経常収支の構造的赤字、純資本
輸入国、金融仲介の役割大=特に外銀と為替レジーム
・政策の重要性、各国で差異があり⇒中東欧の特殊性(
西欧銀行の支配とコントロール、EMU加盟を展望する
為替レジーム;ペグ制か固定制)
 移民のフロー:南北間移民とは異なるパターン、相対的
に高い教育知識レベル、帰国指向移民、サーキュラー型
、多面的アクセス
 結論:非常に開放度の高い、完全に自由化された経済
が実現された⇒さまざまな脆弱性を生みだす。しかしポ
ピュリズムを防止した。
出所:Landesmann, M.A.(2009)

33
ネオ・リベラル的ポピュリズムの登場(1)




古いタイプ:国家介入の増加、インフレ、財政赤字の拡
大;ラテンアメリカ。複雑なイデオロギー理念。
中東欧ではハンガリーが当てはまる。他のEU新加盟国
は?
新タイプのポピュリズム:イデオロギーは自由主義と非
介入主義。税負担を軽減して、ユーロを導入すると、資
本流入により経済発展がもたらされ、社会問題も解決す
るという超楽観主義。
以下の2つのタイプの無為政策の結合(意図的あるいは
無意識)
34
ネオ・リベラル的ポピュリズムの登場(2)
1.
2.

1.
35
構造改革の延期・無策・無為;年金、教育、環境、農村
開発。アキの線に沿った改革停止、物理的インフラ整
備も停滞。
内外の金融的不均衡の放置:早期のユーロ導入見込
み、欧州資本の流入、欧州系銀行の支配的ポジション
、金融規制の廃止⇒自律的金融政策取れずv.s.緊縮財
政政策は不人気⇒経済の過熱抑制できず。
テキストブック経済学:知的努力のフリーランチはない
。EUはアンカー、レファレンスであるが、統一通貨への
加盟は万能薬ではない。
出所:Csaba Laszlo(2009) chap.3 and 4.
これまでの検討の小括

21世紀初頭:3つのタイプの資本主義、中東欧のEU加盟と「
成長の統合モデル」の成功、しかし特有のリスクと歪み

金融市場統合による推進:対外インバランスと資本輸入による
成長、輸出による成長
金融統合の主体:旧加盟国の総合銀行グループ




産業の空洞化:バルト諸国:汎欧州生産ネットワークの周辺部
、バルト諸国:民間(家計)の外貨建て信用による高度成長、
単純にEU統合によるものとは判断できず。中東欧:バルトと
は別途の分析が必要⇒金融統合ではポーランド、チェコ、ハン
ガリーは個別性が特徴
金融経済危機からの足取りの弱い「回復」の予兆
バルトも中東欧も、EU新加盟国はともに新しいタイプのポ
ピュリズムの登場か?
36
報告の構成
1. 体制転換後中東欧はどのような資本主義になったのか.
EU新加盟国と金融危機の到達点を概観する
2. ハンガリーの金融危機の特徴を検討する

内生説
盛田:国庫資本主義と「クラウスの失敗」説
特殊説、改革停滞説

非内生説:小型「金融FDI」説
3. 欧州統合は中東欧の金融危機にいかに関係したのか
4. 若干の結論
37
ハンガリーの金融・経済危機(盛田説)
盛田常夫:国庫資本主義と「クラウスの失敗」
 外国人機関投資家が一斉に資金を引き揚げたことがら
生じた債務管理危機。
 ハンガリー経済は多国籍企業の支配する借りもの経済、
自立国民経済ではない。管理者も労働者も「ゲストワー
カー」としてふるまう。ビジネスモラル、労働モラルの低下
。
 「国庫資本主義」:国有企業がマージナルなのに、所得
再分配の水準では国庫の割合が高い、西欧並みの福祉
国家。政党間で支配する省庁を分割する。
 通貨の過大評価、是正措置の自由放任による放棄、「ク
ラウスの失敗」
38
盛田常夫(2010)
ハンガリーの金融危機内生説
■ 内生説:ハンガリー特殊ケース説(リヒター)、改革停滞
説(ボクロシュ)、国庫資本主義説(盛田常夫)
1)危機の現状
 深刻さ:外国為替の崩壊、国家破産
 救済措置パッケージ:€200億
2)何がその相違を生み出したのか
 1997-2000 経済安定期、2001年半ば以降、政治サイク
ルの開始、社会党政権第二期、公的財政赤字の増加開
始、2006年夏まで政治危機、第二の緊縮政策を開始し
なければならない。2007年、2008年最低の経済成長、周
辺国と比較しても。
39
Source:Sandor Ritcher, 2009,
ハンガリーの金融危機内生説(2)



