1 - 全国保険医団体連合会

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Transcript 1 - 全国保険医団体連合会

※「出前学習会」など、「3.11以後の日本の進路」パンフレットと合わせて
活用する紙芝居形式の資材
(案)
「社会保障と税の一体改革」で
社会保障は本当に良くなるのでしょうか
1
はじめに
なぜ、「社会保障と税の一体改
革」が出されてきたのでしょう
か?
2
一体改革が出された理由
①財政赤字の解消
②社会保障の拡充
3
日本の現状は?

「構造改革」路線の結果
→貧困と格差拡大
→OECD30カ国中
・相対的貧困率27位
・税による所得再分配効果
ワースト3位
※「構造改革」
→市場に任せれば全て上手くいく、市場万能主
義
相対的貧困率の年次推移
%
16
15.3
15
14
16.0
15.7
14.9
貧困率
14.6
13
12
98年
01年
04年
07年
09年
「2010年国民生活基礎調査」より
4
経済力は世界第3位
社会保障は先進国最低水準


人口換算で2000万人が貧困状態
年間所得300万円世帯→32%に
厚労省「2010年国民生活基礎調査」より
5
財政赤字の本当の理由は?

1990年代以降の「小さな政府」(新自由主義「
構造改革」)により、税収減に
→所得税は「グローバル化」理由にフラット化
→法人税は減税
→金融資産優遇税制
6
財政・財源の本当の問題は?


世界第3位の経済力を税収に反映せず、大
企業が果たすべき社会保障責任を回避、一
方で内部留保をため込む。
内部留保増は非正規雇用拡大と賃金低下
→賃金低下は、社会保険料収入低下に
→医療保険財政悪化の最大の理由
7
一体改革の全体像



社会保障の給付削減
社会保障を自助・共
助に
社会保障の市場化



大企業減税
消費税増税
5%→10%以上
消費税の社会保障
目的税
「一体改革の社会保障像」
○ 自助(自分で何とかする)
○ 共助(助け合う)
○ 公助は救貧対策だけ
8
社会保障の理念を変える一体改革


「社会保障」の理念にそぐわない
→社会保障は「救貧対策」ではない
→憲法25条を保障するもの
政府のいう「充実」
→日本国憲法25条「健康で文化的な最低限度の
生活」とはほど遠い
→病院や生活にもことかく状態の「救貧対策」に
限る社会保障へ
9
医療はどうなるの?
国民の反対で、多くの 「重点化・効率化」項目が検討事項に
①受診時定額負担 (100円程度)
②70~74歳の窓口負担割合 1割→2割へ引き上げ
△
2013年度実施を検討
③かぜ薬や湿布薬などの患者負担増(全額自己負担も)
△
④外来受診「適正化」・外来患者を5%減らす
□
⑤入院日数の短縮 入院ベッド数削減
○
⑥一般病床の食費・居住費の負担増
?
⑦傷病手当金の上限額の設定
?
○ →2012年通常国会への法案提出に向けて検討
△ →引き続き検討
□ →政府資料に明記
10
窓口負担がまた増える「受診時定額負担」-1




「受診時定額負担」
→通院のたびに、窓口負担+
100円を上乗せ
100円はいずれ500円、1,000
円へ値上げ?
通院回数の多い、慢性病の人、
高齢者、乳幼児を直撃
経済的理由による受診手控え
につながる
→病状がさらに悪化しかねない
11
またもや高齢者差別による医療費削減
受診時定額負担による医療費削減の試算
医療給付費(年間)
総計
▲約4100億円
協会けんぽ
▲ 800億円
健保組合
▲ 700億円
共済組合
▲ 200億円
市町村国保
▲1300億円
後期医療
▲1000億円
1人当たり
2,600円削減
1人当たり
7,100円削減
12
70~74歳の窓口負担の引き上げ



1割負担据え置きの財源(国費2,000億円)
1割据え置きは、国民の反対と怒りの声をうけたもの
2割負担にすれば →受診抑制に
13
かぜ薬、しっぷ薬なども負担増に



