バックボーンネットワーク

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第4章 LANとWAN
4.1
4.2
4.3
4.4
4.5
4.6
4.7
4.8
4.9
様々な通信サービス
伝送媒体
アクセスネットワーク
バックボーンネットワーク
LAN
インターネット技術
ネットワークの性能
ネットワークセキュリティ
電気通信事業法と電気通信サービス
4.4 バックボーンネットワーク技術
4.4.1
4.4.2
4.4.3
4.4.4
4.4.5
系)
4.4.4
4.4.7
基本事項
コアネットワーク
SDH
光伝送方式
光端局装置(バックボーンネットワーク
光中継伝送装置
バックボーンとしてのIPネットワーク
4.4.1
基本事項
(1)バックボーンネットワークとは
バックボーンネットワーク( backbone network )
事業者間相互接続ポイント(IX:Information Exchange)
通信事業者内または通信事業者間を結ぶ大容量の基幹通信回線
[例]
① プロバイダ内の接続拠点間の回線
② プロバイダと他の事業者間相互接続ポイントを結ぶ回線
[実現方法]
① 光ファイバを用いたNTTの専用線サービスを用いるケース
② 特に大容量接続が要求される場合,ファーストイーサネットや
Gigabit EthernetなどのLAN接続方式を用いるケース
(2)接続構成
通常,フロアや局舎単位に配置された複数のワークグループネットワーク
(以下,ワークグループと呼ぶ)を結ぶ共有伝送経路として構成される。
① 一般に,バックボーンネットワークは,ワークグループより高速かつ広帯域
のネットワークとされることが多い。
② バックボーンネットワークの接続構成には色々なバラエティがある。
(a) ハブまたはスイッチによるデイジー構成(daisy chainともいう)
(b) ダイナミックルーチングプロトコル機能を用いたトライアングル構成
(c) マルチポートギガスイッチを用いたスター(ツリー)構成
デイジー構成
全社サーバ
全社サーバ
100Mハブ/スイッチ
UTPケーブル
ワークグループ
光ファイバ
100Mハブ/スイッチ
UTPケーブル
ワークグループ
デイジーチェーンの語源は,雛菊(daisy)の花をつなげて作られた花輪。
それぞれの機器を順番に接続し,全体でひとつのつながりとなる。
代表的な例として,SCSI インターフェースがある。
スター構成
全社サーバ
全社サーバ
マルチポートギガスイッチ
部門
サーバ
ギガアップリンク付
10/100スイッチ
ワークグループ
ギガアップリンク付
10/100スイッチ
ワークグループ
ツリー構成ともいう。ギガスイッチが階層的につながっている。
部門
サーバ
トライアングル構成
ワークグループ
100M/Giga Bitsスイッチ
全社サーバ
全社サーバ
RIPプロトコル
100M/Giga Bitsスイッチ
100M/Giga Bitsスイッチ
UTPケーブル
ワークグループ
光ファイバ
UTPケーブル
ワークグループ
トライアングルに類似した構成例として,
中央部分の接続をリング状の超高速の光ファイバ網とする例もある。
このとき,次のような用語を使う。
① コアネットワーク(中央部分)
② コアノード(コアネットワークの各ノード)
③ エッジノード(コアノードとワークグループとの接続ノード)
4.4.2
コアネットワーク
(1)コアネットワークとエッジネットワーク
トライアングル構成の中央部分の接続をリング状の超高速の光ファイバ網に
したもの。以下のような用語が使われる。
エッジノード
コアノード
外部網
外部網
他の
コアネットワーク
コア
ネットワーク
エッジネットワーク
(アクセス網との仲立ち)
アクセス網
コアノード
エッジノード
アクセス網
(2)各ネットワークの目的
[アクセスネットワーク]
多様なアクセス手段の提供。
[エッジネットワーク]
コアネットワークのSONET/SDH,DWDM方式と,
アクセスネットワークのADSL,FTTH方式等の間の通信方式の違いを
吸収して円滑な通信を行う。
[コアネットワーク]
