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人口経済論 第4回
2005年5月9日(月)
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長期的人口成長の趨勢と展望:
世界人口の動向
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
世界人口の規模
出生率の現状
先進地域の出生率の低下
死亡率と平均寿命の動向
人口の年齢構造の変化と高齢化
都市化と人口移動
国際人口移動
国連の将来人口推計:参考(1/2)
World Population Prospects
 推計方法コーホート要因法による
 国連加盟国それぞれについて、将来の出
生、死亡、移動の仮定をたて、人口の規模・
構造などを推計している。
 最新は2004年版で1950-2050年までの
データが掲載されており、2005-2050年ま
でが将来の人口推計(projection)結果、そ
れ以前は推計(estimate)人口。

国連の将来人口推計:参考(2/2)
基本となる仮定
 出生:TFRはすべての国において1.85へ収斂す
る。しかし2050年までにその水準に達するかどう
かは2000-05年の出生力による。
 死亡:死亡の水準は、すでに経験された水準をも
とにより寿命が長くなるようモデルを組む。ただし、
HIV/AIDSの感染の深刻な60カ国に関しては死亡
率の低下は緩やかとしている。
 移動:過去の水準とその国の方針をもとに仮説を
設定。
国連の将来人口推計:参考

中位、高位、低位、出生率一定、死亡率一定、人口
移動なしの6種類の推計結果が提示されている。
中位
高位
低位
出生
一定
出生
将来
1.85
将来
2.35
将来
1.35
2000-05 中位に同じ
水準
死亡
死亡の水準は、すでに経験された水準を 2000-05 中位に
もとにより寿命が長くなる。
水準
同じ
移動
過去の移動トレンドとその国の政策によって仮定設
定
死亡
一定
移動
なし
移動ゼ
ロ
1.世界人口の規模(1/4)
1.世界人口の規模(2/4)


世界人口は、2005年7月までに65億人(6.5billion inhabitants)に達す
る。2050年には90億人にまで達する。
現在まで、先進地域と比べ、途上地域の人口増加が圧倒的に大きい。
途上地域においては2050年にかけて人口が増加し続ける。
先進地域においては、人口増加は緩慢で、将来、減少に転ずる。
先進地域
途上地域

1950年
32.3%
67.7%
2005年
18.7%
81.3%
2050年
13.7%
86.3%
地域別に見ると、現在約60%がアジアの人口である。次にアフリカ
(13.8%)、ヨーロッパ(11.2%)の人口が占める。アフリカの人口の増加
が大きい。そのため2050年にはアフリカが世界人口の20%を占める。
ヨーロッパ、そしてアジアのうち東部アジア(east asia)は減少。
1.世界人口の規模(3/4)
国別の人口ビッグ20の推移を見ると
1.先進地域の減少
(1950年6カ国→2050年1カ国))
2.2050年にはインドがナンバーワンとなる
ことが特徴。

1.世界人口の規模(4/4)

このように、途上国において人口増加が顕
著なのは、途上国では死亡率が地すべり的
に低下したが、その出生率が先進国に比べ
てまだかなり高く、したがって人口増加率が
先進奥に比べて格段に高いため。
→出生と死亡の変化(具体的には低下)には
タイムラグが観察される。
2.出生率の現状(1/5)
世界の出生率動向の大まかな特徴
1.先進地域と途上地域の格差が非常に大き
いこと
2.数量的には途上地域の低下が大きいこと
6.17(1950-55年)→2.90(2000-05年)