今次の危機が回復過程でハンガリーを襲う。弱い成長
率、高いGDP・財政赤字比、労働への課税高負担、企
業・家計での外資建て債務比率の高さ、政府の信頼性
の低下、財政改革を阻害する社会的亀裂
国際金融市場ではHの脆弱性は露出しなかった。今次
の危機で表面化。①国債市場の「干上がり」、借り換えで
きず、②フォリント下落開始、外資建てデッドサービスの
上昇、③銀行間市場の凍結、以上の結果として2008年3
月フォリントの30%以上の下落
政府の対応:€200億のIMFスタンドバイ協定:対外収支
の維持、中央銀行の支援策用、銀行システムの緊急支
援。
40
ハンガリーの金融危機内生説(3)



金融当局:為替の安定化、フォリントの切り下げ、政策金
利の引き上げ(3%、2008年11月11.5%へ)、FHB;国家
株の増資、MKBとRaiffeisenは親銀行からの資本注入。
銀行の流動性維持支援、国内企業貸付の促進、中小企
業向け特別融資プログラム
建設業:政府注文の拡大、EUの構造結束基金から、し
かし、前払いがない
雇用への税負担の軽減、しかし大幅財政赤字はできず
41
ハンガリーの金融危機内生説(4)
首相の交代:Gordon Baynai 2009年4月14日、前首相は
党内支持なかった、新緊縮政策は出せず、修正なしでバ
イナイの緊急措置政策の承認。IMFとの約束I(財政赤字
2009年3.9%)
1. 13ケ月年金の廃止、indexationの廃止、年金受給年の
引上げ
2. VAT税率の引き上げ、20%⇒25%
3. 社会保障拠出金の5%カット、個人所得納税層の拡大
4. 疾病手当の引き下げ 70%⇒60%
5. 独立性の「財務審議会」を設置。

42
ハンガリーの財政危機の展開




2010年4月6日、Fidesz市民党の新政権(5月29日発足):内
需と民族資本による成長を目指す。Varga Mihalyがハンガ
リーはギリシアと同等の財政危機と発言。狙いは緊縮政
策をめぐる国民の説得と、赤字GDP比3.8%(前政権約束
)を緩和(7%)させるためのIMF、EUへの圧力。
フォリント値下げと株価の一斉下落。
3日後29項目のアクションプランを発表:銀行・保険・リース
会社にたいする2年間の特別課税(年間€ 7.5億)、金融
機関は反対、及び政府部門の15%賃金総額(賃下げor
解雇)、16%個人所得税、10%企業所得税(18%廃止)。
緩やかな景気回復の予測、輸出主導(EU域外も)
43
出所:WIIW(2010)
ハンガリーの金融危機非内生説(1)
■ 家計:為替のcarry trade役、為替リスクテイカ―役(
Julia Kiraly, Judit Antal, Marton Nagy and Viktor Szabo,
2009)
■ フォリント流動性大量提供説(フォリントは悪くない。し
かし東欧の通貨のなかでもっとも流動性が高かった。バ
ルトやルーマニアの通貨はもっと悪かったが、取引でき
なかった)(Gabor Olbath)
■ 民間の対外債務に裏付けされた大規模な対外FDI説(
Gabor Olbath)
44
ハンガリーの対外直接投資
(1999-2008年)
45
Source: Ministry for National Development and Economy, 2009
ポ・チェ・ハの対外直接投資資産
(GDP比;%)
46
Source: Gabpr Olbath, 2009
ハンガリー対外直接投資仕向け国
(2007年末)
47
Source: Ministry for National Development and Economy, 2009
ハンガリー対外直接投資部門(2007年末)
48
Source: Ministry for National Development and Economy, 2009
これまでの検討の小括
ハンガリーの金融危機発生説:内生要因説と非内生要
因説⇒内生要因と非内生要因の混合
 非内生説のうち対外直接投資説に注目
1. 対内FDIの先細り、対外債務の基礎を置く対外直接投
資の拡張、
2. バルト諸国とは同一面(外貨建て住宅ローン)と異なる
面
3.
中東欧地域にハンガリー企業の多国籍化、小型「金
融FDI」の展開か?

