(光学)理論とポストエフェクト

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Transcript (光学)理論とポストエフェクト

CEDEC 2007
Imagire Day
最新世代機に関わる技術トラック
ゲーム開発者向け最新技術論文の
解説・実装講座
レンダリストのためのカメラ(光学)理論と
ポストエフェクト
五反田 義治
株式会社トライエース
研究開発部
Imagire Day
目次
•
•
•
•
•
•
はじめに
HDRとレンズに関する基礎知識
フィルムに関する基礎知識
その他の知識
実装
デモ
Imagire Day
なぜポストエフェクトか?
• カメラによって発生するエフェクトの再現
– 特にレンズによって発生するエフェクトは物理的
に再現するのは負荷が高い
• レイトレーシング
• 事前計算+GPUでのレンダリング(PRT的手法)
– フィルムで起こるエフェクトはポストエフェクト的
– 現行ハードウェアでの現実的な実装解
Imagire Day
HDRレンダリングの有効利用
• HDRレンダリングが有効活用されていない
– 負荷の高い高精度バックバッファへのレンダリン
グ
• その割にはブルームとトーンマップだけ?
• せっかくなのでもっと有効利用したい
– せっかくHDRレンダリングしているのに
• フォーカスブラー(DOF)やモーションブラーの処理が
LDRバッファ(トーマップ後)で行われている
Imagire Day
ポストエフェクトの重要性
ポストエフェクトあり
ポストエフェクトなし
Imagire Day
物理的なエフェクト
• 物理的なエフェクトがどこで起きているのか考
える
– 受光体(フィルムなど)に光が当たるまではHDR
領域である
• レンズエフェクトはすべてHDR領域
– 受光体に光が当たったあとはLDR領域と見なせ
る
• フィルムなどはそれでもRGB8bitよりは高精度
Imagire Day
なぜ物理的?
• 現実的でないエフェクト
– 物理的に不可能な撮影状態になり、ユーザーが
違和感を感じる
• 広角レンズや遠いピントなのに深い被写界深度
• 暗い場所を撮影しているのに絞りが絞られている
– 長時間露光? モーションブラーは?
• 暗い場所なのにノイズやグレインがない
– 手ぶれ、モーションブラー必要では?
– 動画ではシャッタースピードを長くできない
• 非常に明るい場所に回折現象がおきていない
• などなど…
Imagire Day
物理的なエフェクト処理の前に
• レンダリングはリニア空間で行う
– リニアでないと物理的に正しい処理が難しい
– 色空間を意識する
• テクスチャがsRGBならリニアに変換
• 理想はスペクトルレンダリング?
– 最後にガンマ補正を行う
• ディスプレイにあわせたガンマ補正
Imagire Day
エフェクトの種類
• レンズによって起こる(光学的な)エフェクト
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
フォーカスブラー
モーションブラー(カメラ座標系におけるオブジェクトの移動)
グレア、スター(光の回折現象)
レンズゴースト
レンズフレア(ハレーション)
ザイデル収差(球面収差、コマ収差、非点収差、像面歪曲、歪曲)
色収差(軸上色収差、倍率色収差)
ケラレ(フォーカスブラーの蝕、周辺減光)
コサイン4乗則(周辺減光)
レンズ内のチリ
Imagire Day
エフェクトの種類
• フィルム(CCD)によって起こるエフェクト
– トーンマップ系
• フィルム、CCDの特性
• グレイン、ノイズ
• 色温度
– スミア(デジタル)
Imagire Day
エフェクトの種類
• その他のエフェクト
– フィルター(カメラ)
• クロスフィルター
• PLフィルター
• など
– カメラで発生するもの
• オートフォーカス
• 自動露出
• カメラ内のチリ
– その他、考慮すべきもの
• ガンマ補正
• ディザ
Imagire Day
エフェクトのサンプル
• いくつかの代表的なエフェクトの画像
Imagire Day
目次
•
•
•
•
•
•
はじめに
HDRとレンズに関する基礎知識
フィルムに関する基礎知識
その他の知識
実装
デモ
Imagire Day
HDRとレンズの基礎知識
• HDRとレンズ編
– 川瀬さん
Imagire Day
目次
•
•
•
•
•
•
はじめに
HDRとレンズに関する基礎知識
フィルムに関する基礎知識
その他の知識
実装
デモ
Imagire Day
トーンマップ
• なぜフィルムなど実際に存在する物理のシミュレー
ションをするのか?