2.出生率の現状(2/5)
国
ホンコ ン特別行政区
マカオ特別行政区
ウク ライナ
チェ コ 共和国
ロ シア
ス ペイ ン
イタリ ア
ルーマニア
ブルガリ ア
ベラ ルーシ
ルク センブルク
ポーラ ンド
ギリ シャ
ハンガリ ー
オース ト リ ア
日本
ド イツ
ク ロ アチア
スイ ス
ポルト ガル
韓国
カナダ
ス ウ ェ ーデン
合計特殊
出 生 率
2000
0.90
2000
0.91
2001
1.06
2001
1.15
1999
1.16
1998
1.17
1999
1.23
2001
1.23
2001
1.24
1999
1.26
2001
1.27
2001
1.29
1998
1.29
2001
1.30
2001
1.31
2001
1.33
1997
1.36
2001
1.38
2001
1.41
2001
1.46
2000
1.54
1997
1.55
2001
1.57
(年次)
国
キュ ーバ
キプロ ス
シンガポール
イ ギリ ス
オラ ンダ
フ ィ ンラ ンド
オース ト ラ リ ア
デンマーク
ノ ルウ ェ ー
フ ラ ンス
チュ ニジア
アイ ス ラ ンド
アイ ルラ ンド
ニュ ージーラ ンド
プエルト リ コ
チリ
アメ リ カ合衆国
合計特殊
出 生 率
1.59
2000
1.62
1999
1.66
2000
1.69
1999
1.69
2001
1.72
2001
1.75
2000
1.75
2001
1.79
2001
1.84
2000
1.93
1998
1.95
2001
1.95
2001
2.01
2000
2.04
2000
2.09
1999
2.13
2000
(年次)
2.出生率の現状(3/5)
先進地域以外でも、合計特殊出生率が現在2.2以
下の国として、中国、韓国、シンガポール、タイ、
アルメニア、バハマ、キューバ、プエルトリコ、トリ
ニダードなどがある。
東アジア、東南アジアおよびカリブ海の島国が多
い。
 これらの地域の特徴としては、
1.教育程度が相対的に高いこと、
2.島国は外からのアプローチが容易なこと、
3.概して人口が同質的であること
が上げられる。

