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LMXBトランジェント 4U 1608-52 と Aql X-1の 光度曲線と状態遷移の解釈 三原建弘、浅井和美、松岡勝、杉崎睦、芹野素子(理研)、 上田佳宏(京大)、中平聡志、山岡和貴(JAXA)、根来均(日大)、 他 MAXIチーム 光度曲線解析に用いたモニタリングデータ エネルギーバンド 検出器(データを使用した年月) 年 XTE/ASM(1996.1-2009.8) 約13年半 2-10keV MAXI/GSC(2009.8-2013.2) 約3年半 15-50keV Swift/BAT(2005.2-2013.2) 約8年 AqlX-1 GSC and BAT Log Lx 37 Soft ← GSC 2-10keV Hard-High Hard-Low 36 光度変化パターンの分類に使用 37 ← BAT 15-50keV 36 35 50日 ←15-50keV/2-10keV ソフト/ハード状態の区別に使用 55150 55200 55250 55300 Lx[erg/s] Soft 1037 1036 BAT開始 Hard-high Hard-low 4U1608-52 ASM 1 ASM 2 ASM 3 ASM 4 ASM 5 ASM 6 ASM 7 ASM 8 ASM 9 ASM 10 ASM 11 MAXI 12 MAXI 13 MAXI 14 Lx[erg/s] 1037 1036 BAT開始 Soft Hard-high Hard-low AqlX-1 ASM 1 ASM 2 ASM 3 ASM 4 ASM 5 ASM 6 ASM 7 ASM 8 ASM 9 ASM 10 MAXI 11 MAXI 12 MAXI 13 矮新星と同じリミットサイクル 矮新星SS cygniの光度曲線(Wheatley et al. 2003) . Mは同程度 内側への降着率 明 暗 天体 アウトバースト継続時間 再帰時間 矮新星 1-3日 1-3週 LMXB 1-3ヵ月 1-3年 電離 中性 矮新星の場合: 降着円盤 外縁部の熱不安定性モデル で説明(水素が電離した状態と中性水素 の状態の二つの安定した状態) LMXBの場合:時間スケールが50倍長い。 連星間距離が2倍大きい。⇒2倍大きい円盤ができている。 円盤全体にガスがたまるのに時間がかかる。 電離状態になると降着率が大きくなりアウトバーストするが、X線 による加熱で、中性水素の状態に戻るのが抑制され、アウトバース ト継続時間が長くなる。 (King et al 1998) Lx[erg/s] Soft 1037 1036 hard-High hard-Low 4U1608-52 H→L ASM 1 ③ H→L ASM 2 ③ ASM 3 ③ L→H ASM 4 ③ L→H ASM 5 ③ ASM 6 H→L ASM 7 ③ H ASM 8 ② ASM 9 L→H ④ L→H→L BAT開始 ④ L→H→L H ASM 10 ② H→L ASM 11 ③ H→L MAXI 12 ③ H→L MAXI 13 ③ MAXI 14 アウトバースト間の光度変化パターン ①すべてハードロー(L) ASM MAXI ③直前直後以外は ハードロー(L) ②すべてハードハイ(H) High MAXI H → L → H の例 Low ④途中で L → H → L がある ASM H→L→H→L 状態 4U1608-52 (13個) AqlX-1 (12個) ① 0%(0個) 42%(5個) ② 15%(2個) 0%(0個) ③ 70%(9個) 25%(3個) ④ 15%(2個) 33%(4個) ※③には、 3つのパターンがある 1.H → L → H 2.H → L → L 3.L → L → H X線光度曲線と低温円盤のリミットサイクルの対応① X 線 光 度 溜めたガスを解放する明るい状態 内側では、 Soft状態 ←Meyer & Meyer(1981) の縦軸: 降着率を中性子星表面でのX線光度 に変換した図 準周期的な光度変化は説明できる。 