日系中小企業のあり方 ~ボーングローバルモデル

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日系中小企業のあり方
〜ボーングローバルモデル(BGC)〜
名古屋市立大学 板倉ゼミ 3年
尾関宏紀 青木梨花子 川井万葉
調郁奈 原丈治 吉村美記
アウトライン
1
• 現状分析
2
• 問題意識
3
• 先行研究
4 • 本稿の位置づけ
5 • 分析
6
• 提言
中小企業特徴
定義
製造業・建設業など
資本金3億円以下又は従業員数300人以下の会社又は個人
卸売業
資本金1億円以下又は従業員数100人以下の会社又は個人
小売業
資本金5000万円以下又は従業員数50人以下の会社又は個人
サービス業
資本金5000万円以下又は従業員数100人以下の会社又は個人
国内市場の中小企業の数・・・99,7%
従業員数・・・・・・・・・・・・・・・・・70%以上
付加価値額(製造業)・・・・・・・50%以上
中小企業は日本経済の貴重な担い手!
中小企業支援策
◆金融・・・・・・・中小企業海外展開総合支援事業(32億円)
海外展開事業化・研究支援事業(20億円)
◆資源・・・・・・・相談窓口設置
◆情報提供・・・JETROによる支援、専門家の派遣、
セミナーの開催、異業種交流会など
企業が支援策の存在を知らない
支援策利用の要件を理解していない
企業利益へのプラス要因
資料出所:中小企業庁
資料出所:中小企業庁外部環境の変化の見極めより筆者作成
外部環境の変化の見極めより筆者作成
市場の拡大+ニッチ市場→経常利益の増加
ニッチ市場を狙えば35.7%の企業の経常利益が増加
市場の拡大により54.1%の企業の経常利益が増加
→グローバル市場で物事を選択
企業が国を選ぶ要因
人口
GDP
だけではない
人脈
商慣行
親日性
他の国と
のつなが
り
技術・特
許の保護
海外市場の分析
問題意識
ボーングローバルモデルは中小企業の
生存・持続成長に有効なモデルなのか
BGC(ボーングローバルカンパニー)が進
出する国の選択をどのように行っている
か
先行研究
・BGCの定義;Knight & Cavusgil(1996)
「創業と同時にあるいはその後2,3年以内に国際事業を
展開するベンチャービジネスまたは中小企業」
「母国市場外で売上高の少なくとも25%以上の売上を
記録している企業」
ベンチャー企業の分類;藤澤武史(2005)
• ベンチャー企業
「ボーングローバル・急進的国際派・漸次的国際派」
革新度
ボ
ー
ン
グ
ロ
ー
バ
ル
グローバルニッチ戦略
提携範囲
大企業とのネットワーク
人脈ネットワーク
・企業分類;高井透・神田良(2012)
海外展開の度合い
事
業
の 低
成
熟 高
度
低
高
国内中心のベンチャー
ボーングローバルカンパニー
国内中心の大企業
多国籍企業
・BGCの持続的競争優位;中村久人(2013)
①VRIOの要素と他の経営資源、ケイパビリティ
②国際的起業家精神アプローチ:優秀な人材集め
③メタナショナル経営論:グローバル規模で優位性を獲得しようとする経営
・日本ボーングローバルの優位性;時岡章一(2012)
本稿の位置づけ
BGC再定義
買収、提携、事業転換といった外部要因がなく、創業後5年以内に海
外に進出している中小企業
BGCの利益の効果を数値で表す
BGCとBGC以外の海外進出企業とで比較する
アプローチ方法
1.日本に既存するBGCにヒアリング
2.インドネシア、シンガポールにてBGC企業、政府機関訪問
分析概要
分析① BGCの利益における優位性の検証
分析② 企業の進出国傾向
分析①の流れ
• 被説明変数Y(企業の純利益の成長率)を複
数の説明変数x₁,x₂…によって説明する重回
帰分析を用い検証
• 分析の結果から、それぞれの変数の係数とt
値に基づき優位性を考察
企業グループ概念図
海外進出している
企業全体のこと
海外進出企業
BGC
非BGC
買収、提携、事業転換
といった外部要因がな
く、創業後5年以降に
海外に進出している
中小企業
データ選択
東洋経済新報社「海外進出企業総覧2014」に掲
載され、かつ説明変数となる要因のデータ収集が
可能であった企業
• BGCに該当する企業11社
• 非BGCに該当する企業13社
計24社を対象とする。