49
5.金融経済危機への対応をめぐって




アジア通貨危機と中東欧の金融危機との比較
ウィーン イニシャティブ
急速な金融統合による脆弱性:EUの金融危機への対
応
銀行ネットワークの回復力の存在
50
報告の構成
1. 体制転換後中東欧はどのような資本主義になったのか.
EU新加盟国と金融危機の到達点を概観する
2. ハンガリーの金融危機の特徴を検討する
3. 欧州統合は中東欧の金融危機にいかに関係したのか

EUは東欧金融経済危機にどのような役割を果たした
のか

アジア通貨危機と中東欧金融危機の相違点と共通点

ウィーン・イニシャティブ
4. 若干の結論
51
EUは東欧金融危機にどのような役割を果た
したのか
急速な統合による脆弱性
1) 急激な統合は成長の便益をもたらしたが、同時にいくつか
の新加盟国では脆弱性を作り出した。この脆弱性は、今回の
経済金融危機でさらに加速化された。
2)新加盟国への外資投資は経済リストラ、成長、雇用を加速さ
せた。
3)しかし、いくつかの国では、急速でチェックされない国内信用
成長が、外資による貸付で、経済を過熱、対外的な不均衡、
生産性を上回る労働コストの上昇、資産価格の急騰、をもた
らした。
Source: EC (2009) EC(2009)177/ Brussels, 20..2.2008, COM(2009)79/3.
52
(続き)急速な統合による脆弱性
4)その結果、いくつかの国では、非生産的セクターへ外資
の流入が急増、世界金融危機によって引き起こされた資
本コストの大幅な上昇によって、対外的不均衡を抱える
国は、主要な調整の挑戦を受けることになる。この調整
は新加盟国だけのユニークなものではなくて、旧加盟国
も同様な問題に直面している。
53
金融危機への国内政策の反応




危機への国内政策の反応:金融セクターの安定化が最
優先課題へ、経済政策は拡張的なものから緊縮的なも
のまで各様。
金融セクター安定化措置:預金保障+流動性の追加的
注入+資本注入等による銀行の資本再構成、初期の段
階では各国の調整はバラバラ。11月以降
金融政策:緩和政策へ、ハンガリー例外:10月に3%利
率引き上げ、翌年5月から緩和政策、
為替レート政策:各国間で多様、ハードペグ制から変動
相場制まで。一部では自動安定化装置が機能するよう
になる。
54
Source: EBRD 2009、 Transition
Report 2009,pp.14-15.
EUの東欧金融危機への対応(1)



IMFは中東欧、バルトの信用過熱、多年度の経常収支赤
字を警告、ECBは軽視。だが、危機前にどのような行動
を両者がとったのかは不明。
危機発生後、ECはハンガリーとウクライナをIMFに任せ
る(2008年10月10日IMF世銀総会)。危機対応能力がE
Cになし。IMFとの共同出資者の地位。ハンガリーが
standby 協定(同10月)、続いて、ウクライナ、ラトヴィア、
ベラルーシ、ルーマニア、モルドヴァ。
ECの共同融資は非加盟国には及ばず。ラトヴィアへの
支援には、北欧諸国、エストニア、ポーランド、チェコが
参加。各1/ 3を負担。ウクライナ、ベラルーシ、モルドヴァ
には中国も参加。
55
Source: EBRD 2009、 Transition
Report 2009,pp.14-15
EUの東欧金融危機への対応(2)
3つの国際金融機関、世銀、EBRD,EIBが主役。銀行セ
クターへの貸し出しを拡張。IMFは90年代の経験から
本来のワシントンコンセンサスに戻る。①俊敏な行動、
②わずかな基本的な条件に限定(財政均衡、維持できる
為替テート政策、健全な準備金管理、精力的な銀行再
建。③融資額の拡大。
 しかし、その冬、国際金融機関の融資渋り説へ世界的激
怒。EUとIMFの反応。4月2日ロンドンG20サミット、IM
Fの約10億ドルの積み上げ決定。EUの120億ユーロの
対外収支支援。さらに2段階で引き揚げ、第一段階;
€250億、第ニ段階;€500億。
 IMFは4月の「世界金融安定化報告」で外貨準備・債務
56残高の数値を実質よりも2倍大きく発表。

批判:ECBの東欧金融危機への対応

もっとも論争的な点:ECBの役割:危機前・最中・後も行
動をとらなかった。
1.
ユーロゾーンでの積極的役割、資金拡大の規模、時期良好。欧州民間
銀行を通じて間接的に東欧に貢献。
2.
EU加盟国への寛容と外部諸国への冷徹さ。デンマークとスウェーデン
にスワップローン提供、ユーロ非加盟のポーランドとチェコには完全な
救済の手を差し伸べず(cf.米国FRとの相違)。カレンシーボード諸国
には警告や支援なし。コソヴォ、モンテネグロ。
3.
もし、ECBがEU加盟非ユーロ加盟国通貨建て国債を引き受けてくれ
たならば、バルト諸国の金融危機は確実に防げた。
4.
欧州金融問題の管理能力不足、地域アンカー通貨としてのリーダーシ
ップの欠落、ERMⅡ参加への不安
Source: Andras Aslund, 2009, The East European Financial Crisis , The CASE
Conference, Warsaw, Nov. 20-21, 2009.pp.11-13.
57
1997-98年アジア通貨危機との相違性



