全労協けんり春闘学習集会講演パワーポイント資料

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Transcript 全労協けんり春闘学習集会講演パワーポイント資料

不況は人災です!
松尾 匡
(立命館大学経済学部)
親の道徳観が崩
壊してきている!
景気は大事
性道徳が崩
壊している!
犯罪が増えた!
少年犯罪
が増えた!
戦後憲法のせいだ!
戦後教育のせいだ!
家族の崩壊が
進んでいる!
男女平等のせいだ!
外国人増加のせいだ!
景気は大事

「恒産無ければ恒心無し」
恒産無ケレバ因リテ恒心無し。…罪ニ陥ルニ及ビ
テ然ル後ニ従ヒテ之ヲ刑スルハ、是レ民ヲ罔(あ
み)スル也。(孟子、梁惠王上)
盗人を縛(いまし)め、僻事をのみ罪せんよりは、
世の人の飢ゑず、寒からぬやうに、世をば行はま
ほしきなり。人、恒の産なき時は、恒の心なし。
(徒然草、第142段)
景気は大事

失業が増えると犯罪が増える。失業率が減ると同
近年は、失業率が
増えると間もなく犯
間をおいて犯
罪率も増え
間をおいて犯
罪率が下がる
罪率も上がる
失業率が
下がると
失業率が
上がると
時に犯罪率も減る
景気は大事

殺人は大きく見て減っているが…
景気は大事

トレンドを除くと、失業が増えると増える
景気は大事

求人が多いと少年犯罪は減る
ちなみに

少年凶悪犯罪は長期的に激減している
1960年がピーク
(少年人口は90年より62
万人少なかった)
『反社会学講座』第2回「キレ
やすいのは誰だ」より
http://pmazzarino.web.fc2.com/l
esson2.html
景気は大事

失業率が高い県ほど給食費未納率は高い
2005年
横軸(X):完全失業率
縦軸(Y):給食費未納率
景気は大事

景気が悪くなると女はつらいよ
景気は大事

景気が悪くなると女はつらいよ
橋本内閣の緊縮政策
1998年を境に
跳ね上がる
•消費税引上(3%→5%)
•医療費本人負担引上
•特別減税打ち切り
•緊縮予算
→大不況
・失業率急増
(97:3.4%→98:4.1%→99:4.7
%)
•銀行破綻あいつぐ
景気は大事

景気が悪くなると男もつらいよ
景気は大事

景気が悪くなると離婚も増える
失業率は景気
の動きに遅れ
て動く。離婚率
は景気に早く
反応する。
景気は大事

景気が悪くなると労働運動は停滞する
明らかな逆相関
自由度修正済R2=0.7473
係数のp値9×10-17
1953-2004(52年分)
(ただし、ダービンワトソン値
が低い問題あり。労働者の
戦闘性には慣性がある?)
景気は大事

景気が悪くなると政治は右傾化する
参議院全国区(比例区)の左派政党得票率と失業率の相関
1953-2010(20回分) ただし2010年の失業率は1月から11月までの月次速報値の平均
1989年「土井
ブーム」異常値
なのでダミー
「左派政党」=社会党(右社、
左社)、共産党、労農党、社会
市民連合、革新自由連合、社
民連、平和・市民。(他は詳細
データなし)
明らかな逆相関
自由度修正済R2=0.6827
失業率係数のp値0.00079
(ダービンワトソン値は良好)
景気は大事

景気が悪くなると
犯罪が増える
少年犯罪が増える
給食費未納が増える
身売りが増える
親父の自殺が増える
離婚が増える
労働運動が停滞する
政治は右傾化する
ナチスの写真と中国の日本軍の写真。著作権に配慮して削
除
なぜ景気が悪くなったのか
人災です!
明らかに意図的なケースも・・・
小泉改革不況とその後の「回復」

2001年ジェノバサミットでの記者会見発言
「景気が回復したら、
改革する意欲がなくな
ってしまう。……ある
程度の低成長は覚悟
して、『改革なくして成
長なし』という方針通り
選挙後もやっていこう
と思っている。」
小泉首相の写真。著作権に配慮して削除
その結果・・・

