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レビー小体型認知症の病態の
特徴を踏まえた対応とケア
認知症とは
正常であった脳の知的な働きが、
後天的な(生まれてからしばらくた
ってから起きた)いろいろな病気な
どによって、持続的に低下し、日常
生活に支障をきたす状態。
生理的なもの忘れ
認知症
脳の生理的な変化
脳(神経細胞)の病気
もの忘れ
体験の一部を忘れる
体験の全部を忘れる
症状の進行
あまり進行しない
進行する
判断力
低下しない
低下する
忘れっぽいことを
自覚する
忘れたことの
自覚がない
支障はない
支障をきたす
原因
自覚
日常生活
小阪(2009)
中核症状とBPSD
妄想
物を盗まれたという
抑うつ
幻覚
気持ちが落ち込んで
いない人の声が聞こえる
やる気がない
実際にないものが見える
記憶障害
実行機能障害
新しいことを覚え
段取りが立てられない
不安・焦燥
睡眠覚醒リズム
られない
計画できない
落ち着かない
障害
前のことが思い出
イライラしやすい
昼と夜が逆転する
せない
中核症状
失行
失認
服の着方がわからない
介護抵抗
物がなにかわからない
道具がうまく使えない
入浴や着替えを嫌がる
失語
食行動異常
物の名前がでてこない
なんでも食べよう
とする
暴言・暴力・攻撃性
徘徊
大きな声をあげる
無目的に歩き回る
手をあげようとする
外に出ようとする
BPSD
原因疾患によって対応は異なる!
認
知
症
原因
疾患
A
原因
疾患
B
原因
疾患
C
原因
疾患
D
対応
A
対応
B
対応
C
対応
D
認知症の原因
脳血管型
15%
レビー小体型
20%
その他
アルツハイマー型
50%
三大認知症
アルツハイマー型認知症
レビー小体型認知症
脳血管性認知症
レビー小体型認知症
Dementia with Lewy Bodies
略してDLBともいわれる
なぜレビー小体型認知症か?
・頻度が高い
・まだまだ充分に知られていない
・診断が難しく、誤診が多い
・初期からBPSDが起こりやすい
・初期には認知症が目立たないことが多い
・薬剤の選択が難しい
・ケアが大変
・患者・家族のQOLが早くから障害されやすい
レビー小体型認知症の歴史
・Lewy(1912) がパーキンソン病脳でレビー小体を発見
・1950年代にPDではレビー小体が必発と報告された
・大脳皮質にはレビー小体は出ないと信じられてきた
・小阪(1976) : 最初の剖検例報告
・小阪(1978) : 大脳皮質のレビー小体の研究
・小阪(1979) : ドイツ人2剖検例の報告
・小阪(1980) : レビー小体病の提唱
・小阪(1984) : びまん性レビー小体病の提唱
・1985年以降 欧米で注目される
・1995年 第一回国際ワークショップ
・1996年 レビー小体型認知症の命名と診断基準発表
レビー小体を発見
F・レビー氏
レビー小体型認知症の発見者
小阪憲司先生
Diffuse Lewy Body Disease
びまん性レビー小体病
Kosaka K et al(1984)
びまん性レビー小体病
Diffuse Lewy Body Disease
臨床的には主に初老期または老年期に、時に若年
に発症する進行性認知症とパーキンソン症状によ
り特徴づけられ、時には 自律神経症状がめだつこ
ともある。
神経病理学的には中枢神経系や自律神経系にお
ける多数のレビー小体の存在によって特徴づけら
れるが、種々の程度のアルツハイマー病変を合併
することが多い。
これがレビー小体!
DLBの臨床診断基準(1996)
1 進行性認知機能の低下
2 以下のコア症状のうちの二つ(probable DLB)
または一つ (possible DLB).
(a) 認知機能の動揺性
(b) 具体的な内容の繰り返される幻視
(c) 特発性のパーキンソニスム
3 診断を支持する症状
(a) 繰り返される転倒
(b) 失神
(c) 一過性の意識喪失
(d) 抗精神病薬への過敏性
(e)系統的な妄想
(f) 他の幻覚
CDLB ガイドライン改訂版(2005)
1:中心特徴(診断に必須):認知症(正常な社会的・
職業的機能に支障をきたすほどの進行性認知低下)
早い時期には著明な、または持続性の記憶障害は必
ずしも起こらなくてもよいが、通常は進行とともに
明らかになる。注意や実行機能や視空間能力のテス
トで障害が特に目立つこともある。
2:コア特徴
注意や明晰さの著明な変化を伴う認知の変動
典型的には構築された具体的な 繰り返す幻視
特発性のパーキンソニズム
3:示唆的特徴
REM 睡眠行動障害
重篤な抗精神病薬への過敏性
SPECT またはPETで示される基底核でのドパ
ミン・トランスポータの取り込み低下
.
