埴岡 隆 - 日本禁煙推進医師歯科医師連盟

Download Report

Transcript 埴岡 隆 - 日本禁煙推進医師歯科医師連盟

受動喫煙は子どものう蝕の
原因となるか?
系統的レビュー
第20回日本禁煙推進医師歯科医師連盟
学術総会平成23年2月11日(祝)
埴岡 隆 福岡歯科大学口腔保健学講座
小島美樹 大阪大学大学院歯学研究科
田中景子 福岡大学医学部公衆衛生学教室
禁
煙
は
愛
で
す
1
背景・目的・方法
う蝕は若年者で多いため、時間性
が明確な「受動喫煙は子どものう
蝕進行に影響するか?」を検討
MEDLINE、う蝕経験、曝露=血清
コチニン、同居者(親)喫煙、妊婦
喫煙(胎内曝露)
抽出:通法による(交絡要因配慮)
禁
煙
は
愛
で
す
2
論文の質・因果関係
Newcastle-Ottawa Scale (NOS)
①選択4点②比較2点③曝露/アウトカ
ム3点9点中7点以上を高い質
因果関係3基準
①関連の強さ、②量ー反応関係、③禁禁
煙
煙による影響
は
愛
で
①研究の質、②結果の一貫性、③研究す
エビデンスの統合
デザイン(コホート研究重視)
3
結果(文献数)
①文献検索
42論文
②第一次スクリーニング(表題、要約、キーワード)
20論文除外
22論文
③第二次スクリーニング(全文抄読)
7論文除外 6文献 受動喫煙変数なし
1文献 多変量解析なし
15論文採択(全文抄読)
1論文 コホート研究
14論文 クロスセクショナル研究
④データ抽出、研究の質の評価
禁
煙
は
愛
で
す
15論文 高い質の研究
4
結果(15編)日本5, 米国5, 欧州4, アフリカ1
文献
Bolin,
1997
Williams,
2000
Aligne,
2003
Shenkin,
2004
Shulman,
2005
NOS 対象
8
9
8
7
7
Tanaka,
2006
7
Iida, 2007
7
欧州8カ国の児童
Ayo-Yusuf,
2007
Hanioka,
2008
英国国家調査
Aida, 2008
NDNS (1995)
米国NHANES III
Leroy,
(1988–1994)
2008
米国フロリダ州病
Tanaka,
院調査
2009
米国NHANES III
Julihn,
(1988–1994)
2009
日本国民栄養調査、
Tanaka,
歯科疾患実態調査
2010
(1999)
米国NHANES
Ditmyer,
(1999–2002)
2010
7
8
8
9
7
7
9
7
南アフリカ高校21
校
日本・北海道健診
データ
日本・39市町村
の健診データ
ベルギー・フラン
ダース4地方調査
日本・福岡県7保
禁
健施設調査
煙
スウェーデン国家
は
コホートデータ
愛
日本・沖縄学校保 で
す
健データ
米国・ネバダ州学
校データ
5
乳歯のう蝕(11編)
米国
英国
受動喫煙
定義
%
3 (1,038)
同居者
30.9
5 (1,093)
同居者
30.2
3 (3,086)
親
20.4
3 (711)
親
34.5
母胎内
2.3
3 (2,015)
同居者
31.8
母胎同居者 10.7
2–5 (1,563)
母胎内
14.5
3–4.5 (729)
母
33
米国
2–6 (4,207)
研究
ベル
ギー
日本
日本
日本
欧州
米国
米国
日本
年齢(n)
母胎内
5.2
5 (1,423)
母
36.8
4–7 (637)
同居者
10.2
4–11
血清コチニン 55.4
(3,531)
6–15
同居者
15.9
(13,863)
う蝕
定義
%
dmft 6.7
dmft 30.2
dmft 31.3
dmft 35.7
dmft 20.8
dmft 20.8
dmft 20.8
dfs 27.2
dmft 25.2
dfs
count NA
dmfs 46.9
dfs 26.2
ds
25.7
fs
33.2
dft
78.5
Effect size OR (95% CI)