高速,大容量かつ高信頼性の通信。
(3)コアノードの高速化
高速かつ大容量通信においてはネットワーク伝送路の高速化だけでなく
ノード部分の処理能力も問題となるので,以下の技術が重要である。
① 光技術によるノード処理能力の増大化技術
② ノード処理の負荷分散化技術
③ ノードの冗長構成などの信頼性向上技術
4.4.3 SDH
(1)SDHとは
SONET(Synchronous Optical Network)
同期ディジタル階梯(SDH:Synchronous Digital Hierarchy)
1985年,すでにANSIが米国で規定していた
同期光ファイバーネットワーク用の階層構造 SONET をベースに
標準化された。
元々,欧州の規格との互換性がないため,
1998年,ITU-T が SONET の考え方を基本に
国際標準を定めたもの。
したがって ST-1 以上では互換性を持つが,
50 Mbps 以下では,北米+日本と欧州間の互換性はない。
(2)SONETとSDHの比較
SONET(Synchronous Optical Network)
同期ディジタル階梯(SDH:Synchronous Digital Hierarchy)
SONET
インタフェース名
OC-1
OC-3
OC-9
OC-12
OC-18
OC-24
OC-36
OC-48
OC-192
SDH
インタフェース名
STM-1
STM-4
STM-16
STM-64
通信速度
51.84Mbps
155.52Mbps
466.56Mbps
622.08Mbps
933.12Mbps
1,244.16Mbps
1,866.24Mbps
2,488.32Mbps
9,953.28Mbps
50 Mbps 以下では,北米+日本と欧州の間では互換性がない。
(3)PDHの多重化装置
(SDHを話す前に)
伝送装置の概念的構成
信
号
信
号
信
号
符
号
化
装
置
時
分
割
多
重
変
換
装
置
多重化
信
号
信
号
信
号
送信側
符
号
化
装
置
多重化
時
分
割
多
重
変
換
装
置
端
局
中
継
装
置
伝送媒体
再
生
中
継
装
置
伝送媒体
端
局
中
継
装
置
時 分離
分
割
多
復
重
号
変
化
換
装
装
置
置
信
号
信
号
時 分離
分
割
多
複
重
合
変
化
換
装
装
置
置
信
号
信
号
信
号
信
号
受信側
PDHのハイアラーキ
(ディジタルハイアラーキ)
同軸ケーブル
光ファイバケーブル
F-400M端局中継装置
DC-400M端局中継装置
5次群
397.200Mbps
(5,760CH)
DM-45形多重化装置
1
4次群
97.728Mbps
(1,440CH)
光ファイバケーブル
F-100M端局中継装置
1
1
光ファイバケーブル
F-32M端局中継装置
3
DM-23形多重化装置
2次群
6.312Mbps
(96CH)
5
ディジタル
交換機
同期端局装置
DM-12形多重化装置
1次群
1.5444Mbps
(24CH)
1
1 ・・・・・・・・・・
24
光ファイバケーブル
F-6M端局中継装置
平衡対ケーブル
PCM-24端局装置
4
PCM-24端局装置
各4kHz
DC-100M端局中継装置
4
DM-34形多重化装置
3次群
32.064Mbps
(480CH)
同軸ケーブル
DM-01多重化装置
1 ・・・・・・・・・・
各64kHz
24
(4)SDHの多重化装置
(a) 同期網インターフェース
STN- N のN は,4N となる。すなわち,4,16,64となる。
STM-N
155.52×N Mbps
×N
STM-1
155.52 Mbps
×1
VC-4
2,349 TS
H4
H22
8 Mbps
2 Mbps
×4
VC-31
582 TS
×3
VC-32
756 TS
×4
VC-22
143 TS
×7
VC-21
107 TS
6.3 Mbps
×4
VC-11
26 TS
1.5 Mbps
×4
×3
VC-12
35 TS
H12
×5
H11
H22
(b) SDHにおけるポインタによる多重化方式
125μ秒ごとのフレーム同期をとるとき,伝送フレームの時間位相と
