LPガス設備の災害対策について

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Transcript LPガス設備の災害対策について

平成25年度
業務主任者・管理者研修会
LPガス設備の災害対策について
平成25年11月
関東液化石油ガス協議会
東日本大震災の津波被害
仙台港近く
転倒する配送車
打上げられた船
原形を留めない車
1
LPガス供給設備の被害
(
2
0
0
7
年
3
月
25
日
発
生
能
登
半
島
地
震
)
津波の通過跡
建屋倒壊
ガス設備崩壊
容器転倒、設備崩壊
2
LPガス仮設住宅(宮城県)
集合装置
3
東日本大震災における住宅被害状況
(単位:棟)
都道府県名
全壊
半壊
北海道
一部破損
4
7
青森県
306
701
835
岩手県
20,189
4,688
8,219
宮城県
84,940
147,613
217,875
秋田県
3
山形県
37
80
福島県
20,607
68,473
155,607
茨城県
2,738
24,506
182,540
栃木県
260
2,103
70,479
7
17,246
群馬県
埼玉県
24
194
1,800
千葉県
798
9,985
51,439
東京都
15
198
4,847
39
445
神奈川県
新潟県
17
山梨県
4
静岡県
13
合計
129,914
258,591
711,376
出典:平成24年度版防災白書より
4
東日本大震災における人的被害状況
都道府県名
死者
行方不明
負傷者
(単位:人)
北海道
1
3
青森県
3
1
109
岩手県
4,673
1,222
200
宮城県
9,517
1,581
4,136
秋田県
12
山形県
2
29
福島県
1,605
214
182
茨城県
24
1
709
栃木県
4
134
群馬県
1
38
埼玉県
42
千葉県
20
2
251
東京都
7
117
神奈川県
4
134
新潟県
3
山梨県
2
静岡県
3
三重県
1
高知県
1
合計
15,859
3,021
6,107
出典:平成24年度版防災白書より
5
東日本大震災3県の被災状況
岩手県
宮城県
福島県
最大震度
震度6弱
震度7
震度6強
津波(最大)
宮古市:8.5m
大船渡:8.0m
石巻市:8.5m
仙台港:7.2m
いわき市:9.3m
LPガス利用世帯
利用世帯率:92.9%
全半壊LPガス家屋
数:22,104戸
利用世帯率:64.2%
全半壊LPガス家屋
数:約50,000戸
利用世帯率:87.5%
全半壊LPガス家屋
数:約30,000戸
充填所
全半壊:9ヶ所
全半壊:14ヶ所
全半壊:2ヶ所
原発避難:2ヶ所
販売店
全半壊:66ヶ所
全半壊:139ヶ所
全半壊:23ヶ所
原発避難:51ヶ所
特徴
東西・南北で被害の
程度が大きく異なる
沿岸部が広範囲に
わたって津波に被害
原発による影響が
大きい
出典:資源エネルギー庁東日本大震災を踏まえた今後のLPガス安定供給の在り方に関する調査(H24年2月)より
6
東日本大震災におけるライフラインの復旧状況-1
項目(最大被害)
電気
停電最大戸数(東北3県):約
258万戸(3/11時点)
(復旧済み)/(最大被害)
約96%
停電約11.2万戸は家主不在
等による送電保留家屋・家屋
流出地域・原発警戒区域等で、
停電:約11.2万戸 復旧作業困難
約86%
都市ガス
供給停止最大戸数(東北3
県):約42万戸(3/11時点)
復旧率
未供給:約6万戸
未供給約6万戸は家屋流出地
域で、復旧作業困難
約95%
LPガス
未供給約8万戸は家屋流出地
域で、復旧作業困難
供給停止最大戸数(東北3
県):約166万戸(3/11時点)
未供給:約8万戸
水道
これまでに断水した戸数(全
国):約166万戸(3/11時点)
約98%
断水約4.5万戸は、ほぼ全て
家屋流出地域。原発警戒区
断水約4.5万戸 域等は除く。
出典:平成24年度版防災白書より
7
東日本大震災におけるライフラインの復旧状況-2
3月
4月
5月
6月
出典:資源エネルギー庁・東日本大震災を踏まえた在り方に関する調査より
8
東日本大震災の被災地における対応から明らかになった課題
初動
課題
内容
通信の寸断
・災害時優先電話を含め、電話/データ通信がほぼ
機能しないケースが相次ぎ、情報収集・共有が困難
電力の損失
・元売/基地:LPガスの出荷が不可
・卸売:充填所のポンプが駆動せず供給不可
・その他各事業所:情報の収集/発信が困難、顧客
データの確認不可