かぜ薬や湿布薬の患者負担増
→薬局で、購入できる薬と類似する医
薬品は保険から外し、全額自己負担
“混合診療”につながる?
軽い病気には思わぬ病気が
→「早期発見、早期治療」の阻害
14
「受診時定額負担」の費用で
高額療養費制度を改善する-1

高額療養費制度とは?
→慢性の病気、重い病気、長期の入院などで高額な医療費がかかる時の負
担軽減として、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が払い戻される制
度

一体改革の高額療養費制度の改善案
①年間上限額の設定
②上限額の1%条項の廃止
③所得区分の細分化(3区分→5区分)
④低年収の世帯の負担上限額引き下げ
など
15
「受診時定額負担」の費用で
高額療養費制度を改善する-2


「受診時定額負担」による公費削減分の範囲
で高額療養費制度を改善
病気の患者から徴収
高額療養費制度の改善は必要。国費の増額で実現を
16
「受診時定額負担」の費用で
高額療養費制度を改善する-3

「財政中立」の手法
→社会保障を充実させる
など費用を増やす場合、
社会保障のどこかを減ら
して工面する
→公的負担は増やさない
例えば?

受診時定額負担と高額療養費


低所得者の国保料削減と
国保都道府県単位化による国
保料引き上げ
低所得者の年金加算と
高所得者の年金削減
17
窓口負担増で受診を抑える


「受診時定額負担」などで、受診を抑えて医療費を削る
通院の患者数を機械的に5%削減する計画
→既に22万7千人も減っている
18
外来の受診延べ日数を1億日減らす
外来受診回数(年間)を5%減らした場合
21
20.6億日
約1億日の削減
20.5
20
19.6億日
19.5
19
2010年
2025年
厚労省社保審医療保険部会より作成
19
窓口負担がまた増える「受診時定額負担」-2
 健康保険法改定附則(2002年)違反
→ 将来にわたって7割の保険給付を維持する
 事実上、風邪などの初期医療の保険免責政
→2002年:財務省が医療制度改革時に「外来1回当たり500円」を提案
→2005年:小泉政権時の経済財政諮問会議が「骨太の方針」に明記する
よう求めたが、国民的運動で断念させた
 当面見送りとさせたが、火種は消えていない
原則3割の窓口負担を減らして、経済的な心配なく、医療機
関に受診できることこそ重要
20
そもそも、日本の窓口負担は高すぎる
21
入院病床、入院患者数の削減案-1

入院病床総数
2011年166万→2025年に159万
内訳
(1)一般病床
2011年 107万→2025年103万
<病床を区分>
①高度急性期(18万)
②一般急性期(35万)
③亜急性期・回復期リハ等(26万ベット)
④地域一般病床(24万ベット)
(2)長期療養
2011年 23万→2025年28万
(3)精神病院
2011年35万 →27万
22
入院病床、入院患者数の削減案-2

入院日数を6日短縮
2011年30日 → 2025年24日に
~特に一般急性期は~
2011年13~14日→9日に

入院患者数を4万人削減
→2011年133万人→ 2025年129万人に

既に入院日数は短い
→これ以上の短縮は、必要な医療
を受けられない事態をまねきかね
ない
23
医師のマンパワーを削減

医師や看護師を大病院の
高度急性期へ集中
→他の入院患者、町の診療
所など医師、看護師不足
に
24
一般病床の食費・居住費の負担増
居住費負担(高熱水費)の対象病床を広げる
→入院前の住まいを維持したまま、二重負担に
 これまでの食材料費以外に、調理費も徴収
→入院中の食事は、治療の一部

区分
療養病床に入院する
65歳以上の方(難病患者除く)
左以外の方
(一般病床など)
一般の方
(食材料・調理費)
(居住費)
1食460円
1日320円
1食につき
260円
市町村民税非課税の
世帯等
(食材料・料理費)
(居住費)
1食210円
1日320円
1食につき
210円
上記のうち、世帯全体が
一定の所得以下
(食材料・調理費)
(居住費)
1食130円
1日320円
1食につき
100円
2011年10月9日社保審医療保険部会資料より
25
傷病手当金の上限額の設定