大失業時代の到来
2002年
完全失業率5.4%
完全失業者数359万人
「長期」の成長と「短期」の成長

両者の成長政策は違う
天井の成長
※ このグラフはイメージです。
現実の成長
時間
短期の成長
商品を買う側(需要側)で
決まる。
需要が少なければ、人手
や設備が余る。
→ 不況、失業
→ 需要を拡大する政策
「長期」の成長と「短期」の成長

両者の成長政策は違う
天井の成長
※ このグラフはイメージです。
現実の成長
時間
長期の成長
商品を売る側(供給側)で
決まる。
人手を雇いつくした、経済
の「天井」の成長
小泉改革の目指した
のは、こちらの成長の
引き上げ
「天井」の成長率を上げる政策
──「供給力を高めよう」

「新しい古典派」経済学の見立てによれば
•自由な市場経済はいつも「天井」付近にいる。
∴ 失業者は、ワザと働かない人かミスマッチ。
•1990年代の日本経済の停滞は生産性が上昇し
なかったのが原因。

ここから導きだされる政策は
供給能力を高める政策!
「天井」の成長率を上げる政策
──「供給力を高めよう」

小泉「構造改革」



規制緩和(雇用規制
の自由化など)
財政削減(「三位一
体改革」など)
民営化(郵政事業、
道路公団)
小泉首相の写真。著作権に配慮して削除
「小さな政府」へ
この結果、需要側で起こること

もともと不況だった

これらの政策はさしあたり需要を冷え込ませる

その上労働生産性が上がると…
失業の増大
就職氷河期がやってきた
フリーター急増
写真グラフ三点。著作権に配慮して削除
でも、そのあと、景気回復したよね
戦後最長の景気拡大だったって。
小泉改革の成果じゃん。
ちがいます!
前回の景気回復をもたらしたのは

2003年3月日本銀行福井俊彦総裁就任
→「量的緩和」(金融緩和のすごいやつ)本格化
日銀が出したお
カネの伸び率
オイルショック頃以
来の高い伸び率
量的緩和の効果はあったか?


世の中に出回るおカネの量はあまり増えなかった。
実際の物価もデフレのままだった。
しかし

人々の予想に影響した。
じゃあ、効
果なかった
んじゃん
デフレが平成不況の元凶

物価が下がり続けた。=「デフレ」
デフレ
デフレが平成不況の元凶

支出に影響する利子率は、実質利子率。
実質利子率=名目利子率 − 予想インフレ率
デフレが予想されているときは
実質利子率=名目利子率+ 予想デフレ率
なぜなら、インフレが予想されると
きには、
利子率が下がった
のと同じ効果
でも、ぼやぼやして
ると値上りで工場建
設費が高くなるわ
今ならまだ鋼
材の値段も
高くない。
よし、今設備投資しよう!
何年かしたら我が
社の製品も値上り
するから借金返す
のは楽になるわ。
住宅や耐久消費財なども同様
デフレが予想されるときには、
利子率が上がっ
たのと同じ効果
もう少し待ったらいろ
いろ値下がりして工
場建設費は安くなる。
今借金したら、将
来我が社の製品
も値下がりするか
ら借金返すのは
大変になるわ。
設備投資は先送りしよう。
住宅や耐久消費財なども同様
平成不況で起こったことはこれ
実質利子率
高止まり
デフレ予想
支出先送り
予想通りデフレ
総需要不足
好景気になるには、こうなればよい
実質利子率
下落
マイルドなイ
ンフレ予想
支出前倒し
予想通りマイルドなインフレ
総需要増大
日銀の「約束」


消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比
上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続す
る。(2001年)
“安定的にゼロ%以上”という意味。(2003年)



数ヶ月平均してデフレになっていないこと
政策委員の多くが先行きデフレにならないと予想する
こと
経済・物価情勢によっては、量的緩和政策を継続す
ることが適当であると判断する場合も考えられる
人々のインフレ予想プラスに
04年夏
1%に迫る
04年3月
でプラス
で開始
0.8〜
0.9%で推
移
それで設備投資が増加した
ñØä‘ç­èIè¡îÔéxèo(é¿éø, ëOîNî‰, %)
ñØä‘äÈã²ê›îÐ ìäéë(é¿éø, ëOîNî‰, %)
ç‡â›ÉT Å[ÉrÉXÇÃóAèo(é¿éø, ëOîNî‰, %)
15
13.9
10
9.2
9.2
7.5
8.6
7
5.6
5
4.4
1.6
1.3
0
2001
-5
1.1
2002
4.3
1.6
0.4
2003
2004
1.3
2005
2
2006
2.2
1.5
2007
-5.2
-6.9
-10
9.7
03年頃から設備投資需要の
拡大によって景気回復
では、なぜそれがまた不況に陥っ
たのか?
日本経済は健全だったのに、アメリ
カがサブプライム問題でコケたのの
とばっちりを食らったせいでしょ。
ちがいます!
もともと脆弱な景気「拡大」だった
スタート年を100にそろえた実質GDPの推移
設備投資と輸出に支えられた回復
歴代自民党政権と財界の反労働者
的政策  リストラ・首切り推進


