医療応用実習4:X線の多門照射シミュレーション

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Transcript 医療応用実習4:X線の多門照射シミュレーション

PHITS
Multi-Purpose Particle and Heavy Ion Transport code System
治療応用実習(IV)
X線の多門照射シミュレーション
2014年3月改訂
title
1
本実習の目標
複数方向からX線を照射した場合の吸収線
量の評価を行い、多門照射によるX線治療の
シミュレーションができるようになる。
10MeVの電子をW+Cu標的にあてて発生するX線を
4方向から水ファントムに照射した場合の吸収線量分布
Purpose
2
実習内容
1.
2.
3.
4.
5.
体系の確認
粒子フルエンスと吸収線量の空間分布
[transform]を用いたX線の照射方向の変更
照射方向を変えた複数の計算方法
複数のタリー結果の足し合わせ
Table of contents
3
MultipleBeamIrradiation.inp
Water
phantom
初期設定の体系
30 cm
X-ray
(photon)
Electron
10 MeV
約50 cm
10 cm
0.1+1.0 cm
6 cm
Flattening filter
Movable collimator
6 cm
10 cm
4 cm
1 cm
W + Cu target
1 cm
Primary collimator
1 cm
Input file
6 cm
1辺10 cmの立方体×4
4
体系の確認
はじめに、このインプットファイルで構築している
3次元体系を描画機能を用いて把握する。
Icntl=7としてPHITSを実行すると[t-gshow]が、
Icntl=11として実行すると[t-3dshow]が有効となり、
これらのタリー結果が出力されます。
[ T - Gshow ]
title = Geometry check on xz-plane
・・・・・・
file = gshow-xz.dat
・・・・・・
[ T - 3Dshow ]
title = Geometry check using [T-3dshow]
file = 3dshow.dat
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
[ T - Gshow ]
title = Geometry check on yz-plane
・・・・・・
file = gshow-yz.dat
・・・・・・
Geometry
5
体系の確認(icntl=7)
gshow-xz.eps
gshow-yz.eps
Geometry
6
体系の確認(icntl=11)
3dshow.eps
3dshow.eps(e-the=90)
Geometry
7
実習内容
1.
2.
3.
4.
5.
体系の確認
粒子フルエンスと吸収線量の空間分布
[transform]を用いたX線の照射方向の変更
照射方向を変えた複数の計算方法
複数のタリー結果の足し合わせ
Table of contents
8
空間分布
icntl=0として輸送計算を実行させ、各粒子のフル
エンス分布([t-track]を使用)と各物質における吸
収線量の空間分布([t-deposit]を使用)を確認して
みましょう。
粒子フルエンス
[T-Track]
title = Track in xyz mesh
・・・・・・
・・・・・・
axis = xz
file = track.out
・・・・・・
・・・・・・
吸収線量
[ T - Deposit ]
title = Dose in xyz mesh
・・・・・・
・・・・・・
axis = xz
file = dose.out
・・・・・・
・・・・・・
Analysis
9
粒子フルエンス
track.eps (1枚目) 電子のフルエンス分布
W+Cu標的
コリメーター
水ファントム
10MeV電子線
Analysis
10
粒子フルエンス
track.eps (2枚目) 光子のフルエンス分布
コリメーター
W+Cu標的
水ファントム
X線
Analysis
11
粒子フルエンス
track.eps (3枚目) 中性子のフルエンス分布
統計量が十分でないため中性子は生成されていない。
Analysis
12
吸収線量
dose.eps 吸収線量分布
コリメーター
W+Cu標的
水ファントム
10MeV電子線
Analysis
13
ビーム幅の調整
(step1)可変コリメーターの間隔を変更して、X線の
ビーム幅を2cm程度に小さくしてみましょう。
• [surface]セクションにある変数c1の値を変更
• [t-track]の結果(track.epsの2ページ目)で効果を確認
6 cm
Movable collimator
6 cm
1辺10 cmの立方体×4
幅の大きさ
=c1*2
[Surface]
・・・・・・
・・・・・・
set:c1[3.0]
31
rpp
32
rpp
33
rpp
34
rpp
・・・・・・
-10-c1 -c1 -5.0 5.0
c1 10+c1 -5.0 5.0
-5.0 5.0 -10-c1 -c1
-5.0 5.0 c1 10+c1
-75.0 -65.0
-75.0 -65.0
-63.0 -53.0
-63.0 -53.0
rpp: 直方体の表面を定義する
マクロボディーパラメーター
Setting of equipment
14
ビーム幅の調整
(step1)可変コリメーターの間隔を変更して、X線の
ビーム幅を2cm程度に小さくしてみましょう。
c1=1.0とした場合
track.eps (2枚目)
光子のフルエンス分布
• X線のビーム幅は2cm程度となっている
Setting of equipment
15
実習内容
1.