多重化情報のフレーム時間位相との差を,タイムスロットの
相対的なアドレス位置をポインタで示す。ポインタは AU ポインタ (AUPTR)と呼ばれる。
1
STM-0
Nフレーム
1
90
RSOH
RSOH
AUPTR
AUPTR
MSOH
STM-0
Nフレーム
VC-3
Nフレーム
AUPTR
MSOH
SOH(9バイト) AUPTR=0 のとき
P
MSOH
VC-3
Nフレーム
RSOH
RSOH
STM-0
N+1フレーム
90
STM-0
N+1フレーム
AUPTR
MSOH
SOH(9バイト) AUPTR≠0のとき
SOH:Section Over Head,AUPTR:AU Pointer,POH:Path Over Head
ポインタによる多重化方式の特徴
① ポインタによる同期多重化は,フレーム位相同期方式に比べて
回路を単純化できるので,装置小型化,低消費電力化が可能である。
② 演算回路簡易化により処理遅延時間も短縮を図ることができ,
メモリ容量も抑えることができる。
③ クロックのマスタ周波数がずれても伝送可能である(周波数同期機能)。
④ NNIフレームの位相位置とバーチャルコンテナの先頭位置との差を
ポインタアドレスで示すことにより,
アドレスカウントの処理時間分だけの遅延に
短縮化することができる(位相同期機能)。
(c) SDHのハイアラーキ
ハイアラーキと端局設備との関係を示す。
光
F-400方式
光
F-100方式
光
F-32方式
光
F-6方式
光
光
光
光
CTF
F-400M
LT
400M
D5DF
11G-100M方式
15G-D2方式
52M/
156M
400M
DM45
MUX
4 D4DF
156M/
622M
52M/156M 52M/156M
100M
52M/
156M
100M
DM34
MUX
3 D3DF
DM32
MUX
32M
32M
PCM-24B
DP-1.5M
6.3M
1.5M
1.5M
6.3M
E/0 CONV
PCM
#2SLT
MUX
スーパ
ディジタル
#1ISLT
SL-3.2K
1.5M
6.3M
PCM
MUX
スーパ
ディジタル光
8M/2M
1.5M
PCM
MUX
64K
64K
64K
1.5M
PCM
REP
1.5M
1.5M
VDF
F-6M
LT
6.3M
100M
90M
DDMDDM1000C
1000B
6.3M
6.3M
100M
ADP
52M×2
90M
DDM1000C
6.3M
モジュール
B
52M/ 52M/
156M 156M
モジュール
C/D1
52M
6.3M
6.3M
DM12
MUX
4 D1DF
DF
32M
DM23
MUX
5 D2DF
モジュール
A
TA
F-100MLT
100M
100M
R-LT
64K
64K
SDSW
D-10
1.5M
6.3M
TDSW
D-70
8M1MVDF
8M
2M
(モジュールD1のときなし)
M20
2M
2M1MVDF
1.5M
8M
2M-1MVD
TDSW
D-60
TDSW
D-70
SDH装置の特徴
① 装置内の多重化回路等はすべて予備を持ち,故障時には自動的に切り替えられるの
で装置故障によってサービスを中断する必要がない。
② 局内インターフェースでは,インターフェースパッケージとケーブルの予備を持つよう構
成されているので,サービス中断なしに運用中に局内構成変更が可能である。
③ フレーム内のオーバーヘッドビットによって装置間や中継器間の故障箇所を判別する
ことができる。
④ 主信号の空き時間を利用して装置内監視信号によるパスチェックやメモリのパリティ
チェック等を装置内で常時監視しているので,警報ランプ等により故障パッケージを特
定できる。
④ 試験信号の発生回路や検出回路を装置内に内蔵させ,外部からの制御により試験可
能である.したがって運用・保守時の測定器が不要である。
⑤ 低架構造キャビネットによる装置実装であるため建設工事時間の短縮が可能である。
4.4.4 光伝送方式
(1)多重化方式
従来のSONETでは時分割多重であるが,
光ファイバ伝送でも周波数分割多重方式が適用される。
光ファイバの場合,特徴的な多重方式は波長多重化方式である.