2.出生率の現状(4/5)
さらにモールデン(P.W.Mauldin)によれば、
これらの国々は、平均所得、工業化、教育程
度、都市化、マスコミの普及などの「近代化の
指標」が高く、政府が家族計画の普及に熱心
でかつ実施のための行政組織が存在する。
近年では、経済社会開発が遅れていた中央
アジア(インド亜大陸など)や西アジア(中近
東)においても低下し始めた。
2.出生率の現状(5/5)
アフリカにおいては、依然として高い水準。
特にサハラ砂漠以南の地域では、高い水準を保っ
ている。
その理由としては、サハラ以南のアフリカが他の地
域と比べて、社会開発が遅れ、女性の教育程度が
低く、社会的役割が制限され、家族計画の考え方と
方法技術があまり普及されていないことがあげられ
る。その背景には政情の不安定、社会・経済インフ
ラの脆弱などがある。
3.先進地域の出生率低下(1/3)
日本を含めたすべての先進国において、合計特殊
出生率は、人口置換水準以下にある。
年次
2003
年次
2003
日本
1. 29
ハンガ リー
1. 30
カナダ
…
イタリア
1. 29
アメリカ合衆国 オーストリア
2. 04
1. 39
オランダ
ノルウェー
1. 75
1. 80
ベ ルギ ー
1. 61
スペ イン
1. 29
ブ ルガ リア
1. 23
スウェーデ ン
1. 71
デ ンマーク
1. 76
スイ ス
1. 41
フランス
1. 89
イギ リス
1. 71
ド イツ
1. 34
オーストラリア
…
UN,Demographic Yearbook による(5歳階級の年齢別出生率に基づくため年齢各歳で計算した値とは異なることがある)。ただし日本は国
立社会保障・人口問題研究所の算出による。E=Council of Europe, Recent Demographic Developments in Europe, 2003 による。U=U.S.
Department of Health and Human Services, National Vital Statistics Report ,Vol.51, №2 及びVol.53, No.9 による。S=Eurostat Statistics
in Focus: Population and Social Conditions 13/2004 (http://europa.eu.int/index_en.htm)。*暫定値による。
3.先進地域の出生率低下(3/3)
欧米諸国では1965年ごろから一斉に低下した。
ヨーロッパの中で、旧ソ連圏の東ヨーロッパの国々
と南ヨーロッパの国々の出生率が低い。
旧ソ圏においては、ソ連圏崩壊に伴う経済の窮迫
と経済制度返還に対する適応不全に伴って生じた
一時的出生崩壊の可能性がある(要検討)
南ヨーロッパ(イタリア、スペイン、ポルトガル)にお
ける低下は、日本に見られるような女性の社会進出
と出産活動との矛盾・不調和によるところが大きい。
(就業と出産育児の両立の支援体制の不備)
4.死亡率と平均寿命の動向(1/2)
表5-10 世界の主要地域別乳児死亡率:1950~2050年
地 域
世
先
発
ア
ラ
北
ア
ヨ
オ
界
進
展
途
テ
部
東
南
南
西
ー
セ
フ
ン
全
地
上
地
リ
ア メ リ
ア
メ
リ
ジ
部
ア
ジ
部 ・ 中 央 ア ジ
東 部 ア ジ
部
ア
ジ
ロ
ッ
ア
ニ
域
域
域
カ
カ
カ
ア
ア
ア
ア
ア
パ
ア
1)
2)
3)
( ‰)
1950~
1970~
1980~
1990~
1995~
2000~
2010~
2020~
2045~
55年
75年
85年
95年
2000年
05年
15年
25年
50年
156.9
93.2
77.8
65.7
61.5
57.0
47.7
39.9
24.5
59. 1
21. 4
14. 7
10. 1
8. 3
7. 7
6. 9
5. 9
4. 4
179. 8
104. 7
86. 8
72. 3
67. 4
62. 4
52. 0
43. 4
26. 8
179. 3
126. 2
28. 6
182. 1
181. 3
187. 0
168. 2
190. 6
72. 4
61. 5
133. 5
80. 7
18. 0
98. 7
56. 3
131. 5
107. 7
113. 7
24. 8
43. 5
113. 8
56. 9
10. 2
81. 7
47. 8
105. 3
78. 4
76. 0
17. 9
36. 8
102. 6
38. 7
7. 6
66. 0
43. 8
84. 2
54. 2
53. 9
12. 4
32. 4
98. 8
32. 1
7. 3
59. 8
38. 5
76. 9
46. 2
51. 9
9. 7
31. 6
94. 2
26. 0
6. 8
53. 7
32. 2
69. 1
40. 2
48. 0
9. 2
28. 7
81. 9
19. 2
6. 1
42. 0
25. 4
55. 1
29. 4
33. 5
8. 1
22. 6
69. 0
14. 3
5. 5
33. 7
20. 2
44. 9
22. 8
22. 8
6. 7
18. 3
41. 5
8. 3
4. 4
20. 2
11. 9
27. 5
12. 7
12. 2
4. 9
10. 2
UN, Wor l d Popul at i on Pr ospect s: The 2004 Revi si on ( 中位推計) よ る 。 乳児死亡率は, 出生数1, 000に対する 0 歳児死亡数の比率。 1) ヨ ーロ ッ
パ, 北部アメ リ カ, 日本, オース ト ラ リ ア及びニュ ージーラ ンド から なる 地域。 2) 先進地域以外の地域。 3) カリ ブ海諸国, 中央アメ リ カ及び南アメ
リ カを含む。
4.死亡率と平均寿命の動向(2/2)
途上地域の平均寿命の延びが著しい。地
域的にはアジアの伸びが著しい。
 その理由として、
1.平均寿命の延びはもともと低いところで大き
く、それが高くなると鈍化する傾向を持つ。
2.医療技術に関する後続国の有利性。
がある。

5.人口の年齢構造の変化と高齢化(1/6)
出生率と死亡率の低下を受けて、世界人口
は大きく変化している。
 その特徴の一つが「人口高齢化」である。

5.人口の年齢構造の変化と高齢化(2/6)
出生率と死亡率の低下を受けて、世界人口
は大きく変化している。
 その特徴の一つが「人口高齢化」である。

5.人口の年齢構造の変化と高齢化(3/6)
従属人口指数を、見ると、1950年、2000年は途
上国のほうが高い。これは年少人口従属人口指
数が途上国で大きいためである。逆に老年従属
人口指数は、途上国では小さい。
 特にアフリカの年少従属人口指数及び全体の従
属人口指数はきわめて大きい。
 一般に途上国の高い従属人口指数は、経済発展
のために不利な人口学的条件をもたらすものと考
えられている。

5.人口の年齢構造の変化と高齢化(4/6)
先進国の老年従属人口指数を見ると、特に2050
年の44.42は大きい値となる。仮に15-64歳人口
が65歳以上人口の社会保障を負担すると仮定す
ると、1人の老人を2.27人の現役で支えることとな
り、現役に対する社会保障の負担の重みは非常
に大きくなると予測される。
 ちなみに日本の老年従属人口指数(2050年)は
72.40なので1人の老人を1.38人の現役で支える
こととなる。