– Reinhardなどのメジャーなトーンマップの式が存在する
• これらのトーンマップはHDRをLDRとして情報の圧縮することが
目的で決してアーティスティックではない
– よりアーティスティックな表現としてのトーンマップが欲し
い
• デザイナーがトーンカーブやカラーマトリクスで調整するのも一つ
の手段
• フィルムシミュレーションは楽にそれっぽい絵を出すための方法
の一つ
– すでにフィルムやデジタルカメラというものは人々が見慣れている
Imagire Day
受光体の種類
• フィルム
– 銀塩カメラ、映画撮影などで使用
– 独特の質感、グレイン
– アナログな部分での制限
– 特性上、明るい部分と暗い部分のコントラストが
圧縮される
• しかし逆に言えば、簡単に飽和(クランプ)しないでハイ
ライトとローライトに質感が残る
• この特性を生かすと、ハイコントラストでも簡単に飽和
しない映像にすることができる
Imagire Day
受光体の種類
• CCD, CMOS
– デジタルカメラ、ハイビジョンカメラ
– 質感はソフトウェアに依存
– ノイズ
– フィルムに比べ暗部に強い
– 一般的な特性(ソフトウェア処理)ではフィルムに
比べて変化がなだらか
• ローライトでは特にフィルムと異なる
• ハイライト側もフィルムよりなだらか
Imagire Day
フィルムの特性グラフ
• 特性曲線
– ある明るさ(ルクス秒)の光に
対してフィルム上にどのくら
いの濃度で感光するかを表
した対数グラフ
– カラーではRGB
– モノクロでは一本のみ
– ネガとポジでは傾きが逆転
– フィルムの基本的な性質
この曲線の傾きがガンマと呼ば
れ、このフィルムのコントラスト
が分かる
肩
脚
Imagire Day
フィルムの特性グラフ
• 分光感度曲線
– 波長における、各感色層の
感度を表した対数グラフ
– ある一定の濃度の時のグラ
フなので、実際にはこのグラ
フが濃度ごとにあるのが理
想
– 一つの感色層は単純に一つ
の波長に反応するわけでは
ない
• 例えばシアンの感色層あか
は赤だけに反応するわけで
はなく、緑や青にも多少反
応する
• つまり最終的には非常に強
い光はすべて白くなること
を示している
– 色の鮮やかさや肌色のコン
トロールにわざとある程度
オーバーラップさせている
Imagire Day
フィルムの特性グラフ
• 分光濃度曲線
– フィルムを現像した状態で、それ
ぞれの感色層が、ある波長にお
いてどのくらいの色素を吸収す
るかを表したグラフ
• ある特定の濃度(中性濃度1.0)
になる吸収量を示している
– またグラフによっては視覚中性
濃度(波長に対して複数の感色
層の濃度の視覚的な合計濃度)
や最低濃度(全く感光していない
場合での濃度)が含まれている
ことがある
• ネガには元々各色の不要な感
光特性を補正するための色素
が入っている(オレンジマスク)
– 特性曲線と対応している
Imagire Day
フィルムの特性グラフ
• MTF曲線(Modulation
Transfer Function)
– ある空間周波数に対してのコ
ントラストを示すグラフ
• フィルム粒状度や乳化剤の
光の拡散度などで決まる
• レンズのMTF曲線と意味的
には似たようなもの
– フィルムのシャープネスを表
す
• ピクセル単位のトーンマップ
ではうまく処理できない
Imagire Day
フィルムの特性グラフ
• 拡散RMS粒状度曲線
– ある濃度におけるフィル
ムの粒状性を示すグラ
フ
• グレインに影響する
– RMS粒状度 = Sigma
D×1000
Imagire Day
フィルムの特徴
• リバーサルフィルム(ポジフィルム)
– そのまま見ることが出来るフィルム
– ネガに比べてラチチュードが狭い
• 露出にシビア
• スチルでは露出に難しいシーンはAEB(Auto Exposure Bracket)
を使って露出ミスを防いだりする
– 印刷によく使っていた
• 主にプロフェッショナル用途
– 映画館で投影するときのフィルム
– ポジの写真をはる
Imagire Day