(a) 光周波数分割多重
(b) 光波長分割多重
(a)光周波数分割多重
光ファイバ上で,異なる周波数の光信号チャネルを多重化する方式。
光FDM(OFDM:Optical Frequency Division Multiplexing)
とも呼ばれる。
光周波数分割多重では,
受信信号を電気信号に変換した後でチャネルを分離する。
(b)光波長分割多重
光ファイバ上で,複数の異なる波長のデータを多重化する方式。
単に波長分割多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)とも呼ばれる。
光波長分割多重では,異なる波長の複数の光ビームを
搬送波として用いるので,
送信側に光合波器,受信側に光分波器が必要となる。
光FDMとの違いは,光信号の段階で多重チャネルを分離し,
それぞれを電気信号に変換する点である.
多重化する波長数(その1)
① 2波長WDM(2波):two wavelength WDM
・ 1,300 nm 帯と1,500 nm 帯の2つの波長を使用。
・ 波長間隔が200 nm と広いので,送信側の発振周波数制御を
行う必要がなく,合波分波器を簡略化可能である。
・ 双方向伝送または短距離での2種類信号を
多重伝送する際に有効である.
② WWDM(4波~10波)Wide wavelength WDM
・ 波長間隔を10 nm 程度として4~10波程度を多重化する。
・ 比較的,波長間隔が広いので温度補償回路が省略可能であり,
比較的安いコストでWDMを構築可能である。
・ 10 Gbit イーサネットで採用されている。
8 波程度を多重化するWDMを,特にCWDM(Coarse WDM)として
区別して呼ぶこともある
多重化する波長数(その2)
③ DWDM(16波以上)
・ 周波数間隔を 50 GHz (波長約 0.4 nm)の整数倍とし,数十~数百波程
度の光信号を高密度で多重伝送。
・ 最大の多重波数は,送信機の周波数間隔,
光アンプの利得帯域幅で制限される。
・ 最小周波数間隔は 50 GHz,現時点における光アンプ利得帯域幅は
最大 8 THz であるため,最大多重波数は 160 程度である。
DWDMを実現するためには,自動偏光制御技術,波長偏光分離技術,
高速光受信機等の技術が必要である.
④ スーパDWDM
・ DWDMの多重化をさらに進め,1,000 波以上の多重化を可能にする。
スーパDWDMを実現するために,損失が低い1,300~1,600 nm 帯を
全て使用して波長多重すること,光アンプの利得帯域幅の拡大等が
求められている.
(2)光信号の種類
① 強度変調伝送
信号を,光の強弱で表現して伝送。
② 光コヒーレント伝送
・ 光の振幅,周波数,位相の変化で光信号を表現して伝送。
・ コヒーレント光とは,単一の波長・周波数,かつ位相が時間的・空間的に
揃った光であり,レーザ光がその代表例である。
③ 光ソリトン通信
・ 短いパルスの光信号で伝送。
・ パルスのオン/オフが信号であるため,パルス形状を維持する必要があり,
光の分散と自己位相変調によるパルス広がりをバランスさせる必要がある。
・長距離伝送ではパルスが減衰するので,中継器で光増幅を行う必要がある。
(3)接続方式
(a)ピアモデル
光ネットワーク同士を相互に接続して,経路情報を交換しながら
経路制御を行う方式。
ピアモデルでは,すべての機器が対等であり,一元的な機器制御が可能である。
光ネットワーク
GMPLS
ルータ
光クロス
コネクト
スイッチ
光ネットワーク
光ネットワーク
GMPLS
ルータ
光クロス
コネクト
スイッチ
GMPLS
ルータ
GMPLS
NNI
光パス
光クロス
コネクト
スイッチ
ピアモデルにおけるプロトコル
経路情報の交換と制御は,
パケット多重方式のMPLSに対して,時分割多重やWDMも可能するよう拡張した
GMPLS(Generalized Multi Protocol Label Switching)にしたがって行われる。
GMPLSはラベル情報を基にして
波長単位で光信号のスイッチングを行う方式である。
特に光信号の波長を経路制御情報として用いる方式は
MPλS(Multi Protocol λ Switching)と呼ばれ,GMPLSと区別される。
(b) オーバレイモデル
ONI(Optical Internetworking Forum)
O-UNI(Optical User Network Interface)
既存ネットワークを光ネットワークに接続して利用する方式。
仕様としては,ONIで仕様策定されているO-UNIがある。
光ネットワーク
既存
ネットワーク
コア
ノード
ユーザ側
ルータ
光パス
O-UNI
パス設定要求
コア
コア
ノード
ノード
ネットワーク内
パス設定要求
でパスを設定
既存
ネットワーク
ユーザ側
ルータ
O-UNI
接続時にユーザ側ネットワークからパス設定要求を出し,
パス設定はネットワーク内で行われ,パス情報はユーザ側からは見えない。
すなわちブラックボックスとなる。
逆に言うと,ユーザ側でパス情報を意識する必要はない.
