生活史の進化New (PowerPoint)

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生物の適応と
生活史の進化
1.生物の適応とは
生物は、成層圏から深海まで、硫黄泉の中から砂漠
まで、あらゆる場所に分布
適応
生物のもつ形態や行動、生理的・生態的性質が、そ
の環境のもとで生活するのにうまくかなっていること
(例1) 乾燥地域に生える植物
葉の表面に厚いクチクラ層、肉厚の葉や茎に貯水組織を持つ。
雨期の時だけ葉を伸ばし、乾期になると落葉
光合成を行うとき気孔を開けるので水分が蒸散
いっそ落葉
左
右
(例2)温・冷帯の昆虫や植物
越冬期には、体内の貯蔵物質を浸透圧を高める物質や
不凍液に変えて、細胞が乾燥/凍結して壊死するのを防ぐ。
クワの休眠芽 ・・・・・デンプン
ショ糖
カイコの休眠卵・・・・グリコゲン
グリセロール
2.適応はどのように生じるか?
適応は進化現象の一つ。自然選択がこれをもたらす
自然選択の基本原理
●個体間の変異
●その変異が遺伝
●繁殖・生存に
有利・不利
この3つさえ揃えば、
作用は自律的に進む
自然選択のロジックは、とてもシ
ンプルで機械論的。
本来は、目的論(~のために進
化した)などは不要!
オオシモフリエダシャクの工業暗化
C:carbonaria
体色は1遺伝子座で決まり、CCとCcは黒化型、ccは正常型
c: typica
自然選択の事例(1)
工業暗化 (Industrial melanism)
工業化が進んだ都市近郊では、木の幹につく
地衣類が減って、木の地肌が露出するため、黒
化型の方が天敵から逃れやすく、数が増える。
自然選択の事例(3)
ヒマラヤを越えて渡るインドガン
Bar-headed gooseは高度9000mを飛んで、ヒマラヤを越え
て渡りをする。ヘモグロビンの酸素吸着力が極めて高い。
ヘモグロビンa-鎖の119番目の Proが Alaに置換
b-鎖55番目の Leuとの間でギャップが生じ、
結晶構造を作るため、酸素吸着活性が高い
Liang YH et al. (2001) J. Mol. Biol.
Maynard Smith J. (1989) Evolutionary Genetics (1st ed.) の表紙
量的な形質での自然選択の測定例(1)
Grant 夫妻によるダーウィン・フィンチの
嘴の研究
1983年は雨が多かった
●乾燥した年には、体が大きく、嘴がぶ厚く
なる方へ自然選択がかかる
●嘴の厚さの遺伝率は親子回帰で推定
嘴のさまざまな部位における選択差
量的形質にかかる2つのタイプの自然選択
負の自然淘汰 select against
select for 正の自然選択
安定化淘汰
純化淘汰
方向性選択
その形質値を
持つ個体の頻
度
適応度
選択差と選択反応
選択差が自然選択の
強さの尺度になる
選択前の集団
選択差=選択前と選択後の集団の
形質平均値の差
選択後の集団
S
選択差
選択反応=1世代を経た集団どうしの
形質平均値の差
形質値
次世代の集団
R
選択反応
2
遺伝率(h )=
R/S
量的形質にかかる自然選択の測定例(2)
表現形質と適応度の回帰を利用
適応度の勾配
= 選択勾配
さっき出た図
その形質値を
持つ個体の頻
度
b = Si (zi - z)(Wi - W)/n
適
応
適応度
度
(W)
各個体
表現型形質値(z)
量的形質にかかる自然選択の測定例(2)
Arnold and Wade (1984)の理論
選択勾配の分割
ウシガエルの雄の体サイズの進化
データはHoward (1979)
遺伝率の推定法
親子回帰から推定
||
回帰の傾きが遺伝率になる
子
親の中間値
ショウジョウバエの翅長における
両親(中間値)に対する子の回帰
ファルコナ-(1993)
[田中・野村 訳]
ヒト
さまざまな形質の
2
遺伝率(h )
●形態には比較的高い遺伝率
●生活史形質には0.1~0.2
ファルコナ-(1993) [田中・野村 訳]
(%)
3.生活史の進化
繁殖と生存のスケジュールの進化
生存曲線の3つの型
• 哺乳類・・・逆L字型
• 魚・・・L字型
• 鳥・ハ虫類・・・一定率で減少
繁殖のコスト
繁殖に多くのエネルギーを割けば、生存(体の維持)には少量
のエネルギーしか回せなくなる。
繁殖のコスト、trade-off
トカゲの繁殖期当たりの産卵数と
年間生存率の関係
環境の変動に応じた生活史特性の分化
安定または周期的に変化する温暖な環境 (K-選択)
大卵少産、親による子の保護、繁殖への投資率が小、多回繁殖
不安定に大きく変動する過酷な環境
(r-選択)
小卵多産、産み放し、繁殖への投資率が大、1回限りの繁殖
環境の変動に応じた生活史特性の分化
K 選択 ⇒ 大卵少産への進化
r 選択 ⇒ 小卵多産への進化