世界の環境の相違:悪意ないbenign 無視が少ない。世
界経済全体の危機のなかで発生。
現地の金融機関の相違:民族系銀行(アジア)対西欧の
総合大銀行グループの支店/子会社.sunk cost論(田中
素香(2010)
産出の落ち込みはともに激しかったが、資本の流出はマ
イルド(ラトヴィア、ロシア、ウクライナ例外;GDPの1%
相当、v.s. 1997アジアでは4.5%)。為替の下落もマイルド(
例外ウクライナv.s. 1997アジア、底なしの急落)、不足す
る流動性の注入の規模は低位。
58
アジア通貨危機と東欧の金融危機の比較
1997-98年アジア通貨危機との共通性
1. 共通性1:膨大な資金流入後に発生、国内需要資産価
格ブームを誘発、経常収支の大幅赤字、外国為替レ
ートの安定と低位なFX利子率が民間に外貨の借り入
れを促進
2. 共通性2:民間セクターの脆弱性、公的債務の健全性
と低位
3. 共通性3:産出の急低下と大量の資金逆流

59
Source: EBRD 2009、 Transition
Report 2009,ppp.12-13.
他の金融危機との比較:
公的支援のGDP比 出所:EBRD(2009)p.13
60
IMFの対ハンガリー支援の前と後
Source: Barcclay capital, Reserach,The Emerging Markets Quarterly, December 2008,p. 92.
61
大量で調整された国際支援協力





IMFの融資額増額:2500億ドル⇒7500億ドル
EUの国際収支支援額:€250億⇒€500億
G20の国際開発金融機関MDBの大幅な増資枠を支持
親銀行の関与
新しい調整のプラットフォームの形成:国際金融基金の「
ウィーン・イニシャティブ」が制度的真空を埋めた。
62
ウィーン・イニシアティブ(1)




2009年1月設立された、欧州移行諸国の金融危機に対
する公的・民間の大手利害関係者の対応の調整。非EU
加盟国も含めた調整制度の空白を埋める。
大銀行グループの本国、受入国の金融当局、大銀行、I
MF、EBRD、EIB、世銀グループ、EC
目的:危機感における本国・受入国双方の金融当局の
責任範囲の決定、バラバラな各国対応の回避、国際金
融機関の支援のもとに国際金融グループの資金引きあ
げを防止。
2009年3月、2009年9月、2010年3月会合。
63
Source: EBRD 2009、 Transition
Report 2009,p.18
ウィーン・イニシアティブ(2)

1.
2.
3.
4.
64
責任と分担の合意
受入国政府は預金保障と流動性支援で銀行の所有権
(国籍)の差別をしない。マクロ経済支援を行う。
本国銀行は移行諸国の子会社への資本再構成、再融
資を約束。
本国政府は金融グループが子会社への資金拠出を制
限することなしにそのグループが金融支援にアクセス
することを認める。
各国際金融機関は各融資パッケージを公表する(公式
書簡形式)。EBRD、EIB、世銀グループは2月に合同
行動計画を公表(2009-10年250億ユーロ)
ウィーン・イニシアティブ(3)
成果:
 各金融機関のコミットメント発表
 金融システムの崩壊を回避
 非銀行系機関が公式書簡への署名に参加する。
 資金供給緩和、準備残高水準を低下。
 大規模な国外資本逃避を防ぐのに成功。国際金融機関
の役割大、とくに民間銀行の参加、欧州での本国と受入
国の当局の協力の成功。深い経済金融統合の成果。
65
EURスプレッドとCDS関係
66
出所:http://www4.gsb.columbia.edu/2010.7.10.
金融統合と銀行ネットワークの回復力:

錯綜した祝福(mixed blessing):金融危機形成要因+2009年4月
以降の安定化要因=回復力(Berglof, E et.al(2009))
1.
回復力:銀行システムの崩壊なし、強制執行的な政策反応な
り、政治的暴動化なし。
地場金融機関の貸出低下>越境金融による貸出低下
European banking networking は資産である(Gardo, S. and
Martin , R. 2010)
2009年末、国際収支フローでポートフォリオ、直接投資(一
部例外あり)、その他の投資でプラスに転じる
2009年CESEEの対外債務の増加に、民間セクターの対外借
り入れ再開、借り換え進行、企業間信用は安定的
BIS報告銀行:クロスボーダーのフローの崩壊なし、外銀はシ
ェルターの役割
2.