(c) 光加入者系システム
光信号伝送装置(OLT:Optical Line Terminal)
における接続
OSU(Optical Subscriber Unit)
FTTH(Fiber to the Home)
ONU(Optical Network Unit)
加入者網を光ファイバで構築するシステムを光加入者系システムと呼び,
NTTでは FTTH を基本として光加入者系システムを構築してきている。
加入者線収容局
ユーザ宅
メディア
コンバータ
OLU
OLT
OSU
光ファイバ
幹線網
多
重
化
装
置
OSU
ユーザ宅
OLU
・
・
・
OSU
メディア
コンバータ
・
・
・
ユーザ宅
OLU
メディア
コンバータ
MEMS(Micro Electro Mechanical System)
(3)光スイッチ
WDMの波長多重化とその高速化とともに,光信号を電気信号に変換せずに,
光信号の伝送方向を切り替えることが可能な光スイッチ素子が
提供されるようになってきている。
[光スイッチの分類]
① 空間伝搬型
マイクロミラーを用いる方法であり,MEMSスイッチとも呼ばれる。
その配列方法から2Dマイクロミラー型と3Dマイクロミラー型に
細分することができる.
② 導波路型
光信号を導波路に導きその信号の行先を変えるタイプ。
・ 磁化被覆ファイバを直接駆動するファイバ駆動型
・ 熱光学的な現象を応用した Mach-Zdhnder 干渉型
(あるいは熱光学型とも呼ばれる)
・ 泡の発生や移動によって反射を変えるバブル型
光スイッチの色々
(それぞれの原理については,他のテキスト参照。ここでは概要のみにとどめる)
① MEMSスイッチ
電気的な力で微小ミラーを動かすことによって光の方向を変える光スイッチ。
② ファイバ駆動型スイッチ
磁化被覆ファイバを電磁石で動かす光スイッチ.
③ 熱光学型スイッチ
光カブラ内の進行方向による位相差,温度により媒体内の光の速度が
変わることを利用したスイッチ。Mach-Zehnder 干渉計型スイッチとも呼ばれる。
④ 全反射型スイッチ
屈折率がほぼ同じ場合,全反射は起こらず,屈折率が非常に小さい場合,
全反射がおきることを利用した光スイッチ。
通常,泡が使用されるのでバブル型とも呼ばれる。
⑤ 多重量子井戸中のサブバンド間遷移を利用した光スイッチ
半導体量子井戸に形成されるサブバンド間遷移を利用した光スイッチであり,
今後の期待が持たれている。
⑥ 光ファイバの非線形光学効果を用いた光スイッチ
高非線形ファイバによる光パラメトリック増幅と偏光回転を利用したスイッチ。
今後の期待が持たれている。
4.4.5 光端局装置(バックボーンネットワーク系)
(1)多重化信号の光ファイバ中継
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)
アバランシェフォトダイオード(APD:Avalanche Photodiote)
[送信側]
① 多重変換装置からのバイポーラ信号をユニポーラ信号に変換(B-U変換)する。
② 出力レベルを調整してLEDや半導体レーザによって輝度変調された光信号に
変換する。
③ 光合波分波器で他の光端局中継装置からの信号と合流させて多重化し,
光ファイバ伝送路に送出する。
[受信側]
① 光ファイバからの信号を光合波分波器によって分波することによって,
自局宛の光信号を取り出す。
② APD により電気信号に変換する.