2.
3.
4.
5.
体系の確認
粒子フルエンスと吸収線量の空間分布
[transform]を用いたX線の照射方向の変更
照射方向を変えた複数の計算方法
複数のタリー結果の足し合わせ
Table of contents
16
[transform]セクション
ソース、surfaceやcellの定義、タリーのr-zやxyzメッシュ、磁場
の定義等の際に、回転や平行移動を行うことが可能。
[ Transform ]
$ Transform X-ray beam
set: c81[0] $ angle of around Z (degree)
Z軸, Y軸, X軸の周りに
set: c82[0] $ angle of around Y (degree)
回転させる角度
set: c83[0] $ angle of around X (degree)
set: c84[0] $ displacement of Z (cm)
set: c85[0] $ displacement of Y (cm)
平行移動のZ,Y,X成分
set: c86[0] $ displacement of X (cm)
tr500 c86 c85 c84
cos(c81/180*pi)*cos(c82/180*pi)
sin(c81/180*pi)*cos(c83/180*pi)+cos(c81/180*pi)*sin(c82/180*pi)*sin(c83/180*pi)
sin(c81/180*pi)*sin(c83/180*pi)-cos(c81/180*pi)*sin(c82/180*pi)*cos(c83/180*pi)
-sin(c81/180*pi)*cos(c82/180*pi)
cos(c81/180*pi)*cos(c83/180*pi)-sin(c81/180*pi)*sin(c82/180*pi)*sin(c83/180*pi)
cos(c81/180*pi)*sin(c83/180*pi)+sin(c81/180*pi)*sin(c82/180*pi)*cos(c83/180*pi)
sin(c82/180*pi)
-cos(c82/180*pi)*sin(c83/180*pi)
各セクションにtrcl=500を
cos(c82/180*pi)*cos(c83/180*pi)
加えることで機能する
1
[transform]
17
X線の照射方向の変更
(step2)[transform]を使って、電子線源やW+Cu標的、
コリメーターを水ファントムを中心に回転させ、X線の
照射方向を変えてみましょう。
Water
phantom
X-ray
(photon)
Electron
10 MeV
水ファントムは固定
X線の線源部分を
まとめて回転
[transform]
18
X線の照射方向の変更
(step2)[transform]を使って、電子線源やW+Cu標的、
コリメーターを水ファントムを中心に回転させ、X線の
照射方向を変えてみましょう。
まずは、[source]と[cell]セクションにtrcl=500が
設定されていることを確認
[Source]
s-type = 1
proj = electron
e0 = 10.00
r0 = 0.1000
x0 = 0.0000
y0 = 0.0000
z0 = -120.00
z1 = -120.00
dir = 1.0000
trcl = 500
[Cell]
1
3 -19.25 11 -12 -14 trcl=500
$ W for X-ray generator
2
4 -8.94 12 -13 -14 trcl=500
$ Cu for X-ray generator
11
1 -1.0 -1
$ Water phantom
98
2 -1.20e-3
#1 #2 #11 -999 #3 #4 #5 #6 #7 #8 $ Air
99
-1
999
$ Outer region
3
5 -17.0 21 -22 -23 24 trcl=500 $ Primary collimator
4
5 -17.0 -31 trcl=500
$ Movable collimator (X-1)
5
5 -17.0 -32 trcl=500
$ Movable collimator (X-2)
6
5 -17.0 -33 trcl=500
$ Movable collimator (Y-1)
7
5 -17.0 -34 trcl=500