4:支持的特徴
繰り返す転倒や失神
一過性の 説明困難な意識消失
重篤な自律神経障害:起立性低血圧、尿失禁など
系統化された妄想
他の幻覚
抑うつ
CT/MRI :側頭葉内側の比較的保持
SPECT/PET :後頭葉低活性を伴う全般的低性
MIBG心筋シンチ:取り込み低下
脳波での側頭葉の一過性鋭波を伴う徐波化
CDLD guideline-revised(2005)
DLB/PDD working group(2007)
PD, PDD , DLB をまとめて
Lewy Body Disease
(レビー小体病)
という用語を使用する
パーキンソン病とレビー小体型認知症
パーキンソン病
運動障害が主体
↓
しばしば
認知症が加わる
↓
認知症を伴う
パーキンソン病
レビー小体型認知症
認知障害が主体
↓
しばしば
パーキンソン症状
が加わる
=
レビー小体型認知症
どちらも原因は同じ
パーキンソン病
レビー小体病
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症の
診断のポイント
・認知症の存在にとらわれない
・早期には認知症が目立たないこと
が多い
・早期に診断することが大切
・誤診されていることが多い
DLBとATDのBPSDの比較
DLB
視覚認知機能障害に基
づくことが多い
特有な幻視
幻視に基づく妄想
RBDに関連する睡眠障害
徘徊は少ない
抑うつ・不安が多い
変動が目立つ
ATD
記憶障害に基づく
ことが多い
幻覚は少ない
物盗られ妄想
単純な睡眠障害
徘徊が多い
仮性作業・仮性対話
変動は少ない
DLBの早期診断の重要性
DLBは最もBPSDを起こしやすい認知症であり、
そのために患者の苦しみも強く、介護者の苦
労も多い
したがって、DLBを早期に診断し、早期に適切な
治療をすることにより、患者の苦痛を軽減し、
介護者の負担を軽減することにより、患者お
よび介護者のQOLを高めることが大切である
(小阪)
DLBにおけるBPSDの治療
原則
「疾患情報」と「生活情報」を聴取し、
いま直面している「生活のしにくさ」の軽減
1)非薬物療法
環境の整備
介護・看護の工夫、デイサービスなどの併用
2)薬物療法
原則
いま服用している薬剤の再点検
“少量からゆっくり増量”
介護の原則(1)
(室伏)
・不安を解消するように対応する
急激な変化を避ける、頼りの人となる、
安心の場を与える、なじみの関係をつくる、
孤独にさせない
・言動や心理をよく把握し対処する
お年寄りを尊重する、理解する、年代を同じ
にする、説得より納得を、反応や行動パター
ンを理解し対処する
介護の原則(2) (室伏)
・暖かくもてなす
良い点を見出し良い付き合いを、
軽蔑・排除・無視しない、叱責・矯
正しつづけない、感情的にならない
・自分を得させるようにする
相手のペースに合わせる、行動を
ともにする、簡単にパターン化し教
える、適切な刺激を与える
認知症の介護の原則
(小阪)
・その人に合ったケアを!
その人を理解する・・・その人の生活歴・
性格・家族や職場での役割などを知る
・その人の病気を理解する!
その人の病気に合ったケアをする
病気の理解が大切
・家族への支援が重要!
家族もケアチームの一員であるという認識
・薬だけに頼らない!
DLBの介護のポイントー1(小阪)
・記憶障害はアルツハイマー病より軽いことを認
識するべきである
・一時的な気休めやごまかしは避ける
・幻視や妄想を一方的に否定しない
・よく話を聞き受容し、安心を与えるようにする
・パーキンソン症状に対する介護も大切
転倒に注意!
運動指導も重要
・変動が多いことに注意
・抗精神病薬を安易に投与しない
DLBの介護のポイントー2
幻視への対応
・訴えを受ける(本人には見えるので、一方的に
否定しない)
・相手の感覚世界に合わせる
・嫌な物が見える場合には、追っ払ったり、取り
払ったりするようにすることもよい
・照明の調整:電気をつける、蛍光灯を電球に変
える、居室内外の照度を合わせる
・幻視を誘発しているもの(飾り・しみなど)を
取り除く
DLBの介護のポイントー3
・抑うつ症状・・・DLBの前駆期やごく初期には約
40%でうつ病の症状が出現する
・抑うつへの対応:本人にさからわず、安心できる
場や人間関係の確保に配慮する
・生活場面で何らかの役割を持たせ、何かに参加し
ているという安心感を持たせる
・声かけを増やし、なるべく考えさせないような会
話に心がける
・水分摂取(1500cc/d)を心がけ、セロトニンやノルア
ドレナリンの材料となるアミノ酸の多く含まれる
チーズ・牛乳・バナナ、魚・卵・チーズなどの摂
取を心がける
DLBの介護のポイント-4
・自律神経系への対応(DLBでは自律神経障害が起
こりやすいことに注意)
・室内の適切な温度・湿度などへの配慮を!
・季節ごとの気温・湿度に合わせて空調・寝具な
どの組み合わせを配慮する
・四肢などの局所的な冷感を訴える場合には、就
寝前に足浴したり、暖房器具の使用を配慮
・嗅覚障害があることが多いので、匂いや好みが
変わったり、味覚が変わることがある。
偏食にも配慮を!