健康保険の「傷病手当金」に上限額を
設ける
「傷病手当金」とは?
 病気やけがで会社を休み、十分な収入が受けられない場
合に支給される健康保険制度(国保にはない)

一定期間(最長で1年半)、およそ収入の6割が支給される
26
介護はどうなるの?
介護予防の名で、軽度者への介護サービス削減
要支援1・2の人への家事援助やデイサービスを、
市町村の判断で、安上がりのサービスに置き換える
改定介護保険法が成立している
・小規模多機能「居宅介護」5万人→40万人に
・定期巡回訪問介護サービス15万人へ
要介護認定者数を3%減らす
政府資料に明記
介護施設数
介護施設を抑制し、施設入所は重症者に(法案提
出に向けて検討)
要支援1・2の人の利用料
年収320万円以上(もしくは383万円以上)の人の利用料
1割→2割 (法案提出に向けて検討)
要介護1・2の人の施設利用料
引き上げ(法案提出に向けて検討)
資産を持つ低所得者の施設利用料
死後精算=リバースモケージ(引き続き検討)
ケアプラン作成
要支援者月500円、要介護者月1000円
(法案提出に向けて検討)
2~4人部屋の室料
月8000円引き上げ(法案提出に向けて検討)
27
介護施設も削減
受け皿は在宅の医療と介護-1



要介護認定者を3%削減
1日当たり利用者(2025年)で換算すると・・・
600万人→582万(約18万人削減)
介護入所施設
→重度者にしぼり施設数を抑制
→居住系施設と、在宅介護の
大幅増
入院日数短縮+入院病床削減の“受け
皿”は?
→在宅へ
28
介護施設も削減
受け皿は在宅の医療と介護-2

医療と介護の受け皿
「地域包括ケアシステム」
①24時間365日、日常生活圏で、医療、介護、予防、住ま
い、生活支援を切れ目なく提供
②医療と介護の一体的提供で、医療・介護ニーズの高い
患者や、看取りも対応
29
介護施設も削減
受け皿は在宅の医療と介護-3
「地域包括ケアシステム」
①「定期巡回・随時対応の訪問介護サービス」 → 15万人に拡大
②「小規模多機能居宅介護」 → 5万人を40万人に
小規模多機能居宅介護とは… 主に認知症の高齢者が、今までの人間関係、生活環境を維持できるよ
う、通所を中心に訪問、
泊まりの3つのサービス形態を一体的に24時間切れ間な提供する
③介護施設不足を逆手に「サービス付高齢者住宅」の市場を拡大 など
30
介護施設も削減
受け皿は在宅の医療と介護-4

「定期巡回・随時サービス」(新設サービス)
→業者に支払う報酬は定額制を予定
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」とは?
重度者を始めとした要介護高齢者の在宅生活を支えるため、日中・夜間通じて、訪問介護と訪問看護を一
体的、密接に連携しながら、定期巡回訪問と随時の対応を行う
→十分なサービス対価なしに必要な介護・看護は困難
→十分な在宅医療・介護は確保できないおそれ
国と自治体の公的責任を明確にし、入院医療体制、介護施設、医師や
看護婦など、高齢者の生活全体を支える医療・介護サービスの構築が
必要
31
介護保険制度の「改革」
 介護保険料の総報酬制
→応能負担は目指すべきだが、いびつな保険
料体系の見直しなしでは、単純な引きげに
→保険料負担増として直撃
 介護保険料(65歳以上)は月平均5000円超える
32
国保の都道府県単位運営化で医療はどうなる-1

市町村単位から、都道府
県単位の運営に (国保
の広域化)
→国保財政赤字の改善と
いうが・・・
33
国保の都道府県単位運営化で医療はどうなる-2

市町村一般会計か
ら国保会計への繰
入金をさせない計画
→保険料のさらなる
値上げ
→市町村独自の減
免制度も廃止
→保険料未納者へ
の国保保険証の取
り上げの強化に
34
広域化すれば国保の赤字は改善する?
~大都市国保は赤字~