$ Movable collimator (Y-2)
8
6 -8.94 -35 trcl=500
$ Flattening filter
[transform]
19
X線の照射方向の変更
(step2)[transform]を使って、電子線源やW+Cu標的、
コリメーターを水ファントムを中心に回転させ、X線の
照射方向を変えてみましょう。
Y軸周りに15度回転した場合
track.eps (2枚目)
[ Transform ]
$ Transform X-ray beam
set: c81[0] $ angle of around Z (degree)
set: c82[15] $ angle of around Y (degree)
set: c83[0] $ angle of around X (degree)
set: c84[0] $ displacement of Z (cm)
set: c85[0] $ displacement of Y (cm)
set: c86[0] $ displacement of X (cm)
・・・・・・
・・・・・・
タリー領域の外側に飛
び出してしまっている
[transform]
20
タリー範囲の拡大
(step3)回転後の線源部分を確認できるように、
[t-track]と[t-deposit]のタリー領域を拡げてみましょう。
• axis=xzであるので、xとzに関する範囲のみで良い
• Y軸周りに1周させても確認できるようにする
[T-Track]
title = Track in xyz mesh
mesh = xyz
x-type = 2
xmin = -25.00000
xmax = 25.00000
nx = 50
y-type = 2
ymin = -5.000000
ymax = 5.000000
ny = 1
z-type = 2
zmin = -120.0000
zmax = 20.00000
nz = 140
・・・・・・
track.eps (2枚目)
1周した場合を考える
Expansion of tally region
21
タリー範囲の拡大
(step3)回転後の線源部分を確認できるように、
[t-track]と[t-deposit]のタリー領域を拡げてみましょう。
• axis=xzであるので、xとzに関する範囲のみで良い
• Y軸周りに1周させても確認できるようにする
[T-Track]
title = Track in xyz mesh
mesh = xyz
x-type = 2
xmin = -120.00000
xmax = 120.00000
nx = 240
y-type = 2
ymin = -5.000000
ymax = 5.000000
ny = 1
z-type = 2
zmin = -120.0000
zmax = 120.0000
nz = 240
・・・・・・
track.eps (2枚目)
Expansion of tally region
X線の線源部分
水ファントム
22
タリー範囲の拡大
(step3)回転後の線源部分を確認できるように、
[t-track]と[t-deposit]のタリー領域を拡げてみましょう。
• axis=xzであるので、xとzに関する範囲のみで良い
• Y軸周りに1周させても確認できるようにする
[T - Deposit ]
title = Dose in xyz mesh
mesh = xyz
x-type = 2
xmin = -120.00000
xmax = 120.00000
nx = 240
y-type = 2
ymin = -5.000000
ymax = 5.000000
ny = 1
z-type = 2
zmin = -120.0000
zmax = 120.0000
nz = 240
・・・・・・
dose.eps
Expansion of tally region
X線の線源部分
水ファントム
23
統計量の増加
(step4)水ファントムにおける吸収線量がきちんと評価
できるように、統計量を増やしてみましょう。
• maxcas=10000程度
• 計算時間短縮のために2つの[t-gshow]の後にoffを
加えて読み飛ばす
dose.eps
少し水ファントムに
おける吸収線量が
評価できた
Increase of total history
24
実習内容
1.
2.
3.
4.
5.