フィルムの特徴
• ネガフィルム
– ポジに比べラチチュードが広い
• ある程度露出に寛容
• プリント時での補正が容易
• ポジより扱いやすい
– そのままだと色が反転している
• プリントする必要がある
• ポジ(リバーサル)へのデュープ
• オレンジマスク
– プリント時やポジへのデュープ時に除去される
• ネガの写真を貼る
Imagire Day
CCD, CMOSの特徴
• デジタル的な特性
– デバイス的にはリニアな特性
• データとしてはソフトウェアに依存する
– フィルム的なグレインではない
• ノイズ
– 暗電流
– 熱雑音
– アンプノイズ
– フィルムに比べると低照度に強い
Imagire Day
CCD, CMOSの特徴
• 特性曲線がだいぶフィ
ルムと異なる
– ソフトウェアでこのような
味付けをしている
– カーブの変化がフィルム
比べてなだらか
• ハイライトのつぶれ方が
ソフトな感じになる
• ローライトはフィルムのよ
うに潰れない
250
200
150
100
50
20
40
60
80
100
120
あるデジタルカメラの特性(タ
ングステン光環境下)
Imagire Day
フィルムを見るためには
• リバーサルフィルム
プロジェクタ(投影機)で
スクリーンに上映
動画(映画)の場合
撮影(感光)
現像
スチルの場合
ライトボックスやプロ
ジェクタで直接見る
リバーサルプリント
で紙上で見る
フィルムスキャナでデジタル化す
るパターンもある
Imagire Day
フィルムを見るためには
• ネガフィルム(スチル)
撮影(感光)
現像
ネガビューアーを使う
(あまり利用しない)
プリントして紙上で
見る
フィルムスキャナでデジタル化す
るパターンもある
Imagire Day
フィルムを見るためには
• ネガフィルム(映画)
– 古いスタイル
撮影(感光)
現像
オプティカル合成や編集
を行ったり、フィルムを
加工する
インターミディエイトフィ
ルムを作成
ここからはリバーサルフィルムになる
マスターフィルム(プリン
トフィルム)を作成
上演用フィルムを作成
2次コピーを作る(映画館による)
Imagire Day
フィルムを見るためには
• ネガフィルム(映画)
– 最近のスタイル
撮影(感光)
現像
スキャナでデジタル化
ここからはデジタルデータになる
デジタル処理(VFX,
Composite, 編集, カラコレ)
DI (Digital Intermediate)
ここからはリバーサルフィルムになる
上演用フィルムを作成
2次コピーを作る(映画館による)
Imagire Day
フィルムを見るためには
• ネガフィルム(映画)
– 最新のスタイル
撮影(感光)
現像
スキャナでデジタル化
ここからはデジタルデータになる
デジタル処理(VFX,
Composite, 編集, カラコレ)
DI (Digital Intermediate)
ディストリビューション
(HDD)
デジタルシネマで上演
Imagire Day
フィルムのトーンマップ
• フィルムの特性を再現
– 特性曲線
– 分光感度曲線または分光濃度曲線
• 情報量に限りがある
– ある程度の割り切りが必要
– ネガの場合はネガポジ処理が必要
• オレンジマスクの除去
• ネガポジ反転
– フィルムの色温度、感度に注意
• 感度は特性曲線から分かる
Imagire Day
フィルムのトーンマップ
• さらにこだわるならフィルムをどう見ているかを意識
– デュープ処理
•
•
•
•
ネガからポジ
ネガからネガ
ポジからポジ
複数のトーンマップを経ることになる
– 最終的に見ているもの
• プリント
– 印画紙の特性
• ポジをプロジェクター投影
– 光源の色温度
– 現像処理による違い
• 増感、減感
• 現像液
Imagire Day
フィルムの特徴再現
• MTF曲線やRMS粒状度はトーンマップでは
再現できない
– MTF曲線はフィルタ処理
• フィルムのMTF曲線はレンズほど重要ではない
– 粒状度はフィルムグレインの特徴になる
• こだわるのであれば、実装するのもあり