1
2
3
4
PR
N S
PR
禁
煙
は
愛
で
す
6
永久歯のう蝕(7編)
研究
日本
年齢 (n)
1–14 (925)
受動喫煙
う蝕
定義
%
同居者
42.5
DS
9.0
FS
18.9
DFT
55.1
日本
沖縄
6–15 (20,253)
欧州
12 (1,265)
母
31.4
DMFS
62.8
14.6 (1,873)
同居者
36.9
DT
16.4
スウェーデン 13, 19 (15,538)
母胎内
21.0
ACI
38.6
米国
同居者
34.6
DMFT
NA
南アフリカ
12–19 (4,169)
16.5
1
2
dft, DFT 61.2
4–11 (2,930)
同居者
54.2
%
米国
6–15 (20,703)
血清コチニン
定義
Effect size
OR (95% CI)
dft, DFT 83.0
PR禁
煙
は
愛
で
す
コホート
7
自然実験・禁煙効果(3編)
研究
ベル
ギー
日本
福岡
日本
沖縄
年齢
受動
喫煙
Effect size (95% CI)
う蝕
定
義
3
同居者
dmft
OR
5
同居者
dmft
OR
母胎内
dmft
PR
3
同居者
dmft
PR
同居者
dft
PR
同居者
DFT
PR
6–15
曝露
元
0
受動喫煙曝露
1
2
3
現在
元
現在
元
現在
元
現在
元
現在
禁
煙
は
愛
で
す
元
現在
8
量-反応関係
研究 年齢
う蝕
日本
3
dmft
日本
3
dmft
日本
福岡
3
dmft
ds
米国 4–11
fs
dft
日本
6–15
沖縄
DFT
受動喫煙
曝露レベル
父
父母
父または母
親
父母
0.1–17.9
母喫煙量
(箱×月)
18.0–
0.05– <0.2
血清コチニン
0.2–1.0
>1.0
0.05– <0.2
血清コチニン
0.2–1.0
>1.0
同居者
0.1–2.9
喫煙量
3.0-6.9
(箱×年)
≥7.0
同居者
0.1–2.9
喫煙量
3.0-6.9
(箱×年)
≥7.0
1
Effect size
2
親
禁
煙
は
愛
で
す
9
エビデンスの統合
要素
一貫性(研究数)
根拠の質
弱点
強(2), 中(5), 中・弱(2),
関連の
弱(1), 関連無(1), コ
強さ
ホートなし
乳
歯
関連:弱~中 (1)自然実験の対照
根拠:中~強 群は現在曝露群で
ない。
元曝露は現在曝露より
(2)自然実験と量-
自然実
関連小さい(3)、関連無
根拠:強
反応関係の報告は
験
(1), コホートなし
2カ国しかない。
(3)コホート研究は行
量-反 明確な関係(5), コホー
根拠:強
われていいない。
応関係 トなし
関連の 中(1), 弱(5), 関連無(2),
強さ
うちコホート(弱)1
永
久
歯
関連:弱
根拠:中
自然実 元曝露は現在曝露と
験
同等(1), コホートなし
根拠:限定
量-反 関係は明確でない(1),
応関係 コホートなし
根拠:限定
(1)自然実験と量-
反応関係の報告は
1編ずつしかない。
統合
根拠の
可能性
がある
禁
煙
は
愛
根拠はで
す
不十分
である
10
生物学的説明性
たばこ成分の局所経路(歯)回復不可能?
・唾液腺傷害による唾液流量↓・機能↓
・歯の形成障害による歯面細菌↑・脱灰↑
たばこ成分の全身経路(細菌)
・免疫傷害・ビタミンC欠乏による口腔細菌↑
親喫煙行動による口腔への影響強化
・受動喫煙による鼻閉が原因で口呼吸↑
・母乳栄養による口内のニコチン↑
禁煙しても一生リスクが改善しないおそれ
禁
煙
は
愛
で
す
11
結論
受動喫煙と乳歯う蝕との関連はあり得る。
妊娠中の喫煙の影響は否定できない。
因果関係が確信的ではないため、ただ
ちに啓発することには注意が必要である。
しかし、
禁
児の歯の健康リスクの回復が禁煙によ 煙
は
り不可能である可能性も否定できない。 愛
で
受動喫煙による危険性の可能性を説明 す
することは重要である。
12