惑星の進化破局的事変の重要性と定向進化の問題

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第17章 惑星の進化
破局的事変と定向進化の問題
Phanerozoic Era: Beginning 0.54 Ga
カンブリア紀
• 約5億4,200万年前〜約4億
8,830万年前.古生代の最初
の紀
• 顕生代初期の典型的なカンブ
リア紀動物は,クラゲや海綿
のような無脊椎動物,および
三葉虫
• 現存する無脊椎動物のすべて
のグループは,カンブリア爆発
およびオルドビス紀初期の間
に発達した
デボン紀
• 古生代の中ごろ,シルル紀の
後,石炭紀の前.約4億1,600
万年前から約3億5,920万年前
まで
• 陸上植物は,シルル紀に初め
て発達した.大量絶滅が,デボ
ン紀と石炭紀を分けている.石
炭紀には,陸上植物が大繁殖
し,爬虫類が初めて現れた
白亜紀
• 約1億4,500万年前から6,600万年前.ジュラ紀の次,中生代の最後の紀
• 巨大な爬虫類である恐竜が,地球の食物連鎖の頂点を支配した
• 中生代も,また大量絶滅で終わった.それは中生代と新生代の境界であ
る.中生代末の絶滅は,恐竜,および陸と海のその他の主な化石生物の
グループを消滅させた
• その後,属の数は急速に回復し,より大きな生物多様性が生じた.新し
い生物群集と食物連鎖は,新興の哺乳類に支配された.哺乳類は,中
生代には小さなニッチ生物であり,爬虫類の支配する生態系に隠れるよ
うに生息していた
大量絶滅
• 大量絶滅の重要な点は,その
後により急速な進化的変化を
もたらすこと.絶滅事変は,属
の数の大きな減少を引きおこ
した.その後,属の多様性は,
最も急速に成長した
• 生態系空間の一掃は,新しい
進化的適応が興隆することを
可能にする
– 生態学的な安定性がある場
合には,優占する生物が生態
系を支配し,遺伝上の革新が
定着する余地はほとんどない
海洋動物の属数の変化.Cmはカンブリア型動
物,Pzは古生代型動物,Mdは現代型動物.カン
ブリア紀に特徴的な動物群は,ペルム紀-三畳紀
境界(古生代-中生代境界)で永久に絶滅した.
– 大量絶滅によって,生態学
ニッチが空になると,新しい形
態の生物が現れる機会がで
きる.より多くの遺伝的変動の
発現が可能となる
白亜紀-第三紀境界の大量絶滅
• 約6,550万年前.中生代と新生代の間の白亜紀-第三紀境界
• 属のおよそ50%が消滅した.恐竜の消滅
• 100万年より短いタイムスケールで起こった
白亜紀-第三紀境界の隕石衝突
•
•
イリジウムはK-T境界において著しく高濃度
K-T境界における隕石衝突仮説は,チクシュルー
ブ衝突クレーターの発見により事実となった
•
クレーターはメキシコのユカタン半島にあり,その
年代は境界と正確に一致する
•
フロリダ沖の堆積物の掘削によって,イリジウム
異常と同時に起こった巨大津波の証拠,海洋生
物種の突然の変化,さらに衝撃石英およびテクタ
イトがあきらかにされた
白亜紀-第三紀境界の洪水玄武岩
•
K-T境界をまたぐ数十万年以内に,洪水玄武岩地域がインドに現れた.デカンプ
ルームの最初の噴出は,数百万km3の玄武岩をつくった(デカントラップ).それか
ら続くホットスポットは,現在もレユニオン島で活動している.この事変は,数十万
年もの間地上の火山噴出物量を2倍以上にするほど大きかったので,全球の生
物にきわめて深刻な環境影響をおよぼした可能性がある.しかし,火山活動仮説
は,イリジウムの証拠を簡単に説明できない
•
洪水玄武岩の噴出が全球の生物圏にストレスを与え,この危機のさなかに衝突
が決定的な一撃をもたらした?
ペルム紀-三畳紀境界の大量絶滅
• 約2億5,100万年前の古生代と中生代の境界.古生物学上最大級の大量
絶滅が発生した.属の80%が消滅
• 原因はおよそ1,000万年の間隔をおいて起こった2つの洪水玄武岩事変
• 古い方の事変は,中国西部の峨眉山トラップの形成と一致する.若い方
の事変は,顕生代の地質記録において最大の火山噴出.それは,短期
間に2  106 km3以上の溶岩を含むシベリアトラップを形成した
ペルム紀-三畳紀境界の洪水玄武岩
•
ペルム紀末の絶滅は,海洋の炭素同位体組成の顕著な変化を示す.炭素同位
体の結果は,大量の有機炭素が大気と海洋に加えられたことを示す
– 隕石は,海洋の炭素収支に影響をおよぼすほど大量の炭素を含まない.また,隕石の炭素
は,変化に必要な同位体組成を持っていない
•
シベリアトラップは,石炭に富む堆積層を貫いて噴出した.石炭は,植物から生成
され,軽い炭素同位体組成を持つ.さらに,石炭の燃焼は,大量のCO2を放出し,
全球の温暖化と海洋の酸性化を含む大きな影響をおよぼした
洪水玄武岩,隕石衝突と大量絶滅
• 大量絶滅との年代の一致は,衝突よ
りも火山活動の方が有意によい
• K-T境界を例外として,巨大な火山噴
出は環境と生物に対してより長期に
わたる影響をおよぼすらしい
• 最大の大量絶滅を引きおこしたキ
ラー・プルームは,磁場反転のない長
い期間の後に起こった? コア-マント
ル相互作用が地球表面での生物進化
における大事変と関連している?
• 地質記録には,大量絶滅と関係のな
い隕石衝突および洪水玄武岩事変も
ある.生物圏はかなり頑丈であるので,
破局的絶滅を引きおこすには,「ワン
ツーパンチ」が必要?
惑星進化の原理
知的生命の出現
生物の陸上進出
水生の多細胞生
物の出現
単細胞真核生物
の多様化
原核生物の多様
化
• 進化の定向性
– 関係と複雑さの増加
– エネルギー利用効率の増加
– 生態系空間の拡大
進化の定向性
• 個々のDNAの突然変異には,定向性は
ない
• より多くのエネルギーを利用できる生物
が有利であるならば,エネルギー利用
を増大させる定向的変化が必然となる
• 複雑なネットワークとフィードバックに
よってシステムの安定性が増大するな
らば,そのような変化も好まれる
• 肉食動物と獲物の争いにおいて,両者
の脳のサイズは大きくなった.より大き
な脳には,進化的な利点がある
• 定向性は,選択上の有利さから現れる.
分子レベルの変化がランダムであって
も,進化は定向性を持つ
肉食動物とその獲物の脳のサイズの増加
• 将来を配慮し,道具と燃料を用いてエ
ネルギー利用を増大し,言語を利用す
る種は,競争においてきわめて有利
– 知的生命の出現は,惑星進化の自然な
結果である