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ALMA Cycle0 OT Tutorial
OTチュートリアル
~OT初心者と電波干渉計になじみが薄い方のコース~
西合一矢
(国立天文台 ALMA推進室 ARC)
Outline
1. 電波観測と干渉計の基礎と用語の解説
2. ALMAの仕様の簡単なまとめ解説
3. 別紙のWalkthroughを見ながら各自が実際にプロポーザルを作成
※好きなタイミングで質問してください
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ALMACycle 0 OT Tutorial 於、国立天文台 三鷹
1
ALMA Capabilityのおさらいと電波干渉計基礎解説
ミリ波・サブミリ波帯で見えるもの
ALMA観測周波数は、85GHz(λ=3.5mm) ~ 950GHz(λ=0.316mm)です。
つまり、ミリ波・サブミリ波観測となります。
ミリ波・サブミリ波観測では、大まかに以下のような情報が得られます。
・ 連続波: ダスト(基本的に熱放射)、シンクロトロン
⇒ 温度と密度のごちゃ混ぜ情報 (例えば光学的に薄い分子雲では強度∝温度×密度 となる)。
※ALMAでは、2GHz × 4 = 8 GHz幅の連続波を同時観測できる。
・ 輝線スペクトル: 分子の回転遷移、低エネルギー振動遷移、メーザー
⇒ 各分子種の組成、ガス運動、(モデルとの比較や強度比などで)物理状態、磁場強度など、
※ALMAでは、2GHz~58MHzを4000チャンネル (or 8000チャンネル)に周波数分解能して
輝線を観測できる。
・ 偏波観測: シンクロトロン、異方ダスト熱放射
⇒ 星間磁場の方向推定、シンクロトロン成分
※ALMA Cycle0では観測できない。
+
干渉計観測では、1視野観測でもこれらの空間分布(マップ)が得られる。
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ALMA Capabilityのおさらいと電波干渉計基礎解説
干渉計観測とは、
干渉計は天体からのフラックス強度分布のフーリエ分解成分を観
測し、それを逆フーリエ変換で画像に戻します※。
天球
天球上の位置ベクトル r
※天体からの電磁波を干渉させると、ビジビリティー(visibility,干渉縞の
明暗強度)が得られる。簡単のために1次元uで考えると、
 (u )  a1a*2 
Source
I (r ) exp( 2iur )dr
基線長
相関器
となります(実際は2次元)。逆フーリエ変換し天体輝度分布 I(r) を得る。
Point 1: 基線長が長いアンテナペアで観測すると空間周波数が大きな(小さな空間ス
ケールのフーリエ成分)情報が得られる(最大基線長⇔空間分解能)。
 125m 
Spatial Resolution: 1.55"  345GHz  : 観測周波数、Lmax:最大基線長




  Lmax 
Point 2: 最短基線長間の相関からはもっとも低い空間周波数情報が得られる。それより
低い空間周波数情報は得られないため、広がった空間構造成分は干渉計観測画像から
ゴッソリ落ちる(最短基線長⇔Resolve Out)。
 345GHz   18m 
Resolve Outスケール:
:観測周波数、Lmin:(実効)最短基線長
10.0" 
 



  Lmin 
Point 3: 単一鏡電波観測と異なり、干渉計観測では1視野の観測でも画像が得られます。
画像サイズはアンテナ口径で決まり、各アンテナの視野(=Beam Size)と同じです。
視野サイズ(画像サイズ): 14.9"  345GHz   12m 
:観測周波数、Dantenna:アンテナ口径