Imagire Day
フィルムの特徴の違い
• 違う2種類のフィルムの特性曲線を見ると、違い
があることがわかる
F社リバーサルフィルムP
K社リバーサルフィルムK
Imagire Day
トーンマップ例
Reinhard
フィルムシミュレーション
(明るさを近づけるために
Photoshopで明るさ調整)
Imagire Day
トーンマップ例
F社リバーサルフィルム
F社ネガフィルム
Imagire Day
トーンマップ例
K社リバーサルフィルム
K社ネガフィルム
Imagire Day
トーンマップ例
K社リバーサルフィルム
C社デジタルカメラ
Imagire Day
トーンマップ比較
Reinhard
F社リバーサルフィルム
F社ネガフィルム
K社リバーサルフィルム
K社ネガフィルム
C社デジタルカメラ
Imagire Day
フィルムグレイン
• フィルムグレインはデジタルノイズとは異なる
– フィルムグレインは元々フィルムが持っている粒子の形が
見えている
• 一つの粒子が光に対して感光する
– つまり感光することによって初めて粒子が見える
– イメージとしてはレイトレースによるレイの分散パターンがフィルムグ
レイン
• ポストエフェクトと処理する場合
– バックバッファがフィルムに入射する光を表している
– 入射した光に対してグレインパターンで各粒子が反応する
– 掛け算
• フィルムの種類や感度によって粒子の大きさや配列が異なる
Imagire Day
デジタルノイズ
• デジタルノイズは電気的ノイズが追加される
– 受光素子(CCD等)が持つ特性的なノイズ
• 暗電流
• 熱雑音
– アンプが持つノイズ
• アンプノイズ
– 1CCDの場合ベイヤー配列がある程度影響を与える
• ソフトウェアで補完されているので、そのままダイレクトには影響
は与えない
ベイヤー配列
受光素子が一つしかない場合は、一つの素子では明るさしか計測で
きないため、カラーフィルタを配置し、ソフトウェアで各ピクセルの色を
補完する
Imagire Day
デジタルノイズ
• 大きい要素としては熱雑音がアンプにより増幅されてノイズ
として近くされる
– アンプのゲイン = 感度
• 感度が大きいほどノイズが強くなる
• 温度にノイズの量が依存する
– 太陽を撮影する
– 長時間露光
– など
– 露光とノイズが対応しているわけではない
• 真っ暗な状態でもノイズがある
– フィルムグレインとは異なる
• 足し算
– デジタルノイズパターンを感度に応じて足す
• デジタルのトーンマップはソフトウェア処理と考えると
– 素子でおきるノイズはトーンマップ前に行うべき
Imagire Day
フィルムグレイン例
デジタルノイズ
フィルムグレイン
Imagire Day
フィルムグレイン例
デジタルノイズ(ISO100)
デジタルノイズ(ISO800)
Imagire Day
フィルムグレイン例
フィルムグレイン
(ISO100)
フィルムグレイン
(ISO400)
Imagire Day
色温度
• フィルムには設計上の色温度がある
• デイライトフィルム
– 昼間の太陽光をターゲットにしたフィルム
» 実際の太陽の色温度は季節や場所、時間で変化する
• タングステンフィルム
– スタジオ撮影用フィルム
» スタジオでよく使われるタングステン光に合わせてある
• 赤外フィルム
– 赤外線での特殊撮影用フィルム
» 赤外線では可視光域とはレンズでの屈折率が異なるた
め、ピント合わせも若干ずらす必要がある
• など…
Imagire Day
色温度
• デジタルカメラでは自由に変更できる
– ホワイトバランス
• オートで判断させることもできる
– アーティスティックな判断ができない場合もあるので味気ない
画像が得られる場合もある
– AWB(Auto White balance Bracket)
• AEBの色温度版
– 複数の色温度で自動撮影する
Imagire Day
色温度管理
• 正しい色を出すためには色温度を考慮してレ
ンダリングパイプを設計する必要がある
– ライトの白の色温度は?