広域化の目的
→医療費(給付)と保険料(負担)
が連動する民間保険原理での運
営強化
国保会計の赤字の理由
→国庫負担の削減が原因
赤字の自治体を集めても改善しな
い
広域化している大都市の国保は
赤字
国保制度の改善は、広域化ではなく国庫負担の抜本的な改善が不可欠
35
既に都道府県単位化した協会けんぽ
-保険料率の増加と格差の拡大





協会けんぽ
→全国一律運営の政府管掌健康保険から、都
道府県単位に支部をおく「協会けんぽ」に再
編(08年から)
中小企業の多くが加入 →財政難
国庫補助率
→2010年度に13%→16.4%に引き上げられた
が、平均保険料率は上がり続ける
→2012年の保険料率は10.2%!
2011年保険料率の格差 0.21ポイントにも
最大: 北海道・佐賀県→ 9.6%
最小: 長野県
→ 9.39%
地域間格差の拡大で、医療のあり方が歪め
られる懸念あり
36
被用者保険の現状は?




主な被用者保険の種類
①協会けんぽ(中小企業)
②組合健保(大企業の従業員)
加入者平均年齢若く、平均所得も高い
③共済組合(公務員、私立学校教職員等)
組合ごとの財政運営
→所得が同額でも、加入する健保ごとに保
険料が異なる
組合健保や共済組合には、協会けんぽ
にはない、窓口負担の上限額などがあ
る
保険者間による保険料や給付の格差も
拡大
37
「後期高齢者医療制度」は廃止でなく看板のかけかえ



民主党→「後期高齢者医療制度」
の廃止などを訴え政権交代
高齢者医療「新制度」の案
→制度の名前を変えるだけ
→医療費が増えれば、保険料は
自動的に上がる一番の問題点を
残す
保険料は、今後も上がり続ける!
老人福祉法の基本理念をふまえ、公的年金支給の65歳以上の医療
を保障する社会保障としての高齢者医療制度に!
38
「共通番号制」は何のため?


「共通番号制」って何?
→巨大な「ネットワーク・データベースシステム」(情報連携基盤)
を作り、社会保障分野(医療・介護・年金・障害・保育)と、税分野
で、国民一人一人の番号を付番
→番号は、国や自治体が各情報を付き合わせて、一元管理する
しくみ
→番号利用は、2018年を目処に情報範囲の拡大も検討される
導入目的「政府」
→国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図り、国民が安
心して暮らすことのできる社会の実現に寄与すること。
→つまりインフラ整備を行うということ
39
39
共通番号制で何が変わる?



社会保障の給付(社会保障サービス等)と負担(保険料・税)を個人管理
→負担した額しか社会保障サービスが受けられなくなる=社会保障といえない
→アメリカのような民間保険医療に近づく! 社会保障、医療の市場化
国民全員にICカード
→2014年6月に全国民に「マイナンバー」、 法人等に「法人番号」を半年かけて連
絡(郵送予定)
→2015年1月以降 可能な範囲で「マイナンバー」利用開始
個人ICカードは、申請にもとづき作成予定
→健康保険証は、当面これまで通り利用予定。いずれICカードが保険証に
→窓口や税務申請等で「マイナンバー」番号提示を求められていく
40
共通番号制導入までのスケジュール
番号法案
提出
「マイナンバー法案」
「マイナンバー方整備
法案」審議成立?
全国リレー
シンポ
2012年
付
番
範囲拡大を含めた
番号法の見直し
第三者機
関の設置
2013年
番号の利用開始
2014年
2015年~
2018年
41
共通番号制の具体的な問題点-1



プライバシー流出、営利企業による番号利用
→個人情報保護のための「第三者機関」は、国に1つだ
け。
役割は、情報を保有する自治体などへの助言・承認な
ど。
個別の情報漏洩にどれだけ対応できるか疑問。
→番号制を導入する国で多発する「なりすまし」被害。
導入時にかかる初期の費用は6000億円以上
→ 制度維持にはさらに費用がかかる
番号は国民全員に強制的につけられる
→病名や、病歴などの個人情報を国がにぎる
42
共通番号制の具体的な問題点-2