・嚥下障害が起こりやすく、誤嚥に注意
特徴的な視覚認知障害
こんなふうに見えてるかも……
幻視の対応例(1)
本人にとってはまさに“現実”
基本は、受け入れること・安心させること
よい対応例◆
「悪さをしないから大丈夫」
「私がやっつけてやる!」
「おまじないをして消えてもらいましょう」
◆
禁句◆
「そんなのいるはずない」
「錯覚に決まってる」
◆
幻視の対応例(2)
一緒に近くに行って触ってみる
↓
消えてしまう!
電気をつける
↓
消えてしまう!
幻視は妄想に発展することも……
アルツハイマー型
↓
「物盗られ妄想」が多い
レビー小体型
↓
「幻視にもとづく妄想」
パーキンソン症状の対応
転倒に気をつける
↓
見守り
環境整備(つまずかないように、滑らないように)
身体が硬くなるのを防ぐ
↓
関節の屈伸運動
パーキンソン体操
日常生活のなかで身体を動かす
認知の変動
頭がハッキリ!
数時間ごと
1日ごと
1週間ごと
1か月ごと
ボーッとしてる
悪夢で大きな寝言
助けてー!
このヤロー!
殺される~!
まとめ(1)
レビー小体型認知症の介護のポイント
◆
記憶障害はアルツハイマー型よりも軽いことが多
い
だから、一次的な気休めやごまかしは×
◆
◆
幻視や妄想を一方的に否定しない
よく話を聴いて受容し、安心感を与える
転倒に気をつける
◆
身体が硬くなるのを防ぐよう、日々努める
◆
誤嚥に注意
◆
自律神経症状の軽減を
(立ちくらみ、便秘、多汗など)
◆
薬の処方に変更があったときは、
よく観察変化がみられたら、
医師へきちんと様子を伝える
◆
まとめ(2)
レビー小体型認知症をめぐる課題
きちんと診れる医師が少ない
たらい回し、誤診、誤った処方… …etc
◆
きちんと介護できる施設が少ない
退去、周辺症状の増悪、重度化… …etc
◆
相談できる機関がほとんどない
アルツハイマー型であればアドバイスしてくれるが…
◆
レビー小体型認知症家族を
支える会の活動内容
DLBについての不安の解消
DLBの症状や対応を知る(生活)
薬について知る(医療)
生活と医療をコーディネート
ご家族
ご本人
医師
臨床
心理士
看護師
ケアマネ
栄養士
介護士
北海道支部 1
〒003-0835
北海道札幌市白石区
北郷五条 9-8-33
ライフアート内
Tel 011-879-5611
Fax 011-879-5612
岡山支部
〒703-8235
岡山県岡山市中区
原尾島3-10-4
デイサービスおかげさん内
Tel 086-901-0274
Fax 086-901-0275
北海道支部 2
〒072-0026
北海道美唄市西3条南
4-8-10
グループホームななかまど美唄館
内
Tel 011-879-5611
Fax 011-879-5612
本部・事務局
〒225-0014
神奈川県横浜市青葉区
荏田西 3-23-25
メディカルケアコートクニック内
宮城支部
Tel 045-914-7087
Fax 045-914-7028
〒984-0844
宮城県仙台市若林区
種次字中屋敷37
グループホームなつぎ内
Tel 022-349-8105
Fax 022-289-8665
高知支部
〒783-0006
高知県南区西篠原707
有限会社 青い鳥
福祉事業部内
Tel 088-864-1190
Fax 088-864-1192
福島支部
愛知支部
静岡支部
〒454-0983
愛知県名古屋市中川区
東春田 3-198
グル―プホームはるた内
Tel 052-304-3308
Fax 052-304-3348
〒433-8119
静岡県浜松市中区
高丘北 1-7-2B
ナチュラルライフ内
Tel 053-438-4881
Fax 053-438-4882
〒960-8165
福島県福島市吉倉字谷地
36-1
ライフ吉井田内
Tel 024-563-6145
Fax 024-545-2267
家族会に寄せられる相談内容
症状に関する相談
・夜中に騒いでしまって困る
・実在しないものが見えるという
制度に関する相談
・介護保険を使っていない
・どこに相談していいかわからない
・DLBについて知らない
レビー小体型認知症の診断・治療ができる
専門医師一覧[小阪憲司推奨]
ぜひ家族を支える会のホームページを
参照して下さい。
レビー小体型認知症研究会・
家族を支える会総会
2007年11月10日(土)
2008年11月 1日(土)
家族を支える会の発足
第三回
2009年11月 7日(土)
第四回
2010年11月20日(土)
第五回
2011年11月 5日(土)
第六回
2012年11月10日(土)
第七回
2013年11月 2日(土)予定
新横浜プリンスホテルにて
第一回
第二回
毎回家族会・研究会を合同で(詳細はホームページを)
あらゆる人に、
レビー小体型認知症の理解を。
5~10年後(?)、
すべての国民が
レビー小体型認知症を
知るようになる!
誰もがそうなる可能性の高い
病気だから。
for More Splendid life
fin