保安点検の実施
・小売のみでは、早期保安点検は困難、卸売も他社の
顧客の保安点検は困難
・全戸点検ができないケースの発生
流出容器の回収
・大量の流出容器が発生した場合の対応が困難
保安
基地の保安
・千葉地区の一基地において、法令遵守が不徹底
出典:資源エネルギー庁東日本大震災を踏まえた今後のLPガス安定供給の在り方に関する調査(H24年2月)より
9
今後、発生が予想される大地震について
南関東地域の大地震
(M6.7~8.1)
①1703年元禄
②1782年天明小田原
③1853年嘉永小田原
④1855年安政江戸
⑤1894年明治江戸
⑥1895年M7.2
⑦1921年M7.0
⑧1922年M6.8
⑨1923年関東大震災
M7.9
⑩1931年西埼玉M6.9
⑪1987年千葉県東方沖
M6.7
○1700年から現在に至
る約300年間にM7クラ
ス以上の大地震が11回
発生している。
出典:国土交通省関東地方整備局 18世紀以降の南関東地域の大地震より
10
1600年以降に南海トラフで発生した巨大地震
南海トラフとは東海、東南海、南海地
域にまたがる海底にある4000m級の
深い溝を言う。
南海トラフでは1605年に慶長地震、
1707年に宝永地震、1854年に安政
地震が起きており、約100年から150
年の周期で巨大地震が発生している。
それから90年後の1944年に東南海、
南海地震が連続して発生して以来、
約70年が経過している。
また、東海地震は安政地震の発生か
ら約160年が経過しており、いつ発生
しても不思議でないといわれている。
今後30年以内に南海トラフでM8以
上の地震が起きる確率は60~70%
とされている。(地震調査委員会)
出典:内閣府 1600年以降に南海トラフで発
生した巨大地震
11
出典:2013/03/13付 静岡新聞社記事より
12
出典:内閣府 南海トラフ巨大地震の被害想定について(第一次報告)より
13
LPガス設備の災害対策について
「LPガス災害対策マニュアル」より
地震時及び災害発生時にLPガス設備からの二次災害の発
生を防止するためには設備の耐震性向上、安全器具の設置
等設備面の事前対策が必要である。
1)容器の転倒、流出防止対策(鎖、ベルトの上下二重掛け等)
2)設備強化対策(調整器、メータ等の固定強化、独立した固定架
台の設置、PE管、配管用フレキシブル管等の可とう性、耐食性
のある管材料の採用)
3)落下物対策(保護板の設置、容器バルブ保護プロテクターの設
置)
4)ガス放出防止型高圧ホース、ガス放出防止器の導入促進
5)感震自動ガス遮断装置の設置
14
容器の転倒、流出防止対策(鎖、ベルトの上下二重掛け等)
※止め金具は軸組
(柱、間柱)にしっか
りと!
・壁と容器の隙間、クサリのあそびを極 力なくす。
・止め金具は軸組(柱、間柱)にしっかりとする。
・クサリの二重掛けでより確実に固定する。
15
LPガス設備強化対策
調整器等の固定強化
配管支持金具例
●調整器、メータ、供給管、配管等の支持金具の
固定強化。また、PE管、配管用フレキシブル管
等の可とう性、耐食性のある管材料を採用し、
設備全体の強度アップを図る。
ガスメータ補強プレート
16
独立支柱による強化対策
○家屋の壁などに直接設置するのと異なり、容器、調整器、ガ
スメータ等が一体的に設置することができる。家屋の美観に配
慮することや設備そのものの耐震性などの強度を上げること
ができる。
埋設式(支柱をコンク
リート 基礎に埋設)
アンカー式(支柱
をコンクリ ート上
に設置)
17
家屋の屋根等からの落下物対策-1
①保護板等の設置
②容器バルブ保護用プロテクター(+ガス放
出防止型高圧ホース)の設置
18
家屋の屋根等からの落下物対策-2
①折損式ガス放出防止弁内蔵型単段式調整器
●落雪等で調整器に異常な負荷が加わると左図
のように入口接続部が折れてボールが栓をして
LPガスの流出を防止する機構が付いています。
※入口接続部が完全折損(20°以上)しないと
ガス放出防止弁は作動しません。
HS-5BP(H/S)
②単段式調整器+張力式高圧ホース
●張力式高圧ホースと組み合わせることで、垂
直配管による壁際設置が可能となり、雪害
対策に威力を発揮。
19
ガス放出防止型高圧ホース・ガス放出防止器の設置
地震時に最も多いLPガスの漏えい箇所
漏えい原因
容器の転倒等の過重による供給設備の破損
①自動切替調整器と高圧ホースの接続部
の折損(高圧ガスの漏えい)
②自動切替調整器とねじガス栓の接続部
の折損(低圧ガスの漏えい)
①
②
20
ガス放出防止型高圧ホース