1.
2.
3.
67
これまでの検討の小括




EUと金融統合は、中東欧の金融経済危機に複雑な関
係にある。一方では危機の促進、過剰の資本・信用の
提供、他方では危機の深刻化を不十分ながら防止す
る役割。
アジア通貨危機と中東欧の金融危機の相違点と共通
点:国際支援協力が調整、組織された。
ウィーン・イニシャティブはIMF, EBRD,EU(EC), 本国政府、
受入国政府、欧州総合大銀行グループの国際連携の
成功:クロスボーダーのバンキング・ガバナンスの萌芽、
欧州における深い経済金融統合の成果
欧州規模で形成された総合大銀行グループの共通利害
:高収益をもたらす(はずの)東欧市場の放棄なし
68
若干の結論
要約:省略。以下の課題が残されている。
1. EU域内収支インバランス(ドイツ等黒字、周辺国赤字)の
持続可能性、その縮小逆プロセス、周辺国の財政危機と
経済回復の検討
2. 不十分さ:中東欧諸国間の比較。各国の銀行・金融セクタ
ーの検討
3. ユーロ導入は金融危機からの克服策になるのか。いつど
のようにしてEMU・ユーロを導入する(当面しない)のか。
4. ロシア・CIS諸国の金融危機との関連性
5. EUの導入される金融規制監督制度は新加盟国にどのよ
うな影響をもたらすのか。

69
参考文献
岩田賢治(2009)「世界金融危機とEU金融システム」
日本EU学会第30回研究大会報告
 田中宏(2010)「ヨーロッパ経済」第4章
 田中宏(2008)「体制転換は東欧をどこに導いたのか」『経済』
2008年1月号pp.96-103.



高屋定美「世界金融危機とEU経済政策」比較経済体制学会
秋期大会報告 2009年10月24日.
小山洋司「中東欧の経済危機――バルト3カ国を中心に――
」比較経済体制学会秋期大会報告 2009年10月24日.
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参考文献
田中素香(2010)「金融危機を経た欧州経済ー統合の行方」
Business & Economic Review, 2010.04,pp.2-24.
 岩田賢治(2009)「世界金融危機とEU金融システム」
日本EU学会第30回研究大会報告
 田中宏(2010)「ヨーロッパ経済」第4章
 田中宏(2008)「体制転換は東欧をどこに導いたのか」『経済』
2008年1月号pp.96-103.
 小山洋司「中東欧の経済危機――バルト3カ国を中心に――
」比較経済体制学会秋期大会報告 2009年10月24日.
 盛田常夫著(2010)『ポス社会主義の政治経済学』日本評論
社

71
参考文献
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New Member States, IMF Working Paper No.68, p.6.
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Julia Kiraly, Judit Antal, Marton Nagy and Viktor Szabo, 2009, Retail credit expansion and external finance in Hungary,
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on Hungary and policy measures taken /suggested, (presentation in WIIW Conference Panel discussion 26 March 2009)
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EC (2009) Communication from the Commission to the European Parliament, the Council, the European Economic and
Social Committee, the Committee of the Regions and the European Central Bank, /SEC(2009)177/ Brussels, 20..2.2008,
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
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the EU Candidate and Potential Candidates, June 2008, ECB occational paper series No. 86, .
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参考文献
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– a clear economic success, Statistika, 2007, No.6, pp.
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Sandor Ritcher, 2009, Central European and the
financial and economic crsis: can the introduction of
the euro offer an easy way-out? Nov. 2009 (Draft)
WIIW (2010) Forecast for Central, East and Southeast
Europe,2010-2012.(08.07.2010)
Landesmann, M.A.(2009)Twenty Years of East-West
Integration: Reflection on What We Have Learned, ONB,
Focus on European Economic Integration , Special Issue
2009, pp.16-26.
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Membership and Macro-Financial Stability in the New Member States, IMF Working
Paper No.68, p.6.
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Gardo, S. and Martin, R. (2010) The Impact of the Global Economic and Financial
Crisis on Central, Eastern and South-eastern Europe, ECB Occasional Paper Series,
No.114/June 2010.

Aslund、A,(2009) The East European Financial Crisis , The CASE
Conference, Warsaw, Nov. 20-21, 2009.pp.11-13.

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