③ ディジタル電気信号における再生中継器と同様の処理により
ユニポーラ信号に変換する。
④ 多重変換装置の入力符号であるバイポーラ信号に変換した後,
多重変換装置に送付する。
中継の様子
多重化信号の光ファイバ中継
B-U
変換
多
重
変
換
装
置
駆動
回路
・
・
・
出力レベル制御
送信側
多
重
変
換
装
置
LD
受信符号
処理
識別
再生
等化
増幅
APD
・
・
・
受信側
タイミング
自動利得
制御増幅
光
合
波
分
波
器
光
合
波
分
波
器
光
フ
ァ
イ
バ
伝
送
路
(2)光パスネットワークにおける機能ブロック構成
データ系の光パスネットワークでは,光クロスコネクト装置が
中心的な役割を果たす。以下に概念的な機能ブロックの階層を示す。
光クロスコネクション
光チャネル
コネクション
光チャネル終端
光多重セクション
アダプテーション
波長分波,
光増幅
光多重セクション セクション
切替え
切替え
・・・
・・・
波長合波
分配
光多重セクション
終端
光中継セクション
終端
分散保障
光増幅
光増幅
光パスクロスコネクト装置
① 光パスクロスコネクト装置では,通常4本以上の光ファイバが接続され,
増幅された後,まず各波長ごとに分波される。
② 分波された光は,経路を振り分けられて合波される。
③ 最後に増幅されて,光ファイバに出力され,次の端局装置に引き渡される。
光パスに対する波長割り当て方法
① WP(Wavelength Path)方式
送受信間の端局装置の光パスに対して固定された波長を割り当てる方式。
② VWP (Virtual Wavelength Path)方式
割り当てる波長を必要に応じて変化させる方式。
WP方式に比べて,VWP方式のほうがネットワークリソースの有効利用が
可能であると考えられるが,現状では小型化やコストを下げることが難しい。
WP方式による構成例
WP方式では,別の光ファイバからの同一波長の光信号が
同一の光ファイバに出力されないよう光パス収容管理が行われる。
構成例では,波長ごとに k × k ( k :光ファイバ数)個の空間スイッチを挿入して,
信号衝突を回避している。
λ1~λn
光分波器
光増幅器
1
・
・
λ1~λn
2
・
・
・
・
・
k
λ1~λn
光中継
セクション
・
・
・
光送信/受信器
光合波器
λ1
光増幅器
λ1
λ2
λn
λ2
・
・λn
λ1
λ1
λ1
λ2
λ2
・
・ λn
λ2
λn
λ1
・
・
空間光スイッチ
λ1
・
・
・
・
・
(λ2)
・
・
λ2
λn
・
・λn
・
・
(λ3)
光チャネル
光多重セクション
・
・
・
・
・
・
・
λ1
λ2
(λ1)
λ2
・
λn ・
・
・
・
λ2
・
・
λn ・
光多重
セクション
1
λ1~λn
λn ・
・
λ1
・
・
・
λ1~λn
2
・
・
・
λ1~λn
k
光中継
セクション
通常1~2本の光ファイバで各端局装置を接続し,
各端局装置で必要な光信号を分岐させて取り出したり,
送信する光信号を挿入する操作を行う。
ネットワーク構成や信号処理が単純であるため
効率的なネットワークシステムを構築することができる 。
ネットワークオペレーション
(3)光ADM装置
インターフェース部
光 デ バ イ ス 制 御 回 路
監視信号
受信部
λSV
λ1~λn
λ1
光SW
光増幅器
分
分散
保障器
波
器
光スペクトラム
モニタ
λ2
光SW
λ3
合
・
・
・
λn
・ 波
・
・ 器
光可変減衰器
分岐・挿入(Add/Drop)用
光送信器/受信器
監視信号
送信部
光増幅器
λSV
λ1 ~
λn
光ADM装置に必要な機能
① 波長多重信号の挿入・分岐(Add/Drop)
② 波長多重信号の一括増幅
③ 波長多重信号の監視(スペクトルモニタ)
④ 監視信号の送受信
固定波長型と任意波長型
光ADM装置も,以下のように分類できる。
① 固定波長型
各端局装置が挿入・分岐する波長をあらかじめ決めておく。
② 任意波長型
挿入・分岐する波長を任意に切り替える。
固定波長型は光増幅器と合分波器で構成できるので小型化が可能であるが,
任意波長型では,波長可変光源やチューナブルフフィルタ等が必要となる。
ただし,トラフィックの増減により波長を動的に変えることができるので,
柔軟なネットワーク運用が可能となると考えられる.