アウトバースト開始 4U1608-52、AqlX-1の プロペラ効果光度 内側では Hard-low ①すべてハードロー(L) MAXI ガスを溜める暗い状態 プロペラ効果中 [g cm-2]@ 円盤のガス面密度 ①は説明できる。 他のパターンは一つのSカーブでは説明できない →X線照射による加熱効果を入れるとどうなるか? r=1010.5 cm X線光度曲線と低温円盤のリミットサイクルの対応② X線照射の効果が大きいと②が説明可能 ホット円盤の場合は、質量降着率が プロペラ効果のレベルまで落ちない。 X 線 光 度 ②すべてハードハイ(H) ASM X線照射の効果 が大きいとき プロペラ効果 Tirr=7500 X線照射の効果が時間ととも に変化することを考えると③の 3つのパターンも説明できる (次のスライド)。 Tirr=6000 X線照射なし Tirr=0 Tuchman, Mineshige, and Wheeler (1990) の縦軸:有効温度を光度に変換した図 円盤のガス面密度 [g cm-2]@ r=1010.5 cm X線光度曲線と低温円盤のリミットサイクルの対応③ H→L→L 照射が大 小 H→L→H 無 L→L→H 降 着 率 HH状態 L H L H プ ロ ペ ラ 効 果 H L L 状態 H L 円盤のガス量 X線照射の効果が減少するにつれて、 Sカーブが、右側(低温側)へ移動していくことを考えると、 上記の3つのパターン(アウトバースト前後はHで中はL状態:③) が説明可。 LからHへ変化した後、再びLへ戻る場合(④)は? ↓ Sカーブ状の下のブランチを右に移動することでは説明できない。 Lx[erg/s] 1037 H1 H2 1036 特徴 可視光:アウトバースト X線:ハード状態 X線:小さいピーク光度 AqlX-1: No9 H3 通常のアウ トバースト ピーク光度 [erg/s] H1 (4.8±0.7) ×1036 H2 (3.1±0.2) ×1036 H3 (4.1±0.3) ×1036 2-10keV 15-50keV 円盤外縁(可視光)は上のブランチに遷移し たが、 円盤内側(X線)は、ソフト遷移しなかった? 15-50keV/2-10keV 外側の低温円盤と内側の高温円盤の比較 Log Lx [erg/s] 38 37 36 内側の高温円盤:Abramowicz (1995) の縦軸:降着率を中性子星表面でのX 線光度に変換した曲線 光学的厚い 円盤のブランチ 内側の円盤では遷移 を起こさずにハード状 態にとどまっている 外側の低温円盤: Tuchman, Mineshige, and Wheeler (1990)の 縦軸:有効温度を光度 に変換した曲線 Tirr=7500 1036で遷移 Meyer-Hofmeister et al.(2005) Tirr=6000 Tirr=0 35 光学的薄い 円盤のブランチ ピーク光度が(3~5) ×1036erg/sでは、外側の円盤が上のブラン チに遷移しても、内側の円盤は、遷移しない場合ではないか? まとめ 矮新星のリミットサイクルとBHの円盤状態の相図をLMXBトラン ジェントに応用することでLMXBの光度変化をほぼ説明できた。 1.回帰活動によるソフトからハード状態への光度変化パターンは、 円盤外縁のリミットサイクルに、 プロペラ効果とX線照射による効果を入れることで、 定性的な説明は可能である。 2.ソフト状態に遷移しないアウトバースト(ハードアウトバースト)は、 可視光でアウトバーストが観測されていることから、 円盤外縁では、電離のブランチに遷移を起こしたものの、 内側円盤では光学的に薄い円盤(ハード状態)にとどまっている と考えられる。 しかし、 アウトバーストよりもかなり低いピーク光度(5×1036erg/s以下)で、ソフト状 態になる場合がある。可視光でアウトバーストしているかどうかは不明である。 もし、可視光でアウトバーストしていないならば、内側の円盤のみが、光学的に 厚い円盤(ソフト状態)に遷移した可能性がある。 嶺重:内側の方(abramowics)は、まだ定説ではない。加熱とか、。。とかある。