• デイライトフィルムを考慮するなら白を5,500Kに設定
すべき
• モニタで白く見える色温度なら6,500K
• とにかく光源で白を設定した時の色温度の基準を決め
る
Imagire Day
色温度管理
• ライトの色温度が決定したらフィルムの色温度を考
える
• デイライトフィルム 5,000K~5,500K
• タングステンフィルム 3,200K~3,400K
– フィルムの特性にすでに含まれている
• 特性どおりに正しくトーンマップすればよい
– 最後にモニタの色温度に合わせる
• NTSCやHDなら6,500K
– NTSC-Jでは9,300Kを白としている
• 映画館での投影
– キセノンランプ(5,500K)
Imagire Day
ガンマ補正
• リニアでレンダリングした結果を最終的にモニ
タガンマに変換する必要がある
– sRGBは2.2
• 厳密には異なる
– ISO IEC61966-2-1 Amendment 1 Part 2-1 Colour
management – Default RGB colour space - sRGB
– セットアップレベル(黒レベル)がNTSC-JとNTSC
では異なる
• NTSC : 7.5IRE
• NTSC-J : 0IRE
Imagire Day
ディザ処理
• ガンマ補正と同時にディザ処理を行うと8bit変換に
おける階調ロスを抑えることができる
– HDRでは8bit以上の情報を持っている(はず)
– シェーダ内ではfp32
– ディザリングによりノイズ感が出てしまう弊害もある
• ディスプレイの画像処理と相性が悪い場合もある
– DeepColorの場合は8bit以上の情報を送ることができる
• アナログ伝送(D端子など)の場合はディスプレイのA/Dコンバータ
のビット数に依存する
Imagire Day
•
•
•
•
•
•
はじめに
HDRとレンズに関する基礎知識
フィルムに関する基礎知識
その他の知識
実装
デモ
Imagire Day
自動露出
• スチルカメラ、民生用ビデオカメラには自動露出
(Auto Exposure)が付いている
– 実際の被写体はカメラで記録できる光の強さの範囲(ラチ
チュード)より広い範囲を持っている
• 自然に見えるように露出を調整する必要がある
– カメラが判断した適正露出に自動的に調整する(AE)
– プロの動画撮影(映画、ドラマなど)では使われない
• 基本的にはマニュアル露出
• 演出的な理由で使う場合はある(ホームビデオ撮影)
– ゲームのプレイアブル部分では必要な場合もある
• デザイナーがシーンを本物に近い光量でデザインすると一つの
露出ではオーバーになったり、アンダーになったりして対応しきれ
ない
Imagire Day
自動露出の流れ
• 露出するにはまず測光が必要
– TTL測光(Through The Lens)
• カメラに内臓されている露出計
– レンズを通ってきた光を測定する
– 反射型露出計
– 露出計
• 単体の露出計
– 反射型と入射型
– イメージベース
• すでに画像化されたデータを下に露出が適正かどうか判断する
• ここではTTL測光を実装することを想定してみる
Imagire Day
TTL測光
• レンズを通ってきた光を測定する
– レンズで起こるすべての光学現象込みで測定さ
れる
– トーンマップ前のバッファで処理するイメージ
– 反射光式測光
• 物体から反射した光を測定する
• そのため反射した表面は18%グレーと仮定する
– 極端に反射率の高い、または低いものに対しては正しく測光
できない
Imagire Day
TTL測光範囲
• TTL測光では測光の範囲を選択することができる
– スポット測光
• 画面の中央の一部(3%程度)のみを測光する