4.4.6 光中継伝送装置
(1)光中継伝送モデル
SDHにおける光ファイバ端局接続モデル
パス
端局セクション
中継
セクション
光パス
光
パ
ス
終
端
装
置
中継
セクション
端
局
セ
ク
シ
ョ
ン
終
端
装
置
中継
セクション
中
継
セ
ク
シ
ョ
ン
終
端
装
置
中継
セクション
中
継
セ
ク
シ
ョ
ン
終
端
装
置
端
局
セ
ク
シ
ョ
ン
終
端
装
置
中継
セクション
光
パ
ス
終
端
装
置
光パス
(2)再生型中継装置の構成例
いったん,光・電気変換を行い,電気信号として等価増幅,識別再生,
リタイミングにより,波形生成した後,電気・光変換を行う。
電気→光変換部
ディジタル信号
入力
光→電気変換部
光ファイバ
A
P
D
前置
増幅
回路
等化増幅
回路
自動利得
制御ループ
入力
光コネクタ
バイアス電圧
発生回路
識別再生
回路
利得
制御
電圧
AGC用
増幅回路
ピーク電圧
検出回路
パルス
電流駆動
回路
光ファイバ
L
D
光
バイアス
電流駆動
回路
出力
安定化
ループ
タイミング
抽出回路
出力
コネクタ
受
光
素
子
-
電圧比較器
+
監視回
路
基準電圧
介在対
監視
出力端子
(3)光増幅による中継装置の構成
電気信号に変換しないまま中継する方式も導入されてきている。
ただし,以下の例は,光増幅機能だけを持つ。
① 光アイソレータは,信号の多重反射を防止する機能を持つ。
② 光フィルタは,自然放出増幅光のうち信号光波長近傍以外の
雑音成分を除去するために用いられる。
③ 励起光源としては,一般に波長1.48μmあるいは0.98μmの
半導体レーザが用いられている。
入力信号
光
EDF
光アイソ
レータ
光アイソ
レータ
合波器
励起光
励起
光源
出力信号
光
光
フィルタ
(4)光増幅器の種類
種類
増幅媒体
原理
光
ファイバ
増幅器
Er ドープ
光ファイバ
非線形
光ファイバ
半導体
レーザ
反転
分布
誘導ラマン
効果
反転分布
半導体
レーザ
増幅器
励起
光
光
電気
ポンプ光
の大きさ
数~
数10mW
数100mW~
数W
数100mW
サイズ
数~
数10m
数km
0.3 mm
雑音
特性
〇
安定性 偏波
依存
〇
なし
○
○
大
×
×
大
(5)端局設備の省略
① 端局設備や中継設備は,一旦受信した情報を増幅したり,
波形の整形等を行って長距離伝送を可能とするものである。
② 大容量・超高速なバックボーンネットワークが要求されるにしたがって,
この部分の処理時間は無視できないようになってきた。
ATM交換設備やSDH端局設備を介せず伝送することで,
テラビットレベルの超高速化の実証実験を行う試みも行われている。
これらの実験では,端局設備を介さないことで伝送コストを下げることも
視野に入れて実験が行われている.
地域 IP ネットワークは現フレッツISDN用として
都道府県別に構築されたものである。
FTTHなどのバックボーンとして利用されている。
SS7
加入者
収容
交換機
地域系
通信事業者 中継
交換機
PSTN
SS7
GW
MGW
4.4.7 バックボーンとしての
IPネットワーク
中継事業者
IPネットワーク
SS7
GW
コア
ノード
コア
ノード
ソフト
スイッチ
FTTH
ソフト
スイッチ
ONU
MGW
SS7
地域系
中継 通信事業者
交換機
PSTN
ONU
FTTH
Cable
Modem
CATV
地域IPネットワーク
CATV
xDSL
Cable
Modem
xDSL
Modem
コア
ノード
メディア
サーバ
コア
ノード
アプリケーシ
ョンサーバ
xDSL
Modem
xDSL
加入者
収容
交換機