※全て設立から5年と10年におけるデータを使用
変数選択とモデル式
モデル式
Y=α₀+β₁X₁+β₂X₂+β₃X₃+γ₁D₁+γ₂D₂+γ₃D₃+ε
変数名
Y:純利益の設立から5年~10年の成長率(%)
X₁:売上の設立から5年~10年の成長率(%)
X₂:従業員の設立から5年~10年の成長率(%)
X₃:資本金の設立から5年~10年の成長率(%)
D₁:BGCダミー(BGCを1、非BGCを0とする)
D₂:アジア進出ダミー(アジア進出企業を1、その他の企業を0とする)
D₃:サービス業ダミー(サービス業である企業を1、他業種である企業を0とする)
分析①の推定結果
変数
係数
t値
切片
-1061.3
-1.38861
売上
3.068115 *
1.677495
従業員
0.252578
0.114543
資本金
-0.45992
-1.1331
BGCダミー
750.1935 *
アジア進出ダミー
606.7449
1.14704
サービス業ダミー
387.1733
0.630796
1.408223
観測数=24 補正R²=0.087101
* :20%水準で有意
(筆者作成)
分析①の考察
• 純利益=売上-従業員-資本金
↑
正
↑
↑
正
負
従業員に関しては期待される符号とは
異なる結果になった
• 純利益の成長率に対し
BGCであること→効果的
アジアに進出していること→効果的?
サービス業であること→効果的?
分析②の流れ
• BGCの海外進出国の傾向を見るため、進出
先を非BGCと比較
• 結果より進出先としての決定要因を考察
データ選択
東洋経済新報社「海外進出企業総覧2014」に
掲載されていた企業
• BGCに該当する企業50社
• 非BGCに該当する企業50社
計100社を対象とする。
※一社につき複数の進出先がある場合にはそ
の全てを計上
企業の海外進出国ランキング
BGC海外進出国内訳(2014年現在)
非BGC海外進出国内訳(2014年現在)
順位
国
企業数
順位
国
企業数
1
中国
25
1
中国
29
2
アメリカ
24
2
アメリカ
18
3
韓国
11
3
韓国
14
4
シンガポール
9
4
シンガポール
13
5
タイ
8
4
香港
13
5
イギリス
8
5
タイ
11
7
台湾
7
7
台湾
8
7
ドイツ
7
8
イギリス
7
9
香港
6
9
ベトナム
4
10
オーストラリア
4
9
インドネシア
4
(筆者作成)
BGC海外進出国内訳(2014年現在)
順位
国
1
中国
非BGC海外進出国内訳(2014年現在)
企業数
順位
国
分析②の考察
25
1
中国
企業数
29
2
24
2
18
アメリカ
アメリカ
BGC非BGC共に上位3か国は中国・アメリカ・韓国
3
11
3
14
韓国
韓国
4
シンガポール
9
4
シンガポール
13
5
タイ
8
既に飽和した巨大な市場
4
13
香港
5
イギリス
8
5
タイ
11
7
7
7
8
台湾
台湾
※1990年代創業の企業を中心に指標として用いた
7
7
8
7
ドイツ
イギリス
ためであると考えられる
9
6
9
4
香港
ベトナム
10
オーストラリア
4
9
インドネシア
4
今後狙い目とされる進出国シンガポールに着目
海外進出しやすい環境
成長性の高い市場
シンガポールの優位性
• ビジネスのしやすさ
・・・Doing Business ランキング1位、英語環境
• 優遇措置
・・・助成金
• ハブとしてのシンガポール
・・・金融のハブ、ビジネスのハブ、仲介貿易のハブ
ハブの特徴
①税制上の優位
法人税
キャピタルゲイン
優遇税制
企業
退却
売却益
(キャピタルゲイン)
非課税
退却
退却
しやすい
ハブの特徴
②アクセスのしやすさ
• 湾岸施設の充実
• 空港の利便性
ASEANの
中心
ハブの特徴
③多くの国とFTAを結んでいる
④金融機関多数、外国為替取引高3位
↓
資金調達拠点
⑤国際コンベンション開催数1位
↓
マッチングが容易
提言
BGCは海外進出している中小企業の中で、
利益率の成長率が高い可能性がある
早期の進出国の選択においては、「ハブ
拠点」となりうる場所を選択する
国
国
国
情報・資源
法人・資源
BGC
国
日
本
法人・資源
情報・資源
ハブ拠点
国
情報・資源
法人・資源
国
法人・資源
情報・資源
国
国
国
筆者作成