– 中央重点測光
• 中央に重みをつけて全体を測光する
– 評価測光(プログラム測光)
• 画面をいくつかの部分に分解し、複雑なアルゴリズムで適正な露出を判
断する
–
–
–
–
カメラメーカーの独自技術
選択しているAFフレームに連動する
ヒストグラムを利用する
極端に明るく小さい被写体の影響度を排除する
– 露出補正
• 必ずしも測光した結果が正しいとは限らないので、カメラが測光した結果
の露出に対してマニュアルで補正することができる
– 測光結果そのものが誤っている(反射率の問題)
– カメラマンが意図した露出と異なる
Imagire Day
露出
• 測光した結果を元にEV (Exposure Value)を決定し、
露出を行う
– 実際に明るさをコントロール
• 絞り
– レンズによって異なる
• シャッタースピード
– スチルか動画か?
– カメラの性能
• デジタルカメラであれば感度も瞬時にコントロール可能(ゲイン
アップ)
• NDフィルタでも減光可能
• ビデオでは、実際にその露出になるまでラグがある
– 明順応と暗順応の再現
– 人間の眼は明るいところには暗いところに比べて速く順応する
Imagire Day
露出モード
• カメラには露出モードが搭載されている
– プログラムモード
• カメラがシャッタースピードも絞りも決定する
– 感度もコントロールすることもある
– 絞り優先モード
• 絞りは撮影者が決定し、シャッタースピードをカメラが決定する
– 被写界深度をコントロールしたい
– シャッタースピード優先モード
• シャッタースピードを撮影者が決定し、絞りはカメラがコントロール
する
– モーションブラーの量をコントロールしたい
– マニュアルモード
• すべて撮影者が決定する
– 測光結果は参考として表示される
Imagire Day
オートフォーカス
• ピントをカメラが自動的に調整する
– 自動露出と同じようにプロフェッショナルな撮影で
はあまり使われない
– 家庭用ビデオのような演出には利用可能
– カットシーンの作成ツールにはあると便利?
• ピントあわせは写実的な演出には重要
– ピント送り
– ピンボケによる奥行き感
– ピント位置による画角の変化
Imagire Day
カメラでのフォーカス
• フォーカスをあわせる方法
– アクティブ方式
• 光などを利用して実際にレーダー的に距離を測定する
方法
– 遠い被写体でうまくいかない場合がある
– パッシブ方式
• 一般的な手法
• センサーを利用してコントラスト差を用いてフォーカス
を見る
– コントラスト差のない部分にピントが合いづらい
– 暗い場所では補助光を利用するものもある
Imagire Day
フォーカス位置
• カメラではピントを判断するセンサーが複数
搭載されていることがある
– カメラが複数のセンサーを利用してピントを自動
的に判断
• 一番手前のピント
• 顔を自動的に判断してピントを合わせる
– マニュアルでピントを合わせたい位置を選択
Imagire Day
•
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はじめに
HDRとレンズに関する基礎知識
フィルムに関する基礎知識
その他の知識
実装
デモ
Imagire Day
フォーカスブラーの実装
• 基本的なフォーカスブラー
– 物理的に正しいボケの半径
• 結像方程式に基づくボケ半径
– 機械的な絞りをシミュレーション
• スキャッターベースが理想
• ギャザーベースでもそれなりにはリアル
– エッジの問題は依然残る
» レイヤーでごまかす
» 疑似スキャッターベース
Imagire Day
フォーカスブラーの実装
• よりリアルなフォーカスブラー
– さらに現象を追加する
•
•
•
•