体系の確認
粒子フルエンスと吸収線量の空間分布
[transform]を用いたX線の照射方向の変更
照射方向を変えた複数の計算方法
複数のタリー結果の足し合わせ
Table of contents
25
多門照射
(step5)照射方向を変えた複数のインプットファイ
ルを作成し、それぞれの計算結果を求めましょう。
• result1, result2といった名前のフォルダを作成する
• 各フォルダにインプットファイルMultipleBeamIrradiation.inp
をコピーし、Y軸周りの回転角度をそれぞれ90, 180度とする
*時間のある人は3つ、4つと増やしてみてください
\result1\MultipleBeamIrradiation.inp
\result2\MultipleBeamIrradiation.inp
[ Transform ]
$ Transform X-ray beam
set: c81[0] $ angle of around Z (degree)
set: c82[90] $ angle of around Y (degree)
set: c83[0] $ angle of around X (degree)
set: c84[0] $ displacement of Z (cm)
set: c85[0] $ displacement of Y (cm)
set: c86[0] $ displacement of X (cm)
・・・・・・
・・・・・・
[ Transform ]
$ Transform X-ray beam
set: c81[0] $ angle of around Z (degree)
set: c82[180] $ angle of around Y (degree)
set: c83[0] $ angle of around X (degree)
set: c84[0] $ displacement of Z (cm)
set: c85[0] $ displacement of Y (cm)
set: c86[0] $ displacement of X (cm)
・・・・・・
・・・・・・
Multiple beam irradiation
26
多門照射
(step5)照射方向を変えた複数のインプットファイ
ルを作成し、それぞれの計算結果を求めましょう。
• PHITSを実行し、それぞれの計算結果を確認する
\result1\dose.eps
回転角度が90度の結果
\result2\dose.eps
回転角度が180度の結果
Multiple beam irradiation
27
実習内容
1.
2.
3.
4.
5.
体系の確認
粒子フルエンスと吸収線量の空間分布
[transform]を用いたX線の照射方向の変更
照射方向を変えた複数の計算方法
複数のタリー結果の足し合わせ
Table of contents
28
タリー結果の足し合わせ
(step6)外部プログラムsumtallyを用いて、照射角度を変え
て得られた複数のタリー結果を足し合わせてみましょう。
① 基本情報ファイルを作成(sumtally.inp)
"dose-2.out"
2
1.0
"result1/dose.out"
1.0
"result2/dose.out"
足し合わせた結果の出力ファイル名
足し合わせるタリー結果の数
足し合わせる際のそれぞれの
ウエイト値(重み付け)とタリーファイル名
10文字
② (Windows) sumtally_win.batにsumtally.inpをドラッグ&ドロップ
(Mac) sumtally_mac.commnadをダブルクリックし、現れる窓にsumtally.inpと入力
⇒ 足し合わせた結果を出力したdose-2.outが作成される
③ dose-2.outをインプットファイルとしてANGELを実行する
⇒ グラフ化したdose-2.epsが作成される
Sum of tally results
29
タリー結果の足し合わせ
(step6)外部プログラムsumtallyを用いて、照射角度を変え
て得られた複数のタリー結果を足し合わせてみましょう。
dose-2.eps
• 2つのタリー結果を足し合わせた線量分布が得られた
Sum of tally results
30
タリー結果の足し合わせ(補足)
十分に統計量を増やし、照射方向も4方向にした
場合の結果
一度、それぞれの照射角度での計算を行っておけば、
sumtally.inpにおいてウエイト値を設定することで、様々な
照射条件のシミュレーション結果を得ることが可能です。
Sum of tally results
31
まとめ
• 10MeV電子を線源とするX線の照射をシミュレーション
した。
• [transform]セクションを設定することで、X線の線源部
分を回転させ、任意の角度からの照射が可能となった。
• 照射角度を変え、複数の照射によるタリー結果を得た。
• 複数のタリー結果を外部プログラムを用いて足し合わ
せ、多門照射のシミュレーションを行った。
Summary
32