「総合合算制度」導入の前提となっているが・・
→各制度番号は当面個別管理されるため、実現は先
政府が想定する「正確な所得把握」は不可能
→個人の買い物全てに「マイナンバー」を示すことは不可能。
→海外での取引を共通番号で把握できないためので、正確な所得
把握は不可能
「マイナンバー」がないと、各種サービスが受けられなくなる可能性。
住所不定者などに番号が届かない
→全国民への社会保障給付が保障されなくなる
43
「共通番号制」の本当の真のねらいは?
本当の狙い
→社会保障制度の給付の削減
→「社会保障個人会計」の導入のための試行
→長期疾病、難病患者さんなどが、負担に比べて給付が
多いとの理由で、社会保障から排除されかねない
 「共通番号制」創設を求めたのは財界

生存権保障としての社会保障理念を変質させるもの
44
総合合算制度とは?
以下の2点について「低所得者」世帯の自己負担に
上限を設ける制度案
①同一世帯家族の年収総額や納税額、保険料納付額
②医療、介護、保育、障害に関する自己負担の総額、


所得に応じた一定の上限額を超えた分を公費でまか
なう。
「共通番号」を用いて一元管理する前提。
45
生活保護世帯にも負担増-1
①医療扶助に自己負
担導入(△引き続き検討)
→受給者の8割は
医療扶助を利用。
経済的理由で治療
から遠ざかる
46
生活保護世帯にも負担増-2
②基礎年金との整合性を理
由にした、生活保護費の
引き下げ
③保護期間の有期化→決め
られた期間内で働かない
時は保護打ち切り
(△ 引き続き検討)
一体改革案の「貧困・低所得者対策」を実行あるものに
するには、制限でなく、自立に向かえるような制度に抜
本的な拡充が必要
47
年金の支給年齢引上げ

厚生年金
①支給開始年齢そのものを
68歳~70歳へ (△引き続き検討)
→ 1歳先延ばしで5000億円公費削減
②物価、賃金下落以上の引下げ(△引き続き検討)
③過去の物価下落時に反映させなかったとして、現
在の受給者の年金を2.5%削減 (○ 2012年法案提出)
48
保育制度


「子ども・子育て新システム」(介護度認定の保育版)
→保護者の責任で保育施設を探して契約する
→市町村は子どもの“保育の必要度”を認定し、必要
度に応じて保育サービスの費用の一部を支給するだ
け
保育料は保育時間に応じて支払われ、“保育の必要
度”を超える部分は全額自己負担に(○2012年 法案提出)
49
一体改革の税制改革-1
①消費税増税と目的税化
②法人税減税
50
消費税増税と目的税化 -1




社会保障費(公費負担分)と消費税を
連動させる
→際限なく増税可能な仕組み
2015年度までに税率引き上げ
→5%を10%へ引き上げ
当面、「社会保障4経費」(年金、医療、
介護、子育て)へ消費税を全額投入
→不足すれば消費税引き上げ
将来、社会保障費に係わる公費負担
全額を消費税でまかなう
消費税率 2015年→ 18%
2025年→ 20%
51
消費税増税と目的税化-2
消費税を目的税化しても、税率を上げても社会保障財源はふえない
52
消費税増税と目的税化-3
~社会保障目的税化は何をもたらすか?~




消費税に頼らざるを得ない税収構造へ
税制の空洞化、景気回復しても税収が増えない悪循環に
上がり続ける、消費税率
社会保障財源は増えないので、増税されても、社会保障は充実しない
引き上げられる5%分の使い道
・消費税引き上げに伴う社会保障支出増 → 機能強化 ×
1%相当
・制度改革に伴う増 →
1%相当
機能強化 △
・社会保障の自然増 → 機能強化 ×
1%相当
・年金の国庫負担引き上げ分 →
1%相当
機能強化 ×
・機能維持 (介護や福祉の借金穴埋め) → 機能強化 ×
1%相当
消費税を引き上げても、社会保障は充実
しない
53
消費税増税と目的税化-4
~そもそも消費税は社会保障に使われてきたのか?~

法人税の減税に使われてきた消費税
54
消費税増税と目的税化-5


他国と比べ税率は
低いが、国税に占
める割合は大差な
し
外国は食糧などの
生活必需品は消費
税免除
55
「給付付き税額控除」で低所得者負担できる?