2011/5/6

  Dantenna 
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下準備
- あれだけ言っても午前中にScience Portalに登録しなかった人はできるだけ早く
登録をお願いします。
- Phase 1 Quickstart Guideを一部づつ取ってください。
- OTを立ち上げてください。
- まず画面の意味を知り、カスタマイズする! (p.4)
Menu
Toolbar
Expand/collapse
project tree
Editor Pane
Define the Setup
Project
Structure
Pane
Navigate
the project
tree
Feedback Pane Validation feedback
Maximise/minimise
pane
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Overview Pane
Information only
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PIやCo-Iを入力
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P.5
5
何を観測?
• スペクトル情報:
必要な情報
– 周波数(観測分子種?)
– 周波数分解能
– 視線速度
• 天体、ターゲット(座標)
入力フォームに入力
どのように観測?
Science Goal (次ページ)
• 空間分解能選択: 配列選択 (125m, 400m)
• 観測モード選択:(複数の)1視野観測 or モザイク観測
どれだけ観測
• 必要感度 (or 積分時間)
– 予想強度
– 欲しいS/N比
なぜ観測?
• タイトル・アブスト・著者
• 科学的意義 pdfファイル
+
技術的な正当化と要請 pdfファイル
p.6 Step 2
後回しでもOK
– たとえば、イメージクオリティー(UVの埋め方)
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6
Science Goalを生成
p.6 Step 3
ALMAでは、1つの科学的目標を達成するための観測単位をScience Goalと呼ぶ
。実際は、1つの観測機設定(受信機、相関器、配列)の塊。複数あって
もよい。ます、そのScience Goalに設定を入力するためのフォームを生成する!
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周波数設定
p.7 Step 5
受信機とSideBand(観測できる周波数帯)
- 受信機は、Band3, 6, 7, 9が使える。
- 観測では、まずLO(と呼ばれるベースとなる周波数)を1つ決める。観測可
能な周波数帯域はそれを中心にLower SidebandとUpper Sidebandの2領域に
分かれる。
Lower sideband
Band 3 ( 84GHz - 116GHz)
Band 6 (211GHz - 275GHz)
Band 7 (275GHz - 373GHz)
Band 9 (602GHz – 720GHz)
難しそうに見えますが、OTを使え
ばビジュアル的に設定できます。
-10 -8 -6 -4 -2
2
4 6 8 10
Offset from LO (GHz)
Gunn LO
-10 -8 -6 -4 -2
2
4
6 8 10
4
6 8 10 12
Gunn LO
-12-10 -8 -6 -4 -2
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Upper sideband
Gunn LO
2
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Spectral Window(相関器設定)
受信機で受けた情報がすべて観測情報として使えるわけではない。
- 受信機の観測可能周波数帯(LowerとUpperの
sideband)の中に、同時に4つの観測周波数の
窓(Spectral Window)を置くことができる。
4輝線(4 Baseband/4 Spectral Window)同時観測
- Spectral Windowはそれぞれ、約4000チャンネルに周波数分解できる
(Dualモード ※詳細はスキップしますが普通はこのモード)
つまり周波数幅(Bandwidth)/約4000が周波数分解能
- Spectral Windowとしては2GHz~58.6MHzの周波数幅
(Bandwidth)の窓を選べる。
※たとえば500MHzの窓を選べば122kHzの周波数分解能(これは345GHzで0.1km/s
の速度分解能に相当)
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空間設定
p.10-12 Step 6-7
空間情報(座標、視野)
- 複数の一視野観測
- 50視野までのモザイク
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分解能と感度設定
p.12 Step 8
Control Parameterで入力
•アンテナと配列
- 16アンテナ素子相当
- 基線長 Compact(18m~125m)とExtended(32m~400m)の2種の配列
- 空間分解能 ~ 1.55” [125m / L (m)] [345GHz /ν (GHz)]
~ 0.45”
[400m / L (m)] [345GHz /ν (GHz)]
• 必要感度
- Flux Density (Jy) か 輝温度Tbなどで入力(デフォルトでは、必要感度に達
したら、そのScience Goal観測は終了となる)
※周波数分解能に依存するので、どの周波数分解能での感度なのかをきち
んと
認識する。
※Sensitivity Calculatorで計算して現実的な観測時間であることを確認する。
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補足
天体の電波強度を表す2つの表現
•
ジャンスキー(Jy)
Flux Density: 1 Jy = 1 x10−23 erg s-1 cm-2 Hz-1
通常、合成ビーム内で積分した値を用いるので、多くの場合その際の単位は正確に
は(Jy/beam)。ALMA OTでもJyと書かれているが正確にはJy/Beamとすべき。
空間分解されていない点源的天体からの強度として用いられることが多い。点源の
場合、積分値であるJy/beamの値は分解能に依存しない。
•
輝度温度 (K)
Flux Densityのビーム内平均を温度に換算したもの。単位は(K)。
輝線スペクトル強度や空間分解した天体からの強度を示すために用いられることが多
い。 Flux Density構造を空間分解しきっていない場合、平均値である輝度温度は分解能
(ビームサイズ)に依存するので注意が必要※。
※ 構造を空間分解観測でいていれば、輝度温度はビームサイズ(空間分解能)に
依存しない(たとえば、黒体なら実際の温度に帰着)。
輝度温度Tbとflux density Fの関係は、合成ビームの立体角をWBeamとすると
1
2
2
c2
F
 
  W Beam   F 
 mK
Tb 
F
 1.39   

 
2k B W Beam
2kB  2W Beam
100
GHz
1
"

1
"
mJy

 
 

となる。
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ALMA仕様
ALMA初期運用での制限
• 相関器:4つのスペクトルを同時観測できるが、それらは全て同じ周波
数設定(スペクトル窓の周波数幅、周波数分解能)である必要がある。
• 周波数分解能:選べるモードに制限 (OTで選択する際に選択種が少ない)
• 偏光観測はできない。
• モザイク観測は、50視野までサポート。
• Single Dish観測は無い。
• ACA運用は無い。
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補足
補足1
その他の簡単な用語解説
•
合成ビーム
干渉計で得られる画像で空間解像度を表すもの。通常の干渉計観測では合成
ビームに異方性があるために楕円形となる。
•
[at ]Calibrator
観測天体から観測されたFlux Density強度をJyやKの物理的な単位に直す(ス
ケーリングする)ために必要な比較対象(天体)のこと。CalibratorからのFlux
Density強度は、観測周波数帯で既知であり、値が安定していて、観測天体の近
くにあることが前提。
•
[at cover page] Target of Opportunity
例えば彗星やGRBなどのように時間と座標が決まっていないもの。
•
[Spectral Setup] polarization
SingleとDualがあるが分らなければDualを選んでください。ALMA受信機では、
電波は直交する2偏波(xとy)で受信するが、それをバラバラに扱うときをSingle、
まとめて(重ねて)扱うときをDualと呼ぶ。
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補足
補足3
感度計算
•
干渉計での感度計算 (実際は感度計算ツールで計算)

2k BTsys
Ab N ( N  1) B
Tsys:雑音温度、A:アンテナ面積、N:アンテナ台数
ηb:アンテナ効率, B:バンド幅、τ:観測時間
ようするに、積分時間(簡素時間)は、必要な感度の2乗に比例して必要です。
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