「成果主義」の名の人件費削減
非正社員化の進展・・・等々
歴代自民党政権と財界の反労働者
的政策  リストラ・首切り推進


「成果主義」の名の人件費削減
非正社員化の進展・・・等々
その結果、景気「拡大」期なのに、

一人当たり雇用者報酬ほぼ減り続ける。
(ちなみに…)

経常利益と配当金は上昇し続けていた。
その結果、景気「拡大」期なのに、

一人当たり雇用者報酬ほぼ減り続ける。
その結果、景気「拡大」期なのに、

小売販売額伸びず。
01年水準に戻らず
01年水準に戻らず
設備投資と輸出だけが頼りだったのに・・・
日銀の金融緩和打ち止め策




06年3月:量的緩和解除(打ち止め)
06年7月:ゼロ金利解除(打ち止め)
07年2月:再利上げ
その後も追加利上げするぞと強く示唆し続け
る。
日銀が出したおカネ大幅縮小
金融緩和打ち止めは適切だったか

デフレ脱却したとはとても言えない!
量的緩和
打ち止め
再利上げ
ゼロ金利
打ち止め
人々の予想インフレ率低下
量的緩和
打ち止め
再利上げ
ゼロ金利
打ち止め
08年春マ
イナスに
その結果…
設備投資の伸び鈍化
このあと、08年1-3月期
にはもう下落(−0.6%)。
その結果…
経常利益の伸びも鈍化
やはり08年1-3月期には
もう下落。
そして…
06年から
企業倒産増加に転じる
08年春は石油・穀物価格上昇で騒
がれていたが…

限られたおカネが石油・穀物製品に取られて、
他の財への支出が減り、かえって値下がりした。
実態はデフレ
すなわち、
07年秋にははっきり景気後退していた。
 リーマン破綻恐慌(08年9月)はダメ押し
にすぎない。
 景気後退の原因は大きく二つ



歴代自民党政権・財界の反労働者的政策
日銀の一連の金融緩和打ち止め策
+ リーマン恐慌後の政府・日銀の対応
リーマン恐慌直前の日本経済を支
えていたのは?
円高で
壊滅!
輸出が独力で引っ
張っている
リーマン破綻後の円高急進行

ひと月足らずで100円台後半から90円台へ
麻生総理
「円高は健全さの証拠でプラス
の面もある。」10月27日秋葉原
「日本経済は悪くなっていない、
円高で株が下がるのは昔の話」
11月22日
麻生首相の写真。著作権に配慮して削除
リーマン破綻後の円高急進行

ひと月足らずで100円台後半から90円台へ
与謝野大臣(経済関係三閣僚
兼任)
「日本にももちろん影響は
あるが、ハチが刺した程
度。これで日本の金融機
関が傷むことは絶対にな
い。」9月18日
与謝野大臣の写真。著作権に配慮して削除
円売り介入全くなされず
金融緩和が遅れた日銀



10月世界10カ国・地域
の中央銀行の同時利下
げ参加せず。白川総裁
「次第に緩やかな成長
経路に復していく」
→円高進行
月末0.2%だけ利下げ
12月アメリカゼロ金利へ
→また円高進行
→0.1%に再利下げ
しぶしぶ
白川総裁の写真。著作権に配慮して削除
アメリカ・イギリ
スは積極的
リーマンショック後
の主要国中央銀
行が出しているお
カネの額
日本は一番消極的
鉱工業生産指数
米英は落ち込み小
リーマンショッ
ク時点を100と
している
日本が一番落ち込
みが激しい
人々のインフレ予想大幅マイナスへ
一時は3%も超える
デフレ予想!
日本経済奈落の底へ