政府は
「低所得者に対して(中略)
給付付き税額控除の導入に
向け検討を進める」
(12年1/6 政府一体改革素案)


「給付付き税額控除」は、格差社会化、
貧困対策の一手段にすぎない
「給付付き税額控除」とは?
◆税制を活用した、社会保障政策
の一環としての社会保障給付。
◆社会保障給付と税額控除が一体
化した仕組み。
◆消費税増税と、「共通番号制導
入」が前提
実際に「勤労所得税額控除」で導入しているアメリカでは・・・
→ 払いすぎや、不正な受給が全体の23~28%も
→ 受給資格のある人の4分の1人が、申請していない
同じ問題が、日本でも起こりかねない
56
消費税増税で財政危機は悪化へ

1997年橋本内閣
・消費税3%→5%
・サラリーマン本人窓口負担2割引上げ
→日本のGDP マイナス2%に
消費税増税と社会保障の抑制・削減は
①国民の安心と生活を壊し
②内需を冷え込ませ
③経済も悪化させる
再び繰り返してはならない危険な道!!
57
財政赤字の主な理由は税収減
一体改革の必要性は赤字財政の改善→赤字の理由を「社会保障」に押しつける
58
1億円を境に減る所得税率
59
GDPに占める主な税目割合
経済力に対応しない歪んだ税収構造を放置
→これで「消費税増税」以外に道はない!?

GDPに占める主な税目割合
%
7
6
5
4
3
2
1
0
1990年
(DGP452兆円)
2009年
(DGP474兆円)
5.8
4.1
2.7
1.4
法人税
2.1
1.0
所得税
消費税
60
企業の利益が伸びても法人税負担は伸びない構造
【国税庁「税務統計から見た法人企業の実態」】
37.5%
)
⇒ (法人税率)
30%へ
(更に優遇税制もあり
61
法人税減税は本当に必要?-1