Vignettingによるボケの口径蝕(eclipse)
コサイン4乗則によるVignetting
ボケに現れる色収差
レンズ内のダスト
Imagire Day
口径蝕(eclipse)
• レンズの設計上の制限でVignettingが発生
– 特定の条件下でボケに食ができる
– 実際には複雑な現象
Imagire Day
Vignettingは複雑
•本物のレンズの場合ケラ
レる場所は一定ではない
あるレンズにおけるVignettingの発生
(点線部分がケラレた光線)
Imagire Day
口径蝕の実装
• レンズの完全なシミュレーションは難しい
– レイトレーシングが必要
• 負荷が高すぎる
• 事前計算でテーブル化
– なんらかの圧縮が必要
– 次元数が高い
– 正しいレンズ設計データが必要
• ズームやピント、絞りなども正しくシミュレーションしな
ければいけない
Imagire Day
口径蝕の実装
• レンズのデータを近似する
– レンズデータベースを用意
• Vignettingはレンズの設計や光学的限界によっておこ
るものなので、ある程度物理的に正しいレンズによる
画面が作られないと不自然な絵になる
– Vignettingが起こりやすいレンズとそうでないレンズがある
– 起こりやすいレンズでも起こりやすい条件とそうでない条件
がある
Imagire Day
近似されたデータ
• どのようなデータを利用するか
– Vignettingに影響するパラメータ
• 基本パラメータ
– F値範囲
– 焦点距離範囲
– 最低焦点距離
• 動的パラメータ
– ピント位置、ズーム
» 焦点距離に影響する
– F値
• 設計パラメータ
– 完全には持てないので近似
» Vignettingを起こしやすいと推測される鏡筒の位置と半径
» 絞りの位置と半径
– バックフォーカス(フランジバック)に注意
Imagire Day
口径蝕シェーダ
Vignettingを起こす
投影された鏡筒
• レンズデータベースをもと
にシェーダで処理
– 実際のレイトレースは負荷
が高い
• 光跡は絞りとフォーカス位置を
結ぶ直線で近似
• あとは現在の設定による絞り
開口部と鏡筒開口部のコリ
ジョンを取るだけ
蝕を起こした
最終的なボケ
本来のボケ(相対的な絞り
の大きさ)
Imagire Day
周辺減光
• Vignettingは周辺減光もひきおこす
– ボケが欠けた分はピントの合っている位置では
周辺減光になる
• ピントが合っているということはボケが一点に集まって
いるだけ
• 口径蝕シェーダと同じデータベースを下に口径蝕の積
分を計算
– 二つの円の重なった部分の面積を求めるだけ
– 結果を利用して周辺減光処理をシェーダで行う
Imagire Day
コサイン4乗則
• ボケや周辺減光にはコサイン4乗則が適用される
– 光学上の理由で、レンズでは画角に応じて光が通る量が
コサインの4乗に応じて減る
• 実際のレンズでは、レンズの外側の開口率を上げるように工夫し
たりして、実際には4乗まではいかない場合が多い
– 口径蝕と異なり、絞ることにより減光量が改善しない
• 常にこの現象は起きている
• 特に広角レンズで顕著に現れる
Imagire Day
コサイン4乗則
• コサイン4乗則だけのス
クリーンショットを追加
絞った時の減光率(ほぼコサイン
4乗則のみによる減光)
絞り解放の時の減光率
(コサイン4乗則と口径蝕
による減光)
ある35mmカメラ用レンズの減光率
のグラフ(f=25mm)
Imagire Day
デモ
Imagire Day
謝辞
Imagire Day
ありがとうございました
• 以下のページでスライドはダウンロードできま
す
– http://research.tri-ace.com
Imagire Day