【ガス放出防止型高圧ホースの作動例】
【防止機能作動表示】
21
ガス放出防止型高圧ホース出荷実績-1
ガス放出防止型高圧ホース 出荷状況
H19年度
H20年度
H21年度
H22年度
H23年度
比率%
比率%
比率%
比率%
比率%
H24年度
都県
上期
下期
通期
1
茨城
18.0%
23.2%
17.6%
18.1%
33.9%
44.8%
57.3%
50.5%
2
栃木
14.4%
24.5%
29.3%
23.6%
36.8%
41.1%
55.7%
47.0%
3
群馬
7.2%
17.3%
16.5%
21.9%
28.5%
34.6%
53.2%
42.6%
4
埼玉
15.9%
22.0%
19.2%
23.7%
37.7%
57.9%
85.3%
70.0%
5
千葉
21.9%
20.6%
22.4%
25.9%
33.2%
49.6%
69.4%
59.0%
6
東京
27.2%
32.7%
45.4%
48.6%
45.2%
51.2%
77.8%
63.2%
7
神奈川
58.9%
65.6%
70.2%
72.1%
64.3%
76.7%
95.9%
85.6%
8
山梨
22.2%
44.1%
48.9%
58.6%
58.8%
64.1%
82.4%
72.8%
9
静岡
90.3%
93.9%
98.1%
92.1%
93.7%
90.9%
100.0%
95.2%
10
長野
21.0%
26.0%
24.6%
31.4%
31.7%
38.5%
45.0%
41.3%
11
新潟
18.9%
16.6%
22.2%
24.7%
37.0%
26.7%
32.4%
28.6%
合 計
36.1%
41.2%
44.3%
48.9%
50.4%
60.6%
80.9%
69.7%
※
ガス放出防止器は含まれておりません。
※
集合用ホースの内、ガス放出防止型高圧ホースの出荷割合
22
ガス放出防止型高圧ホース 出荷状況
ガス放出防止型高圧ホース出荷実績-2
全国 (地区別)
H24年度
防止型出荷比率
H19年度
H20年度
H21年度
H22年度
H23年度
上期
下期
通期
北海道
17.2%
18.0%
17.4%
16.4%
21.5%
26.3%
38.7%
30.2%
東北
12.5%
19.0%
21.7%
19.8%
21.4%
25.0%
43.7%
31.7%
関東
26.2%
33.4%
35.5%
39.1%
43.0%
54.7%
75.7%
64.2%
東海
86.1%
93.3%
94.1%
94.5%
92.3%
95.2%
96.6%
95.8%
信越
20.2%
23.1%
23.8%
29.0%
33.3%
35.1%
42.3%
38.0%
北陸
3.4%
3.8%
10.4%
8.8%
14.4%
35.4%
45.5%
39.3%
関西
5.2%
6.4%
6.6%
9.4%
14.4%
21.7%
26.7%
23.9%
中国
7.8%
9.6%
9.1%
11.5%
16.3%
23.0%
26.0%
24.4%
四国
58.5%
60.4%
60.4%
63.5%
58.5%
68.1%
73.8%
70.5%
九州
1.1%
1.8%
1.7%
3.3%
7.2%
11.8%
15.5%
13.4%
27.9%
32.2%
33.3%
33.7%
34.9%
43.2%
55.9%
48.6%
全国平均
23
感震自動ガス遮断装置の設置
施錠されている容器収納庫は、地震時に消費者が容器バルブを閉めることが困難な
ため、貯蔵能力が1,000kg以上の貯蔵設備については、感震自動ガス遮断装置を設
置することが望ましい。
【感震自動ガス遮断装置
①】
感震自動ガス遮断装置は、感震センサと感震遮断弁によって構成される装置で、設定加速度
(250ガル震度5強相当、又は400ガル震度6弱相当)以上の地震の震動が発生すると、自動的
にラインのガス供給を遮断します。
通常時
遮断時
感震自動ガス遮断装置の作動原理
24
【感震自動遮断装置 ②】
●この感震自動ガス遮断装置
は、感震器と遮断弁がレリーズ
によって接続されている装置で、
作動設定値(250ガル震度5強相
当、又は400ガル震度6強相当)
以上の地震が発生すると、感震
器の作動した力がレリーズから
遮断弁に伝わり、自動的にガス
を遮断します。
25
給湯設備等の転倒防止対策
26
忘れてはならない自然災害の教訓!
多発する風水害と近い将来発生が予測される
大地震に備えてLPガス設備を強化しましょ
う!!
ご清聴ありがとうございました。