大企業には、グローバル化を口実に法人税率引き下げ
→1990年代以降応分の負担していない(内部留保増加)
62
法人税減税は本当に必要?-2

大企業が海外進出する理由
→法人税の高さではない
63
一般会計税収は60兆から38兆へ

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GDP(国内総生産)はほぼ変改なしでも税収は35%も減
っている!
→DGP
1990年 452兆円 →2009年 474兆円
→歳出に占める一般会計税収割合
1990年 86.8% → 2009年 38.4%
→税収額 1990年 60.1兆円 → 2009年38.7兆円
税制が減った最大の理由は、法人税率
40%→30%
現在の財政赤字の責任を社会保障に押しつけ
雇用改善による、内需拡大が景気回復の道
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財源をどうするか-1
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赤字財源の原因、財政・財源
の真の問題
→グローバル化を理由にした、
法人税減税、金融資産の優
遇税制などによる税収減
→世界第3位の日本の経済力
が税収に反映していない
→大企業が果たすべき税・社
会保障に対する責任回避
社会保険料事業主負担及び法人所得課税収が
国民所得に氏得る割合
大企業と富裕層に応分の負担を
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財源をどうするか-2
政府税制調査会
→大企業の優遇税制の廃止・縮減で最大で4兆5千
億円捻出可
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66
財源をどうするか-2
後発品のない先発品(約6兆円)の薬価を、一律2割引
き下げるだけでも、1兆円以上の財源捻出に
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社会保険への支出、日本少ない
(GDP比)
68
68
日本、公費、事業主負担が少ない
69
69
一体改革案に異議あり
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一体改革案は、消費税の増税、法人税減税と、
社会保障の給付抑制を狙うもの
国民の安心と生活を破壊し、内需を冷え込ませ
「経済も財政も悪化させる危険な道」
大企業と富裕層は、税・社会保障の責任から逃
げず、社会保障財源は、応能原則による法人税、
所得税、社会保険料を主とすべき
70
その他
TPP参加による医療への影響
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TPPってなに?
→環太平洋連携協定(Trans-Pacific Partnership)の略称。TPPは、EPA(経済連
携協定)を、アメリカ中心にした環太平洋諸国全体で行おうとするもの。
→TPPとは、すべての貿易品目の関税撤廃を行うだけでなく、サービスや人の移動
に関する各国の規制(非関税障壁)も、自由化する貿易協定
※公的医療保険制度も非関税障壁とされ、規制漢和の対象に
EPA(経済連携協定)
FTA
(自由貿易協定)
特定の国や地域間で、物の
関税やサービス貿易の障壁
などを、削減・撤廃する協
定
FTAを柱に、ヒト、モノ、カネ
、の移動など、全ての分野の関税
を例外なく撤廃する協定
・人的交流の拡大
・投資規制撤廃
・知的財産の保護
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TPP交渉参加・協議の流れ
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日本がTPP交渉に参加する
には、現在の交渉参加9カ国
すべての同意が必要
このうちアメリカは議会の承認
が必要。
アメリカ政府は、新規交渉参
加国との交渉開始の少なくと
も90日前までに、議会に交渉
開始を通知しなければならな
い
【TPP参加・事前協議の流れ】
日本政府
↓事前協議
米国政府・議会の事前協議
↓
米国議会の同意・承認手続き
↓最低でも90日間
TPP交渉に正式参加
(交渉参加9カ国の同意・承認が必要)
↓
TPP交渉の最終合意
↓2012年中
参加国が批准の手続き
↓
TPP発効
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日本の関税率はすでに低い
菅前首相は、「第3の開国が
必要だ」とTPP参加を推進
→日本の関税は、3.3%。
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全品目でアメリカ、EU、韓国
より既に定率
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TPPに参加した場合の食糧
自給率(農林水産省試算)
40%(現在)→ 13%へ
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東日本大震災の被害を受けた東北は、日本の農業の中心地。
TPPに参加すれば被災費の農業は壊滅しかねない。
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誰のためのTPP参加推進?
財界とアメリカのため
大企業
→関税を上乗せすることなく、
多くの製品を輸出・販売し、
利益の最大化を狙う
アメリカ
→さらなる日本の市場拡大を
狙う
GDPでみると、日本と米国のFTA(自由貿易協定)
に
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公的医療保険もTPPの対象になるの?
~政府説明の変化~
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「TPP協定交渉の分野別状況」(2011年10月公表政府説明資料)
→「米豪・米韓FTAのように、医薬品分野に規定が置かれる可能性はあ
る」
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曖昧な政府の説明(同年11月7日)
→公的医療保険制度については、「議論の対象となっていない模様」
ところが・・・・

11月9日の外務省追加説明資料
→「混合診療の全面解禁がTPPで議論される可能性は排除されない」
75
公的医医療保険制度があるのは日本だけ


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アメリカは、国民皆保険制度はなく基本的に民間医療保険の国。無
保険者が4600万人以上存在
オーストラリアは税方式の医療保障と民間医療保険を併用する医療
制度で、ニュージーランドは株式会社病院が多数開設され、民間医
療保険も活用されている。両国とも公立病院の待機患者が多いこと
が問題
シンガポールは公的医療保険制度がない。入院費や医療保険費と
して引き出すだめの強制貯蓄制度や高額医療費に備える民間医療
保険が中心
民間医療保険と競合するとして、日本の公的医
療保険制度が市場開放のTPP議論の対象に
なるのは必至
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TPPと前提・条件が似ている
米韓・米豪FTAでは?
アメリカは医薬品や医療機器の価格制限の撤廃を要求