非正規労働者の雇い止め
08年10月〜09年9月の一年間で23万2338人

年越し派遣村の写真。著作権に配慮して削除

完全失業率
09年7月に過
去最悪記録
5.7%
新卒就職率
前回氷河期
より悪化
この責任を追及するべき立場の人
(左派・リベラル・市民派)に、景気対
策に懐疑的な傾向が…

金融緩和政策への警戒感?
利子率が下が
るって嫌だな
あ
インフレになっ
たら暮らしが苦
しくなるぞ
低金利政策は誰の負担になるか

4000万円以上持っ
金融緩和で利子率が下がると損するか?
ているおカネ持ち世
持っている金融資産の額で家計を階層分けすると
帯(全体の9%)が
預貯金総額の35%を
持っている。
低金利政策は誰の負担になるか

金融緩和で利子率が下がると損するか?
金融資産保有額上
位4分の1の世帯が
持っている金融資産の額で家計を階層分けすると
預貯金総額の3分の
2を持っている。
低金利政策は誰の負担になるか

金融緩和で利子率が下がると損するか?
金融資産保有額の
下位6割弱の世帯は
持っている金融資産の額で家計を階層分けすると
預貯金総額の18%
しか持っていない。
つまり・・・
低金利のせいで家計が取り損ねた利子のうち、



3分の2は、金融資産上位4分の1世帯の負
担
うち半分強は、上位9%弱の世帯の負担
下位6割弱の世帯の負担分は18%弱にすぎ
ない。
しかも、
この下位6割弱の世帯を、150万円刻みで7分
割すると、そのすべての階層で、借金の方が資
産よりも多い。
つまり、利払いの方が利子の受け取りより多い
ので、利子率は下がった方がトクになる。
しかも…

このデータには中小零細企業や個人商店の
借金は含まれていない。
↑
銀行から個人保証が求められるから個人の
借金と事実上同じ

∴ 多くの庶民にとっては、利子率が下がった
方がトク。
インフレは庶民にとって損か

金融資産保有額150万円刻みで分けた、750
万円までの下位5階層(全体の四割)では、
インフレで価値が
目減りする資産
<
借金
金融資産全体−(株・株の投資信
託+外貨預金+外債)
インフレの方が、借金が目減りしてトク。
インフレは庶民にとって損か

インフレ時代の消費者物価と一人当たり雇用
者所得の推移
労働者は豊かに
なっていった
インフレは庶民にとって損か

デフレ時代の消費者物価と一人当たり雇用
者所得の推移
労働者は貧しく
なっていった
ハイパーインフレにはならない

ハイパーインフレになるのは、供給能力が足
りないとき。
(ex. 戦争で生産設備が破壊されたあと)

今の日本は供給能力が余っている。
失業、遊休設備…
ただし、

賃金が自然に上がりだすのは、景気拡大が
十分進んで失業者が少なくなってから。
→ それまでは、物価上昇が先行してしまうお
それ。
∴


最低賃金の引き上げ
労働運動
特に、非正規労働の賃金・労働条件の引き上げ
→ 企業にとっての雇用の非正規化のメリットを減らす
なすべきことは、人々のデフレ予想
の解消→マイルドなインフレ予想へ
そのためには…

インフレ目標値(2%位?)を約束した大規模な
金融緩和
(買取った国債は返済無期限にして整理)

さらに、次のことを追加すると確実。
 日銀が資金を作る形での政府支出の拡大
(特に、医療、福祉、子育て支援の分野)


最低賃金の引き上げスケジュール制定
円売り外貨買いの為替介入
奇抜なアイデアとしては…




百兆円玉を発行し、日銀で両替→政府支出
二年間の消費税停止、二年後10%に。
資産の期首時価x%を期末に課税。
現金は新札に切り替え、交換手数料を取る。
旧札は無効化する。
「左派ほど金融緩和志向・インフレ嫌
いほどブルジョワ派」は欧米の常識

欧州社会党の主張
質の高い完全雇用は実現可
能である。欧州中央銀行は成
長促進に軸足を移せ。

欧州左翼党の主張
欧州中央銀行を、雇用の増
加目的にそわせるために、民
主的コントロール下におけ。