5.人口の年齢構造の変化と高齢化(5/6)
老年人口の増加、老年従属人口指数の増
加は、主に出生率の低下によってもたらさ
れている。
 そのため、現在出生率が急激に低下し始め
ている国々においても、日本同様の人口構
造は将来的にはもたらされる。
 国によってはそのスピードは日本以上であ
る。

5.人口の年齢構造の変化と高齢化(6/6)
アジアの人口高齢化を考えてみると、日本を除い
たアジアの国々では、年金をはじめとする社会保
障制度の整備が十分ではない。皆年金は達成さ
れていない。
 そのため、アジア諸国における人口高齢化の問
題は日本以上に深刻となる可能性がある。
 社会保障制度の不備と、近代化しつつあるライフ
スタイル、そして寿命の延長にという現状におい
て、こうした国々が保っていた、三世代同居による
私的扶養という仕組みが堅持できるであろうか。

6.都市化と人口移動(1/4)
表11-20 世界の主要地域別都市人口割合:1950~2030年
( %)
地 域
世
先
発
界
進
展 途
全
地
上 地
域
域
域
1950年
29.1 52. 5 17. 9 2000年
47.1 73. 9 40. 5 カ
リ
フ
ア
37. 1 14. 9 ラ テ ン ア メ リ カ
75. 5 41. 9 カ
リ
北 部 ア メ
79. 1 63. 9 ア
ジ
ア
37. 1 16. 6 40. 4 16. 1 ア
ジ
ア
部
東
29. 5 16. 6 南 部 ・ 中 央 ア ジ ア
39. 6 15. 4 南 東 部 ア ジ ア
64. 3 27. 1 ア
ジ
ア
部
西
パ
ッ
ロ
ー
ヨ
72. 7 51. 2 ア
ニ
ア
セ
オ
72. 7 60. 6 UN, Worl d Urbani zat i on Prospect s: The 2003 Revi si on によ る 。
2030年
60.8 81. 7 57. 1 53. 5 84. 6 86. 9 54. 5 62. 6 43. 7 60. 7 72. 3 79. 6 74. 9 6.都市化と人口移動(2/4)

20世紀後半の人口現象の特徴の一つに「都市に
おける人口増加」がある。
 世界では、都市化比率(総人口に占める都市人
口)は、1950年には30%であったが、2000年には
47%にまで増加した。2030年には61%に達する
と見込まれる。
 先進地域のほうが途上地域よりも都市における
人口集中は顕著である。
6.都市化と人口移動(3/4)
都市化、あるいは農村から都市への人口流入は、
プラスの側面とマイナスの側面がある。
 アフリカ、アジア、ラテンアメリカにおいては、農村
から都市への大量の人口集中は都市の収容・管
理能力を超え、流入者に必要な職と住宅を供給で
きない場合が多く、都市の周辺部にスラムを形成
し、環境の破壊、犯罪の助長要因となる場合があ
る。

6.都市化と人口移動(4/4)

一方で、アジアでは、都市化と1人当たりGNPの
伸びとの正の相関が高い。またラテンアメリカで
は農業成長との間に不の相関が認められる。都
市化は一般的に農村と都市との間の労働力の分
布を調整し、農村の人口過剰と貧困を軽減し、経
済発展を促進する効果がある。
7.国際人口移動(1/3)
国際人口移動は、現在、西欧諸国(市場経
済のもとにある北部アメリカ、ヨーロッパの
国々、そしてオーストラリア、ニュージーラン
ド)が非常に大きな比率で外国、特に途上
国からの移動者を吸収している。
 世界には220近い国があるが、そのうち4分
の1の国で国際人口移動の4分の3を吸収し
ている。

6.都市化と人口移動(2/3)

世界最大の移民受入
国のアメリカは199596年
6.都市化と人口移動(3/3)
途上国→西欧先進諸国への人口移動のほかに、
貧しい途上国から比較的所得が高く資源の豊か
な途上国へと移動するケースもある。
 中近東湾岸石油産出国への外国人労働者の移
動は多い。(外国人労働者数1970年110万人
→1990年520万人)
 このほか「難民の移動」もある。

次回
人口と成長の限界:
地球人口と「持続可能な開発」(テキスト2章)

1. 地球人口の歴史
2. 地球の人口扶養力
3. 地球人口の将来