米韓FTA(2012年1月発効予定)
①米国企業の医薬品の独占的特許を認め、特許期間を実質的に延長し高薬価を維持する
②韓国政府の薬価の決め方に米国企業が不服がある場合、見直しを申請できる独立機関の設置―など
で合意。特区での米国企業による営利病院の開設も許可した
・・・韓国の酪農学園大学食品流通学科・柳京熙(ゆうきょんひ)准教授
ISD「国家と投資家間の紛争解決手続き」条項について、「もし韓国政府が国民健康保険を強化する政
策を取った場合、保険会社は直ちに民間医療保険市場の縮小を盾に、韓国政府に対し、損害賠償請求
をおこすことが可能となった」と指摘
米豪FTA(既に発効)
①米国が革新的医薬品の評価を要求し、オーストラリアの医薬品給付制度に変更が加えられた。
米韓・米豪FTAと同様の規定をTPP交渉参加国にも要
求する可能性は高い
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長年、日本の病院営利化を求めてきたアメリカ
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日本の医療保険制度の規制緩和・市場開放はアメリカ
の長年の要求
アメリカ通商代表部 は、保険が利かない医療を含む包
括的な医療サービス提供などを強く求めている
▽営利病院運営の認可
▽混合診療の全面解禁
▽医薬品の「参照価格制」、
医療が一つの「商品」になり、患者さんの財力による医
療格差が広がりかねない
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TPP参加は、名ばかりの国民皆保険への道
公的医療保険が市場開放の対象になれば、
「誰でも」「いつでも」「どこでも」受けられる日本の
優れた国民皆保険の崩壊につながる
 たとえ、「公的保険」の名前が残っても、保険給
付の範囲が狭くなり、お金がないと十分な医療が
受けられない制度に変質しかねない

誰もが平等に受けられる医療を守るため、
TPP参加を断念させよう
79
国のあり方そのものを変えかねな
い大きな問題


国内法よりTPPが優先される
→例えば、外国投資家が、市場開放によって営利企業による病
院運営の権利を得た場合、医療に悪影響を及ぼしていても取
り消せないことに
国民が国のあり方や基本政策を決めることができなくなる
日本社会の枠組みに広範な影響を与える可
能性が極めて高い重大な問題
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(参考)
TPP参加に関する資料-1
1、米国通商代表部の対日要求
①カーク米国通商代表部代表の発言(「日経新聞」10月27日付)
「『アメリカは雇用や成長などのためにTPPを必要としている』と述べ、
FTA(自由貿易協定)より高いレベルの協定をめざす姿勢を改めて打
ち出した」
②「2011年外国貿易障壁報告書」
・医療サービス市場への外国アクセスの制限撤廃
・外国事業者を含む営利企業による営利病院運営
・(保険が利かない医療を含む)包括的な医療サービス提供
・試行的に導入された「新薬創出加算」の恒久化
・共済は、民間保険会社と同じ規制・監督に服する
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TPP参加に関する資料-2
2、米韓FTAの医療・共済にかかわる規定
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医薬品、医療機器の承認、価格、診療報酬の決定は、市
場競争価格に基づく
医薬品、医療機器の価格、診療報酬にかかわる政府の
決定について、申請者の要請に基づき、レビューする機
関(医薬品・医療機器委員会)を設置
医薬品の後発開発者が市販許可をえる場合、特許権の
侵害を防止するために必要な措置を当局が行う
協同組合が行う共済事業を、同種の民間保険より優遇し
ない
投資企業・個人が、国際機関に相手国政府を提訴できる
(韓国・酪農学園大学食品流通学科の柳京熙(ゆう きょんひ)准教授の報告等から作成)
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TPP参加に関する資料-3
3、TPP・FTA関連の条項・規定
①ISDS (「国家と投資家の間の紛争解決手続き」)条項
自由貿易協定で、投資先の国の政策で不利益を被ったと企業・投資家
が判断すれば提訴できる。世界銀行傘下の国際投資紛争解決セン
ターなどが仲裁機関に指定されている。
審理は非公開で、不服があっても上訴すねことはできない。
政府だけでなく地方自治体が行う規制も訴訟の対象になる
②ラチェット条項
一度、規制緩和=市場開放で自由化した分野は、何があっても元に戻
せない
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